よくよく考えたんですけどぬらりひょんとフランって多分同じくらいの歳ですよね? 見た目の違いが凄い…
ー翌朝ー
「あーーーっ!!!!!」
チルノが急に大声をあげた。その場に居た者はみんなビクッと反応した。
「チルノちゃんどうしたの?」
「自由研究のことすっかり忘れてた!けーねに怒られちゃう!」
そもそもこの紅魔館には、吸血鬼をみた!というテーマでレポートをまとめて提出する予定だったが、チルノ、大妖精、ぬらりひょんの3人は完全に忘れていた。
「そーいやそういう趣旨じゃったのう。すっかり忘れとったわ!」
ぬらりひょんは呑気に笑っていたが、チルノと大妖精は顔を青くしていた。
「まずい…これはヒジョーにまずいよ大ちゃん!」
「最悪チルノちゃんを盾にして私だけでも逃げよう…」
「なんであたいを盾にするのよ!」
ゴタゴタ話してると部屋のドアが開いた。
「みんなおっはよー!」
フランである。初めて会った時とはまるで別人のように明るい。
「!!!」
その時チルノに電流走る。
「そうよ!その手があったわ!」
「「「?」」」
ぬらりひょん、大妖精、フランはチルノが何を言ってるのかわからなかった。
4人とも出発の準備ができ、門の前までやってきた。咲夜、パチュリー、美鈴、こあの4人が見送りに来てくれた。
「妹様、荷物の用意はされましたか?日傘もきちんと持ってますか?それとくれぐれもぬらりひょんから離れないように!」
「もーっ!何回も聞いたよ咲夜!」
咲夜はフランがとても心配なので、何度も何度も同じことを繰り返す。メイドというよりお母さんみたいである。
「で、ですが私は妹様のことが心配で…」
「はいはい、可愛い子には旅をさせよっていうでしょ?」
パチュリーが軽く笑いながら言う。もうフランを外に出したくないという気持ちはないようだ。
「あう…」
「あ、そうそう。レミィから伝言を預かってるんだけど…」
「お姉様から?」
「ええ。『フラン、思う存分楽しんで来なさい。私の妹たるもの、気品と知性に溢れた吸血鬼に成長できるように願っているわ。』ですって。」
レミリアらしい一言である。
「よくわかんないけど頑張るわ!」
「(大丈夫なのだろうか…)」
咲夜は最後の最後まで心配でならなかった。
「んじゃそろそろ行くか!」
ぬらりひょん達はそろそろ行くことにした。
「お世話になりましたー!」
「また来てあげるわ!」
「いってきまーす!」
パチュリー達は4人に手を振って見送りをした。
「…ぬらりひょんが引率の先生に見えるわ。」
「ハハ!確かにそう見えますね!」
「遠足に行ってるみたいな雰囲気ですね。」
パチュリー、美鈴、こあがそう話している最中も咲夜は心配で心配でたまらなかった。
「……母親か。」
その咲夜をみてパチュリーが一言ツッコンだのであった。
「さあ、着いたな。」
ぬらりひょん達4人はとりあえず寺子屋に来ていた。
「ここは何?」
「あんた知らないの?いいわ、おしえてあげる。 ここは寺子屋といって、みんなでワイワイたのしむところよ!」
「あ、フランちゃん。今のは無視していいからね。寺子屋っていうとは私たち生徒が文学などを学ぶところだよ。」
チルノの的外れな説明を華麗に流し、大妖精が説明した。
「へぇ〜 じゃあチルノ達はここに通ってるんだ。楽しい?」
「たのしいわけないでしょ!じごくよじごく!」
「チルノちゃんさっきワイワイ楽しむところって言ってたじゃん…」
「さっきはさっき!いまはいまよ!」
この妖精無茶苦茶である。
「とりあえず入ろうぜ。」
ぬらりひょんの一言でみんな中に入ることにした。
「よお、慧音。」
「む、ぬらりひょんか…」
慧音は中でテストの丸つけをしていた。他の生徒はまだ来てないようである。
「それより…もう1週間過ぎてるんだが…な に し て た ?」
慧音が不気味な笑いを浮かべる。表情は笑っているのだが、目は全く笑っていない。
「あれ?もうそんなに経つか?気がつかなかったのう!なぁチルノ!大妖精!」
「うん…」
「そ、そうですね…」
苦しい言い訳である。
「ぬらりひょん…約束したよな?1週間で自由研究を終わらせると!なのにこの醜態はなんだ?」
「は、ははは…」
「……」
スッ…っと慧音はぬらりひょんに頭突きをする態勢をとった。
「待て! …遅れたのは自由研究のせいだ!お主もこいつを見れば納得するはずじゃ!」
「…こいつ?」
「入っていいぞ!」
ぬらりひょんの大声と共に1人の少女が教室に入って来た。
「こ、こんにちは…」
フランである。この登場の仕方が恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしていた。
「この子は?」
「フランじゃ!紅魔館に住んでいる吸血鬼…どうじゃ!驚いたか?」
慧音はフランをじっと見つめる。フランは目を合わすのが恥ずかしいので下を向いていた。
「確かに驚いたが…この子が自由研究と何の関係があるんだ?」
「え?」
「ただ連れてきただけじゃ研究したとは言えんだろう。」
完全な正論を言われて3人は黙り込んだ。
「それにチルノと大妖精、お前達にはテストも受けてもらうぞ。8割取れなかったら…わかっているな?」
「8割…ですか?」
このごろまったく勉強してなかったので、いくら大妖精であろうと結構厳しい数字である。
「8割ってなに?半分くらい?」
チルノは完全にアウトである。
「えー…おほん、ワシたちは用事があるからこれで失礼するぜ…」
「っ!!!」
逃げるのかッ!という目でチルノが見てくる。
「え?ぬらりひょんさっきまで行くとこは決まってないって…」
「今決まったんじゃ!!!」
フランの空気の読めない発言にやや被せて言った。
「って事で!じゃあなチルノ!大妖精!楽しかったぜ!」
そう言い残し、フランを連れて外へ出ていった。
「待てーっ!あたいをおいていくなーっ!」
チルノも2人に続き、外に出ようとする。 …が。
ガシッ!
脚を掴まれ、バタンと床に倒れた。
「フフフ…テストが終われば他の宿題もたんまりあるぞ。」
「チルノちゃん…頑張ろう…」
「おしまいだぁ…」
この後のテスト、大妖精はギリギリ8割を取れて合格したが、チルノはは一問もわからずに0点だった。
もちろん慧音の頭突きを食らったことは言うまでもない。
「ふぅ…危なかったな。」
2人は夢中で寺子屋から離れ、人里に来ていた。
「はぁ…はぁ…ここが人里…いっぱい人がいるわ!」
「ちょっと休むか。」
フランが疲れたことに気遣い、近くにあった茶屋で少し休むことにした。
「おっちゃん、茶2つと饅頭くれ。」
「はいよ〜 ありゃ?お嬢ちゃん、その羽の玩具すごいね〜」
茶屋の店員はフランの羽を玩具と勘違いした。
「玩具?これは生まれた時から…」
「あぁー!そうそう!ワシが買ってやったんじゃ!フランが生まれてすぐにな! それより早く持ってきてくれ!」
慌ててぬらりひょんが誤魔化した。
「ああ、すいませんね〜 今持って来ます〜」
何とかバレずに済んだようだ。
「はぁ…」
「どうしたの?これ玩具じゃないのに。」
「…あのなフラン。こういう場所では自分が吸血鬼ってことを知られちゃいけねえぞ。」
「なんで?」
ぬらりひょんの言っている事をフランは理解できていない。
「なんでって…まぁなんとなくじゃ。」
「変なの〜」
「(なかなか大変な旅になりそうじゃな…)」
「あー美味しかった!」
2人は饅頭を食べ終わった。フランも中々満足してくれたみたいである。
「そうじゃな。んじゃ行くか!」
フランの手を握り立ち上がった。
「? お金払わなくてもいいの?」
「お前 金のこと知ってんのか?」
「うん! ほら!」
そう言って手を見せてきた。
「…コインいっこじゃ足りねえな。まあワシに任せとけって!」
フランの手を引きながら歩いて行く。店員の横を通っても気づく気配はない。
「へぇ…これがぬらりひょんの能力?」
「まあそんなもんじゃ。」
そんな事を話しているうちに、外に出ることができた。
「便利な能力だね! …私もこんな能力だったらもっと前に出れたのになぁ…」
「まっ、その分今を楽しめばいいさ。まずどこへ行きたい?」
フランが暗い顔をしていたので話題を変えた。
「行きたい場所…行きたい場所…うーん…わかんないなぁ。 …あっ!!!」
急に大声を上げた。2人は歩きながら話している。
「ん?」
「海がいい!海に行きたい!」
「海? 幻想郷に海ってあんのか?」
もちろん幻想郷に海はない。しかし、パチュリーが地下にいるフランのために本を渡していた。その本の中に『海』というものがあったのだ。
「うーん……そうじゃ!永琳ならなんか知っとるかもしれん!フラン!永遠亭に行くぞ!」
「えいえんてい?」
2人は永遠亭に行く事に決めた。場所は今歩いている場所とは逆なので1度立ち止まる。
だがその時…
「っ!?」
「うわぁっ!?」
2人の足元に変な空間が出てきて、2人を飲み込もうとする。
「チッ!」
ぬらりひょんはなんとかその空間から脱出した。しかしフランはもう飲み込まれる寸前である。
「フランッ!!!」
ぬらりひょんはできる限り手を伸ばし、フランの手を握ろうとする。
ガシッ!
「ク、クソ…」
フランの手が消える寸前で握ることができた。しかしかなり身を乗り出していたため、ぬらりひょんも空間に飲み込まれてしまった。
2人を飲み込んだ後、その空間は静かに消えていった。
はい、第24話でした。
そしてこの後2人を見た者はいなかった(嘘)
ではここで終わります。お疲れ様でした。