織斑千冬の爆弾発言から始まった半日が過ぎ、天夏と弥生はいつものようにお弁当を持参して屋上に来ていたのであった。
「天夏と弥生はなんでもできるわよね」
「そうかな? これくらいはいつもの事だし」
「何を言ってらっしゃるのですの‼」
「あの料理下手のセシリアを此処まで育て上げる実力を持っているのだぞ」
「確かに」
「料理もやってみないと身につかないものだしな(織斑千冬は全くできないが)」
向こうでも仲間達と妹達と一緒にこうしていることが多いので天夏と弥生の周りには自然と集まってしまうのである。
「(あれは見間違いだな)」
「箒、どうした? なんか言いたそうだな?」
「いや、少し考えていただけだ。気にするな」
「箒さんがそう言うのでしたら、これ以上は問いませんけど」
「そうしてくれると、助かる(鏡に映った自分の顔に金色の二本の角に赤い目の顔が重なったとは言えん)」
箒は何かを考えていたようだったので天夏が聞くと考え事をしていたと言ってセシリアたちもそれに応じたのであった。
そんなこんなで今日の授業が終わったのであった。
「織斑君、お引越しです」
「はい」
「同室になる人に迷惑は掛けるなよ」
「箒・・・」
授業が終わってしばらくして一夏&箒の部屋に山田真耶がやって来て部屋の移動の指示を出してきたので、一夏に向こうでも迷惑は掛けるなと箒は釘を刺して一夏は荷物を持って行ったのであった。
「ここだね」
「オレは中には入らない方がよさそうだ。この世界のデュノア社の事を調べさせてくれ」
「お願い」
「は~い。ちょっと待ってて」
「あ、分かった」
一夏が部屋移動を命じられている頃一足先にシャルロット・デュノアの部屋を訪れることにした天夏と弥生だったが、男である天夏が入るのは不味いのでノックは弥生がして天夏は今いる世界のデュノア社の事を調べて、ヴェスタWSCか法王オズマにでも協力を仰ぐことにしたのであった。
部屋の中からシャルロット・デュノアの声がしたのと微かだが水音が聞こえていたのでシャワーを浴びているらしく、部屋の前で待つこと数分、
「確か、同じクラスの、どうぞ」
「それじゃあ、お邪魔します」
部屋着に着替えた並行世界の星奈ことシャルロット・デュノアが部屋に入ってもいいと言ったので、弥生は部屋に入ることにしたのであった。
『星奈は全く変わってないからね。こっちの世界でも一緒の顔だね』
【星奈様の元が良かったのですから】
「さてと、ねぇ? シャルル、それとも「シャルロット」って呼んだ方が良いかな?」
「‼ どうしてΣ(゚Д゚)‼」
「だって、お姫様抱っこで抱えて助けたのは誰だと思ってるの?」
「あの時に気づいてたんだ」
「別に話さなくても、目的は織斑一夏のIS「白式」のデータでしょ? ついでに天夏の「レアル」と」
「うん」
部屋に通された弥生はテーブルの前に座って念話で相棒のドラゴニック・オーバーロードと話して、自分たちの世界でも星奈だけが性格などが全く変わってなかったので、今いる世界でもシャルロット・デュノアとしての星奈だと認識したのであった。
そして、弥生はいつもと違って真剣な顔になって「シャルル」と一旦読んで、「シャルロット」と呼び直したのであった。
それを聞いた当の本人は驚いていたのは無理はない実父が情報操作して男として転入させられたのだから、知っているのは実父とその関係者しか自分が「女」であることは明かされていないはずなのだ。
だが、実技訓練に行く際に女子達から脱出する際に敢て天夏ではなく、弥生が自分をお姫様抱っこで抱えてアリーナに向かった理由が気に掛かっていたのであった。
一目で自分が女であることに天夏と弥生は気づいていたのだから。
弥生から本当の目的である、織斑一夏の白式と天夏の機攻殻剣「レアル」のデータを盗み出すことも弥生にお見通しだったのでシャルロットは観念したのであった。
「これからどうしたい?」
「多分、強制送還されて牢屋の中だね」
「そのまま、実父の捨て駒に成り下がる訳じゃないよね」
「どうすればいいの(T_T)/~~~」
「天夏が今、会社に相談してもらっているから」
「え?」
「まだ、時間はあるから、どうしたいか、気持ちの整理の時間がシャルに必要だから、整理がし終えたらボクと天夏に教えて」
「うん(´Д⊂グスン」
弥生に全てお見通しだったのでシャルロットは強制送還の恐怖に怯えていたが一応IS学園の制度に三年間だけどんなことがあっても干渉できないという項目があるがそれではシャルロットは実父のトカゲの尻尾切りにされてしまうのである。
そして、シャルロットは弥生に涙を流しながら泣きついたのであった。
弥生は星奈も「シャルロット・デュノア」だった頃に同じ目に遭っていたからほっとけないのだ。
弥生は、天夏が所属先のヴェスタWSCやラタトクスなどに掛け合ってなんとかしてもらっていると告げるとシャルロットは泣き止んだのであった。
しばらくは様子見と気持ちの整理が必要だということで弥生はシャルロットに答えを待っていると告げたのであった。