役人転生IFルート〜先生になった私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
あぁ〜あと少し、あと少しだったんですが……残念です。
しずか君のムカデさんチームがアリサ君のフライングタンカースに敗北を喫しました。
3対1のフラッグ戦でアリサ君率いるM22ローカスト3輌と戦ったしずか君は2輌を立て続けに撃破する事に成功したのですが、2輌目のローカストを撃破する際に体当たりの様な形で右の履帯をローカストの車体にぶつけてしまった事や無茶な機動を繰り返した事が仇となり、3輌目のローカストに乗るアリサ君に向かって突撃を開始した所で履帯と起動輪が外れて行動不能になり敗北してしまいました。
……まぁ、初陣にしては上出来ですかね。元々がズブの素人であった事や練習量の事を考えれば。
これから本格的なメニューをこなして行けばもっといい所まで行くでしょう。
しかし、本格的なメニューと言っても昔のような鍛え方は出来ませんからね。
時間が必要です。
「……随分と嬉しそうですね、先生」
おや?ついつい顔がにやけてしまっていたようです。
「えぇ、まぁ。教え子の晴れ舞台が見れましたし。それにあの子達のやりきった満足気な顔も」
「そうですか。(そういう所も昔から変わっていませんね)……では試合の決着もつきましたし私はこれで」
「はい、ではまた」
「えぇ、また……あぁ、そうだ。後で仕事用のでは無くプライベート用の連絡先を送っておいて下さいね?」
「アッハイ」
……さてと。最後にとってもいい(怖い)笑みを見せてくれた榛名君も戻って行きましたし、帰りの準備でもしますかね。
「ナイスファイト!!中々やるじゃない貴女達」
「賛辞の言葉、感謝致す」
「あ、ありがとうございます!!」
おや?しずか君や鈴君、ケイ君が陣幕の向こうで喋っていますね。
うんうん。試合後の交流は良いことです。
「そう言えば試合を見ていて1つ気になったんだけど。貴女達、誰から戦車の事を教わったの?」
「うん?師は学校の先生であるが……」
「学校の先生?自衛隊とか戦車道連盟とかにお願いして来てもらった人じゃなく?」
「はい。最近転任してきた先生が私達の顧問とコーチを兼任してくれているんです」
「へ〜最近……この時期に転任ね……どんな人なの?」
あれ?なんか嫌な胸騒ぎがしてきたんですけど……どうしてでしょう。
「どんな……うぅむ。我々から見ても高い技量を持ち、しかも整備まで完璧にこなせる御仁でとても頼りになる方であるな」
「練習とかの時は凄く厳しいんですけど、いつもは優しくて……ねぇ、姫」
「そうだな。それに聞けばかの西住流の門下であると」
「ふ〜ん。西住流の門下……」
な、なんか……陣幕の向こうでドス黒いオーラが漂っているんですけど。
あれは一体……?
「ねぇねぇ、その人と是非とも会ってみたいんだけど、いいかしら?」
「うむ。それは構わぬが……どうしてその様に笑っておられるなりや?」
「フフフッ。さぁ、どうしてかしらね?」
ッ!?ま、不味い!!ケイ君がこっちに来る!?
「? まぁ良いか。こちらへ」
「フフフッ……あ、そうだ。アリサは帰りの準備をしておいてね」
「イエス、マム……うぅ……反省室行き……」
逃げないと大変な事に!!
さてさて、役人は逃げる事が出来るのでしょうか(ニッコリ)