ようやくヴィローネサイドとお話が繋がってきます。ヴィローネ達転生組と神崎提督(事務員)の邂逅、その始まりです。
「では旗艦は天龍さん、編成艦は、吹雪さん、睦月さん、如月さん、白雪さん、磯風さんということでよろしいですね?それでは第四艦隊の皆さん、よろしくお願いしますね。わかってるとは思いますが…」
「分かってるよ!敵に見つかったときは物資を破棄すりゃ良いんだろ?」
「大丈夫みたいですね。物資は最悪私が上にきょうh……交渉してどうにかしますから。あまり使いたくはないですが、贅沢も言ってられません。」
「今脅迫って言わなかったか?!」
「まさか。私はただ単なる事務員ですよ、そんなことできるわけないじゃないですか。嫌ですね天龍さん。」
「…艤装の気配察知できる時点で普通の人間じゃねえよ…じゃあ行ってくるぞ。」
「生きて会えることを祈っておりますよ。」
「フラグ建ててんじゃねえ!」
突っ込みの声と共に出撃ドックから出ていく遠征部隊の面々。神崎が事務員として着任してから1ヶ月。追い出されることはなく(殺されそうになることはあった)平穏な日々を過ごしていた。
遠征部隊を見送り、
「では大淀さんに書類を出しにいきますか。いや、その前に間宮さんに羊羹をお願いしなくては。」
最近は食堂で無害アピールを続けていたが、未だに駆逐艦は寄り付かない。さっき見送ったときも、駆逐艦の娘は震えていた。
ちなみに食堂のシステムは基本今まで通りで、追加メニューを出せるように材料を購入していた。神崎の私財で。
「間宮さんいらっしゃいます?」
「はい!あ、神崎さん。いつものですか?」
「ええ、いつも通り6本。御忙しいところすみませんが。お金は足りてますか?」
「はい、十分です。大丈夫ですよ。気長に行きましょう。」
「そうですね、ありがとうございます。それでは。」
食堂を辞したその足で執務室へと向かう。
「失礼します。大淀さん、第四艦隊は予定通りに抜錨しました。書類はこちらになります。
「情報はありがたいのですが、毎度ながらなぜ海軍ではなく
「部下が横流ししてくれました。」
「それって情報漏洩になりませんか?」
「大将から認可貰ってますし大丈夫じゃないですかね。おっと、失礼。」
そう断ると神崎はポケットから小型通信機を取り出した。
「こちらドッグハウス、何事だ?」
『こちらシェパード。緊急事案発生、状況は紫、ただ戦況は青だ。』
「紫なのに青なんですか?!場所は?」
『南東方面遠征目標地点の近くだな。お前んとこの遠征部隊が一撃喰らった直後に現れたようだな。救援要請出たから偵察機回したら居た。偵察機の情報見た限りじゃあ紫とは思えん化け物だぞありゃあ。
「何かの間違いじゃないですか?そんなこと出来るの大本営の直属艦隊ぐらいのものだと思ってましたけど。」
『まあ詳しいことはお宅の嬢ちゃんに聞いてくれ。上からじゃ見えんものも有るだろうしな。』
「わかりました。ではまた。……どうしたんですか大淀さん?」
通信を切った神崎は、大淀の怪訝そうな眼差しに気付いた。
「紫とか青ってなんですか?それに今のはどこから…?」
「
状況・紫とは、ドロップした艦娘が敵艦隊と交戦状態にあることを、戦況・青とは、味方側つまり艦娘が戦闘で優位にあることを示す符号で、航空軍で通信符号として使われている。
つまり先程の通信は、遠征隊の救援に入った艦娘は
「ドロップしたばかりなのに艦隊を組んでいるんですか?始めて聞きましたけど…」
通常ドロップしたばかりの艦娘は単艦である。
「私も聞いた事はないですね。しかも、戦艦3、空母2の複数艦隊を相手に4隻と数十機で優勢だそうです。ドロップした艦娘といえば
超過艤装とは、その艦娘の元となった軍艦そのままの艤装を指す。通常建造された艦は所持していないが、ドロップ艦は稀にこの機能を有する事がある。
「だとすればそのドロップした艦娘の地力という事ですか?でもドロップした艦娘って練度は1だと聞いていますが…。」
「今までそうだったからと言って、今回もそうだと結論付けるのは些か早計ですね。それに今回は艦隊を組んでいます。もし最初から組んでいたとすれば、元から練度はそこそこ高かったと見るべきです。とはいえ…」
「それでも先程の戦況を考えると練度が
「はい。となると、このドロップ艦群は、最初からかなりの高練度で、
「今回が初めてなら不思議では無いですね。」
「はい。まああれほどの戦力差を覆せるような練度って一体なんだ、とは思いますが。」
そう言って神崎は苦笑した。
「ドロップ艦は発見した鎮守府の所属。これが原則、ですが、今回の戦闘詳報を出せば…」
「欲しがる鎮守府は多いでしょう。初めから高練度なら育成する手間も省けて、戦力を揃える事ができます。幸いにして発見した鎮守府は不祥事後の再建途中。ドロップした艦娘を編入するには不都合も多いだろうから、我々が引き取ろう。そう考える
そんな事させませんけどね。と呟いた。
「でもさっき言った通り不祥事を盾にされたらどうするんです?」
「私自身はあまり好きではないですが、権力を使うべきでしょうね。幸いにしてコネはいくつもありますし、私に与えられた権力も一海軍士官に与えるには過剰な権力です。それに、不祥事と言いますが、それを看過したのは彼等自身。あれを提督につけるなと忠告したものは多いですが、いずれも無視されましたからねえ…正しかったのは私でした。そんな
微笑んでいるが目が明らかに笑っていない神崎を見た、
「…神崎さんって怒ったらすごく恐い系の人だったりします…?」
そんな大淀の呟きには、
「さあ、どうでしょう?」
ただ微笑んで肩をすくめただけだった。
はい、こんな感じです。少々大淀さんが打ち解けすぎですかね…?
次はヴィローネ達から見たところです。時間軸的には同じですが。
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