異星艦娘と新任提督(事務員)   作:対艦ヘリ骸龍

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今までのより少々長くなりました。相変わらずぐだぐだしております。ヴィローネサイドのお話です。


第四話  転生と目覚め、三重の記憶

……ここはどこ?

 

 

外周警戒艦(レーダーピケット)<夕月>より入電。我レ、敵機ヲ大量二捕捉シツツアリ』

 

『全艦対空戦闘!全噴進弾発射!』

 

──私は…?

 

──太刀風級防空艦?違う…?

 

 

『敵艦隊発見!魚雷発射準備!』

 

『魚雷発射、始め!』

 

 

──島風改級駆逐艦?違う…?

 

 

『左舷より魚雷接近!』

 

『かわせ!バウスラスター全力!面舵一杯!』

 

『リウェイク被弾!くそっ!敵艦ロケット弾発射!』

 

『リウェイクの前に出ろ!全速前進!』

 

──私は

 

──V級駆逐艦…

 

 

 

「お…ちゃん!お姉ちゃん!」

 

(誰?)

 

「起きてよお姉ちゃん!」

 

「っ!…ここは?」

 

彼女が目覚めたのは海の上。回りを見ると、見たことのない、だが懐かしさを覚える少女の姿。

 

(誰だろう?見たことあるような?)

 

「貴女は…?」

 

「私だよ?覚えてないの?私は駆逐艦ヴィクティル、お姉ちゃんの妹だよ?」

 

「…ヴィク…ティル…?ヴィクティルって…あのヴィクティルなの?!って何で話せてるの…?」

 

「えっとね、お姉ちゃん、まず、立ってみてよ。立てるから。」

 

「立つ?私たちは軍艦よ?そんな事が……足がある?待って、ねえ、なんで私達人になってるの?」

 

「私もわかんないよ。沈んだうわあどうしよとか思ったら何か人型になって海に浮いてた。ヴォルフに…ううん、湧別に起こしてもらったの。」

 

「…湧別ってだれ?」

 

「えっと…別名って言うか何と言うか…そうだ!お姉ちゃん、自分の名前わかる?」

 

「何言ってるのよ、私はV級駆逐艦三番艦のヴィローネで…っ!」

 

突如襲い掛かった頭痛にヴィローネは蹲る。それと同時に頭のなかで浮かび上がる映像。

 

誇らしく旭日旗を掲げ、北大西洋をひた走る。襲いかかってくるのはドイツ第三帝国の航空機。それらを仲間と共に対空誘導噴進弾で撃ち落とす。大日本帝国で生まれ、気づけば遥々欧州まで来ていた。私は…

 

 

「太刀風級対空誘導弾搭載駆逐艦三番艦<琴風>…」

 

ヴィローネ──琴風はそう呟いた。

 

「やっぱりお姉ちゃんだ!やったね!私は、太刀風級五番艦<暮風>だよ。ちなみにヴァルトお姉ちゃんは<音風>。R級の皆は秋月改二型の特殊艦になったみたい。皆って言っても四人だけど。」

 

「R級ってリウェイクとか?」

 

「あー…もしかしたら知らないかも。Ⅲ型とⅤ型だから…」

 

「そう…他に私が知ってる艦は居るの?」

 

「スィルグレン級のスヴィルさんとか、S級のサイレンとかかな。二人とも名前は違うけど。」

 

空を見れば、早期警戒機、対潜ヘリや護衛用の戦闘ヘリ、空中哨戒機が上がっているのが見えた。すでに活動を開始しているようだ。

 

スィルグレン級空母。帝国海軍で二世代目の反応動力推進空母だ。最大の空母だったはずである。その巨大な艦体のお陰でいくつか特殊な機体を飛ばせるはずだ。彼女が居るならば、安心だろう。

 

「全部で何人居るの?」

 

「えっとね、目覚めてない人合わせて12人だよ。」

 

「誰が居るのか教えてくれない?私ヴィルベルヴィント戦で沈んだから、そのあとに出来た艦はあまり知らないの。」

 

「そうだったね…わかった!教えてあげる!えっとね、駆逐艦は私達合わせて7人、潜水艦1人、巡洋艦1人、戦艦1人、空母1人、特殊艦1人、だったよ。特殊艦の人はまだ目が覚めてないの。その人が目覚め次第、輪形陣組んで動くって言ってたよ。アドミラル・ヴェルス…えっとこっちでの名前は、<常陸>だったかな。」

 

常陸。記憶に無い名前だ。もしかしてと<琴風>の記憶を探るが、やはり該当する艦は見当たらない。九九九艦隊計画戦艦の後継艦に同じ名前になる予定の艦が居たが計画は頓挫したはず…そう思ったヴィローネの脳裏に別の光景が現れる。

 

 

海を裂く巨大な艦首。左舷を向き、蛇が首をもたげるように仰角をかける世界最大の主砲。九九九艦隊計画の七号艦級、そしてその後継艦4隻の計画を()()()造られた巨艦。彼らはそれを<常陸>と呼んだ。そんな巨艦を、ヴィローネは同航しながら見ていた。

 

彼女は気づく。これは<琴風>の記憶ではない。ならこれは誰の…?その答えが自然に浮かぶ。

間違いない。()()()私だ。これは、()()の記憶。

 

 

 

「…島風改級駆逐艦三番艦、<()()>」

 

「なんて言ったのお姉ちゃん?」

 

「ねえ暮風、貴女は、太刀風級<暮風>と、<ヴィクティル>の記憶しかないの?」

 

「うんそうだよ?」

 

どうやら3つの記憶が混在するのは自分だけらしいと気づく。

なぜだろうか。確かにここに集結している艦の中で一番早く沈んだのは自分。その分他の世界にいたと言うのか。

 

思考に深く沈みそうになったとき。

 

「おーい!<ヴォールン>が目覚めたぞ!集まれ!」

 

 

出発の合図が響く。

 

 




はい、12隻の化け物の爆誕です。深海&超兵器涙目ですねこれ。
悩みましたが戦艦は仮称G号艦、空母は葛城級の二世代後の空母(予想)を元ネタにしてます。防空艦、駆逐艦については、外伝しか持ってないのでスペックが分からないため、護衛艦や大戦中艦を元にしてます。

戦艦常陸…アドミラル・ヴェルス、元ネタは仮称G号艦

空母伊吹…スヴィル、元ネタはヒテン級の後継

巡洋艦湧別…ヴォルフ、元ネタは須磨級CGおよびしらね級護衛艦(兵装)

駆逐艦…V級、元ネタは太刀風級DDG

駆逐艦…ヴィローネ、元ネタは島風級

駆逐艦…R級、元ネタは秋月級

特殊艦…ヴォールン、元ネタなし、完全オリ艦です。

なお基本的にスペックは元ネタに準拠してますが、一部大幅な改編がある艦も有ります。
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