一週間プロデュース~目指せパーフェクトコミュニケーション~   作:シンP@ナターリア担当

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音ゲー対決決着!!~最高の花束を~

 

「へぇ~。隠しトラックだけあって、いろんな幅の曲があるんだな~」

「そうともさ!このゲームオリジナルの曲やJ-POPに洋楽」

「奈緒ねーちゃんのだーい好きなアニソンもしっかり入ってるYO!」

「べ、別にいいだろ!あ、でもこの曲入ってるのか……」

「そんなこと言いながらしっかり食いつく奈緒ねーちゃんであった」

「ちかたないね……好きなんだからさ……」

「聞こえてるぞ!でもそうか……全部見たけど、あたしにはこれが一番向いてそうだな」

「ほほう。奈緒ねーちゃんはあくまで最後までアニソンで勝負ですな?」

「あぁ。特にこの曲はかなり好きだし、コンボ数だってかなり稼げるんだ。難しいかもしれないけど、やってやる!」

「うむす!いい気合いだぜ奈緒ねーちゃん!」

「泣いても笑っても最後の一回。亜美たち司会は今回はだまーって見てることにしようじゃありやせんか」

「さぁ、奈緒ねーちゃんの好きなタイミングで始めちゃってくれい!」

「ふぅ……よし!」

 

 奈緒の気合の一声の後、曲が決定されてゲームが始まっていく。先ほどまでと違い、かなり複雑な譜面となっていたが、ここまでの4回でかなり慣れてきていたのか、順調にコンボ数を稼いでいく奈緒。そして途切れることなく終盤に差し掛かり、曲の転調にあわせてさらに複雑さを増していく。だが、それも織り込み済みだったのか、少しギリギリな部分もあったが、無事に繋ぎ切り、曲の終了後、画面には大きく『FULL COMBO』の文字が光っていた。スタジオ内は拍手喝采で、対戦相手のピエール含む男性陣も拍手を送っている。

 

「よっっっっっしゃーーーー!!どうだ!!!!」

「な、な、なんとぉ!!」

「杏奈ちんいわく、このゲーム中TOP10には入る難易度のこの曲を、まさかの初見でフルコンボとは!!」

「スタジオのにーちゃんねーちゃん!」

「そしてテレビやPCの前のにーちゃんねーちゃんも!」

「「奈緒ねーちゃんにはーくしゅー!!!」」

「ナオ!すごい!」

「奈緒ちゃんやるっスね!同じアニメ好きとして、鼻が高いっス!」

「奈緒さん最高だよ!」

「へへっ、ありがとな!」

「さぁさぁ、これは後攻のピエるんにはかな~りプレッシャーになっちゃうんじゃないかな~?」

「MAXコンボも中々の数字、これを超える必要があるわけだけど、どうなっちゃうかな~?」

「曲選びも重要ですなぁ。さてさて、何を選ぶのかな~?」

「ボク、もう決めてる」

「おっと!?ここでまさかの発言!既に曲を選んでいたとは!」

「奈緒ねーちゃんが選んでる間に、目星をつけておいた感じだね~。さぁ、注目の楽曲は~?」

「えへへ、これ!」

「っ!」

 

 少しはにかみながらピエールが選んだ曲に、数名が反応する。画面に映された曲名は『Cherish BOUQUET』。何を隠そう、同じくBeitのメンバーであるみのりのソロ曲だ。

 

「ぴ、ピエール。それ……」

「うん。みのりの曲。この前プロデューサー、ゲームにみのりの曲が入るんだって喜んでた。さっき思い出した」

「あぁ。そういや言ってたっけか。このゲームだったんだな」

「愛する仲間の曲で最後の戦いに挑む。泣かせるじゃあありやせんか……」

「しかし良いのかいピエるん?奈緒ねーちゃんの曲のMAXコンボと、こっちは5回分しか変わらない。ってことは、ほとんどフルコンボが条件ってことになる」

「ミスって良いのは最初か終わりの4つ目まで、しかも難易度はあっちよりも高いんだぜ?」

「そ、そうだよピエール!選んでくれるのは嬉しいけど、それで失敗しちゃったりしたら……」

「きょうじがね、教えてくれたの」

「?」

「ゲームってね、楽しくやるのが一番だって。だからね、ボクこのゲームの中の曲で、一番好きな曲をやりたい!」

「あぁ、その通りだピエール。好きにやるのが、一番いいんだよ」

「ピエール……!」

「それにね。ボク、自信ある。みのりの曲なら、絶対に出来るって」

「カッコイイねぇピエるん!それじゃ、その自信のほど、しっかり見せてもらおうじゃないのさ!」

「泣いても笑ってもこれが最後の一曲!奈緒ねーちゃんが逃げ切るか!」

「はたまたピエるんが男を見せるか!」

「みのりにーちゃんの思いも乗せて!」

「「レッツゴー!!」」

「よーし!ボク、頑張る!」

 

 一呼吸だけ空けて、曲はスタートした。高難易度というだけあり、前奏部分から中々の難しさで、見ているスタッフの数人は、あれは自分には無理だなと身震いしたほどだ。だが、ピエールはそれを歌を口ずさみながら綺麗にコンボを繋げていく。そしてサビ、さらには大サビへと突入し、難易度の高さも頷けるほどの難しさとなっていく。周りのメンバーやスタッフ達は固唾を飲んで見守る中、当のピエールは緊張するどころかさらに楽しげにプレイを続ける。そして、長く思えた2分弱も、ついに終わりを迎える。その結果は……

 

『FULL COMBO!』

「っよし!」

「「決まったーー!!!」」

「最後の最後にして!」

「ピエるんまさかの大逆転!」

「そのコンボ差たったの5!」

「だがしかし、されどその差は間違いなく勝っている!」

「765プロゲーム部特別編3本勝負!」

「第1ゲーム、音ゲーMAXコンボ対決は~……」

「「ピエるんの勝利だ~~!!!」」

 

 スタジオ内からは全員から大きな拍手が起こり、先ほどまでゲームを映していた大型モニターには『BeitチームWIN』と大きく表示されている。負けた奈緒も少し悔しそうな顔を浮かべてはいたが、ピエールの屈託のない笑顔に癒されたのか、今は笑顔で拍手を送っている。そしてその拍手から数秒後、一段落したのを見計らって司会の2名が喋りだす。

 

「いや~。これは765プロゲーム部の中でも指折りの名シーンにランクインですなぁ」

「スペシャルDVDの名シーン集には入るのは確定でしょうなぁ」

「えへへ。やった!」

「この無邪気さがまぶちいぜ……」

「あれで真美たちより年上ってのがよくわかんないけどね」

「それがピエールの良さなんだよ!」

「はい、こっちで止めとくんで進めてもらって大丈夫っすよ」

「すまないねぇ恭二にーちゃん……」

「とまぁそれはさておき、残念ながら負けちゃった奈緒ねーちゃんも大健闘だったねぇ」

「いやー頑張ったんだけどなぁ。ごめんな!沙南!比奈さん!」

「いやいや、いいっスよ。あたしだったら、あんなに出来なかったっスから」

「勝負は時の運って言うもんね!大丈夫!後は私と比奈さんに任せてよ!」

「まぁ、やれるだけやってみるっスよ」

「うん。任せた!」

「いや~、男同士の友情も熱くていいけど、女の子同士だって負けていませんですなぁ」

「むしろ男性メンバーよりしっかりしてるっぽいけどね」

「女の子は強い生き物だからね」

「草食系男子を食いつぶす勢いで頑張っていただきやしょう」

「さぁ、気を取り直したところで」

「そろそろ次の勝負の発表ターイム!」

「3本勝負第2試合」

「勝負の内容は~」

「「クイズゲーム3本先取勝負~~!!」」

 

 中央の大型モニターに、大きく今二人が言った内容、クイズゲーム3本先取勝負と映される。こちらのルールも先ほどとほとんど同じで、お互いに順番にジャンルを選び、選んだ順にクイズをプレイする。問題はそのジャンル内から10問選出され、その正解率で勝負する。これを繰り返し、先に3回勝った方の勝利となる。

 

「大まかなルールはさっきと変わんないけど、大事なのはここから!」

「このゲーム、ジャンルを選んだ方は好きなジャンルで勝負できる超有利なルール!」

「だけどその代わり、このゲームの一つのジャンルの中に、問題は60問しか入っておらず、それが完全にランダムで出題される!」

「つまり、同じ問題が出題される可能性もあるのだ!」

「さらに、解答形式も色々あり、基本の4択クイズ、文字の並び替え形式、文字数指定の入力形式等々」

「有利な側が難しいの引いたり、逆に不利な側が運任せでも当たっちゃったりと、実力だけが大事じゃないのだ!」

「さらに、2対2にもつれ込んだ時の最終戦は、超特別ルール!」

「お互いが自分の好きなジャンルをそれぞれ選んで、その自分の選んだジャンルで勝負してもらうよ~」

「ただ~し!そこまでの4試合で選ばれたジャンルは使用不可!」

「手付かずのジャンルから選んでもらうかんね!」

「一気に勝ちを狙って有利なジャンルを先に使うか!」

「はたまた最終戦を狙って得意なジャンルを温存か!」

「ちなみに、正解数が同点になった場合はサドンデス!」

「同じジャンルで同じ順にもう一回ずつやって勝負を決めるよ!」

「回数を重ねる毎に答えが分かるのが増えちゃうから、ジャンル選ぶ側は気をつけないとだよ~?」

「さぁさぁそろそろいいかな?お互いのチーム、残り2人からどっちが出るんだい!?」

「女子チームからは比奈さんだよ!」

「まぁ、最終戦のルールはなんとなく予想つくんで、そっちは沙南ちゃんに任せたいっスからね~」

「Beitチームはみのりさん。お願いします」

「うん。アクションとかよりは出来ると思うよ。一応年長者だし、頑張らないとね」

「うむうむ。順調で妥当な選出ですな」

「ひなひなは最終戦で待つさなさなのためにも、頑張らんとですなぁ」

「みのりにーちゃんは、恭二にーちゃんの活躍見たいからって手を抜いたりしちゃあダメだかんね!」

「勿論。全力で頑張るよ」

「個人的には少し手加減して欲しいっスけどね~。だめっスか……?」

「お~っと!ここでまさかの盤外戦術!」

「ひなひな、普段は滅多に見せないアイドルフェイスの上目使いだ~!」

「ぐっ……!」

「みのりにーちゃんは胸を抑えて大きくうずくまる……!」

「負けるなみのりにーちゃん!恭二にーちゃんのために!!」

「そうだ……俺は、恭二のためにも、勝たなくちゃいけないんだ!」

「みのりにーちゃん!腹痛の精神でなんとか耐えた~!」

「不屈な。というか、この茶番いるのか?」

「こういうのもありかなって」

 

 スタジオ内はさっきまでのピエールへ向けた暖かい笑顔から、純粋な笑いに包まれる。やはりこの二人が喋る時は、どうにも話を面白おかしい方へと進めなければ気がすまないようだ。しかし、いつまでも笑っていては収録が終わらない。スタッフ達も気持ちを切り替えて、諸々の準備に動く。その間に出ていたメンバーは水分補給等も兼ねて一度席を外し、今は彼の下へと集まっている。

 

「ピエール。よく頑張ったな。最後の凄かったぞ!楽しかったか?」

「うん!みのりの曲大好きだから、すっごく楽しかった!」

「うぅっ……!ピエールがそんな風に言ってくれて、俺は嬉しいよ……」

「はいはい、落ち着いてくださいって」

「奈緒も、惜しかったけど、よく頑張ったな。間違いなく、このゲームで一番楽しんでたのは奈緒だったよ」

「へへっ、プロデューサーさんのお陰だよ!でも、悔しかったなぁ……ピエール。次は負けないかんな!」

「またやろうね、ナオ!」

「さて、次は比奈さんとみのりさんだけど、二人ともこういうの案外得意そうだから、面白い勝負になりそうですね」

「あたしはまぁ、ネットやらなんやらで多少はいろんな知識持ってるかな~ってくらいっスね」

「俺もたまに新聞やニュースを見たりするくらいだからね。ジャンル次第って所かな」

「そのくらいの方が楽しめそうでいいですよ。っと、そろそろ撮影も再開するみたいだ。皆、ここからもこの調子で頼んだぞ!」

「「「「「「はい!(は~い)(ハーイ!)」」」」」」

 


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