東方転猫録   作:グイド

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こんにちはグイドです!

京助の能力が明かされました。

ではどうぞ


第5話 猫、式神になる

転猫5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは社の中。現在は夕食の最中である。

 

 

「そういえばさぁ」と俺は味噌汁を一口飲み、諏訪子に言った。

 

「なにー?」タラの芽の天麩羅を食べ、幸せそうな顔をしながら諏訪子は答えた。

 

 

 

 

あの後、俺は泊めてもらうことへのお礼としてなにかできないかと聞いたところ、夕食を作って欲しいと言われたので久しぶりに料理を作ることにした。

 

久しぶりというのは、幻庵と一緒に修行と馬鹿をやっていた頃は毎日動物の肉や魚を焚き火で焼いただけのものを食べていたからである。(あれはあれで美味しかった。)

 

 

食料庫を開けたところ、そこには野菜の他に山菜やらジビエやらといった、俺のいた時代では市場にあまり出回らず、高級なものがどっさりと鎮座していた。

 

 

諏訪子の元には1週間に1度くらいの割合でそれはもう食べきれないくらいの食べ物が奉納される。

 

諏訪子は何度か諏訪子を見ることが出来る霊能者達を通じてそんなに捧げられても困るといったことを国民に伝えたのだが、そのことをあまり知らない隣国からの使者や、近くの村人達が快く奉納していくこともあり、結局大量に持ち込まれるのだ。祟神ってすごい。

 

 

まぁ、それであまり料理をしてこなかった俺は比較的簡単であり、諏訪子が食べたことがないであろう天麩羅を作ったのだ。大好評だった。

 

味噌汁をもう一口飲み、俺は話を続けた。

 

 

「戦ってた時さあ、鉄の輪みたいなの出したり土操ったりしてたじゃん?あれってどうやったの?」

 

「うーん、、こう...頭の中で命令するんだよ。鉄の輪よ、でてこい!みたいな?」諏訪子はコロコロと笑って言った。

 

 

「...うーん、、妖力でできたりしないのかなぁ..」

 

開いた障子から縁側の向こうの地面に向かって手をかざし、軽く妖力を送ってみるがとくになにも起こらなかった。

 

溜息を付きながら椎茸の天麩羅を口に押し込んだ。

戦う時は身体強化しての徒手空拳しかできない今の俺は、戦いにバリエーションを加えられないかと思ってやってみたのだがやはり無理なようだ。一応弾という形で妖力を溜めて撃つことはできるが、妖力が多くない俺にとっては燃費が悪い技なのだ。

 

「あははっ まぁ無理だろうねぇー。私はそういう能力だからねぇ。」諏訪子はそう笑って味噌汁を飲んだ。

 

 

俺は目を見開いた。

 

「え、能力?あれって神力で操ってるんじゃないの?」

 

 

すると諏訪子は不思議そうな顔をした。

 

「え、能力だよ?神力は、溜めて弾として撃ったり、京助みたいに身体強化くらいかな?私のは坤を創造する程度の能力かな。まぁ早い話が地を操れるんだよ。」

 

 

地を操る?なにそのアニメみたいなの...ていうか能力なんてのがあるのを今知ったわ。幻庵から聞いたことはなかったし、神だけが使える能力なのか?

 

 

「うわぁ、なにそのかっこいいの。俺にもないかなー能力。神様に生まれたかったなぁ..」

 

能力があれば戦いにバリエーション増え、必然的に戦いやすくなる。地を操るなんてことができたら岩石を飛ばしたり相手の足元を崩したりして有利に戦えることができるのではないだろうか。

 

「えへへーすごいでしょー」

諏訪子は嬉しそうに言った。

 

「でも神様だからって訳でもないと思うよ?うちの国にも人間でも能力持ちいるし。この国の霊能者とかは大体なにかしら能力もってるねぇ。京助も気付いてないだけでなんか持ってるかもよ?」

 

もしあるとしたら今後戦いやすくなる。もし強い能力であるならば、是非諏訪子に貢献したい。

自分勝手ではあるが、話をするうちに諏訪子を助けてあげたいと思うようになったのだ。

 

自分が能力を使って闘うとこを想像しながら諏訪子に聞いてみた。

 

「そうなら是非強いやつがいいなぁ!能力のあるなしはどうやってわかるのかな?」

 

 

うーん..と頬杖をついて暫く考えて、

 

「本人が自然と自覚することもあるし、他人が観ることもできるかなー。...そうだ!私が京助の能力を観てあげるよ!」

 

と言って諏訪子は立ち上がり、テーブルを回り込んで俺の隣にきた。そして、じっとしててねと言って、俺のおでこに自分のおでこを密着させた。

 

 

諏訪子は目を閉じて集中し始めた。おでこを密着させてるせいで、諏訪子の顔との距離は5cmもない。諏訪子の端正で幼くもどこか妖艶な顔立ちがとても可愛いらし____

 

俺は何を考えているのだろう。諏訪子が真剣になってくれているのにそんなことを想像するのはとても失礼である。

俺は反省しつつ、目を瞑った。

 

 

1分後、諏訪子は顔を離した。そして、

 

「"変質させる程度の能力"だね。」

 

 

 

 

 

...なんか弱そう

___________________________________

 

 

 

 

 

 

その後取り敢えず飯食おうということでご飯を食べ終わり、今は座ってお茶を飲んでいる状態である。

 

 

「なんかいまいちよくわからない能力だなぁ」

 

「あはぁ、まぁよくわからない能力ほど可能性は無限大だからねぇ、そういう意味ではいい能力持ってるんじゃない?ゆっくり試行錯誤してみるといいよ。」

 

諏訪子はニコッと笑ってそう言った。

 

試行錯誤ねぇ...と言いながらお茶に手をかざし、"凝固しろ"と念じてみた。そして湯のみを逆さにしてみると、テーブルの上に寒天質になったお茶がプルンっと落ちた。

 

 

「諏訪子!見てこれ固まってる!」

 

「おー!プルプルだぁー!面白い能力だねえ!」

 

 

やばい楽しいw とか言いながら、今度は"硬化しろ"と念じてみた。お茶寒天はプルプルではなくなり、ガラスのような表面になる。

 

「なんか綺麗だね〜ツルッツルで!」

 

「だよなぁ」

 

 

「それ戻せるの?」

 

 

「んー、やってみる」

 

ガラスみたくなったお茶を持ちあげると結構重かった。それを湯のみに戻し、"液体化しろ"と念じると元のお茶に戻る。

 

「戻せるみたいだね。」

 

「だねぇ」

 

そしていろんなものを変質させて2人で遊んでいた。俺が諏訪子の髪質を変質させて、くるっくるの天然パーマにしてみたらさすがに怒られたが、俺の髪も同じようにしたら諏訪子が吹き出し、鏡をみたらアフロになっていたので俺も吹き出して一緒に笑った。とても楽しかった。

 

 

 

 

 

 

お風呂に入り、あとは寝るだけとなった。布団を貸してもらい、寝ようとしたら、諏訪子はふと思い出したように言った。

 

 

「そーいえば京助って猫の妖怪だったよね?」

 

「そうだけど?」

 

「猫になってみてー」

 

「ああ、いいよ」ポンッ

 

と、俺は猫の姿になった。母上譲りの三毛猫である。

 

そういえば猫の姿になるのは久しぶりな気がする。荷物のこともあり、人の姿で旅をしていたのだ。

 

...あ、そーいえば諏訪子と戦ってる時に妖力切れて猫に戻ったっけ

 

そんなことを思っていると突然諏訪子に持ち上げられた。

 

「可愛い〜!もふもふー!」

 

と抱きしめられた。嫌ではないのだが、なんかすんごい複雑。

 

 

「諏訪子..そろそろ下ろして?」

 

「だめ、もうちょっと。」

 

溜息がでる。

 

すると諏訪子は俺を持ち上げたまま歩き始め、自分の部屋の方に向かいながら言った。

 

「京助、私の布団で寝よ?」

 

何言ってんのこの子!と一瞬思ったが、生前、飼い猫と一緒寝たいと思ったことはあるので気持ちはわかる。まぁこんな形でも癒してあげられればいいかなと思いつつ、一応確認をとる

 

「諏訪子さん、俺は男ですよ?」

 

すると

 

「京助は私になにかするのー?」

 

とニヤニヤしながら聞いてきた。

 

しまった..タチ悪いやつだ..

溜息がでた。

 

「別に何もしないけど一応確認をですね...」

 

「きゃー京助へんたーい!」

 

「はぁ、、もういいよ...」

 

「あはは、冗談だよ」

コロコロと笑い、部屋の障子を開く。するとこの時代に香水なんてないはずだが、ほのかに甘い香りがする。

 

諏訪子は俺を下ろし、布団に入る。

 

「おいで、京助」

 

はいはい、と布団のなかに入り、身体を丸める。すると後ろから抱きしめられる。この姿では布団に入ると暑いくらいなのだが、まぁ飼い猫を抱きしめて寝たいというのもわかるし我慢しよう。決して満更でもないという訳ではないのだ。うん。

 

 

「じゃ、おやすみ京助」

 

「ああ、おやすみ」

 

今日はいろいろなことがあり、妖力も1度切れたのでとても疲れた。俺は比較的はやくトロンと眠りそうになった。すると

 

 

「...京助、起きてる?」

 

「...起きてるよ?どうした?」

 

「...京助は明日いっちゃうの?」

 

「んー、そうだね。予定ではね」

 

「でも行くとこ決まってないんでしょ?」

 

「まぁ、行き当たりばったりの旅だからね..」

 

「京助がよかったらでいいんだけどさ...ここに住まない?」

 

「!」

 

 

俺は少しでも諏訪子の力になってやりたいと思っていた。だが、俺は妖怪だ。俺がここにいることが国民に知られたら諏訪子の立場が悪くなる。妖怪と共にいるのを見られたら、それこそ大義名分を得た大和の神々は進行しやすくなるだろう。

 

「...それは魅力的な話だね」

 

「!!...ほんと?! なら__ 」

 

「でも、俺は妖怪だよ?妖怪と共にいるのを見られたらまずいんじゃない?大和だって..」

 

「うーん...なら私の式神にならない?大和でも妖怪を式神にしてるのはいるよ?それなら問題ないんじゃないかな?」

 

 

式神か...諏訪子の従者的な形ならば、国を歩くことも出来るだろう。それならばいいかもしれない..

 

 

「...あ、ペットでもいいよ?」

「式神でお願いします。」

 

とんでもないことを言われた。

俺だって猫である前に男だ。ペットは..心が痛む。

 

 

「あはは、冗談だよ〜 それじゃ改めてよろしくね京助?」

 

「ああ、よろしくな諏訪子」

 

 

そして俺は諏訪子に抱きしめられながら寝た。

 

 

___寝苦しい...

 

 

 




グイド「やっっと能力決まったな。これでいろいろ楽になるぜ。」
英「遅い、遅すぎる....‼︎.」


ではまた次回

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