異星艦娘と新任提督(事務員)   作:対艦ヘリ骸龍

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はい。なんとかたどり着きました。まだまだ全力じゃあないですね…
戦闘描写上手くなりたい…

ではどうぞ!




第九話  戦闘

「というわけで、暴れろとの指示ですから、盛大に行きましょう。琴風、戦闘中に艤装を変更してください。<太刀風>級から<島風>改級に。私はこのままだと火力が足りないのと、意識まで切り替わるので、今変えます。艤装<生駒>をシャットダウン、艤装<穂高>を起動──完了、システムチェック。オールグリーン、戦闘に支障なし。では行こうか。敵は空母を複数含むとの事だ、蒼電が出るがこちらも対空戦の用意はすべきだ。琴風は相手の様子を見て切り替えろ。その場合、私と琴風だけで敵艦隊を潰す。音風と暮風は対空を担え。」

 

「「「了解。」」」

 

指示のあった地点へ、穂高、琴風、暮風、音風の単縦陣で全速で突撃する。その上空を16機の航空機が編隊を組み、追い抜いていく。

 

五式局地戦闘機・改一型<蒼電>、という名を持つその機体は、史実に存在しこの世界にも存在する局地戦闘機<震電>より一回り大きな機体に初期のジェットエンジンを搭載した、この世界では化け物の部類に入る。本来は艦隊の防空に当たるが、今回の出撃は、翼下に4本の赤外線対空誘導弾を搭載し、機首に30㎜機関砲を4基積んだこの機体がどれだけの戦力となりうるかの試験でもあった。

 

「相変わらず航空機って速いよねえ…」

 

「もうすぐで敵艦隊の予想展開点だ、全艦立体捜索レーダー作動。対空目標は脅威度の大きさ、海上目標は見つけ次第撃て。破壊を撒き散らすぞ。」

 

「一言多いよ…」

 

好戦的な穂高の発破にぼやきつつ、戦闘を開始すべく、レーダーを作動させる暮風。と次の瞬間、

 

「っ!おいおい空母3にしては多すぎるだろう!対空戦闘準備、戦術システム起動!」

 

「たぶん全力で出撃させてますね。戦術としては一点集中はアリです。」

 

「直衛ぐらい残しとけってんだ畜生!全火器自由!全力射撃!」

 

暮風と音風が作る対空兵器の網の下を、琴風と穂高が駆け抜ける。目指すは空母。

 

「艤装を切り替えます!」

 

先程と違い、一瞬で艤装を入れ換えると、

 

「魚雷発射始め!主砲目に入る目標に叩き込んでください!」

 

魚雷を打ち出すと同時に12.7㎝連装砲が連続して砲声を上げる。さらに4基設置された40㎜4連装機関砲も目につく目標すべてに砲弾を雨霰と叩きつける。空母の脇を駆け抜けた数秒後に、水柱が上がる。相次いで2発が命中し、大破。さらに残りの魚雷は後方の戦艦群へ向かい、3隻全てに命中する。1発ずつではあるが、機動力は奪われる。

 

「魚雷残弾ゼロ!艤装を切り替えます!」

 

再び一瞬で艤装を入れ換え、155㎜単装砲が唸る。40㎜単装機関砲(CIWS)も空へと砲弾を送り込み続ける。

 

「蒼電は?」

 

「艦娘の援護に動いてる!半分来るらしいから対艦に切り替えて、元を絶て!」

 

「空母だね?全砲門目標敵空母!」

 

さらに音風と暮風が主砲を用いて空母の頭の飾りを狙う。その間に穂高は戦艦の列に突っ込んでいく。むろん敵の艦載機が妨害に入るが、蒼電が遥か高空より襲いかかる。というより襲いかかる前に数個編隊はAAMで殲滅されていたりする。

 

「蒼電では些かオーバーキルだな。陣風でも充分対抗できそうだ。」

 

戦艦群への突貫を続行しながらも、上空の戦いを分析している穂高。その主砲は敵を睨み、発射準備は整っている。常陸に負けるとはいえ、40㎝10門の火力は馬鹿にならない。目を前に戻し、敵戦艦を見ると、口を歪めて呟く。

 

「さあ、パーティーの時間だ、準備は良いか?死ぬ準備は。」

 

「…なあ、やっぱり艦娘の性格って艦長の性格に因るものなのか?完全に戦闘狂(バトルジャンキー)だ。」

 

いつの間にか真横に滑り込んでいた音風が呟く。<穂高>の元となった巡洋戦艦イルミナティの艦長は、腕は良いのだが非常に好戦的なことで有名であった。戦隊司令官は、彼の制御に頭を悩ましたらしい。

 

「案外それはあるかもね~」

 

そう呑気そうに良いながら、主砲を敵空母に向けながら機関砲は上空に向けるという器用な真似をしているのは暮風。気付けば空母のうち2隻の姿は既に無く、1隻も大きく体勢を崩していた。その最後の1隻の周囲を回るように琴風が高速で航行しつつひたすら155㎜砲弾を叩きつけ続けている。

 

「戦艦もとっととケリをつける。音風、暮風は艦娘の所に。有象無象を近寄らせるな。あと…」

 

そう言って穂高は一瞬顔を空に向けると、

 

()()は無視して構わない。攻撃をかけてきたら落とせ。」

 

「ああ、()()な。了解した。では先に行っているぞ。」

 

爆発音が響き、空母の最後の1隻が沈んでいくのが見えた。それを見て穂高が笑った。

 

「さあ、殺される準備は出来てるな?行くぜ!」

 

そのまま戦艦に殴りかかった。

 

 

 

一方、近接戦闘を開始した穂高を見ながら、暮風と音風は、琴風と合流し、艦娘の砲へ向かう。幸いなことに大破した艦は居るが、沈没艦は居ないようだ。

 

「お前ら…」

 

声を掛けてきたのは、自分たちと背丈がほぼ同じくらいの艦娘。艦種はなんだろうと考えながら、挨拶をする。

 

「初めまして、帝国海軍<太刀風>級防空駆逐艦三番艦の琴風です。そちらの所属は?」

 

「日本皇国海軍、横須賀第三鎮守府、第四艦隊旗艦の軽巡洋艦天龍だ。お前駆逐艦だったのか…」

 

「ええ、まあ、防空艦で巡洋艦と駆逐艦を区別する意味は無くなりましたけど、書類上はそうなってます。」

 

「防空駆逐艦3人だけであの艦隊を突破したのか?!」

 

「いえもう一人居ますよ。巡洋戦艦が。」

 

戦闘狂(穂高)がね、と心のなかで呟く。実際人の身体を得たからと、深海の戦艦に殴りかかっているところを見ていた琴風としては、それ以外に表現のしようがなかった。

 

「で、どこの鎮守府なんだ?巡洋戦艦を含むとはいえ、あの艦隊をわずか4隻で突破するなんて、かなり高練度だよな?」

 

「いえ、我々はその"鎮守府"というところには所属していませんよ?現在は臨時合同艦隊旗艦、戦艦常陸の指揮で動いています。と言っても海の上にこの身体を持って生まれたのも半日ほど前ですが…」

 

「ドロップ艦なのか?!」

 

「ええ、その言葉の意味は分かりませんが、多分。陸地か同胞を求め、航行している最中に、駆逐艦<如月>名義での電文を受信したのでこちらに急行しました。」

 

「そうか…ならお礼と言ってはなんだが、俺の所属する鎮守府に来ないか?」

 

「良いのですか?我々の艦隊は12隻居ますけど…」

 

「そんなに居るのか…いや、多分大丈夫だと思う。」

 

「良いですか?では改めてお願いします。」

 

「おう、纏まったか?」

 

「あ、穂高、行って良いって。」

 

「そりゃあ良かった。ああ、初めまして、前衛艦隊の旗艦を勤めている巡洋戦艦穂高だ。よろしくな。」

 

「ああ、俺は軽巡洋艦天龍だ。よろしく。」

 

「しかし、お前ら、何しにここまで来たんだ?あの量の敵艦隊がいるという予想あるいは警告があった上で来たのか?」

 

「遠征任務だ。この敵の量は予想していない。」

 

「了解した。ではしばらくここで主隊が来るのを待とう。暮風、音風、そこの駆逐艦の装備を見てやれ。場合によっては曳航を行うが…」

 

「わかった。」

 

と、取り敢えず合流を了承したものの、天龍はこのドロップ艦達について、思考を深めていた。最初こそ、突然の危機から救ってくれたと思っていたのだが、艦名をどのひとつとして聞いたことがない艦名であることが不信感を募らせていた。またその身体についても疑問を抱いていた。

 

基本的に艦娘の身体の大きさは、縮尺は異なるが、大体軍艦時代の艦体の大きさによる。たとえば戦艦は、大和型が一番背が高い。次いで長門型、伊勢型、扶桑型と続くのだが目の前の<穂高>と名乗る巡戦は、長門よりやや大きい。さらに、背中の艤装は連装砲5基という配置。また本来、日本の艦娘には巡戦は存在しないはずなのだ。

 

そして、最初に自分たちに声を掛けてきたのは艦娘は、防空駆逐艦と言ったが、日本の防空駆逐艦娘は全て"月"で終わる名前を持つ。しかし彼女等は"風"で終わっていた。兵装も、四角い箱状の物と、小さい魚雷発射管、単装砲2基に見慣れない機関砲と謎ばかり。

 

取り敢えず助かりはしたが、警戒は必要だと考えていた。

 

 

 

 

「では前衛に天龍さんと、睦月さん、如月さんを編入し、後は主隊に編入するということで良いですね?」

 

主隊と無事に合流した天龍たち。旗艦が男であることに驚いたが、まだそれは軽い方であった。

先程、声を掛けてきた<穂高>が背に背負う艤装が光に包まれて変わったかと思うと、口調まで変わったことに天龍は驚いた。

 

「あ、ああ。何かすることはあるのか?」

 

「いえ、一応の警戒ぐらいですね。大抵の敵は目視する前に探知して迎撃するので、戦闘も多くはないはずです。」

 

 

こうして横須賀第三鎮守府第四艦隊は、帝国・連邦合同艦隊と出会った。この艦隊が後に、鎮守府に嵐を呼ぶことを、天龍はまだ知らない。




はい。合流です。
なお文中の"アレ"とは航空軍の高高度偵察機の事です。見つけてました。

次は鎮守府で、視点はヴィローネ側になります。
穂高は、八八艦隊の天城型もしくは紀伊型を想像してください。

感想、質問お待ちしております。

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