翌日午前7時、彼は横須賀第三鎮守府前駅にいた。前とは言うものの、そこそこ離れたところに有るらしく、鎮守府の建物は見えない。
そこに、一人の女性が声を掛けてきた。
「おい」
「はい、何でしょうか?」
「お前が神崎か?」
「ええ、そうです。ということは貴方が長門さんですね。初めまして。神崎啓斗と言います。この度横須賀第三鎮守府で提督をすることになりました。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた神崎を見て、やや驚いたような表情を浮かべる長門。が、すぐに無表情な顔になると
「その件なのだが、今すぐ帰ってもらいたい」
「はい?」
「我々に提督は必要ない、と言うことだ」
「はあ、分からんでもないですが、取り敢えず鎮守府に行かせてください。そう言うことでしたら色々書かなければならない書類等もありますので」
「そんなものは向こうでもかけるだろう?」
「いいえ。上に上げるための報告書を偽造してどうするんですか。貴女方が提督を必要としないと言うのなら、その根拠を示す必要があるのですよ。その中に艦娘の指揮、戦闘能力も含まれますのでね」
「断ると言ったら?」
「私に可能なすべての手段を以て鎮守府にしがみつきますよ。私の職場ですから。まあ、提督が必要ないと言うなら事務員でも結構です。大抵の書類は通しますよ?」
「どんな書類でも?」
「ええ、流石に私の権限を逸脱するものは不可能ですが大抵のことは対応出来るので。なんでも要望し放題です。まあ大したメリットにはならなさそうですがね。まあそういうわけなので、出来たら大人しく鎮守府に入れてほしいのですよ。私としても強行手段は取りたくないので」
「何が出来るというんだ?」
「艤装の機能の一部停止、搭載可能な全装備のロック、補給機能の停止辺りですかね?あとは……鎮守府防衛設備のダウンとかですかねえ」
「そんなことが出来るわけ……」
「出来るから申し上げております。管理者権限は私も持っていますから。ああ、メリット他にもありましたね。私にある権限を整理すればポロポロ出てきそうです。どうします?」
「…鎮守府に来てもらおうか。こっちだ」
そう言って彼女は歩き出す。
「ありがとうございます。ところで何分かかるのですか?」
「10分ほどだな」
「ますます帰りたくなくなりますね。10分も歩けとは…今度行ったらちょっと楠本君を締めてきますか」
「は?大将を?」
「ええ、私の体力が無いのを知っていて着任させようとするとはね。だから一回締めます」
「貴様、何者だ?」
「ですから一介の海軍少佐です。自分で言うのもなんですが少々特殊な経歴を持ちますが」
「どういう経歴だ?」
「元海上自衛隊第二特殊戦闘群第一分隊…通称は、"神盾"。そこの所属でした」
海上自衛隊第二特殊戦闘群。艦娘の出現する前から、沿岸での深海棲艦への対処を行っていた部隊である。そのなかでも第一分隊は優秀な戦績を納めている。軽巡ツ級轟沈12、駆逐級轟沈132、重巡リ級撃破5、戦艦タ級撃破1。人間が挙げたとは思えないほどの量の戦果を残したその部隊は、東京湾攻防戦で残存人員二人を残し全滅した。艦娘が現れたのはその直後であり、当時最初に接触したのは当時24歳の現大将であった。その時神崎は、仲間の遺品を集め、瀕死で生き残っていた深海棲艦を手榴弾と小銃、ナイフで葬っていた。
「!そこは……」
「ええ、そうです。そして私が、たった二人の生き残りの一人。そしてもう一人が……」
「大将か。だから簡単に……言っては駄目な気がするが……締めるとか言えるのだな?」
「ええ、まあ。元々の能力の差ゆえに、階級はここまで違いますけどね」
「ふむ。……着いたぞ。ここが我々の鎮守府だ」
「外見だけは立派ですね。153番は相変わらず外面だけを気にしていましたか」
「誰だそいつは?」
「前提督ですよ。卒業席次です。名前が出てこないので已む無く」
「相変わらずとは?」
「昔からそうだったのですよ。私も、こいつは提督になる素質はないと不可の成績を着けたらケチ付けられたんでドロンしました」
「は?」
「じゃあ良いわって言って教師止めました。家柄で選ぶようでは居る意味が無いですから。それよりこちらの損害を押さえようと第三資料室に入っていつのまにか室長に。不思議なものですねえ」
「何も言われなかったのか?」
「権力で潰しました。というより、私と楠本君…大将はかなりの自由が有りましたので、特に問題はありませんでした。……では失礼しますね」
そう言って彼は鎮守府の門をくぐった。
会話しかない上に2000文字もないです。文章力誰かくださいな…
提督ですが32才、艦娘出現時は22才。第一分隊第二小隊所属でした。質問があればコメントにて。