ガンダムブレイカー2 鉄血招来   作:岸山

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第2話:アークエンジェル強襲

すまん…。民間人のお前にMSの相手をさせてしまって…》

 

 そんなことを思っていると残りのデナン・ゾンを片付けたカレヴィから通信がくる。

 モニター越しに震えている手をじっと見つめる俺とコクピット貫かれ動かないデナン・ゾンを見て状況を理解したんだろう。カレヴィは俺に謝罪してくる。まぁ俺が戦力にはならないとしておきながら結局は俺が戦ったからな、仕方ない事だけど

 

《とりあえず移動するぞ。今はいつまでもここにいるわけには行かない行くぞ》

 

カレヴィの言葉には気遣いも感じれれるが、それと同時にど現状の厳しさを感じられる。実際、この場に長居するのは得策ではない、早くに行動したほうがいい。

 

 

 

 俺たちは大橋を渡りつつ、進んでいく。

 どこに行くのかはゲームで知っているから俺はなにも言わないが、レーアがカレヴィに聞く。

 

《こっちは港だけど?》

《知ってるよ》

 

 レーアの質問にカレヴィは当然のように答える。

 

《ちょっと待て。港は真っ先に制圧された筈でしょ?さっき貴方が言ってたじゃない》

《言ったよ》

 

 レーアはため息をつくとカレヴィに少々怒気孕んだような、ため息交じりのような声で質問をする。

 

《何か考えがあるなら教えてくださる?》

《あそこにはアークエンジェルがある。アレに乗って脱出する》

《救命ボートじゃだめなの?》

 

 カレヴィがなぜ港に向かうかを話すとレーアが不満をもらす。それに対してカレヴィがため息をつきながら返答する。

 

《残っていると思うか?》

《まぁ、そうよね……まったく災難なこと》

 

 カレヴィの説明にこれから更に戦闘が激しくなることを理解したのか、レーアもため息をつく。

 

《リョウ、動けるか》

「大丈夫」

 

 レーアも納得したのを見て、俺へ再び声をかける。

 頭をぶつけた時の傷が痛み、頭の中はグラグラするが、動く分には問題はない為返事をする。なんとなくこいつの動かし方に慣れてきた。

 俺たちは三機で港に向かった。

 

《ところでなんでお前は上半身が裸なんだ?》

「……シャワーを浴びていたら敵が来て……」

《あなたもなかなか災難ね》

 

 ほっとけ

 

 

 

 

「ふぅ……」

《MS戦が初めてと言っていたがなかなかにできるな》

 

 激戦区を何とか通り抜けた俺達は港地区にやってきていた。

 遠距離での援護ができない以上、俺はできるだけ前に出ずに隠れていた。それでも俺の方に敵が来るのでそれを持ってきたショットランサーで時間を稼いだり、場合によっては撃破していった。

 

(殺さない方が良いんだろうが俺にそんな余裕はないんだよ)

 

 自分でも不思議に思うほどドライだと思う。元の世界では人殺しなんてしたことがないはずなのに、思った以上になにも感じないんだ。まぁ俺が殺した死体を見てないからかもしれないが。

 

《さて、ここから港の中に入れる。警備も厳重だろうから気を抜くなよ、入口に入ったら一気に仕掛けるぞ》

 

 そんな風に自身の変化に考え込んでいた俺だが、カレヴィから通信が入り気を引き締める。自分達は今、巨大なブリッジを超え、港の裏口にたどり着いていた。

 俺たち三機は一気に強襲を仕掛ける。

 

 

「なっ!?」

 

 港内に入るとデナン・ゾンが5機、警備のためか立っていた。

 だが予め警備などがいるであろうと踏んでいた俺たちはカレヴィの提案で攻撃を仕掛ける。ウィングガンダムの威力を抑えたバスターライフルの一撃が、2機を焼き払い爆散させた。

 一気に3体MSが現れたことに敵側の5体から3体になったデナン・ゾンは混乱している。

 

「これでッ!!」

 

 その隙をついてエクシアは一気に近づいてGNソードで2機のデナン・ゾンを両断する。

 俺も残り一体となったデナン・ゾンのコックピットをショットランサーで貫く。

 戦闘は一分もかからずに終了し奥へと進む。

 

 入口の警備を無力化し、俺達は更に先へ進み始める。

 カレヴィの案内のもとアークエンジェルが格納されているドッグへとたどり着くと物陰から様子を伺う。俺の意思でメインカメラが勝手に動いてくれるのでアークエンジェル周辺の敵部隊を確認する。

 アークエンジェルに何機かのGN-XⅢ…。そしてEW版のトールギス…。たしかパイロットはエイナルだったな。

 

 俺たちは隊長機がいなくなるまでしばらく待機しているとトールギスがアークエンジェルの奥へと消えていった。

 これを好機と考えたカレヴィが号令をだす。

 

「隊長機が消えた、今だッ!!」

 

 バーニア全開で強襲攻撃を仕掛ける。

 

「どきなさい!!」

 

 レーアの駆るエクシアはGN-XⅢを流れるようなスピードで素早く二機、GNソードでそれぞれ切断する。

 またその近くでもウィングガンダムはそのスピードで宙を舞いながら、出力調整したバスターライフルを放ち、GN-XⅢを三機纏めて撃破する。

 俺もショットランサーを突き出す。が、強襲であっても他の機体とは違い、GNランスではじかれる。

 

「ちぃっ!」

 

 はじかれるとすぐさま俺は距離を取り、マシンガンをばら撒きながら撃ち続ける。適当でもこれだけ近ければ銃口さえ向けていれば当たる。

 だが途中で弾が出なくなった。戦闘時ちょくちょく使っていたせいか途中で弾切れを起こしたんだ。

 おいおい、こんなところで勘弁してくれよ!

 GN-XⅢがGNランスをこちらに向けて、GNマシンガンを放ってくる。

 俺は盾にするようにショットランサーを前に投げる。

 

 弾がないから誘爆はしないが、後ろに下がりながらよける。

 敵が俺に注目しているとカレヴィがその隙に一体をビームサーベルで切り裂いた。

 

《大丈夫か!?》

「ありがとう、平気だ」

 

 GN-XⅢを一気に六機失ったことで副隊長機らしき機体は遅れながら攻撃を仕掛けてくる。

 だが、多勢に無勢。俺はともかくカレヴィとレーアの相手が務まるわけが無い。

 しかし、俺の予想を裏切り副隊長が駆るGN-XⅢは2人を相手に善戦する。というよりも時間を稼ぐために無駄な攻めはしないという感じだ。特にレーアのエクシアと接近戦を避けつつ、カレヴィのウィングと接近戦をする様にしてバスターライフルを封じている。

 ゲームではやられキャラだったから印象にも残っていないが、この世界では相当に腕が立つようだ。

 

 俺は2人が戦っている間に失ったショットランサーの代わりを探す。カレヴィ達がGN-XⅢを倒した際に爆発せずに無事だったGNランスを見つけ、拾い上げる。

 俺はGNランスを向けて、装備されているバルカンを発射して援護する。

 これまでの戦いで多少慣れてきていたのだろう、真っ直ぐにGN-XⅢに向かっていく。しかし俺の攻撃は左腕のGNシールドを展開されてしまいはじかれる。

 だが足は止まった。その隙をついてGN-XⅢにエクシアが急接近する。GNソードを振るい、左腕を肩から切り裂いた。GN-XⅢはGNランスを横に振るうがエクシアには回避された。

 GN-XⅢが背を向けた瞬間、ウィングガンダムは即座に距離を取りバルカンを放つ。そのバルカンは背中の疑似太陽炉に直撃し、太陽炉が完全に破壊されることはなかったが、動きがとまる。

 そしてウィングガンダムがバスターライフルを構え、引き金を引こうとした瞬間、声が響いた。

 

《──そこまでだッ!!》

「ちっ、戻ってきやがったか!!」

 

 通信と同時にGN-XⅢとバスターライフルを構えるカレヴィの間に向かってドーバーガンのビーム。そしてトールギスはアークエンジェルの甲板に立った。

 

《一度ならず二度までも我が軍の艦を…この盗人がァッ!》

「チィッ!」

 

 いっつも思うがいつ一回、軍艦を盗んだのだろうか。ゲームでなんどかやり直していたが全くわからなかった。

 俺がストーリーのやり直しをしていた時の記憶を蘇られせていると、トールギスがビームサーベルを引き抜いた。そして背中のブースターを吹かし、Gで人間を殺せる加速を利用して一気にウィングガンダムに接近していく。

 素早く反応したウィングガンダムはバスターライフルを投げ捨てると、シールド内のビームサーベルを引き抜いてトールギスの攻撃を受け止めるように振るう。

 

「お前らが間抜けなんだよォッ!!」

《─ッ!?》

 

 鍔迫り合いになるウィングガンダムとトールギス。鍔迫り合いの最中、発したカレヴィの声にエイナルは面食らったような声を出す。

 

《その声…カレヴィかっ!?》

「あぁっ!?誰だ、お前!?」

《貴様ッ!この私を忘れたなどとは言わさんッ!》

 

 カレヴィはとぼけたように言い返すとエイナルは怒って鍔迫り合いの最中に蹴りを放つが、カレヴィは当たる直前に後方へ飛び退く。

 

「ハッ!相っ変わらず暑苦しいな、エイナル!!」

《貴様も相変わらずふざけた奴だな!》

 

 茶化すように話しかけるカレヴィにエイナルは神経を逆なでされたように怒鳴る。ふたりの間に緊迫した空気が流れる。

 さて、こうなるとたしかゲーム内では次の展開は――――

 

「──援護する!」

 

 そんな緊迫した空気の中でレーアのエクシアがGNソードの複合兵装のビームライフルで援護射撃をしようとする。

 そうだった、レーアが援護しようとするんだったな!

 

「バカ!手ェだすなッ!!」

《──目障りだなッ!!》

 

 エイナルのトールギスが背のブースターを吹かして一気に接近する。カレヴィが叫んだが既に遅くエイナルに標的にされたレーアに向かっていく。

 ここでゲームではエクシアの前に俺の機体を出してビームサーベルでトールギスのビームサーベルをはじくんだが、俺にはそんなことできるだけの能力はまだないし、そもそもビームサーベル自体持っていない。

 

《早い!》

 

 レーアは接近するトールギスを見て、思った以上の速度に驚いている。

 

「っ……!!!」

 

 咄嗟に俺はGNランスのバルカンをレーアのエクシアとエイナルのトールギスとの間に放つ。

 

《クッ……!》

 

 このまま突っ込んだらバルカンの餌食になるトールギスは直前で急停止し、後ろに下がって体勢を立て直した。

 俺はふぅ……と息をつく。どうやら、ギリギリで間に合ったようだ。

 トールギスはアークエンジェルの甲板に着地し、俺にメインカメラが向けている。どうやらロックオンされたらしい。

 

「…面白いッ!」

 

 戦意を燃やすのはいいがはっきり言ってやめてほしい。どうせなら美女からのコールにしてほしい。




覚醒?何それ美味しいの?

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