異星艦娘と新任提督(事務員)   作:対艦ヘリ骸龍

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はい、すいません私事(中間テストとレポート)により更新遅れました。


しかもフルボッコはまだまだ先という…


第十九話  水上砲戦①

「別に陣形組んだままで、遠くから一方的に乱射しても良かったんだよ?て言うか実戦なら気絶させるだけでは済まさない。演習だからこそ、わざわざ陣形を離れ、目の前で降伏勧告もしたんだけど?」

 

「実戦だったら…どうするって言うのよ…?」

 

「遠くから一方的に、跡すら残さず一切合切を消し飛ばす。いや、実戦だったら、僕が出る幕もないよ多分。」

 

至極真面目な顔で答える雫。雫の攻撃範囲はかなり微妙だ。対空、対艦両用兵器ではあるが、反応推進空母と、世界最大の戦艦がいる以上、大抵の敵は視界に入ることなく全滅する。

 

「だから今回のはかなり軽い措置だ。申し訳ないけれど、僕の兵装は見ててわかる通り、ペンキで再現できる物じゃなくてね、実害を与える必要があるんだ。だから基本的に艤装撃っただけでしょ?足を切断したのは、警告無視したからだし。応急措置もしたし、浮き輪も一応持ってきたし?アフターサービスはそこそこ準備したつもりなのだけれど。」

 

雫からすれば演習と言うことで、少なくとも沈むことがないように、またそこまで重傷を負わせるつもりもなかった故の行動である。

 

「まあ全部常陸に言われたことなんだけどね。今回は演習であって実戦ではないから本当の撃沈は避けよ、って。ま、そんなわけで、取り敢えず沈んじゃって?」

 

そう言うと、レーザーが音もなく轟沈ギリギリのところで艤装を切り落とした。

 

『呉鎮守府第六艦隊、重巡洋艦衣笠、撃沈判定。』

 

 

 

 

 

 

雫が呉第六艦隊へ突撃し出した頃。

 

「では、始めようか。敵艦座標位置確認、間接照準射撃準備。」

 

常陸は緩やかに艤装を動かす。

 

「主砲射撃準備よし、目標敵八番艦、一斉射撃始め。」

 

轟音が辺りに響き渡る。敵はまだ射程に至っていない。それまでに三番艦以降の6隻を削ってしまう予定だった。

 

 

 

 

 

「敵艦発砲!」

 

「この距離でか?!」

 

まだ距離は50000以上ある。51㎝でも有効射程ではない。

 

「そうか、71㎝、だったか。」

 

日向は、演習開始前に見た資料を思い出していた。55口径71㎝三連装4基。馬鹿げた火力、まさしく怪物(モンスター)だ。

 

「敵艦第二射?!」

 

「な…!」

 

(速い!まだ第一射が弾着すらしていないと言うのに……うん?第一射が()()()()()()()?なぜだ?)

 

日向は疑問を抱いた。交互射撃なら、普通は弾着してからでないと撃たない。なぜならばその結果を元に次の射撃の照準を修正する必要があるからだ。それをせずに、次々と射撃を行っているということは、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式を採用している場合か()()()()…………

 

(一斉射撃か?前の射撃を()()()()()()()()()…?ならば相手は…!)

 

その瞬間、日向は無線に向かって叫んだ。

 

「全艦散開しろ!急げ!」

 

『どういうことだ、日向?!』

 

「良いから…」

 

早く舵を切れ。そう言おうとした口は、次の瞬間発生した轟音によって掻き消された。発生源は、隊列最後尾、山城がいた場所。そこは今、巨大な水柱がそそりたっていた。

 

 

最初から連続一斉射撃を行う理由、もう1つは、()()()()()()()()()()()()()()()()()場合だ。

 

『呉鎮守府、戦艦山城、轟沈判定。』

 

艦隊構成員全員が水柱に目を奪われる。日向もまた、意識を持っていかれていた。

 

「敵艦第三射!」

 

そんな通信妖精さんの声にも気付かないほどに。次に覚醒したのは、砲弾の飛翔音──俗に、列車が鉄橋を渡る音と称される轟音が頭上を圧する。

 

「まずっ…」

 

再びの轟音と水柱。

 

『呉鎮守府、戦艦扶桑、轟沈判定。』

 

「転進!」

 

無線機に叫ぶと、面舵を切る。前にいる伊勢、陸奥、長門も取り舵か面舵を切っていた。十数秒後、直進していた場合の未来位置に、水柱が立ち上っていた。

 

(何と狭い散布界…)

 

50キロを越える距離から放った砲弾だと言うのに、綺麗にまとまって弾着している。

 

事前の作戦では、金剛型が撹乱している間に距離を詰め、最大12隻の火力で叩く手筈だった。だがしかし、現実は既に2隻が脱落し、こちら側はまだ射点にも付けていない。

 

 

だが恐らくそろそろ金剛達が射点に届く頃である。仕切り直しにかかることが出来るだろう。

 

このとき、日向の脳裏からは、常陸の護衛艦のことは消え失せていた。

 

 

 

 

 

「じゃあ、始めるか。」

 

そう言ってニヤリと口を歪めたのは、穂高。艦種は巡洋戦艦。それに見合う艤装を持つが、外見は<霧>のままなので、見た目幼女が、巨大な艤装を身に纏い、凶悪な笑いを浮かべる構図になる。某戦記の幼女の笑い顔を思い浮かべれば近いかもしれない。

 

「全速前進、主砲射撃準備。」

 

伊吹級巡洋戦艦<穂高>。彼女は、合同艦隊所属艦の中で唯一、八八艦隊計画が実行に移された世界を通じて転生した軍艦である。計画名は八号巡洋戦艦、改天城級の三番目の妹。当然ながらその主砲は40㎝であり、装甲防御もまた同様。並みの戦艦と殴り合える上に、巡洋戦艦という艦種らしく、30ノット以上の速力を誇る。

 

つまり、巡洋艦狩りには適した艦である。

 

「あれは…高雄級か?あと利根級と、最上級?甲巡3と航巡3か。」

 

それは呉鎮守府第七艦隊、重巡洋艦高雄、愛宕、摩耶、利根、最上、鈴谷。

 

「ちょっと足りねえが、まあさっさと片付けて戦艦喰いに行くか。」

 

弾着観測機は常陸に貸しているため使えないが、巡洋艦相手であれば、距離を詰めたところでさほど問題はない。というかそもそも彼女の専門は実は超接近戦だったりする。

 

その得意なフィールドに持ち込むべく、トップスピードのまま、連続斉射を繰り返しながら巡洋艦へ突っ込んでいった。

 

 

 

「それで、私たちは水雷戦隊が相手ですか。」

 

「ん?嫌なのか?」

 

「それなら別にあたしと音風で殲滅しても良いけど?」

 

「ううん、ちょっと気になっただけですから。」

 

「じゃあ良いね!12隻いるから…一人4隻かなあ。」

 

「軽巡はどうする?やろうと思えば喰えんことも無いだろうが…」

 

「あ、じゃあ私が潰します。二人より多く雷撃出来るから。」

 

「じゃあ俺たちは駆逐4だな。とっとと潰して援護に回ろう。」

 

「りょーかい。じゃあ開幕雷撃行っちゃう?」

 

「賛成。とっとと終わらせて常陸のカバーに入ろう。」

 

「VLSハッチ開け。全弾発射用意。」

 

「撃てぇ!」

 

3隻から相次いで打ち上げられたミサイルは、そのまま通常のSSM同様海面を這いながら目標へ向かい、真横に占位するとそのまま着水。そこから白い航跡が伸びる。恐ろしい速さで。そのまま着弾して水柱が立ち上る。

 

「やっぱあれって避けにくいのかなあ?」

 

「…だってあの子達、()()()()()()も、運搬型魚雷も知らないでしょう多分。二次大戦基準なんだから。」

 

恐ろしい速さで迫る、しかもパッシヴホーミングの魚雷を避けろと言うのは、些か無茶だ。

 

「でも人型なんだから飛んで回避とか。」

 

「そんなこと思い付くか!」

 

「んーでもほら、何人か生き残ってるよ?」

 

「駆逐2と軽巡2か。軽巡は大破判定か。」

 

「運搬型は炸薬量少ないですからね…」

 

「んじゃ軽巡はおねーちゃんに任せて、あたしたちは一対一で!」

 

「了解。」

 

こうして3人は散らばる。琴風は2隻の軽巡──阿賀野、矢矧へ、暮風と音風は駆逐艦──夕立改二と島風改へ、それぞれ向かう。

 

 

30対5、その戦場は混沌の度合いを深めることなく、戦況は進んでいく。




魚雷、元は某海獣を沈めたのが着想ヒントです。ただの魚雷だと芸がないし、簡単に避けられそうなので、ロケット推進に変えてみました。




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