すべてを救いたかったんだ   作:ソウブ

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30話 封縛

 

 

 6月12日金曜日

 

 

 夜。

 それは、起こった。

 

 

 

 ドクンッ――――

 

 

 

 鼓動。

 振動。

 胎動。

 脈動。

 超動。

 

 脳を、心を、魂を通じて。

 感知する。

 罪科異別が発動された。

 

「みんな、ちょっくら用事あるんで出てくる。すぐに帰るから家から出ないで待っててくれ」

 家のリビングで俺は言い放ち、立ち上がる。

 

 できることならみんなの傍にいた方がいいのだろう。

 けれど今回は別だ。

 アイラが異別を使ったところを見られていた場合、その悪魔の罠の可能性がある。

 激しい戦いになるだろう。

 無の殺戮(タナトス・ゼロ)があるとはいえ、みんなを戦いながら護り切れないかもしれない。

 もしかしたら俺がいないときに襲われる可能性もあるが、その襲撃は俺一人で行かなかった場合は破綻する。

 俺が一人で必ず来るようにする策が一切されていないのならその可能性は低い。

 その筈だ。

 推測だが、的を大きくは外していないだろう。

 結局本当のところは分からないが、今悩み過ぎても仕方がない。

 危険が少ないと思える選択肢を取る。

 後は野となれ山となれ、俺が何とかすればいい。 

 だったら、ここは真白にみんなを任せて、俺がとっとと敵を倒して戻ればいいだけだ。

 早く戻ればもし何かあっても対処できる。真白がいるのだから。

 

 シンプルに考えよう。

 とっとと敵を倒してとっとと戻ってくる。

 それだけだ。

 

 俺は短い逡巡を終えると、歩き出す。

「待って」

「待ってください」

 真白とアイラの呼び止める声。

「わたしも行く」

「私も行きます」

 敵が来て俺が戦いに行こうとしていることをすぐに察した二人がそう言い放つ。

「あのな、真白が来たら誰がみんなを護るんだよ。アイラも戦闘能力はない。できることなら戦闘後に怪我を負ってたらあるが、その時にアイラが動けない状態だったら意味がないだろ」

「「う……」」

 二人は一つ呻き、黙って俯く。 

 だがすぐに真白は顔を上げ。

「でも、みんなで行ってわたしとカズくんで護ればいいんじゃん」

「真白」

 言い募ろうとする真白の頭に手を乗せた。

「大丈夫だ。俺は死なない。いなくならない。離れ離れになんてならない」

 言い含める。

 

 真白は、不安なのだろう。

 あの泣きじゃくった時の真白が脳裏を過ぎる。

 昨夜寝る前も不安そうだった。

 元の自分が自分だと言って、その後はいつも通りだったが、やはり出てしまう時はあるのだろう。

 

「俺が行く。みんなで行った方が危険だ。俺がいない間、真白にみんなを任せるよ。大丈夫だ。お前ならやれる。俺はお前の強さを知っている」

 俺を救い出してくれた、あんな状況で俺に手を差し伸べてくれた強さを知っている。

 戦い続けた強さを知っている。

 気高く強い女の子だということを、知っている。

 

 俺は真白の頭を自然と撫でていた。

「うん……」

 真白は瞑目した後、目を開いてそう答えた。

 その目にはさっきまでの不安の色はない。

 俺が知っている強い女の子の瞳だ。

 

「アイラも、いいな? 心配してくれるのは嬉しいが待っててくれ。俺の帰りを待っててくれ」

「はい……」

 困ったように、心配だけどしょうがないと言いたげの苦笑のような微笑み。

「まあ、無傷で帰ってきたらキスの一つでもしてくれればいい。傷を負ってたら生命力を使わない範囲内で治療してくれ」

「はい、なら、無傷がいいです」

 今度は、明るい微笑みだった。

 

 黙っていた姫香が鳥のぬいぐるみをぎゅっと抱き直して口を開く。

「わたしは戦えないので、足手まといになるだけなのは分かっているので特に止めませんけど、これだけは言わせてください。絶対に帰ってきてくださいね」

「ああ、分かってる」

 返答すると、姫香はそっけなく視線を逸らした。

 落ち着かなげにぬいぐるみを弄っている。

 自分の発言の照れ隠しのつもりなのだろう。

 

 微笑ましい姫香の姿に思わず笑みを浮かべていると、美子がいきなり抱きついてきた。

 俺の胸に顔を埋めながら少し籠った声を発する。

「死なないでくださいね。死んでしまったら私も死にますから」

 俺が死んでも死ぬな。一回そう言いそうになったが呑み込み。

「なら、何があろうと死なない。だから死ぬな」

 妙なことを考えさせないように抱きしめてやった。

「はい……」

 その返事を聞いて、俺はとりあえず安堵する。

 俺が死ななければいいことなのだろうが、美子は少し危ういところがある。

 それでも俺は今の美子とその返事を信じた。

 背中から手を放すと、美子は寂しげな表情をする。

「死なないから、みんなと仲良くな」

 俺が念を押すように言うと、美子は頷いてくれた。 

 

「じゃあ、行ってくる」

 そう言い残すと、俺を見つめる四人を置いて家の外に出た。

 

 月が照らす、寒々しい風が吹く夜だ。

 息を吸い、吐く。

 冷たくも暖かくもない空気が肺を巡った。

 そうして、走り出す。戦いに向けて。

 

 ――正義も大儀も善も仁も無く。

 必ず、やり通す。

 

 俺は、独善的で、偽善的で、字面は偽りでしかない、

 すべてを、救う者だ。

 

 

 宮樹市自然公園。

 その中央に、水の出ていない噴水が寂しく鎮座している。

 この広い公園に、俺は走って来た。

 夜の、人気のない公園だ。

 

 俺は仁王立ちし、前を見据える。

 噴水を脇に挟んで反対側。

 左から、佐藤孝典(こうすけ)、神埼(すすむ)、鈴倉佐生朗(さぶろう)が俺を迎え撃つように立っている。

 三人が結託したのか?

 それは知り得ないが、三人同時に相手しなければならないのは確実なようだ。

 戦意に滾らせた瞳を、一人として例外なく俺だけに向けているのだから。

 ならば、理解よりもまず対処、全力で潰すのみ。

 今の俺なら、それができる。

「『総ての救済を望む傲慢な愚者よ、殺戮し、終わりの理へと導け』」

 詠唱。

 

 ――無の殺戮(タナトス・ゼロ)――

 

 俺の両眼は翡翠の煌めきを宿し。

 両手に柄、鍔、刀身、全てが翡翠色の短剣が顕現。

 不浄な罪科異別を塗り替えた、俺とアイラの力、無の殺戮(タナトス・ゼロ)

 これがあれば、どんな相手だろうと負けない。

 この力で、目の前の敵を排除する。打ち倒す。

 さらにこれなら、殺さずに済む。殺さなくて済むなら、そちらの方がいい。

 俺はすべてを救う者なのだから。

 勝利を手に、生きて帰って見せよう。

 

 武器を手に、対峙。

 しかし、罪科異別を発動している者はまだ誰もいない。

 三人とも、魔眼を輝かせていない。

 俺は罪科異別の発動を感知してここまで来たというのに。

「戦うんだよな?」

 俺は思わず尋ねた。

「ああ」

 神埼が答える。

 短い会話は、それで終わった。

 戦意が在るのは分かった。なら戦うだけだ。

 元より俺たちは話すことなどない。俺とあの敵たちは関わることはない。

 お互い、立ち塞がる敵は退けるのみ。

 

 だが、まだ三人は罪科異別を発動していない。

 どういうことだ。

 罠か? 分からない。でもおそらく何らかの意味が在るのだろう。

 少しの罠くらいでやられるほどアイラのおかげで発現したこの力はやわではないが。

 無の殺戮(タナトス・ゼロ)は、総てを殺す。

 罠ごと、潰す。

 

 ならば先手必勝。

 戦闘において、強力な攻撃で先手を取ることはかなりのアドバンテージだ。

 相手に強力な手の内を出させること無く、本領を発揮させる間を与えずに危険を摘み取ることができる。

 旨く決まれば、そのまま何もさせずに勝って終わる場合が多い。

 俺はその理論に則ることにした。

 罠を張っているからと、それを易々と突破された場合を考えていない隙を突く。

 一気に、罠ごと押し潰す。

 どんな罠かは分からないが、総てを殺すこの力なら、どんなものだろうと殺せばいいだけだ。

 なら、いけない道理はない。 

 

 攻勢に、動く。

 駆け抜けようと前進――

 

「「「『悪魔術・封縛(ふうばく)』」」」

 

 三人が、同時に口にした。

 瞬刻。

 自分が鎖に縛られたような感覚。

 襲った。

 しかし何処(どこ)にも鎖は無い。

 

 されど如実に結果となる。

 翡翠色の右眼が、元の黒目に戻る。

 左手の短剣が、消失。

 力がごっそりと、押し退けられる感覚。

 

 理解する。させられる。 

 無の殺戮(タナトス・ゼロ)の力が、封じられた。

 俺とアイラの、総ての障害を打ち砕く力の結晶は、使えなくなった。

 

 どんな罠だろうと、アイラとの力が在れば打ち勝てると思っていた。

 だが、アイラとの力そのものを制限されるなどと、考えてもいない。

 

 驚愕、動揺、混乱、困惑、恐怖、悲哀、憤怒、焦燥。

 暴力的な感情が一気に荒れ狂う。

 俺は僅かの間それに翻弄され、致命的な隙を晒していた。

 

「『魔の権化共よ、創生し、従属せよ』」

「『其の剣は、殺せず、唯、刈り取る』」

「『怠惰者、気動、急動、強動』」

 

 ここに来て、三人はそれぞれ詠唱した。

 それぞれ赤、蒼、黄に片目が輝き煌めく。

 

 神埼の前に、黒い何かが出現し蠢いた。

 瞬時に渦を巻く様に形を成し、姿を現す。

 まだ記憶に新しい、三体の魔獣。

 魔竜、大蛇、邪鬼。

 その巨体が降り立った。

 

 佐藤の手には銀色の長剣が二本握られる。

 同時に神埼は懐から拳銃を取り出す。

 さらに神埼がどこからともなく大剣を現出させ、鈴倉がそれを手に取る。

 俺の僅かな動揺の間に、敵は戦闘態勢を流れるように整えた。

  

 ――俺は、独善的で、偽善者の、すべてを救う者だ。

 俺は、生き抜かなければならない。

 他の生き抜かなければならない者達を押し退け、突き飛ばし、潰し、消してでも、生き抜かなければならない。

 

 気を強く保ち、敵三人の目を見つめる。

【ロックオン】

 罪科異別、殺戮終理(さつりくついり)の魔眼の力を、使用する。

 カチリと音を立てて、敵に死の気配の楔が填め込まれた。

 これで、敵を殺す道程(みちのり)は整った。

 

 やってやるよ。

 やるしかない。

 やりたいように、やってやる。

 

 拳銃の銃口がこちらに向けられた。

 多重機動(デュアルシフト)――。

 前の世界の自分と身体能力をかけることで、超人的な速さ、動き、身体強度になることが出来る異別。

 瞬時に、起動した。

 

 地面を、思い切り蹴った。

 ただの横っ飛び、それは風を切り超人的な速さと成る。

 乾いた音を立てて射出された鉛玉は俺の横を通り過ぎ的外れの方向に進んで行く。

 されど攻撃はそれだけではない。

 佐藤が投擲した銀の長剣二本が足を掠める。

 魔獣三体と鈴倉が猛追してくる。

 

 大蛇が大口を開け、濃紫色(のうししょく)の液体を吐き出してきた。

 魔竜も邪鬼も鈴倉も、殺意を以って迫ってくる。

 正面からぶつかったら、物量で押し潰される。

 そう悟ると、俺は咄嗟に動いていた。

 横っ跳びした勢いのまま、走って往く。

 広い公園内に造設されている森の方へと。

 

 後ろで濃紫色の液体が地面を溶かす(おぞ)ましい音が聞こえた。

 背後に敵が接近している。

 迫っている。迫ってくる。

 俺を殺そうと、迫ってくる。

 それを引き連れたまま、森に入った。

 ここには、背の高い木も乱立している。

 

 魔竜と邪鬼は、俺の狙い通りその巨体故に一度木に阻まれた。

 だが直ぐに暴力の権化二体は、木を圧し折り薙ぎ払い進んでくる。

 さらに鈴倉は、そのまま突っ込んで来た。

 

 振り上げられていた大剣が、振り下ろされる。

 翡翠色の短剣を振るい逸らし、振り下ろしの勢いのまま地面を大剣が砕き、鈴倉は僅かの間硬直する。

 その隙に短剣を突き出そうとするが、間髪入れずその場から離脱した。

 

 サブマシンガンから放たれた弾丸群が通り過ぎる。

 投擲された銀の長剣が木に突き立つ。

 狙いの精度が尋常ではない。

 とはいえ一歩間違えば鈴倉に命中し死んでいた。

 共闘している間柄だろうに、お構いなしか。

 

 ――、一瞬、意識を外していたのが悪かった。

 魔竜が長い尾を鞭のように(しな)らせ打ち据えようと襲い来る。

 同時に邪鬼も潰し砕かんが為巨岩の如き両の拳を振り回す。

 何とか避けるべく動こうと――

 

 右手が砕けた。

 右手に持っていた翡翠色の短剣も落ちて失せた。

 血液が大量に溢れ弾け舞った。

「――――――――――っっっっ!」

 痛みによる隙を潰そうと叫びも押し殺し、必死に状況を見ようと考える。

 何とかしろ必ずしろ!

 何とかできなければ、死ぬ。

 

 大蛇が、続けて毒の溶解液を吐出。

 足を動かし、避ける。

 躓いた。

 

 ここまで。

 多重機動(デュアルシフト)の速さを頼りに、何とか切り抜けられただけだ。

 数の暴力。圧倒的兵力の差。

 それを覆せたのは、速さだ。

 されど、数の力は凄まじいのか。

 劣勢。 

 

 鈴倉が高く跳躍。

 数メートル上から、重量級の大剣を振り下ろしながら、落下してくる。

 その上回転が加えられた、掠っただけでも肉片が飛び致命傷を負うだろう、刃。

 

 やば――

 

 

真白side

 

 

 居間のソファに座ったまま、わたしたちはカズくんを待った。

 ちょっと違った、それぞれソワソワしたり立って同じところを歩き回ったりしていた。

 

 姫香ちゃんはぬいぐるみをいじり過ぎて、鳥のぬいぐるみの顔が大変なことになっている。

 美子ちゃんは長い黒髪をさわさわ、いじいじ、くるくるしている。

 アイラちゃんは歩いたり、歩いたり、座ったり、俯いたり、目を瞑ったり、手を組み合わせて祈っている。

 

 でも、待つしかない。

 座して待つしかない。

 カズくんは必ず帰ってくるんだから。

 

 着ている白いフード付きパーカー。

 フードを被ったり脱いだり。

 被ったり脱いだり。

 かぶったりぬいだり。

 

 落ち着かないと。

 深呼吸。

 すうぅぅぅ、は――

 

 気配。

 強い気配。

 

 悪。惡。強。凶。恐。

  

「ごほっごほっ!」

 深呼吸の途中で息が詰まり、むせてしまった。

「どうしました?」

「大丈夫ですか?」

 姫香ちゃんとアイラちゃんが心配してくれる。美子ちゃんもそんな視線を控えめに向けてくれている。

「ちょ、ちょっと唾が器官に入ってむせちゃっただけだよ」

 気にしないでと手をひらひらと振って示す。

 

 たった今、感じたもの。

 今までの、感覚の中で、一番脅威だと思える気配だと思えた。

 そんなものを、感じ取ってしまった。

 これは、覚悟を決めるしかないかな。

 ないんだろうね。

 

 わたしは立ち上がった。

「みんな、わたしちょっとだけ出てくる、少し待っててね」

 ちょっととか少しとか、自分でも信じ切れていない言葉を使う。

 無駄に不安を多く与えたくなかったから。

 出る時点で不安かもしれないけど。安心してもらいたかった。

 どちらにしろわたしは、今から脅威に向かわなくてはならないから。

 

「真白さん、家から出ないで待っててって、和希さんは言ってましたよ」

 アイラちゃんが引き留めようと優しく、柔らかい口調で言葉をかけてくる。

「うん。でも、わたしにみんなを任せるとも言ってたよ」

 わたしは振り返って応えた。

「それは……」

 アイラちゃんは言葉に詰まる。

 姫香ちゃんと美子ちゃんは、わたしたちのやり取りを不安そうに見ていた。

 やっぱりどうしたって、不安を完全に拭うのは難しいみたい。

 

 黙ってしまったアイラちゃんに背を向けて、わたしは歩き出そうとした。

「あの、これだけは言わせてください」

 今まで様子を見ていただけだった姫香ちゃんがわたしの背に声をかけてくる。

「真白さんも、絶対に帰ってきてくださいね」

 それは、カズくんに言ったのと同じ言葉。

 わたしにも、カズくんと同じくらいそう思ってくれているということ。

「うん」

 帰ってくるよ。

 約束したい。

 できる限りそうする。そうなりたい。

 

「あなたがいなくなると、和希が悲しむ」

 ぼそりと、小さくだけど、美子ちゃんもそう言ってくれた。

 

「真白さん、今はあなたしかいません。任せました。どうか無事に……」

 アイラちゃんが意を決したような口調で最後に言った。

「うん。任せてよっ」

 笑顔を浮かべ、ガッツポーズを見せて。

 わたしは、家を出た。

 

 

アイラside

 

 

 私は、真白さんが出て行ったドアを見つめています。

 本当に、どうか、無事でいてください。

 

 力が無いことが悔しいです。

 力になれないことが悲しいです。

 

 今は待っていることしかできなくて、私の役目はその後。

 私にしか、出来ないことなのかもしれません。

『魂の橋渡し』(ソウルロード)、どんな傷でも魔力を用いて回復させることができる力。生命力を使えば、死者の蘇生さえ可能な異別。

 そんな力を持っていて、贅沢な願いなのかもしれません。

 けれど、和希さんや真白さんが戦ってる間、私は何もできない。

 戦いの中で支えることができない。

 二人を私が支えられたら、それはどれだけいいことでしょうか。

 和希さんや真白さんみたいに戦いたい。

 一緒に傍で、戦いたい。

 

 だから、和希さんたちが困ることが分かっていても、いてもたってもいられなくてついて行くと言ったり、引き留めたりしてしまいました。

 反省しなければなりません。

 足を引っ張るわけにはいきません。

 戦えるのは二人しかいないのですから。

 そう思っても、力になれないことがいやで。どうしようもなくて。

 

 それでもやっぱり、私にそんな力は無くて。

 どれだけ願ってもすり抜けてくだけで。

 私の力で、手の届く範囲で頑張るしかありません。

 だから今は、二人の帰りを待つことが私の手の届く範囲。

 これしか今はできません。

 

 待つことしかできない私は、祈ります。

 願って想って、祈ります。

 二人に、みんなに、幸福が在りますように。

 

 


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