【更新休止中】Fate/ぐだ×ぐだOrder 〜要するにぐだこがぐだおを呼ぶ話〜 作:藻介
さてその興奮も冷めぬうちにやってきた1000万ダウンロードキャンペーン。果たして今度こそエレちゃんは実装されるのか(確認済み)。
その内の一つ、星四鯖配布キャンペーン! 皆さんは誰にしますか? 私は初期からお世話になっている黒王様の宝具レベルをあげようと思っています。
そんなわけで本編よりも筆が乗ってしまった番外編。お楽しみいただければ幸いです。
それは、ネロ祭の興奮もまだ冷めやらぬカルデアでの一幕。
「マスター」
廊下を歩いていたらふと、セイバーに声をかけられた。
「どうかした?」
「いやなに、そろそろいい時間だ。食堂でジャンクな食べ物でも食べに行かないか?」
「いいね、私もちょうど食べたいと思っていたんだ」
食堂に二人して入る。
お昼時ということもありかなりの人たちが——といっても、その半数以上は世界に名の通った英霊たち、一般職員は実に二割強といったところなのだが——ある者は礼儀正しく楚々として、又ある者は同席した者同士でわいわいと、それぞれの流儀や作法で食事を楽しんでいるようにみえた。
きっとここにあの大統王エジソンがいたら、これぞアメリカの心だ、なんて言いだしていたかもしれない。
思い立って隣でメニュー表を観察しているセイバーに言ったら、少し微笑んで、「かもな」なんて言ってくれた。相変わらず、メニューからは目を離してはくれない辺り、とても彼女らしい。
「決まったか?」
「そうだなあ…………、じゃあ、この秋限定月見バーガーにしようかな」
「なるほど、では私も同じものにしよう」
粗野ではあるものの、手慣れた手つきでウェイトレスを呼ぶ、応じたのは、
「ご注文はいかがしましょうか。
なんとまあ意外なことにメイドオルタだった。
「どうしたんだ、こんなところで」
「見ての通り、バイト中だ」
「バイト?」
反転して、その上水着にメイドとは言え、一国の王様(本人は否定しているが)を雇うなんて誰がやったのだろう。というか、誘われたとして一体どうして働こうなんて思ったんだろう。
「雇い主はあの犬だか猫だか分からん狐か」
そう言い放ったのはセイバーだった。自慢げな金色の瞳でドヤ顔をかましてくるあたり、私の考えていたことまでお見通しだったようだ。
「さすがに直感スキルは伊達ではないか、まったく、惜しいスキルを捨ててしまった。ことのついでだ。私は雇われたのではなく、自ら雇ってもらった」
「どういうこと?」
「なに、単純なことだ。日頃メイドスキルの向上を目指している私にとって、やつの熟練度には目を見張るものがある、特に料理、特に雪見大福。だから、私自ら弟子入りした」
「で、これはその一環だと」
「そういうことだ」
まあ、それなら納得も行く。理性があるようでないようで、その実いろんなことを考えているキャットなら弟子入りは拒まないだろうし————一部、野菜をマッシュマッシュするイケメンを除けば。
「それよりご注文だ」
「そうだね、じゃあ私はこの『九月限定とれたてゲイザーの目玉焼きを挟んだ月見バーガー』のセットを一つ、飲み物はコーヒー、砂糖二つで」
「こちらも同じものを、そうだな……、とりあえず一ダースよこせ。ジャンクましましでだ」
「承りました。少々お待ちを、お客様方」
カウンターへと戻っていくメイドオルタ、その様はとても、
「かなり板についているみたいだね」
「どうだかな、正直なことを言えば、なぜああなったのか私にも分からん」
「ああって、ゴスロリメイド服のこと? 私は結構似合ってると思うけどな」
「……っ! まったく! 貴様といると、心が休まる気がしないな」
「?」
何か言ったろうか。普段青白いセイバーの頬が紅潮して、そっぽ向いている辺り、たぶん私がした何かに動揺したんだろうが全く見当がつかない。
「いい、深く考えるな、貴様のそれはきっと生来のものだ。考えるだけ無駄というやつだ」
「いや、そんなこと言われると余計気になるんだけど」
「よしておけ。それより
「——ご注文の品をお届けに上がりました。こちら通常の月見バーガーセットお一つ、それと同品物ジャンクましまし一ダースになります」
セイバーが何か話そうとした折、横から入り込むようにしてメイドオルタが大量のハンバーガーをテーブルに置いていった。去り際に口角をにやりと上げていたのは、きっと気のせいじゃない。
「ありがとう。ごめんセイバー、なんの話だったけ?」
「…………、いや、そう大したことでもなかった。早く手を付けろ、ポテトが冷めてしまうぞ」
「うん、じゃあいただきます」
手を合わせず、もっきゅもっきゅと両の手にしたハンバーガーを器用に食べていくセイバー。不思議なことに、彼女の黒いドレスには食べかすが、それこそ塵一つもこぼれない。
そんな彼女を見やりながらコーヒーの入ったカップのプラスチックの蓋を開けた。コーヒーのどこか安心感を与えてくれるような香りが鼻孔をくすぐる。
「ねえ、セイバー」
「ん、ふぁんふぁ、ふぁふたー(訳:なんだ、マスター)」
「やっぱりメイドオルタって、神の意志か何かの産物だと思うんだ」
そう言われたセイバーはとても不思議なものを見たような顔をして、口の中の食べ物を飲み込んでから、
「どこぞの聖女みたいなことを言うのだな、貴様は」
フン、と鼻で笑った。
「ところで、私を誘った理由って、結局なんだったんだ?」
セイバーの度重なる(一ダース単位での)お代わりは底を見せず、結局私が止めるまで小一時間ほど彼女はもっきゅもっきゅしていた。ちなみに、お勘定は私持ちだ。後で宝物庫周回に付き合ってもらうことに決めた瞬間である。
今回は、リンゴいくつで足りるかな。
会計を終え廊下に出る。些事——彼女に付き合っているとどうにも感覚が麻痺してしまう——を忘れて、私は改めて問いかけた。
「なんのことだ」
どうやらしらばっくれるつもりらしい。よろしい、それならこちらにも手はある。
「いや、セイバーが食事に誘うなんて珍しいなって思ってさ。何か理由、……そう、話したいことでもあったんじゃないかと、そう考えただけだよ」
「…………理由がなければ、誘ってはいけないのですか?」
「ん? なんて?」
「……っ! なんでもない! 貴様を誘ったのも、そう、偶然、食堂の通り道に貴様がいただけだ。決して、何か聞きたかったわけではない!」
「ええ~~? ホントにござるか~~~~?」
やったね、煽り成功。どうやら何か聞きたいことが——
「——卑王鉄鎚、極光は反転する——————」
「ストォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォップ! 宝具中止! 中止! ほら、ここ室内だし、もし、もし、道の角から野生の野良ジャンヌがあらわれて軌道そらされたら、もしかしたら食堂に当たっちゃうかもしれないじゃん!」
「む、それもそうだな」
聖剣が黒い粒子となってセイバーの手元から消える。ふう、死ぬかと思いました。
「しかし貴様、いつの間にあの聖女を呼び出せていたのだ?」
「あ、ああ、ネロ祭の前にね」
嘘です。
「ああ、確かに、あの守りには何度か助けられたな」
「ウン、ソウダネ」
それ、たぶん
閑話休題。
「それで、セイバーは何を聞きたかったんだ?」
「…………………………言わなければ、いけないか?」
返答までにはだいぶ間があった。こういうしおらしいのは(彼女には絶対言わないけれど)あまりセイバーらしくない。
「セイバーが言いたくないなら、無理には聞かないよ。ただ——」
ただ。それでも。
「——それでも、気にならないって言ったら嘘になっちゃうのかな。私はさ、君のこと、とてもおこがましいんだけど『相棒』だと思ってるからさ。君のことは、できるだけ全部知っておきたい。私のことも、全部知っていてほしい」
ああ、なんてわがままなんだろう。自分でも吐き気がしてくる。そんなこと、あるはずがないことなんて、とっくの昔にわかっていたはずなのに。
「ダメ、かな?」
それでも、聞かずにはいられない。いられなかった。
セイバーは、下を向いて黙っている。表情が読み取れないがきっと困惑しているのだろう。
例え彼女が、一国を完全な体制のもとで栄えさせた王だとしても、あれほど側にいた円卓の騎士たちにさえ完全な王であると呼ばれていたとしても、その身にあり得ないほどの膨大な魔力を帯びていたとしても。
そこにいて、今目の前にいる彼女は、ただの一人の少女に過ぎないのだから。
だから、彼女に多くを求めることは本来すべきでない、そう分かっていたはずだったのにな。
「ごめん、急にわがまま言ったりして。さて、これからどうしようか? そうだ。イシュタルとか誘って、宝物庫狩りにでも行かない? さっきので正直財布の中身がちょっと——」「——よい」
え?
「今、なんて」
「…………よいと、無理をしなくてもよいと、そう言ったのだ」
「いや、別に無理なんて」
「だから、それのことを言っている」
セイバーが顔を上げた。その表情には、いささか憤りが感じられる。
「貴様は出会ったときから、いつも、誰に対してもそうだった。親し気に接してくるくせに、どこか線引きをしてそれ以上は踏み込まないし、踏み込ませない」
「………そう、なのかな?」
「ああ、そうだ。特に私は、人の心が分からないと言われて久しいからな。余計に分からん」
いや、そんな胸を張られても。それに十分分かってる方だとは思ってるよ。
「だから話せ。そして、もっと近くに寄れ。そうしたら、私も話す」
そっか、なら。
「話すしかないか」
こうして、私は傍らの椅子に二人で腰を落ち着け、彼女に私の考えていたことを話すことになったのだった。
「では、次は私の番だな」
セイバーはなんの感慨もなく言った。ちなみにこれでも私の話の後だ。
「えっと、セイバーさん?」
何か感想はないの? とは言えなかった。なぜなら、
「なんだ?」
「いや、何も」
話す気満々ですね。すっごい目が輝いてらっしゃるもの。
「では言うぞ」
「ああ」
なんか、こっちまで緊張してきた。
「貴様はなぜ、私をセイバーと呼ぶ」
「え?」
「だから、どうして貴様は私をクラス名で呼ぶのか、ということだ」
「え、そんなこと?」
それだけのことを聞き出すために、私はあそこまで色々とカミングアウトさせられてしまったのか。なんだかとても馬鹿らしく思えてきたぞ。
「
身を乗り出してくるセイバー。ドレスの隙間から胸が少し見えそうになって、思わず目をそらす。が、その顔がうまく動かない。何か柔らかいものに当たっているような気がするのだが、それがうまく把握できない。
「いやまあ、最初に来たセイバークラスのサーヴァントが、セイバーだったってだけなんだけど」
「なら、なぜ今もそう呼び続ける? 確かに、私やベディヴィエール卿がくるまでまともなセイバーはいなかった」
え、他にもいな、痛たたたたたたたたたたたたた、や、やめて。なんかよく分からないけど絞めつけるの止めて。
「だが、今は違う。確かに他のクラスほど充実しているわけではないものの、十分強力な英霊も揃ってきている。認めるのは癪だが、特にあのコサラの王、ラーマといったか。腕も確か、その上で人徳がある。愛する者に会うために愛剣に手を加えてまでセイバークラスになる、その姿勢には感心せざるを得ない。私にはできないことだからな。だから——」
「だから?」
「もう貴様にセイバーと呼ばれるのは私だけでなくていい。貴様の剣はもう、一つではないのだ。もう私だけを
「…………………………」
セイバーは一切表情を変えず、淡々と言葉を紡ぐ。相変わらず感情の起伏が感じられない。それでも、彼女が不安を覚えていることだけは感情とか理屈とか、そういうのではなく経験で解かった。
「セイバー」
ほぼこちらにもたれかかるような形になっていた彼女を、一度引きはがす。
「……マスター?」
「私にとって、セイバーはセイバーだけだよ」
「…………っ!」
「来たばかりの時君は、私が膝を屈したとき私の首をもらうと言った。正直、最初はとても怖かった。でも君が支えてくれたおかげで、今日まで何とかあきらめずに歩き続けられた。それはきっと、君のあの言葉のおかげだと思う」
もちろん、マシュや他多くの英霊たち、カルデアのみんなに、ドクターやダビンチちゃんの支えもあったからだろうけど。
「それでも、辛いときは君が前に立ってくれた、後ろをまかせてくれた、隣にいてくれた。————だから私の剣はセイバーだけで、私の首は君だけの物だ」
だからさ。
「これからも、一緒にいてくれる? セイバー」
「…………………………………………………………ふっ」
「む、どうしてそこで笑うのさ」
「いや、とてもくさいセリフを言うのだなと」
う、確かに思い返すとちょっと恥ずかしくなってきた。
「まあいい、なら、くさいセリフついでに私も言おう。それでフェアだ」
「……分かった」
「誓おう。
我が身はあなたの剣であり、我が命運はあなたと共にある。
もしあなたが膝を屈したならば、その時私はあなたの首をもらい受ける。
ここに契約は完了した。
共に行きましょう、マスター」
「ああ、これからもよろしく。私の
お前の首は私だけの物だ。
ほかの誰にも譲ってはやらない。
この世にもし死神がいるのだとしたら、私がそいつからお前を守ってやる。
もし諦めたお前の首を死神が刈ろうものなら、先に私がお前の首を断ち切って、
なぜなら、私はお前の剣であり、お前は私の——いやこればかりは言葉にできないか。とりあえず大切な主とだけ言っておこう。
だから、繰り返し言うが、お前の首は誰にも渡さない。私だけの物だ。
————だから、決して諦めるな。
私はいつだって、お前の剣としてそばに居続けるのだから。
ネロ祭、決勝、鬼岩城のBBちゃん
BB「私の変身、みたいですか~?」
水着ニトクリス「かまいませんが」
孔明「ああ!」
マーリン「いいとも」
ぐだ「圧倒的な突っ込み不足!」