異星艦娘と新任提督(事務員)   作:対艦ヘリ骸龍

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すいません、接触まで行けてないです。怪物無双は次話にて…



いくつか見覚えない単語がありますが、固有名称なので後で解説が来ます。多分…


第八話  初戦闘と常陸の思考

 特に何もない海上を、ただ南西へと向かう。

 

「暇だね~」

 

と暮風が呟く。

 

「そうだね…」

 

琴風が応じる。すると

 

「敵でも現れて欲しいってか?」

 

音風が茶化すように言った。

 

「敵というとあの魚みたいなのですか?なんでしたっけ…ああ、深海棲艦とかいう。」

 

妖精さんから聞いたらしい生駒が言った。外見は<霧>のままなので外見が口調と合っていない。

 

「魚みたいなのは一番弱い部類らしいですね。駆逐イ級と言うそうです。」

 

「もっと骨がある奴出てこねえかなあ…」

 

「そういうこと言ってると…」

 

『ホークアイ2よりランス各艦、右舷前方、方位0-5-4に敵艦隊。距離20、こちらに向かってくる。進路方向は2-2-3。速力21。ロングボウからの報告では駆逐3、乙巡1。これを殲滅せよ。』

 

「ほら、来ちゃった。全く簡単に殲滅しろなんて。」

 

「来たものは仕方ありません。基本的に有視界戦闘との事なので、水平線上に現れ次第戦闘を開始します。琴風さんは雷撃、音風さんと暮風さんは砲撃準備を。琴風さんは準備完了次第発射で。」

 

「分かった。あと呼び捨てで構わないぞ。兵は拙速を尊ぶ。」

 

「了解、では琴風、よろしくお願いします。」

「わかりました。艤装<太刀風>級<琴風>をシャットダウン、艤装<島風>改級<琴風>を起動──システムチェック、オールグリーン。右雷撃戦、魚雷発射準備──完了。発射!」

 

生駒の声に、艤装を変更し、重雷装型の<島風>改級の艤装を身に纏い、あっさりと魚雷を発射。放たれたのは九七式酸素魚雷改が4発。本来放てる全力のおよそ四分の一程度。誘導型とはいえかなり初期段階のパッシヴであり、油断はできない。

 

『ホークアイ2より、ランス2。命中雷数3、残存艦は駆逐2だ。』

 

「やはり旧式ではこんな物ですか…せめて四式が有れば…」

 

「仕方がありません。兵装の旧式化はほぼ全員です。ミサイルも搭載できる艦は限られていますから…あとは私達の出番ですよ、暮風、音風。恐らくオーバーキルですが、人型での経験を積むと考えてください。」

 

『ホークアイ2よりランス各艦、目標は間もなく水平線。』

 

生駒とAWACSの報告に、音風と暮風は155㎜単装砲2基を、琴風は12.7㎝連装砲3基を、それぞれ構える。それを見てから生駒も自身の主兵装──30㎝3連装3基を構え、艤装に付属している、12.7㎝連装砲6基を敵の方位へ向ける。

 

「ランス全艦、撃て!」

 

十数秒後、水平線付近の敵艦は無数の水柱に包まれた。それらが崩れ落ちたとき、敵の姿はどこにもなかった。

 

『ホークアイ2よりランス、目標消滅。撃沈確認。』

 

「ランス・リーダーよりホークアイ、了解。──どうでした?」

 

「ちょっとやりにくいけど出来ないことはないかなあ。」

 

「私は大丈夫そうでした。」

 

「私もだ。そう言う生駒は?」

 

「私もそこまで難しくはなかったですね。ということは皆この姿での戦闘に問題はなさそうですね。」

 

と、そこまで言ったところで上空から爆音が響く。機影は二つ。IFFに反応があるのでCAPに出ていた陣風の二機編隊だろう。

 

「相変わらず速いねえ…」

 

「まあそれが航空機ですから。」

 

『こちらアーセナル、ランス・リーダー、聞こえるか?』

 

「はい、こちらランス・リーダー、何かありましたか?」

 

『劔が…艤装を<劔>に変えた須磨が、通信量の著しい増加を確認した。いくつか傍受に成功したがこちらでは解読不能だった。旧式暗号のようだからそっちで解読してみてくれ。』

 

「了解…ってこれ旧式も旧式じゃないですか?!ちょっと待っててください……ああ、はいはいえ~と……解けました。なんでしょうね、いくつか見覚えのない符号が混じってますけど、多分うちじゃないどっかの部隊を待ち伏せする内容ですね。距離はそこまで遠く無さそうです。」

 

『了解した。一応緊急発進待機も準備させておくが、何かあったら一番槍はお前らだからな。頼んだぞ。』

 

「別に構いません。あ、ちなみに、これ作戦開始時刻まであと10分です。」

 

『了解した。』

 

 

 

 

かなり遠く、水平線の手前程の所で大きな水柱が上がるのが見えた。

 

「ソード3より、敵潜水艦1隻の撃沈を確認。」

 

「また殺ったか。しかし…敵の待ち伏せ作戦か。護衛つけてホークアイ1を前方に突出させるか?」

 

「それは止めておいた方が良いわね。敵の技術レベルがわからない以上、可能な限りリスクは避けるべきよ。今のままでも十分な監視体勢だと思うわ。それに作戦目標は私達でない可能性が高い。なら手出しは無用。まあ大洋からの報告からすれば技術もそこまで進んでるわけじゃなさそうね。潜水艦は通常動力で騒音も大きい。S級の相手ではないわ。」

 

「ああ、妖精さんが言ってたな、艦娘、深海の兵装は第二次大戦基準って話か。俺達はそれを飛び越えてる訳だが。」

 

「そうね…この世界ならば私達だけでも大戦力ね…。」

 

「人類に見つかったら確実に駒扱いだがな。どうする?」

 

「人間の(道具)に甘んじるか、敢えて合流しないかってことでしょう?私達は最悪海水から燃料を作れば良いけれど、駆逐艦はどうにもならないわ。航空機の燃料もね。でもいつでも捨てられる駒扱いされるのだけは嫌ね。私達だけならともかく…」

 

「駆逐艦の娘にはまともな暮らしをさせてやりたいな。折角思考を得て、身体も持ったんだ。これを活用しない術はない。駆逐艦の娘達なら俺達だけで護れる。超兵器が居なければだが。我等は感情を持たぬ兵器(道具)だ、だが、簡単に捨てられる駒(単なる捨て駒)ではない。」

 

「我等は国を護る盾にして仇敵を貫く槍、確かに頭を演じる(指揮を執る)資格はないけれど簡単に切り離される尻尾(単なる捨て駒)でもない。そうされるならこちらから見捨てる。それで良いのね?」

 

「…とはいえいつかは人類の支援は必要になるがな。今のうちに恩を売っておきたい。」

 

「さっきの待ち伏せ潰す?」

 

「…それとなく援護しつつ、危うくなったら前衛と緊急発進部隊(スクランブル)を出す。これぐらいでいいだろう。」

 

「積極的な救助は?」

 

「…止めておきたいな。確かに積極的に阻止できれば最善だ、でも、なぜ積極的に動けたのか追追及されると、な。能力は隠しておいた方が良い。いつ敵になるかわからない以上、こちらの能力を必要以上に知られたくはない。」

 

「ああ、そうね…それは確かに。」

 

「とは言え、この星に居る艦娘をただ見殺しにするのも気が引ける。おかしいな、ただの兵器としては感情的思考は避けるべきなのに。」

 

そう言って苦笑する常陸。

 

「それは感情的思考というより帝国軍人的思考、というべきね。貴方の艦長と同じ思考ではなくて?」

 

「そうかもしれないな。あいつは軍人にしては優しすぎるとは思ったんだが。」

 

「今貴方も同じ思考を持っているのよ、諦めなさい。」

 

「えっと常陸さん。」

 

「呼び捨てで良いぞ、須磨。どうした。」

 

「救援要請の平文が出ています。先程拾った暗号文の座標とほぼ一致しています。発信者は駆逐艦<如月>です。睦月型、旧式ですね。不味いかもしれません。暗号文の内容では、わざといたぶって救援を求めさせ、それを数個艦隊で撃破するのが目的でしたから。」

 

「戦艦3、空母3を含む機動部隊と打撃部隊か。微妙なところだが…やらせてみよう。伊吹、緊急発進部隊(スクランブル)を出せ、全部だ。アーセナルよりランス・リーダー。」

 

『こちらランス・リーダー。どうしました?』

 

「例の待ち伏せだ。援護する。座標はさっき送ったところだ。」

 

『了解。援護は?』

 

「蒼電を全部出す。じゃよろしく。」

 

 

 

 

 

「では私達は艦娘艦隊の援護に向かいます。ランス全艦、最大戦速!」




次は戦闘(という名の蹂躙)になるはずです…なので次も引き続きヴィローネサイドです。


常陸さんと伊吹さんの議論が思ったより長くなりました…最初は軽く触れるだけのはずだったのに…

質問、助言等受付中です(^-^)/

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