東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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-秘伝- 幻想曲(ファンタジア) Ⅳ

 

 

 

 

 

 

最初はみんな……喜んでたんだ

 

平和が訪れたって、これで安心して生きられるって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど……誰かが言ったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バーンが倒されたという事はバーンよりも「力」を持つ者が現れたって事じゃないのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな……事を……

 

 

 

 

それからだ……みんなのオレを見る目が変わっていったんだ……

 

まるで……化物を見るような目に……

 

 

 

 

 

始まるともう止まらなかった

 

 

仲間のみんなやオレを知ってる人達、各国の国王様達は止めようとしてくれたけど……

 

 

 

 

止まらなかった

 

 

 

 

 

あっという間に世界に広がって……

 

 

 

『大魔王を倒す奴が人間なわけない!化物だ!』

 

『ヒィッ!?殺さないで!!?』

 

『あのモンスターをどうにかしてくれ!?』

 

『あいつが死んだら人間は安泰なのに……』

 

『あいつを死刑にしてくれ!俺達に怯えて暮らせって言うのか!?』

 

 

 

オレは……世界に迫害されたんだ……

 

バーンが予言した通りに……

 

 

 

なんで……

 

どうしてこうなるんだ……

 

 

バーンが正しかったの……?

 

 

オレはただ大好きな人間を守りたかっただけなのに……

 

 

 

バーンを倒さない方が良かったの?

 

みんながオレにそう望んだんじゃなかったの……?

 

なのに……こんなのってないよ……

 

 

 

わからない……オレにはもう何が正しいのかわからないよ……

 

 

 

 

 

 

 

もう……オレの事なんて忘れてくれればいいのに……

 

 

 

 

 

 

でないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………嫌いになりそうだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館・バルコニー-

 

「……以上が私が見た勇者の現状、そして……心情、です」

 

もう日が変わるだろう頃の深夜にさとりは話し終えた、周囲に二人以外誰も居ない

 

「…………そうか」

 

聞き終えたバーンは長い沈黙の後に一言呟き、座っている椅子に深く腰掛け、目を閉じる

 

「……ッ」

 

さとりは何か問いかけようとしたが余りの触れ得ざる雰囲気に黙ってバーンを見ている事しか出来ない

 

(……怒っているの?悲しんでいるの?それとも違う……?)

 

今は心を読んではいない、読もうとしたところで心を閉ざせるバーンの心は読む事は出来ないが

 

だからこそ勇者の今を聞いたバーンの感情が気になってしまう

 

(それに伝えなかった事もある……これは私の独断、貴方へのコレは言うべきではない)

 

さとりは全てを伝えた訳ではなかった

 

求められたのは勇者の現状の原因とそれに対する勇者の心情だけであった

 

そして求められた事は話した、これ以上は余計な負担を背負わせるだけだと話さなかったのだ

 

そうして1分程の時間、静寂が支配した

 

 

「……すまぬな、早々頼みを叶えてくれたお前を待たせてしまった、許せ」

 

「……構いませんよ」

 

ようやく口を開いたバーンにさとりは安堵する

 

「助かった、感謝するさとり……礼をしなければならんな、好きな事を言うがいい、余の裁量の範囲ならば何でも叶えてやろう」

 

「……」

 

さとりは少し考える

 

(……私も友と呼んで欲しい、なんて……言えるわけないですよね)

 

幻想郷の頂点、あの7人だから友なのだ

 

バーンにとってあの7人だけがそう言える存在

 

それに弱味に突けこんで叶えるのは違うし叶えて貰ってもそれは真の友とは言えない

 

それはさとりも重々わかってはいるが余りにもその関係が眩しく羨むモノだったから一瞬でも考えてしまったのだ

 

 

「……礼は要りませんよ、貴方へ犯してしまった非礼のお詫びとでも思ってください」

 

「いつの話をしている、そんなものは既に時効だ……もう気にもしておらぬ」

 

「ありがとうございます……ですがその気持ちと言葉を聞けただけで私にはもはや充分過ぎるのです」

 

「……そうか、そこまで言うならもう言うまい……感謝する」

 

「あまり思い詰めるとお体に障りますよ……では私はこれで」

 

「……ああ」

 

さとりが帰っていき、バルコニーにバーン一人だけが取り残される

 

「…………」

 

月を見上げ、また暫しバーンは沈黙する

 

「……やはり、そうなっていたのか」

 

漸く出た言葉の意味は予想通り、であった

 

(ダイ……やはりお前は迫害されたのか、余の予言の通りに)

 

さとりから聞いた勇者の真実

 

 

 

『賭けてもいい、余に勝って帰ってもお前は必ず迫害される……!』

 

 

 

それはかつてバーンがダイとの最終決戦時に断言した予言が現実になっていたという事実であった

 

(人間の醜悪な闇に触れたか……余の予言が呪いとなり生まれ出たか)

 

バーンはダイの現状を己が生んだ呪いと称した

 

実際はそんな事は微塵も無い

 

あの時のバーンはもし自分に勝利した際のダイの行く末を予見したに過ぎず、負けるとは思ってもいなかったのだから

 

ただ、そうなる可能性をダイに示し、世界に残した事からそう表現した

 

(英雄から一転、忌み子へ……余が居た時はあれ程望まれていたにも関わらず勝てばその力が目障りになり簡単に掌を返された……人間を信じたお前にはさぞ効いたろうな)

 

思い出すのはあの場面

 

 

『奴等が泣いて縋るのは自分が苦しい時だけだ、平和に慣れればすぐさま不平不満を言い始めよる』

 

『そして……お前は英雄の座をすぐ追われる……』

 

 

どちらもダイに言った言葉

 

 

(だがお前はこう返した……)

 

 

『もし本当にお前の言う通りなら……地上の人々全てがそれを望むのなら……おれはっ……おれはっ……!』

 

『お前を倒して……!この地上を去る……!!』

 

 

今も鮮明に覚えている、ダイの人間への最良となる覚悟の言葉

 

(……余が倒された後、何があったかは知らぬがお前は地上を去らなかった、仲間や姫に引き留められたか……)

 

(あるいは人間の良心に賭けたか……だが何にせよそれがこの結果だ)

 

(人間の悪意に底は無い、こうなる事は……わかっていたのだ)

 

やはり人間は最低だと改めて思う

 

(化物と恐れられ、迫害されようともお前は人間の心を信じたかった、わかってくれる日がくると……いつか、やがていつかはと……愛したが故に……)

 

(だがそんな日は訪れなかった、日毎に増す憎悪にお前の心は荒んでいく、理解者の支えすら飲み込むドス黒い感情にやがてお前は自らの忘却を願うようになった……それが幻想郷へお前を導いたか)

 

(そして、その心はもはや……限界か)

 

バーンにもさとりと同じくダイの行く末が視えていた

 

(純粋な竜の騎士、その心は闇に染まる瀬戸際、このまま帰ればお前は必ず成るだろう第二の余に、人へ仇なす大魔王に……人間が愚かにも望むまま、魔竜へと……な)

 

変わる事の無い表情が雲に隠れた月のせいで暗く陰る

 

(父の道をなぞるか……)

 

それこそダイの父バランが選んだ道、それを子であるダイが進もうとしている

 

「……」

 

目を閉じたバーンに浮かんできたのは最後に見たダイの弱々しい顔

 

自らが勝った相手の目もまともに見れぬまでに酷く怯えた、変わり果てた弱者の顔

 

「……!」

 

言い様のない感情が溢れ自然と拳に力が入る

 

「ダイ……」

 

月は雲に隠れたままもう姿を現す事無く、バーンを闇の中へ覆い隠した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-人間の里-

 

「おーすみんな……おはようさん」

 

翌日の朝、宿の食堂に7人が揃った

 

「おはようポップ、ダイはどうだった?」

 

「部屋の中には居るみてぇだ、返事は返ってこなかったけどよ」

 

マァムへ返しながらバイキング形式の料理を取り皿に適当に取っていく

 

「そう……どうする?」

 

「ん~……一人にはしておけねぇしなぁ、誰かは宿に残る事になるかねぇ」

 

座って食べ始めるポップへラーハルトが言う

 

「では俺が残ろう」

 

「言うと思ったぜラーハルト、おめぇさんが率先して残ってくれるのはありがてぇけどよ?おめぇばっかりじゃバツがわりぃよ」

 

「気にしなくて構わん、俺がダイ様の傍に居たいだけだ」

 

「いやいや、おめぇもあんじゃねぇのか?幻想郷で行ってみたい所とかやってみてぇみたいな事とかよ?」

 

「無い、ダイ様に仕える事が俺の存在意義だからだ」

 

「あっそう……」

 

気遣いをバッサリ切り捨てられてはポップはもう何も言えない、それが自分達への気遣いにも繋がっているなら尚更

 

「んじゃあ決まってない奴等は今日どうすっか決めるか~」

 

机に顎を乗せパンを食べながら行儀悪くポップは今日の予定を話し合う

 

「オレも……一緒に決めていいかな?」

 

食堂の入口から声が響き皆が振り向く

 

「ダイ!」

 

顔を見せたダイに皆が沸き立つ

 

「大丈夫なのかよお前!」

 

「心配かけてごめん!寝たら元気になったから大丈夫だよ!」

 

笑顔を見せてサムズアップをするダイ

 

「そうかよ、なら朝飯取ってこいよ!食いながら決めようぜ!」

 

「わかった!」

 

料理を選ぶダイ、それを見つめる7人

 

(……どう見ても空元気だな、俺達に心配させたくないって丸わかりだバカヤロウ)

 

皆一目で強がりだとわかる、親友のポップなら尚更に

 

(けど空元気だろうが元気にゃかわりねぇ、ずっと落ち込んで引き籠られるよかよっぽど良い)

 

今は不安定なダイを下手に刺激しないよう当たり障り無く接する事にした7人は普段通りを装いダイを待つ

 

「お待たせ!今日はどうするの?」

 

「とりあえず決まってんのは俺とヒュンケルがレミリアに会いに行って良い返事が貰えるならそのまま永遠亭に行って……って感じだな」

 

「紅魔館に行くんだ……何かあったの?」

 

「ああ、ヒュンケルの体が治るんだ、でも……」

 

「ホントに!?ヒュンケルの体が治るの!?」

 

「そ、そうなんだよスゴいだろ?嬉しいのはわかるがまぁ落ち着け落ち着け……だけど治すのに半年から一年かかんだ」

 

ヒュンケルは回復魔法による治療ではなく通常の手術による治療を選んでいた

 

回復魔法の早さは非常に魅力ではあったのだがバーンの手を借りないといけない事がどうしても容認出来なかったのだ

 

「そうなるとヒュンケルだけしばらく幻想郷に居る事になる、だからレミリアにお願いしに行くってわけだ、んで一応知り合いでもある俺が交渉人っつーこった」

 

「そうなんだ……上手くいくといいねヒュンケル!」

 

「ああ、必ず治してみせる」

 

頷くヒュンケルにダイも笑顔で応える

 

「決まってんのはそんだけだ、今日の予定は俺とヒュンケル以外で決めてくれ」

 

「わかった、皆行きたい所とかあるの?」

 

「そうね……昨日聞いた中にあった「香霖堂」って道具屋が私は気になったかしら」

 

「俺は鬼が住んでいる旧都と呼ばれる場所だな、知り合いが居るかもしれん」

 

「勇儀姉さんですね」

 

「俺はその妖精の話を聞いてないけど楽しみっつーかちょっとだけ気になる場所はある、ピクニックだかやってたって言ってた太陽の畑だ、持主がヤバイ奴なんだろ?怖いもの見たさってやつだな」

 

「おいヒムやめとけ、つーかマジでやめてくれ、大妖精も外来人だけで行くのは絶対やめた方が良いって言ってたくらいだし下手に拗れてレミリアに迷惑かけるわけにゃいかねぇんだしよ」

 

「ちぇ、わかったよ……隊長は?」

 

「ボクは月の都って所に行ってみたいな」

 

「無理だろいくらなんでもそりゃ……いや?時を止める能力があるくらいだからワープみたいな能力もあるかもしんねぇな……ついでにレミリアに聞いといてやるよチウ」

 

「本当!?頼んだポップ!」

 

「俺は……」

 

「ラーハルトは言わなくていい、言う事はわかってっからよ」

 

「……」

 

だらだら食べていたポップが食べ終わりたらたら食器を返却しに行く

 

「結局どうすんだ~?」

 

「香霖堂と旧都に行くので良いんじゃない?」

 

「そうするか……ダイもそれでいいか?」

 

「うん、オレもそれでいいよ!」

 

急いで食べ終えたダイも食器を片付ける

 

「うーし、決まったみてぇだから俺とヒュンケルは行くからな~合流出来そうならそっちに行くからよろしく、なんか伝言ある時は宿の主人に言っとくから聞いてくれ……おっさん頼んだぜ」

 

「ああ、任せろ」

 

「よしヒュンケル行くか、時間あるし歩いて行かねぇか?」

 

「……?それは構わんが……」

 

一足先にポップとヒュンケルが宿屋を出ていく

 

「私達はもう準備出来てるからダイも準備して行きましょう」

 

「わかった!ちょっと待ってて!」

 

ダイが準備をした後、6人は宿屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

「ちょっと主人に聞いてくるから待っててくれ」

 

一行が出て行き少し経った頃、宿屋に三人の男女が訪れた

 

「ダメだぜ、さっき全員出て行ったってよ、行先は知らないってさ」

 

「遅かったか……お前が寝坊したせいだな魔理沙」

 

「うるせーアホ妹紅!仕方ねぇだろ、昨日二日酔いで飛び回って死ぬ程疲れたんだからよ」

 

「10時間くらい寝てよく言うよ、普段どんだけテキトーかよーくわかるよ」

 

「は?……カチンと来たぜ……お前ロランと暮らすようになってちーっとお淑やかになったからって調子ノッてんじゃねぇぜ?あ?竹林ホームレスがよ?泣かすぞ?」

 

「あ?……イラッと来たな……てめーの無能棚上げして寝言こいてんじゃねぇよチンピラが、素直に謝れねぇのかクソババァ」

 

「てめーの方が歳上だろうがボケナス、数も数えらんねぇのかよこのクソバカはよ?呆れたぜ」

 

「……やんのかコラァ!」

 

「上等だコラッ!外に出ろや」

 

いがみ合いながら里の外へ二人は向かう

 

「まぁまぁ二人とも落ち着いて……」

 

ロランがなだめようとするも全く効果は無い

 

(あーもうまただよ、仲が良い証拠だけどさ……)

 

勇者の末裔だろうと止められないのが幻想郷の頂点

 

(やらせとくしかないか、頂点の喧嘩は名物みたいになってるし……団子でも食べに行くかな)

 

呆れながらロランは歩いて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館-

 

「おはよー美鈴!ミスト!」

 

「おはようございます!」

 

チルノと大妖精は門番の二人に挨拶をする

 

「はいおはようございます」

 

「うむ」

 

顔パスの二人は門を通り入口に向かう

 

「おや、おはようございますチルノさん、大妖精さん」

 

中へ入るとウォルターが迎え挨拶を交わす

 

「今バーン様にお客様が来ておりますのでお静かにお願いしますね」

 

「そうなの?誰が来てんの?」

 

「ロン・ベルク様です」

 

「ふーん……わかったわ!」

 

二人は図書館へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で?何の話があるんだポップ?」

 

紅魔館へ向かいしばらく歩いた時にヒュンケルが問う

 

「ルーラを使えばすぐなのにわざわざ徒歩を提案するんだ、それなりの理由があるんだろう?」

 

「まぁ……な」

 

頬を搔きながらポップは答える

 

「……ダイの事か?」

 

「ああ……どう思う?」

 

「……幻想郷に来てダイは更に不安定になった……バーンに再会してからだ」

 

「やっぱりお前もそう思うよな……正直言うとよ、もうヤバイんじゃねぇかって思ってんだ俺はよ」

 

「……」

 

「お前だって感じてるだろ?もう俺達がどうにか出来るレベルなんざ通り越してるって事はよ?俺達の世界にしろダイの事にしろよ」

 

「……確かにな、もう俺にはどうすればいいか見当もつかん」

 

迫害をする人間、その恐ろしさは竜の騎士を信仰するテランを滅ぼしかけた程であり各国が保護しなければ僅か数十人の人口の国とは言え暴徒に滅ぼされていたのは間違いない

 

そして世界の負を一身に受けるダイへの救済

 

その問題は一個人には大き過ぎどうすればいいか糸口すらいまだ見つからない

 

 

「なぁヒュンケル……俺はよ、この幻想郷に来てから考えてた事があんだよ」

 

「何をだ?」

 

ポップは間を置き意を決した様に言葉を紡ぐ

 

「ダイをよ、幻想郷に住ませれねぇかな……って」

 

ダイをあの地獄から差別も迫害も無い幻想郷に住まわせる

 

そんな事をポップは考えていた

 

「あいつには絶対その方が良いに決まってんだ、このまま帰ったらあいつの心は死んじまう……だったらこの幻想郷で……俺がレミリアに頼んでみるからよ、そりゃバーンが居るのは不安要素でもあるけどそれでも向こうに比べりゃ……いつでも会えるようにそれもレミリアに頼んでよ、俺も残ってもいいしよ」

 

感情的になり早口で捲し立てる様に考えを述べるポップをヒュンケルは話し終わるまで黙って聞いた

 

「……お前の考えはわかった、どれだけダイを想っているのかもな」

 

ヒュンケルは言う

 

「元の世界を改善する目処が立たん以上、俺も現状それがダイにとって最善だろうと思う、問題が解決するまで幻想郷で預かってもらい解決が無理ならば移住させる、なんとも情けない話ではあるがな」

 

「……ありがとよヒュンケル、そう言ってくれて良かったぜ」

 

同意を得られて安堵するポップだが難しい顔をする

 

「つってもまだ希望の段階だ、レミリアが許可してくれるとは限らねぇし仮に許可してくれたとしてダイが残ってくれるとも限らねぇからな」

 

「ああ、だがダイがどうするかは別として許可を得ておくのは問題ないだろう」

 

「そういうこったな、悪い時間取らせた、行こうぜ!お前の滞在もお願いしなくちゃなんねぇからな」

 

「頼むぞポップ」

 

「任せとけ!……話は終わったからルーラで行くか?」

 

ポップが移動呪文の使用を提案した時、遠くで大きな音が鳴った

 

「何だぁ今の音?爆発みたいだったけどよ?」

 

「わからん、戦闘音か?聞こえた方角は里の方角だったが……」

 

それは魔理沙と妹紅が喧嘩している音だったのだが二人が知る筈が無い

 

「結構な爆発っぽいぞ?ここまで聞こえるくらいだ、何かヤベェ事起きてんじゃ?」

 

「かもな……皆が巻き込まれてないか心配だな」

 

「レミリアが保証してくれてるしそれは大丈夫なんじゃねぇか?あーでも太陽の畑のヤバイ妖怪みたいなのだったら保証しきれねぇかもしんねぇな」

 

「どうする?戻るか?」

 

「そうだな、心配だから一応確認だけしとくか」

 

「わかった」

 

二人は行先を里へ変えルーラで飛んで行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館・図書館-

 

「では俺はこのまま永遠亭に行って話を通しておく」

 

「……気は進まんが余に断る道理が無い以上致し方無かろう、面倒にならぬようにだけしろ」

 

「わかっている、そこは上手くやるよう言っておく……代金はしっかり払えよ」

 

ロンはバーンに釘を刺して図書館を出て行こうとすると大妖精とチルノに鉢合う

 

「あ!おはようございますロン・ベルクさん!もう帰るんですか?」

 

「よう大妖精、チルノ、用事があってな……また今度遊んでやる」

 

「あんたいっつもそう言って遊んでくれないじゃん!」

 

「そうだったか?まぁ……いつかそのうちな」

 

妖精二人を適当にあしらいロンは図書館を出て行った

 

「おはようございますバーンさん!」

 

「バーンおはよー!」

 

バーンへ飛び付く二人

 

「バーンだけ?」

 

「パチュリーとルナが奥で魔法の稽古をしている、レミリアとフランはまだ寝ているな」

 

「まだ寝てんの?あたいが起こしてくる!」

 

「起こすのはフランだけにしろ、レミリアは寝かしといてやるがいい」

 

「わかったわ!」

 

チルノはフランを叩き起こしに飛んでいく

 

「……」

 

「どうした大妖精?」

 

「いえ、あの……バーンさん、ちょっと苦しそうだなって思って……」

 

「……わかるか」

 

「わかりますよ……友達ですから」

 

「……そうか」

 

平静を装っても容易く見抜かれた事でやはり友に隠し事は出来ぬものかとバーンは苦笑する

 

「相談……乗りますよ?」

 

心配気にバーンを見る大妖精

 

(そうだ、そうだな……余が一人でいくら考えても出口無き思考の迷路を彷徨うだけ……ならばそんな時に誰かに頼るのも悪い事ではない、か……)

 

持て余す感情に終わりが無い事を悟ったバーンは意を決する

 

「ならば頼まれてくれるか大妖精?」

 

「はい!何でもしますよ!」

 

「フッ……頼もしいな、では魔理沙と妹紅を連れて来て欲しい、皆で話をしたい」

 

「わかりました!よーし行ってきます!」

 

バーンに頼まれたのが嬉しい大妖精は元気に返事をすると気合いを入れて飛んで行った

 

「……まさか」

 

見送ったバーンは一人呟く

 

「これ程悩む事になろうとは、な……」

 

幻想郷に来る前では考えられなかった事に虚空を見つめた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、また爆発音だ」

 

香霖堂を目指すダイ達6人も喧嘩の音は聞こえていた

 

「これ大丈夫なの?里が誰かに襲われているとか考えられない?」

 

「今までの幻想郷の話を聞く限りではそれは考えにくいが……俺達の他に外来人が来ていればその可能性もあるにはあるか」

 

「香霖堂ってところはもう着くんだろ?どうすんだ?戻んのか?」

 

「気になるし戻る?本当に襲われてたら大変だし」

 

「そうね、一旦そうしましょうか」

 

最悪を考えて里に戻ろうと踵を返す6人

 

「大丈夫、アレは気にしなくていいよ」

 

後ろから声を掛けられた

 

「貴方は?」

 

「僕は森近霖之助、香霖堂の店主だ、よろしく……驚かせて悪かったね、またいつものかと外に出たら人の気配を感じてお客さんかなと見に来たんだ」

 

霖之助は軽い会釈をして笑顔を作る

 

「えっと森近さんよ?またいつものかって言ってたけどアレが何か知ってんのか?」

 

「そうだね、アレはただの喧嘩だよ、幻想郷の頂点の、って符号が付く喧嘩なだけさ、ちょっとした名物でもあるね、害は無いから心配しなくていい」

 

「何だそりゃ、心配して損したぜ」

 

真相を知って肩を竦めた一行は改めて霖之助に向かい合う

 

「君達が件の外来人だろう?話は聞いてるよ、今日は僕の店に来てくれたのかな?」

 

「あ、そうなんです、珍しい物が沢山あるって聞いて」

 

「それは嬉しいね、では案内するよ」

 

霖之助についていくと店にすぐ着いた

 

「お客さんだよアリス、噂の外来人だ」

 

先に入った霖之助が中の女性に声をかける

 

「お邪魔しまーす」

 

「いらっしゃい」

 

一行も次いで入るとカウンターに腰掛けた霖之助と人形を抱いた女性アリス・マーガトロイドが出迎える

 

「いらっしゃい、ここは道具屋だよ、ゆっくり見ていくといい、何ならお茶でも出すよ」

 

「ありがとうございます」

 

マァムが礼を言って各々商品を見始める

 

「スゴーイ!珍しいモノばっかりだー!」

 

自分達の世界では見た事の無い物ばかりの店内に皆のテンションが上がる

 

「これなんだろ?楽器?」

 

「それは不思議なタンバリン、用途は聞いた者の闘争心を奮い立たせる音を出すんだ、テンションを上げると威力が上がるみたいだよ」

 

「へぇ~」

 

テンションの重要性を知らないダイは不思議なタンバリンをそっと戻した

 

「お?武道家用の武器があるぞマァム!」

 

「本当ねヒム、クローが付いた手甲ね」

 

「これなら俺も装備出来そうだな、森近さんよ!これって買えるのか?」

 

「買えるけどやめといた方がいいよ、それは黄金のツメと言って呪われた武器なんだ、装備したら外せないし2歩歩く毎に襲われるようになる……これ前にも誰かに言った気がするな」

 

「うげぇ!?呪われてんのかよ!冗談じゃねぇ!そんなもん置いとくなよな……」

 

「私も遠慮しとくわ……私には魔甲拳があるし」

 

ショーケースに封印されている黄金のツメから二人はそっと目を逸らした

 

「あ!格好良い腕輪がありますよ先代!」

 

「本当だなチウ、何やら禍々しいが……」

 

「それは帝王の腕輪……であってるわよね霖之助?効果は確かダメージが2倍になる、だった筈よ」

 

「何それスゴイ!これ買うよ!いくら?」

 

「値段はえーと……霖之助?」

 

「値段は幻想郷通貨で1000万、ゴールドでも1000万かな」

 

1000万とは現在の価値に換算して一億である

 

「高過ぎー!」

 

「効果を考えれば当然だよ、とても希少な品だろうしね」

 

「諦めるしかないなチウ、さすがにそんな大金は用意出来ん」

 

「はーい……」

 

チウは渋々帝王の腕輪を諦めた

 

 

 

「面白いなぁ、ポップとヒュンケルに悪いくらいだ」

 

物珍しい店内をダイはラーハルトと眺めながら歩く

 

「……!」

 

ふと霖之助が座るカウンターの背にある棚に目が行った時に気付き、止まった

 

「アレって……砕けたんじゃ……?」

 

とても気になる物を見つけたからだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-人間の里から少し離れた平野-

 

「オラララララ……オラァ!」

 

魔理沙の弾幕からのマスタースパーク

 

「ちっ!?」

 

妹紅がマスタースパークを炎翼で受けて爆発する

 

「あ"ーくそっ!ちょっとイテェじゃねぇか!」

 

吹っ飛ばされた妹紅が魔理沙を睨む

 

「けっ!私のマスパをちょっと痛いで済ませて何言ってやがる!生意気な奴だぜテメーはよぉ!」

 

「テメーの方が生意気だろ!こんなクソ重い攻撃簡単にバカスカ撃ちやがって脳筋ヤローがよぉ!」

 

罵り合いながら攻防は続いている

 

「またあの二人かー」

 

「たまにはパチュリーとかレミリアとか見たいよなー」

 

「あの二人とチルノとフランは結構見るもんねー、その二人はレアだから滅多に見れないからねー、あ、大妖精もレアだよねー」

 

「バーンは超激レアだよなー」

 

里の物見台から見物人達が楽しそうに見ている

 

「そろそろ本気で行くぜ妹紅テメコラァー!」

 

「かかってこいや魔理沙ァー!」

 

二人の本格的な喧嘩が始まろうとしている

 

「おーいお前等かー!暴れてんのはよー!」

 

そこに事情を知らないポップとヒュンケルが現れた

 

「あぁ?誰だあいつ等?危ないから離れとけー!」

 

「あん?いや……待て待て妹紅!あいつ等じゃねぇかバーンを倒した奴等ってよ!」

 

魔理沙が気付いて喧嘩は中断された

 

「……確かに見た事無い外来人だな、私達の事情を知らずに首突っ込んでくる辺り腕に自信がある証拠だろうし当たりっぽいな」

 

「ハッハッハ!怪我の巧妙ってヤツだぜ、感謝しろよ妹紅!」

 

「抜かしてろアホ!行くぞ!」

 

二人の元へ飛んでいく

 

「いやー悪い!誤解させちまったみたいだな、ただの喧嘩だからよ怒んないでくれ」

 

「喧嘩だぁ?殺し合いじゃなくて?」

 

喧嘩のレベルじゃないだろと信じられない顔でポップは二人を見る

 

「ああ、なぁ妹紅!」

 

「そうそう!幻想郷じゃ普通の事さ!」

 

(……マジっぽいな)

 

わかりやすく肩を組んで仲の良さをアピールする二人を見て本当に喧嘩なんだと信じた

 

「ところでよ、お前等だよな?バーンを倒した外来人ってよ?」

 

「ああ……まぁ……そうだ……な」

 

「やっぱそうだよなー!ようやく会えたぜー!あ、私は霧雨魔理沙だ、こっちは藤原妹紅、よろしくだぜ!」

 

「あ、ああ……俺はポップだ、こっちはヒュンケル、よろしく……!?」

 

ポップは名を聞いて気付いた

 

「霧雨魔理沙って……頂点のか?」

 

白蓮から聞かされた名だった事を

 

「お!知ってたのか!そうだぜ!私が魔女の二天の一人「大魔導士」の霧雨魔理沙様だぜ!ちなみにこいつも頂点だ、「皇帝不死鳥」なんて言われてるぜ」

 

「マジかよ……」

 

ポップとヒュンケルは驚く他なかった

 

(襲撃と誤解するレベルの喧嘩は頂点だからだったという事か……)

 

見ただけでわかる明らかな強さ、歴戦の古強者を思わせるオーラを似合わぬ女性から感じ取る

 

「大魔導士……」

 

その名を聞くとは思っていなかったポップは少し呆気に取られながらも魔理沙を見ている

 

(……スゲェ、ものスゲェ力強い魔力を感じる、白蓮さんが言ってたのは誇張なんかじゃなかった……)

 

疑っていた訳ではないが身内贔屓は入っているだろうと思っていたポップの考えは見事に砕かれていた

 

身震いする程の魔法使いが目の前に居たのだから

 

「ん~ほうほう……?へぇ!お前さんも随分鍛えてんなー!見たとこ二十歳くらいだろ?若いのに大したもんだぜ!やるなぁお前!」

 

魔理沙もポップを直に見て感心していた

 

(隠してんのも余裕で見抜かれてんな……本物だこいつは)

 

頂点の魔法使いの凄味を間近に感じ嬉しくなる

 

「ありがとよ……光栄だぜ霧雨さんよ」

 

「よせよせ、霧雨さんなんて痒くなっちまう、魔理沙でいいぜ!私もポップって呼ぶからよ!」

 

「わかった、よろしくな魔理沙」

 

「おう!よろしくなポップ!ヒュンケル!」

 

魔理沙の親しみ易さに二人も警戒心が解かれ顔が綻ぶ

 

「そうだ、昨日私の娘に昼食ご馳走してくれたんだよな?ありがとうな」

 

「娘?もしかしてあんたがルナちゃんが言ってたお母さんなのか?」

 

「そうだよ、お礼言おうと思ってさっき宿屋に行ったけど遅かってね」

 

「そうだったのか……でも気にしないでくれ、レミリアに貰った金だったし俺達も助かったからよ」

 

「そんな訳にいくかよ、何か礼はさせてくれ」

 

「って言われてもな……そうだ!俺達今からレミリアにお願いしに行くんだけど協力してくれないか?」

 

「いいよ、何お願いするんだ?」

 

ポップはヒュンケルの事情とダイの事情は隠して説明する

 

「わかった、レミリアがダメだったら私が面倒みてやるよ」

 

「簡単に言うけど良いのかよ?」

 

「一人や二人くらいならどうにでもなるよ、こう見えて私は結構里に融通利くし頼りになる友達もいるからな」

 

「そうなのか、じゃあ……その時は頼む」

 

「任せとけ!」

 

妹紅の協力が約束された時に遠くで声が聞こえた

 

「妹紅さーん!魔理沙さーん!」

 

二人を探していた大妖精だった、わかりやすく喧嘩していたのを紅魔館からでも確認出来ていた為真っ直ぐ来れていたのだ

 

「おはよう大妖精!どうした?」

 

「おはようございます!……あ、ポップさんとヒュンケルさんも居る!おはようございます!昨日はご馳走様でした!」

 

「おうおはよう」

 

二人への挨拶も程々に大妖精は妹紅と魔理沙へ言う

 

「バーンさんが呼んでるので来てくれますか?」

 

それを聞いてポップとヒュンケルに緊張が走る

 

(いや……何でも陰謀に結びつけちゃいけねぇな)

 

一瞬自分達に何かよからぬ事をする為じゃないのかと勘繰ってしまい内心否定する

 

まだ曖昧な印象故に悪い方へ考え身構えてしまい、自制した

 

「バーンが?わかった、紅魔館に行く予定が出来たしちょうど良い」

 

二人も了承しポップとヒュンケルへ向き直る

 

「行こうぜ」

 

「ならルーラで行こうぜ、掴まれよ」

 

「お?便利な呪文持ってんのなお前、私もパチュリーも持ってねぇんだよなぁ、やるな~」

 

五人はルーラで紅魔館へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-香霖堂-

 

「あの、森近さん……アレ見せてくれないかな?」

 

「ん?コレかい?」

 

霖之助が棚から取り出すのに気付いた皆も気になって見に来る

 

「やっぱりだ……これシャハルの鏡だ」

 

シャハルの鏡

 

ハドラー親衛騎団の一人、シグマが持っていた伝説級の装備、魔法を反射させる事が可能でバーンとの決戦時に最後の決め手になって砕けた盾である

 

「ほぉ、これがポップが使った盾か」

 

当時目を怪我して見れていなかったラーハルトはまじまじと見ている

 

「どういう事だ?あの時壊れた筈ではなかったのか?」

 

「そうよね、複数存在していたって事かしら?」

 

不思議にシャハルの鏡を見ていると霖之助も不思議そうに聞く

 

「確かにそれはシャハルの鏡だけど知っているのかい?」

 

「うん、オレ達が知ってるのは壊れちゃったんだ」

 

「ああ成程、そういう事か……君達が知ってるのはバーンが壊したんじゃないかい?」

 

「そうだよ、どうして知ってるの?」

 

「それはねバーンが作った模倣品だからさ、オリジナルはバーンが砕いたと言っていた、君達が知っているのはオリジナルの方という事さ」

 

「バーンが作った……?」

 

模倣とは思えない精巧な作りよりもバーンが作ったという事実に驚く

 

「何で……作ったの?」

 

「その昔にね、幻想郷が滅ぶかもしれない時に僕の店の商品を使ったんだ、これはその穴埋めと言ってバーンがくれたんだよ、申し訳ないがこれはバーンとの親愛の証で非売品にしてる、いくら積まれても譲らないよ」

 

「そうなん、だ……」

 

ダイはシャハルの鏡を見つめて固まっている

 

シャハルの鏡が非売品な事に残念がっているのではない

 

(バーンが贈って……親愛の証として大事にしている……)

 

幻想郷の皆と上手くやっている事実を目の当たりにしてまた心がざわついたのだ

 

(どうして……あいつばっかり……)

 

事ある毎に滲み、揺られる感情

 

積もり続ける卑しい想いが負に繋がり苦しめる

 

「……!」

 

これではまた皆に迷惑を掛けるとダイは気付く

 

「ありがとう森近さん、大事にしてね」

 

無理矢理にでも作った笑顔でその場を繕った

 

 

 

「面白かったわね、そろそろ旧都に行く?」

 

「そうするか?だが何も買わないのはさすがに失礼だろう」

 

「ああ別に気にしないでくれ、この店は趣味みたいなものだから売上なんて気にしてない、冷やかしでも全然構わないよ」

 

「そういうわけにはいかん、そうだな……これから行く旧都で鬼の知人に合うかもしれんから何か土産になるような物があれば欲しい」

 

「なら酒だね、鬼に人気のこの「鬼殺し」なんてどうかな?」

 

「矛盾していないか?」

 

「はは、そうだね!鬼をも殺せると言うくらい強い酒なんだけど実際は喜ぶだけさ、殺せるくらいの強さが丁度良いらしいよ」

 

「ふっ、わからんでもないか……ではそれを貰おう」

 

「毎度あり」

 

一行は香霖堂をあとにし旧都へ向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-紅魔館-

 

「御到着だぜ」

 

「楽で良いぜ!へへっ!」

 

門の前に降り立つ5人を美鈴が迎える

 

「あれ?妹紅さんと魔理沙は聞いてますけどこの御二人はどうしたんです?」

 

「レミリアに会いたいんだってさ、取り次いで貰えるか?」

 

「はいはいわかりました、では御一緒にどうぞ~」

 

美鈴に着いていく5人

 

「待て」

 

ミストが遮る、無論止めるのはポップとヒュンケル

 

「危険だ、入らせる訳にはいかん」

 

「もーいつまで言ってるんですかミスト!お嬢様を怒らせちゃいますよ?」

 

「それでもだ、私はバーン様を守る義務がある」

 

レミリアが許可したとて譲れぬ事もある、主を危険から遠ざけるのはミストからすれば当然の事だ

 

「頑固ですねホント、困りましたね……」

 

このままだと絶対通さないだろう事を知る美鈴と頂点の3人が困った顔をした

 

「……あー、じゃあよ?こうしたら良いか?」

 

ポップがヒュンケルに合図をすると2人は持っていた武器と防具と道具を全てミストに渡す

 

「どうだよ?これで通してくんねぇか?」

 

武装放棄し戦う意思が無いとこれ以上無く見せた

 

「……」

 

「まだ疑ってんのかよ……あー俺の魔法か?だったらちょっと待て、向こうで魔法力空にしてくるからよ」

 

「……」

 

睨むミストを尻目に紅魔館から離れようとするポップ

 

「おーいもう良いだろミスト?わかるけどやり過ぎだぜ」

 

「なんかあったら私達が何とかするから許してやってくれ」

 

「お願いしますミストさん……」

 

「……」

 

魔理沙と妹紅と大妖精に願われ

 

「……良いだろう、行け」

 

ようやくミストは折れた

 

「すみませんね本当に」

 

「いや、門番としては奴が正しい……謝る必要は無い」

 

「じゃあ行くか……あ、ロラン忘れてた……まぁいっか」

 

 

紅魔館へ入って行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤバイ……遅くなるし進まないしで嫌になる。

ダイジェストみたいにはしたくないから各シーン書いてたら増えるんだよなぁ……だから進まないんだよなぁ……でも適当にはしたくないから難しい……

申し訳ないですが大きく動くとか言って動きませんでした、次話まで!次話までお待ちください!

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