すべてを救いたかったんだ   作:ソウブ

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22話 物語の変動

 

 

 6月15日月曜日→6月6日土曜日

 

 

 夕日が、空に在る。

 俺は、座っていた。

 ベンチに。

 

 そして、隣に。

 すぐ横を向いた、目の前に。

 

 アイラが座っていた。

 駄菓子を頬張りながら。

「…………」

 俺の口内にも、甘い味覚。

 チョコだ。

 

 幸せそうな顔で可愛らしく駄菓子を食むアイラ。

 気分が和らぐ。むしろ一気に気が抜ける光景。

 脱力する。

 安心と、呆れ、遣る瀬無さ、そんなものを感じる。

 でも。

 

 ああ。

 本当に。

 最高だ。

 アイラが、こんなに平和そうに生きているなんて。

 これ以上の良いことなんてない。

 

 アイラが駄菓子を食べ終わった。

 俺は我慢などしなかった。

 気の緩んだまま、気の向くまま。

 アイラへの想いと喜びを爆発させた。

「きゃっ!?」

 強く強く、アイラを抱きしめる。

「な、なんですか和希さん!?」

「今度こそ護るから」

「え……?」

「絶対に、護るから」

「なんのこと、ですか?」

 こんなこと言ったところで、ここにいるアイラが解る訳が無いのは分かっている。

 けれど、俺は伝える。

 これは俺の決意表明でもあるから。

「必ず為してみせるから、いなくならないでくれ。ずっと、俺の傍にいてくれ」

 俺はさらにアイラの生を感じたくて、痛くならない程度に抱く力を強くする。

「本当に、いなくならないでくれ……」

 声が、震えてしまった。

 数瞬後。

 アイラから、困惑の気配が消えた。

「私は、ここにいますよ」

 アイラは、抱きしめ返してくれた。

「いなくなったりなんてしません」

 慈しむように、抱き返す力を強くしてきた。

「大丈夫ですから」

 とても、優しい言葉だった。

 アイラらしい、言葉だった。

 アイラ、ありがとう。

「大好きだ」

「――え? …………え!?」

 アイラの顔は、急に真赤になった。

「俺の方は、問題ないからさ」

 構わず俺は、言葉を続ける。

「ど、どういう……」

「アイラのおかげで、抗える強い力を手にする事が出来たからさ」

 無の殺戮(タナトス・ゼロ)。アイラの魂、生命力、異別、それらと俺の罪科異別が感応することで生まれ出でた究極。

 アイラのくれたこの力さえあれば、俺はどこまででもいける。

「私の……?」

「だから、何も心配いらない」

 この時のアイラは、俺がやろうとしていることに不安を感じていたはずだ。

 だから、そう断言してやった。

「心配いらないって……心配しますよ。でも――

 今の和希さんは確かに、先程までと少し雰囲気が違います。けど、なぜいきなり変わったんですか?」

「あとで説明する。近々にはなると思うが」

「……必ず、ですよ?」

 アイラは、離すまいとするように俺の背に回した腕の力を強め、正面からも、求めるように体をさらに密着させてきた。

「ああ、必ずだ」

 必ず。

「なら、ちょっと安心です……」

 アイラは力んだ体を緩めて、俺に身を預けてきた。

「不思議ですね。さっきまですごく嫌な予感がしていたのに、今は全然、そんなの感じないんです……」

 しばらく、この体勢のまま。

 穏やかな時が流れた。

 

 

 

 ――――――。

 夜。

 完全な夜。

 暗闇の道。

 マンイーターと初戦闘をした道に、俺は立っている。

 あの時は、何かに駆り立てられるように焦って、救うことばかり考えていた。

 けれど、今は違う。

 心は落ち着き、凪いでいた。

 やることは、決まっている。

 迷いは、微塵もない。

 俺は、偽善者で独善的な、言葉上は偽りでしかない、中途半端なすべてを救う者だ。

 ただただ前に、進んでやる。

 

 と。

 男性の悲鳴。

 瞬。

 場の気は変動。

 単なる夜道から、戦場へと。

 

「助けてくれえええええ!」

 前にも一度聞いた、男性の助けを求める叫び。

 今度は、それを取り落とすことはしない。

 

「『総ての救済を望む傲慢な愚者よ、殺戮し、終わりの理へと導け』」

 ――無の殺戮(タナトス・ゼロ)――

 

 両目を翡翠へと輝かせ。

 両手に柄、鍔、刀身全てが翡翠色の短剣が握られる。

 絶対の信頼を寄せる事の出来る、アイラが与えてくれた力。

 悪魔やら何やらに無理矢理押し付けられた力ではなく、大切な人と共に手にした力。

 たとえ元が何だろうと、これは俺とアイラの力だ。

 故に、自信を持たない理由はない。

 

 視界の先。

 逃げてくる男性の後ろから、右腕を黒き獣へと変質させ、右目をオレンジ色に輝かせた男が迫っている。

 マンイーター。

 前の時で、本名すら知る事なく殺した男。

 妙に因縁深い、何度も戦闘を繰り返した敵。

 俺は今日、戦闘をさせない。

 

 これから始まるのは、押しつけと蹂躙だ。

 

「『喰ラエ』」

 マンイーターの詠唱。

 直後。

 右のオレンジ色の眼が、輝きを強めた。

 刹那。

 マンイーターの右腕、四肢も(かお)も無い獣。

 急速に、蠢動。

 後、伸びた。

 勢いに乗り、加速し伸びる黒き獣。

 

 必死に走る男性と、擦れ違う。

 ここで、最初にマンイーターと戦った時。

 あの時俺が手にしていたのは、頼りない木の短刀だった。

 しかし。

 今は、違う。

 両手の翡翠を、握り込んだ。

 

 黒き獣が、迫る、迫る、迫る。

 目の前の人間を喰い殺さんと、迫り来る。

 俺の眼前に、化け物の異様は肉薄。

 本能的な恐怖を感じさせるその姿。

 人など直ぐ様喰い殺せる対象でしかない、正真正銘の化け物。

 だが。

 それは以前までの話だ。

 右手の短剣を操り。

 

 翡翠一閃。

 

 ――殺戮せよ――

 

 斬り付けられた黒き獣、その根源に死の概念を確定させる。

 マンイーターの罪科異別。

 それを『殺した』。

 黒き獣は霧散、消滅。

 マンイーターのオレンジ色に輝く右眼も、ごく普通の日本人の瞳、黒目へと戻った。

 罪科異別を失ったマンイーターは戦う術がない。

 一瞬で、ただの一手で、戦いともいえない戦いが、終わる。 

 

「な――――」

 驚愕の表情で固まるマンイーター。

 いや、もう単なる一般人。

 マンイーターなどとは呼べない。

 追われていた男性はそのまま走っていった。

 

「名前」

「……?」

 怪訝な表情をし、警戒するマンイーターだった者。

 俺は、打ち倒す、倒した敵の名前ぐらい、知っておくべきだ。

 前の時で殺してしまった人の名を、知っておきたい。

 知って、刻んで、それから前に進むべきなんだ。

 それが俺なりの、けじめ。

 意味が無いことかもしれないが、俺がやっておきたいのだ。

「お前の名前はなんだ? 俺の名は相沢和希だ」

 しばらくの沈黙の後。

 身構えながら、前方に立つ男は答えた。

池谷(いけたに)……新一(しんいち)

 池谷新一。

 俺はその名を頭に刻んだ。

 

「それで池谷、人はもう殺さないか?」

 池谷は、静かに口にした。

「僕は、飢餓感に苦しみたくないだけだ……。殺す為に殺している訳じゃない。罪科異別に元の飢餓感が増幅されてもいた。僕は、生きる為に食事をしていただけだ」

 それが、池谷の譲れない理由。

 喰わなければ、救われなかったのだ。

「そうか。なら」

 俺は池谷に肉薄した。

 翡翠色の短剣を振り上げる。

「俺が救ってやる」

 短剣を池谷に向けて振り下ろす。

 物質への不干渉を選択。人体を傷つけず素通り、されど刀身は入り込む。

 

 ――殺戮せよ――

 

 池谷の飢餓感。

 それを『殺した』。

 

「これは…………」

 池谷は、己の変化に戸惑う様子を見せる。

「これでお前は普通だ。後のことは知らん」

 人を殺した池谷を警察に突き出す資格は、俺にはない。

 それが正しいのかもわからない。

 だから後のことは、俺のやりたいことの管轄外だ。

 自然に任せる。

 

 短剣を消し、俺の瞳の色は翡翠から元の黒目へと戻る。

 まだ立ち尽くす池谷に背を向け、振り返った。

 

 視界の先には、真白がいた。

「カズ、くん……」

 真白は驚愕の表情で俺を見ていた。

 そういえば、前回はここで真白に命を救われたのだった。

 だから真白がここに来るのは、必然。

「カズくん、色々どういうこと……?」

 

 さて。

 どう説明しよう。

 

 ――――。

 いや。

 それより今は。

 真白が、いるんだ。

 ここに生きて、存在しているんだ。

 生きてて、くれているんだ。

 

「わわっ!? カズくん?!」

 俺は真白を、強く強く抱きしめた。

 

 

 

「お、お邪魔しま~す……」

 真白が控えめに玄関を通る。

 俺はリビングの扉を開けた。

「ただいまアイラ」

「おかえりなさいっ」

 笑顔で出迎えてくれるアイラ。

 その後、キョトンと呆けた顔になる。

「お邪魔します、最近ぶりだねアイラちゃん」

「どうして春風さんが……?」

 俺の後ろから入ってきた真白を見て怪訝な表情になるアイラ。

「えーっとだな、真白は俺から話を聞くために来たんだ。家に呼んだのはアイラにも聞いてほしいことだからだ」

「私にも聞いてほしいこと、ですか?」

「ああ、重要な話だ」

「――はい、なら聞きますね」

 アイラは二つ返事で了承した。

 三人ともソファに座り、話す準備が整う。

「まず、二人には一から説明する」

 俺はそう切り出して、一気にすべてを話した。

 

 大罪戦争のこと。真白のこと。アイラの異別のこと。自分の過去のこと。先の結末から津吉の異別で過去に戻って来たこと。

 

 それら諸々を、時に細かく、時に大雑把に説明する。

 アイラと真白が、前の世界で死んでしまった事は伏せた。

 わざわざ伝える必要もないだろう。

 やがて、話は終わる。

 

「だから、俺はもう記憶を取り戻して、昔の事は乗り越えたんだ。今まで守ってくれてありがとうなアイラ」

「和希さん……」

 アイラは、説明しがたい複雑な表情をした。

 嬉しいような、寂しいような、戸惑っているような、安堵したような。

 そんな、どう思っているか判断しかねる表情。

 真白を見ると、こちらも考え込んでいるが大半戸惑っている顔。

 

 ――はたと至る。

 俺は、自分の事情や気持ちに駆られて、考えなしだったと。

 普通に考えて。

 こんなこと急に説明されて、素直に信じろ、受け止めろという方が無理な話だ。

 真白には説明を求められたからしたとはいえ、それでも突飛で情報量が多かったかもしれない。

 色々と詰めが甘かったか。

 配慮が足りなかった。

 どうすれば。

 どういう言葉を口にすれば、しっかりと受け止めてもらえるだろう。

 そこそこ切れると自負しているが、そこまで切れるわけでもない頭を、答えを捻り出すために無理矢理回す。

 考える。

 考えた。

 やはり、一つ一つ丁寧に説明して、段階的に受け入れてもらうしかないか。

 

「和希さん」

 思考を巡らせていると、アイラが声を上げた。

 俺を真っ直ぐに見つめている。

「和希さんがこれだけ真剣に話すのなら、私は信じます。私の異別のことを和希さんが知り得る手段も思いつきませんしね」

 アイラは一息吐き。

「そのうえで、改めて先の言葉に返答します。ありがとうと和希さんは言いましたけど、私の方こそ救われていたんですよ? 和希さんの妹として今までずっと一緒にいれて、毎日平和で穏やかに楽しく過ごせて、本当に感謝しているんですから」

 アイラは慈母のように微笑んだ。

 胸が、暖かくなった。

 アイラはそう言うが、やはり俺の方がアイラに救われている。

「和希さんが過去を取り戻して、乗り越えてくれてよかったです。関係が少し変わってしまうのは不安ですけど、それでも、嬉しいです」

「……その不安は、いらないさ」

 だって、俺は。

 

「わたしも」

 今まで考えている様子だった真白が、声を発した。、

「わたしも、信じられないほど突飛な話だけど、信じるよ。異別は様々なものが在って、言っちゃえばなんでもありだからね。そういうのが、時間遡行なんて非常識極まりないことが出来るものでも在ってもおかしくはないと思うし、アイラちゃんの言った言葉と同じだけど、わたしのことを知る手段は現実的な理由と方法であるとは思えないからね」

「そう、か?」

「それにカズくんなら信じてもいいかなって」

 俺、なら。

 前の世界で真白は、俺が初めて会った時に口にしたあんな言葉に、憧れを抱いていたと言っていた。

 あの時の、馬鹿な男の妄言なんかに。

 ――けれど。

 そう思ってもらえたのなら、それ相応のいいところ、見せつけないとな。

 やり方は、変えないが。

 独善でも偽善でも、押し切る。

 それが俺の、やりたいことだから。

 俺はそれで、救うんだ。

 

 一通り話し終えれば。

 なんのことはない。

 俺が思い悩む必要などなかった。

 彼女たちは、自分で考えて一人で受け入れて、納得してしまったのだから。

 わかってたはずのことだけれど。

 アイラも真白も、強いのだ。

 俺の戦闘能力とは、別の部分が。

 途轍もなく、強い女性たちなんだ。

 

 俺も、頑張らないとな。

 そんな強い女の子たちを、守れるように。  

「なら、信じてもらったうえで話を進める。ここから先一連の騒動が終わるまで、俺としては一つに固まってた方がいいと思うんだ。だから、二人で住むには広めだったこの家を拠点にしたい」

 真白は少し考えるそぶりを見せ。

「……そうだね。わたしもその方がいいと思う。アイラちゃんはどうかな?」

 気遣うように真白はアイラに聞いた。

「私もそれでいいと思います。より安全なら、そちらの方がいいかと」

 アイラも、了承してくれた。

「よし。決まりだな。じゃあ二人とも、今からここは拠点だ。三人で暮らすことになる。いや、まだ人数は少し増えると思うが、いいか?」

 最終確認。

「はい」

「うん」

 それに二人は、頷いた。

 

 

 話はそれで、一段落した。

 今日話さなければならないことは、他には特にないだろう。

 ――しかし。

 俺には、もう一つだけ、こんな状況でも話したいことがあった。

 むしろ、絶対に必要とさえ言えてしまうだろう。

 俺は意を決して、立ち上がる。

 突然立ち上がったことで、自然とアイラと真白の視線が俺に向く。

 俺は何か聞かれる前に、高らかに宣言した。

 

「俺は、アイラと真白、お前たち二人が異性として大好きだ。必ず幸せにするから、二人とも恋人になってくれ」

 

 ――――――――――。

 沈黙。

 静寂が、その場を席巻した。

 しばらく、空間が固まったように、そのまま時間だけが過ぎた。

 やがて。

 二人の顔が、ポンッと赤く灯った。

「な、な、か、かずき、さん、そ、それは、どういう、どういう……ハーレムがお好みですかとは、聞きましたが、ま、まさか本当だったとは……」

 ハーレムがお好み? 

「何のことだ?」

「か、カズくん……た、確かに、俺の嫁に加えてやってもいいとか初めて会った時カズくん言ってたけど、まさか本気になるとは…………それに、わたしその時にこの国は一夫多妻制じゃないですって言ったよね……?」

 一夫多妻制?

「だから何のことだ?」

 

 ――。

 ああ、そうか。

 二人にとってはつい最近の会話でも、俺にとってはそれなりに前だからあまり覚えていない。

 ということ。

 閑話休題。

 

「それに、アイラちゃんはともかく、わたしたち、知り合ったばっかりだよ? あ、でも、カズくんは先から戻ってきたんだから違うんだね。でもその前の世界のわたしのこと、わたしは知らないし、カズくんのことだって、よく知らないよ」

 

 確かに、この世界の真白はあの時を経た真白とは違うのかもしれない。

 けれど俺は、好きだ。

 真白は真白なのだから。

 

「わ、私は、和希さんと一緒にいられれば、それで……」

 アイラは、受け入れてくれそうな態度。

 しかしまだ、戸惑いが抜けていない様子。

 

「というかそもそも、気は早いけどその先の結婚とか法律上不可能だけど、そこはどう考えてるの?」

 その真白の言に、俺は返す。

 

「わざわざ結婚手続きを踏む必要はないだろう。そんなことしなくても一緒にはいられる。結婚したいのなら一夫多妻制の国へ行けばいいだけだ。資金なら働いて稼げばいい。かなりの金が必要になるかもしれないが、問題ない。俺なら出来る」

 

「…………」

「…………」

 

「すごい意気込みですね……」

「その自信はどこから……」

 二人とも、面食らったような顔。

 

「なあに、すべてを救うことに比べたら、この程度造作もないさ」

「で、でもっ! さっきも言った様に今ここにいるわたしはカズくんのことまだよく知らないから、そういうのわかんないしっ、お断り――――――ほ、保留だよ…………」

 断られるのかと思ったが、真白は数瞬硬直して黙った後、意見を変えた。

 

「私は、和希さんが好きといってくれたので、それなら他は気にしなくてもいいかなと思います。春風さんと一緒でも構いませんよ。もとより私は、和希さんのことが大好きなので。そのぐらいは許容範囲内です」

 正直、最初は二人ともに断られると思っていた。

 しかしアイラは、予想以上に懐が深い女の子だったようだ。

 

「でも、ハーレムを志したからには、差をつけては駄目ですよ? 平等に愛を与えてくれないとイヤです。二人とも必ず幸せにするといったことも、嘘にしたら悲しいですよ?」

 覚悟を確かめるように、アイラは微笑み、しかし瞳は真剣に、釘を刺してきた。

「ああ、わかってる。それが困難なことも、十分承知したうえでの宣言だ。だが、俺はやる。二人と共に在りたいから。恋仲にならなければ、どこかで別れは来てしまうから、俺はそれが認められない。だから、二人とも離さないために、ハーレムを作るんだ。幸せにして、それを二人に許してもらうんだ」

 

 たとえどんなに困難でも、俺は二人とこの先も歩みたい。

 すべてを救うことに比べたら、大したことではないとは思う。

 だが、手を抜いたら達成など不可能なことなのは理解している。

 故に俺は、本気で、全力だ。

 全霊を以て、ハーレムを創る。 

 だから。

 

「真白」

「む、無理だからね?」

 声を掛けると身構える真白。

「絶対にお前に認めさせてやる。だから、これからを見ていてくれ。真白もアイラも、何が何でも幸せにして嫁にするからな」

 俺は真白のヴァイオレット色の綺麗な瞳を見つめて、言葉を伝えた。

 

「…………」

 真白は、困ったような表情をしていた。

 

 


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