役人転生IFルート〜先生になった私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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歯車は巡りて

しずか君の家にあったテケ車の整備と点検が終わり、試運転と試射をするというので北富士戦車道演習場まで一緒にやって来ましたが。

 

思った以上にたくさんの学生が射撃や走行の練習に励んでいます。

 

いや〜活気があるのは良いことですね。

 

「あの……先生?」

 

「何ですか?鈴君?」

 

「何でサングラスとマスクをしてるんですか?」

 

「……気にしないで下さい」

 

「は、はぁ……」

 

ここでみほちゃん達と会う事はそうそう無いとは思いますが、万が一という事がありますから変装はしておかないといけません。

 

というか、今更ながらに少し後悔が……。

 

みほちゃん達から逃げて――ゲフンゲフン。距離を置いている立場なのに戦車道に近いタンカスロンの顧問になんかなったら自分から遭遇しに行っているようなものなんですよね。

 

後悔先に立たずとはよく言ったものです。

 

「では私は受付を済ませて来ますから、君達は先に場所を確保しておいて下さい」

 

「承知」

 

「分かりました」

 

さてと、受付受付っと。

 

「――改めて御名を頂戴したい!!身共は楯無高校の鶴姫しずかと申す!!」

 

「サンダース大学付属高校のアリサよ。なにその口調。中二病?」

 

……ちょっと目を離した隙に何でサンダース大学付属高校のアリサ君と試合をする事になっているんですか!?

 

というか、やっぱりサングラスとマスクをしてきて良かったです。

 

もししていなければアリサ君経由でケイ君に居場所がバレる所でした。

 

「くくっ……お主も似た者同士だろう?」

 

「一緒にしないでよ。私は彼氏持ちのリア充よ!!」

 

あ、アリサ君が嘘を付いてます……。

 

「では、各々方また後ほど!!」

 

あらら……これはまた厄介な事になってきましたね。

 

しかし、しずか君達は私を放っといてどこへ行くつもりなんでしょうか。

 

完全に置いてきぼりです。

 

「全く……ふざけた奴だったわね。うん?失礼ですけど貴方さっきの子達の保護者か何かですか?」

 

ギクリ。しずか君達の後を追おうとしたらアリサ君に捕まってしまいました。

 

「え、えぇ、まぁ……一応顧問です」

 

「だったら、ちゃんと面倒を見ておいてもらいたいんですけど。あんな素人に好き勝手やられてこっちはいい迷惑なんです」

 

「も、申し訳ありません」

 

好き勝手って……しずか君は何をやらかしたんでしょうかね?

 

「今度からはしっかり――……ちょっと待って。貴方、私とどこかで会った事があります?」

 

「い、いえ、初対面ですよ?あ、急ぎますので私はこれで。では」

 

「あ、ちょっと!!……あの雰囲気……絶対にどこかで会ってるような気がするんだけど……誰だったのかしら?」

 

危ない危ない。

 

もう少しでアリサ君に私の正体を勘づかれる所でした。

 

やはり既知の人物に会うのは危険ですね。しかし、試合をやる際にはまた会う事になるでしょうから何か対策を取らないと。

 

でも、サングラスとマスク以上の変装となると不審者率が大変な事になってしまうんですよね。

 

……まぁ、極力人前に出ないようにして対処しますか。


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