「……うん、なにも問題はないわね」
「すまんのう永琳」
あの後、ぬらりひょんは再び体に異常があるか診てもらったが、どこにもそんなものはなかった。
「それでなんであなたは竹林にいたの?」
「それがようワシにもわからんのじゃ。死んだと思ったらいつの間に…ここはあの世とやらではないみたいだしのう」
「その前に…あなたの名前を聞かせてもらえないかしら?まだ私たちは何もあなたの事を知らないわ」
「おっと、そうだったの」
ワシの名前はぬらりひょん!奴良組の総大将…そして魑魅魍魎の主じゃ!…と言おうとしたがやめた。ここにぬらりひょんの百鬼はいない。自分はタダの妖怪だと思ったからだ。
「ワシはぬらりひょん。 …普通の妖じゃ」
「そう…、私は八意永琳。そしてこっちが…」
「鈴仙・優曇華院・イナバです」
「(長ぇな…)」
「因幡てゐだよ」
輝夜を除く、今部屋にいる3人が自己紹介した。
「そうか、よろしくのう」
「いきなりで悪いけど話を整理するわね。あなたは死んだと思ったらいつの間にここにきていた…であってるわよね?」
「整理するほどの話じゃなかったわね」
「そ、そうですね」
「ああ…ところでここはどこじゃ?」
「ここは幻想郷よ。…恐らくあなたは違う世界から来たんだと思うわ」
「違う世界?……なるほど」
「驚かないのですか?」
やけに冷静だったぬらりひょんを見てうどんげは言った。
「まぁ世の中広いからな。こんな事もあるさ」
ハハハッとぬらりひょんは笑った。
「問題はあなたが元の世界の戻れるかどうかだけど…」
永琳の顔つきが真剣になった。
「戻れることは戻れる…と思うわ。でもあなたが無事に、とは限らないわね」
「そういうと?」
「あなたが本当に生死を彷徨った中ここに辿り着いたなら、またあなたがあっちの世界に戻ったら同じようなことになるという事よ」
「 …こっちの世界だからワシは元気にしてられるってことか」
「じゃあ元の世界に戻ったら死んじゃうウサ?」
「その可能性が高い…ってことよ。これ以上は私にはわからないわ」
「あなたには2つの選択肢があるわ。このまま身体になんの異常も出ない事を祈り、元の世界に帰るか。それとも…」
「…これからはこっちの世界で過ごすってことか」
理解したぬらりひょんはそう答えた。
「ええ、悪いけど私たちにはどうしようもないわ。ごめんなさいね」
「何言っとるんじゃ?お主たちはなにも悪くない。ワシがそういう運命だっただけじゃよ」
「で、ぬらりひょんはどうするウサ?」
「どうしたもんかの…まぁ少し考えてみるか。ここの世界もみてみたいしな」
ぬらりひょんの顔には悲壮感など全くなかった。むしろこの状況を楽しんでいるのではないかと思わせるほどでもあった。
「しかし一応帰る方法を聞いておこうか。何かあってからじゃ遅いからのう」
「それなら博麗神社に行ってみるといいわ、うどんげ」
「はい?」
「彼を博麗神社まで案内してあげなさい」
「は、はいわかりました」
「よろしくな、兎ちゃん」
そう言いながらぬらりひょんはうどんげの頭を撫でた。
「…鈴仙と呼んでください」
「んじゃ、早速行くか!世話になったな!」
「あら?もう帰ってこないの?」
「行くとこなかったら帰ってくるさ…それともずっとここにいてほしいのかい?」
ニヤニヤと笑うぬらりひょん。それをみて輝夜は早く行きなさいと急かした。
「じゃあまたな!いくぜ兎ちゃん!」
「ま、待ってくださいよー!迷いますよ〜!?」
「行ったわね。…姫様もついていったらよかったのに」
「嫌よ、なんで私が外に出なくちゃいけないのよ」
永琳がニヤニヤしながら見てくるので輝夜は先に部屋に戻った。
「珱姫…か」
はい、第2話でした。
この小説をみて、まだぬらりひょんの孫を見たことない人が見てくれると嬉しいです。
ではここらで終わります。お疲れ様でした。