インフィニットストラトス return of calamity (本編終了) 作:アルバロス
「遅い………」
イラつきながらもなにかを待っているのは千冬だった。今千冬がいるのはクラス代表を決める対決を行うアリーナ内の一夏のピットである。学園側から一夏の専用機が渡されることとなり、クラス代表戦には間に合うと言われていたのだが、全く来る気配がない。それに貰う一夏はというと……
「なぁ、箒。ISのことを教えてくれる話しはどうなったんだ?」
「………知らん」
「知らんじゃないだろう!」
「仕方ないだろう。お前のISがなかったのだから」
「ISがなくても、簡単なことぐらいなにかあっただろ!」
と二人で痴話喧嘩をしていた。一夏はこの一週間剣道しかやってないという。
(就寝前とかに自主勉強ぐらいできただろ……by作者)
「はぁ、仕方ない……山田先生」
「は、はい、なんでしょうか!?」
「このままオルコットを待たせるわけにもいかないので先に零童と戦わせます。そのことを伝えに行ってもらえませんか?」
「わかりました。織斑先生は?」
「ここで到着を待ちます。織斑」
「なんだ?千冬姉」
「織斑先生だと何回言わせる!」
スパァン
「いってぇ……」
「全く。先に零童とオルコットとを戦わせる。運が良かったと思い二人の戦いを見ておけ」
そんなことが起きている最中、終夜のピット内はというと
「おし、じゃあ俺は二体のモンスターでシンクロ召喚。現れろ、クリスタル…」
「そいつはめんどいから神の警告で」
「ダニィ!?」
終夜と神矢が遊戯王をしていた。家においていた終夜自作の専用機を届けるためにきた練は読書をしており、これから戦う雰囲気などどこにもなかった
「零童君、零童君、零童君!」
「一回でわかりますよ……それでなにかあったんですか?」
「織斑君の専用機の到着が遅れているので先に零童君が出てください」
「わかりました。神矢、とってくれ」
「はいよ。じゃあ逝ってこい」
「誰が死ぬかアホ。いくぞ、『聖杯』」
「あら、あなたが先なのですね」
終夜がピットから出撃すると、悠然と空中に浮いていたのはセシリアだった。
「ああ、専用機の到着が遅れているらしいからな」
「そうですの。それではあなたに最後のチャンスをあげますわ」
「最後の?俺は最初のような気がするんだが?」
「そ、そんなことはおいといて。私が一方的な勝利を納めるのは確実、ですから今ここで謝るというのなら引いてあげますわ」
「……何を謝ることがある?俺はあのとき、織斑の馬鹿発言にしか発言していないが」
「……………」
せっかく決めたというのにマジレスで簡単に返され、顔を赤くしながらも少し怒りがでてきたようだ。すると管制室から試合開始の合図が入った
『セシリア・オルコット対零童終夜の試合を開始します』
その瞬間セシリアの攻撃が放たれた
「お別れですわね!」
「…………」
その攻撃は終夜にクリーンヒット。その後のセシリアの攻撃も終夜はひとつも避けず全て喰らっていた
「なぜ、あなたは私の攻撃を避けず、攻撃もしませんの!?私をなめているのですか!」
「その答えは簡単だ。別にクラス代表になりたくないし、この勝負に負けたところでなんもないし」
「あ、あなたにプライドはありませんの……」
「プライド?んなもんあるわけねぇだろ」
「そう……あなたにはがっかりさせられましたわ。やはり男はこんなもんですわね」
パシュッ
『シールドエネルギーエンプティ。勝者セシリア・オルコット』
試合が終わったアナウンスが流れると終夜は何事もなかったかのようにピットへと歩いて戻っていった。観客席では
「な~んだ。ただの臆病者か」
とか
「顔はいいのになぁ」
など終夜を酷評する反応しかなかった。
終夜がピットに戻ると鬼の形相とまではいかないが、絶賛お怒りモードの千冬がいた
「零童、なぜ戦わなかった」
「オルコットとの戦いでも言いましたが、クラス代表なんぞに興味ありませんし、元々あなたが勝手に巻き込んだものでしょう?」
「お前はクラス代表に推薦された。お前はそれに答える義務があるはずだ」
「元々織斑とオルコットの決闘だったはずがクラス代表を決める戦いに変えたのはあなたでしょう?俺の意見も聞かずに。そんな横暴に従う義務はない。あんたの言うことは軍隊なら通用するでしょうがここは学校だ。先生の言うことが絶対じゃねぇんだよ」
最後は若干キレながらも終夜にとっての正論を言うと、千冬は何も言わずに立ち去った
「あれがブリュンヒルデと言われたやつか?」
「そうですよ。全くどういう環境にいたらあんな独裁者のようなことになるのか不思議ですよ」
練と神矢は千冬が立ち去ったあと、千冬の評価を改めていた。その後、一夏とセシリアの戦いが終了。カッコよくセリフを決めたあとにエネルギー切れで敗北。なんとも恥ずかしい終わり方だ。
「それでは、零童君。準備をしてください」
「山田先生、先になぜ織斑がエネルギー切れになったのか教えてもらえませんか?」
「織斑君の機体のワンオフアビリティである零落白夜のせいですね。自身のエネルギーと引き換えにバリア無効化攻撃を行うので…」
「そこまでで大丈夫です。ありがとうございます」
そこまでの説明を聞き、即アリーナへ飛ぶ終夜。着いた瞬間聞こえてきたのは一夏の怒りの声だった
「終夜!なんでお前は戦わなかったんだ!」
「クラス代表になりたくないから。これが答えだが?」
「あんなに日本を侮辱されて悔しくないのかよ!」
「別に。あんなのセシリア個人の考えであって他人がどうこう言うものではないからな」
「終夜……お前ってやつは男の風上にもおけないやつだ!そんなのは千冬姉から受け継いだ力でお前を正してやる」
そう一夏が言った瞬間、終夜の雰囲気がガラリと変わった。先程まではめんどくさそうに全身がだらっとしていたが今では臨戦態勢に入っている。それをピット内から見た練と神矢は
「あっちゃー、こりゃ終夜キレたな」
「立場が上の人はともかく、同じ立場の人からの上から目線は嫌いな部類に入りますからね……大丈夫かな?相手の子」
「えっと……大丈夫って?」
今までの終夜を知らない山田先生が練からの説明を聞くと顔を青ざめさせていった
『織斑一夏対零童終夜の試合を開始します』
「うおおおお!!」
開始の合図と共に真っ直ぐ終夜へと突っ込む一夏。終夜は突っ込んできた一夏を避けかかと落としを食らわせた
「フン!」
背中を蹴られ、地面へと叩き落とされる一夏。すぐに起き上がりもう一度終夜へと向かおうとした矢先、上空の終夜の綺麗なライダーキックがみぞおちへ決められた。そして顔を踏みつけられ悔し紛れに終夜の顔を睨み付けると一夏は恐怖に襲われた。なぜなら終夜の目が人形のようになんの感情も表していなかったからだ
「男の風上にもおけないから俺が正す?武器を持たないやつにやられてるやつがよく吐けるセリフだなぁ!」
そこからはただの蹂躙だった。一夏は全身をシールドエネルギーがなくなるまで殴られ蹴られ続けた。降参を言おうものなら顔を殴られ言えなくし、武器を取ろうにも遠くへと蹴られているため取れず一夏はただ迫りくる拳や足を見ることしかできなかった
『し、シールドエネルギーエンプティ。勝者、零童終夜』
試合が終わったことを告げるアナウンスが鳴り響く頃には観客席は終夜が怖かったのか静まりかえっていた。その中、終夜は終わったことがわかると一夏を見向きもせずピットへと戻っていった
「「お疲れ様です。」」
ピットへ戻るとなぜか練と神矢が龍が○くのように頭を下げ、待っていた
「なにしてんだ?お前らは」
「さっきの感じ的にこれが合ってそうだったからな」
すると姉の立場からか先生の立場からかはわからないが先程と同じく千冬がピットへと入ってきた
「零童、先程のはなんだ」
「なんだと言われれば……そうですね。ただの説教ですかね」
「ふざけるな!あんなことが許されると思っているのか」
「いいや、全く。ですが全て自分が正しいと思っている馬鹿に負けてあげるほどやさしくはないので」
「クッ」
「他に無いんならさっさと消えてくれません?うざったらしいんで」
言いたいことがあるのだろうがそれも返されると思った千冬は拳を握りしめ、怒りの表情のままピットを出て行った。そんなことは無視で三人は
「流石にやり過ぎですよ。あれは」
「ならお前はどうするんだ?」
「え?そんなのトラウマを植え付けるまで殺り続けるに決まってるじゃないですか」
「似たようなもんじゃねぇか」
と先程の戦いのこと話しあっていた。
山田先生はというと、終夜の戦いをピットで見ている途中で気絶し、長椅子の上に寝かせてある
……ボッコボコにされちゃいましたね、一夏は
まぁ、終夜のように怒る気持ちも(作者は)わかります
予定の合間合間でゆっくり仕上げているのでへんなとこがあるかも知れませんので、そこは指摘していただけると幸いです。それではまた