東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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-外伝- 逆襲のS

 

 

これは神話を越えたの先の話

 

伝記には記されなかった口承、幻想郷の忌むべき事件の全容である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴオォォォォォ……!!

 

 

 

 

 

吹き荒ぶ風が轟音をあげている

 

 

「なんであんな物を博麗神社に落とすの!?」

 

 

幻想郷の遥か上空で霊夢が叫ぶ

 

 

「あんなの落ちたら賽銭箱どころか神社が無くなって私が住めなくなるのよ!?わかってんの!!?」

 

 

弾幕を撃ち合いながら相手である緑髪の少女に怒鳴る

 

 

「守矢神社が持たない時が来ているんですよ霊夢さん!!」

 

 

荒ぶる奇跡の力をその身に宿す守矢の風祝

 

 

「博麗神社には……ちょっと休んで貰います!!」

 

 

御柱を携え、仲間と共に立ち塞がる

 

 

「御心配なく!博麗大結界は守矢大結界となって幻想郷を見守っていきます!ですから安心して無職になってください無賽銭の霊夢さん!」

 

「早苗ェーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

 

 

二人の更に上空

 

広大な天より更に上、遥かな宇宙から博麗神社に目掛け……巨大な隕石が落ちようとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の始まりは博麗神社のいつもの日常からだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-博麗神社-

 

「ヤメテー!ヤメテクダサーイ!!」

 

靈夢が喚いている

 

「何度言えばわかるの!こんなもの隠し持って!博麗の巫女としてあるまじき事よ!恥を知りなさい!」

 

足にしがみつかれる霊夢が遠ざける様に本を掲げている

 

「イヤァァァァ!早苗さんが書いたバーンさんとロランさんの新作BL本ーーーー!!」

 

宝を捨てられまいと必死に組み付く靈夢

 

「あーもうウルサイ!新作だか珍作だか知らないけど捨てるわ!」

 

「なんでですか!霊夢様だって恥知らずじゃないですか!?いつも賽銭賽銭って!浅まし過ぎて恥ずかしいんですよ!なのになんで私だけなんですか!」

 

「あんた……言ったわね!!」

 

怒った霊夢によって哀れ、BL本は焼き芋を作る火にくべられてしまった

 

「ああああぁぁぁぁ……」

 

燃えていく本を前に崩れ落ちる靈夢

 

「その焼き芋食べたら修行するからね」

 

「……」

 

冷徹に告げて家に戻る霊夢の声に放心状態の靈夢は答える事はなかった

 

 

 

 

 

 

「まーたやられたのかい……酷い奴だなあいつはまったく……」

 

靈夢の横に少年が並ぶ

 

龍神……博麗神社が奉る神であり、神であるのに靈夢の修行仲間、彼もまたボロボロだった、さっきまで修行させられていたらしい

 

「早苗を連れて来たよ」

 

「靈夢ちゃん……」

 

早苗は可哀想な靈夢に優しく抱擁を施す

 

「龍神様……早苗さん……私……もう我慢出来ません」

 

「わかってるよ」

 

既に燃え尽きた本が放つ火を見ながら靈夢は言い、龍神が答える

 

「……今、神奈子と諏訪子は八雲紫と一緒に純狐とヘカーティアの視察に行ってる……やるなら今しか無い」

 

「どうする靈夢ちゃん?」

 

早苗は強い決意を秘めた瞳で靈夢を見つめる

 

「銃は私が構えてあげる、照準も私が定める、弾を弾装にいれ遊底を引き、安全装置も私が外す……だけど殺すのは貴方の殺意、さぁどうする靈夢ちゃん?貴方がやるなら準備は出来てる」

 

「……!」

 

靈夢の瞳に意思が宿り、答えは発せられた

 

「やりましょう……!私達の為に……!」

 

「ああ、やろう……僕等の世界に栄光あれ!」

 

「始めましょう……博麗神社消滅計画を……!」

 

今、虐げられていた者達が立ち上がる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が親愛なる守矢信者及びに早苗信者、そしてBLをこよなく愛する貴腐人達よ……よく集まってくれました」

 

その日の夜、二柱の居ない守矢神社の地下、かつて神奈子がバーンから預かった黒のコアを保管していた地下室を使って秘密裏に集会が行われていた

 

「また……例の悪しき鬼巫女の横暴により、愛が散りました……」

 

 

「クッ……!またか……ふざけやがってぇ!」

 

「ちくしょう!いい加減にしろよあの腋巫女!」

 

「許すまじ博麗霊夢……!愛を焼いた罪、絶対に許さない!」

 

信者の他にも昔に霊夢に退治された事のある妖怪等も含み結構な数が霊夢へ怒りを燃やしている

 

「皆さん……遂に待ちに待った時が来ました!!」

 

「「「!!?」」」

 

その言葉に皆は驚き、予想し、歓喜に震えた

 

「博麗神社を滅します!」

 

「「「うおおおおおおおおッ!!」」」

 

歓声が上がる

 

「博麗神社を抹消して神社を守矢神社だけにします!」

 

「ウオオー!この時を1年待ったぞ!」

 

「私は50年よ!」

 

「俺は115年だ!」

 

皆ヤル気満々、それだけ恨み骨髄だった

 

「皆さんの協力に感謝します!開始日時は2日後……では準備を含めた作戦の概要を話します!よく聞いてください……」

 

反撃の狼煙は挙げられた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・2日後・

 

 

 

-紅魔館・バルコニー-

 

「紅茶をお持ちしました」

 

咲夜とウォルターが人数分の紅茶と菓子を並べる

 

「それで……珍しくわざわざ出向いて来たお前の用件はなんだ?」

 

紅茶を手にしたバーンが問うた

 

「あーうん……まぁ……相談って言うか質問って言うか……」

 

事件の原因である霊夢は紅魔館に来ていた

 

「歯切れ悪いわね、さっさと言いなさい」

 

バーンの横のレミリアが促す

 

「……私ってそんなに厳しかったりする?」

 

霊夢は恐る恐る聞いてみた

 

「……」

 

「……」

 

バーンとレミリアは表情を曇らせた

 

「え……?何よバーン、そんな「何を今更……」みたいな顔で……レミリアあんたも何で「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」みたいな顔すんのよ」

 

その反応に二人は顔を見合わせる

 

「……故意だと思っていたが無自覚だったか」

 

「みたいね……呆れた」

 

「何……?何なのよ……?」

 

二人の反応が予想外の霊夢

 

「では答えてやろう、ハッキリ言って厳しいと言う言葉すら生温い……お前は靈夢とついでに龍神に親でも殺されたのか?」

 

「!?」

 

霊夢に衝撃走る

 

「それに貴方えらく評判が悪いのよ?まぁ昔から異変が起きたら関係有ろうが無かろうが手当たり次第退治してるから好き嫌いが両極端なのはわかってるけど」

 

「!?」

 

更に走る

 

「ここに相談が来たのは一度や二度ではない、余やレミリアに大金を出して退治してくれと言われた事も何度か有る……聞けば昔に疑わしいからと言う理由で問答無用で退治されたらしい、嫌う者達からはお前は「紅白の通り魔」と呼ばれているようだ」

 

「!?」

 

まだ走る

 

「何か弁明は有るかしら?」

 

「それ……は……」

 

ダメージを負った霊夢は怯みながら答える

 

「靈夢は当代の博麗の巫女だから恥じない様に鍛えないといけないから……」

 

「で、血反吐を吐かせているのか」

 

「昔に何もしてなかったから取り戻そうとしただけよ、儷奈との約束だったし……」

 

「才能が無いと知っていてか?霊夢よ……修行とは各々に合った方法を取らねばならぬ、厳しければ良いモノでは断じてない、才能が無いなら無いなりの方法を考えるのが師であるお前の役目だ、靈夢にしているアレはただの拷問だ」

 

「……」

 

「それにお前は靈夢の嗜好品を捨てるそうではないか」

 

「あれは……!博麗の巫女として品位を持って欲しくて……」

 

「弟子とは言え人の趣味にまで干渉する権利は無い筈だ、違うか?それと品位に関してはお前が言えた事では無い、賽銭賽銭とそれしか言えぬ守銭奴のごときお前にはな」

 

「うぐ……」

 

口舌の刃が抉り込んでくる

 

「貴方って常識が有る様で無いわよね、まっそこはあまり私が言えた事ではないけれど」

 

「ぐふっ……」

 

精神ダメージを受け過ぎて霊夢は項垂れた

 

 

 

「認めるわ……私が悪かった」

 

ハッキリと告げられ霊夢は非を認めた

 

「素直でよろしい、怒ったりしたらお帰りいただくところだったわ、よかったわね」

 

「それで……どうしたら良いかしら?今まで失敗してた私が考えてもダメと思うから何かアドバイスくれない?」

 

「そうね、その殊勝な態度に免じてあげましょうか……靈夢に関してはパチェと美鈴をコーチとして派遣してあげる、二人とも弟子と良好な関係を築いてるしちゃんと成長させてる実績があるからね、巫女は専門外だけど貴方よりは絶対にマシよ」

 

「お願いするわ……」

 

「それと博麗の巫女として品位を持ってもらいたいのはわかるけど捨てたりするのは横暴が過ぎるただの老害って理解したわね?」

 

「ええ……」

 

「靈夢の趣味を理解しろとまでは言わないけど認めてあげてその上で折衷案を出しなさい、好きにしたら良いけど見えないとこでやれ、みたいなね」

 

「わかったわ……」

 

 

「評判の方はお前の話だ、好きにしろ、まぁ敢えて言えば賽銭賽銭と言わなくなるだけでかなりマシになると思うぞ……そうなるとお前の個性が無くなるがな」

 

「……前向きに検討してみるわ」

 

「励むがよい」

 

そうして霊夢の相談事は終わりを迎えた

 

「助かったわ……じゃあ早速帰って靈夢に……」

 

「……待て霊夢」

 

霊夢が帰ろうとした時、バーンが制止した

 

「……遥かな天より力を感じる、行き先は博麗神社だ」

 

「は……?力?」

 

「急いで戻った方が良いかもしれぬぞ」

 

「わ、わかったわ!」

 

飛び出していく霊夢

 

 

「……大丈夫なの?」

 

「おそらくはな、感じた力……アレは神の力、奇跡だ、神の力を博麗神社に向ける者など一人しか居らぬからな……大した事ではなかろう」

 

「ああ、そういう事……だけどさっきの話を聞いてからすぐだし今二柱と紫は幻想郷に居ないんでしょ?制止役が居ないこのタイミング……本当に大丈夫?」

 

「……確かにな、歯止めが無くなっているやもしれんか……遊びに来ている魔理沙等に様子を見てくるよう頼んでみるか、あやつ等は好きそうだしな……いざとなれば余が出向こう、これで心配はあるまい」

 

「わかったわ、咲夜!ウォルター!図書館に居るあいつ等に伝えて来て!」

 

極めて冷静に二人は紅茶を飲みながら博麗神社の方角を眺める……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-博麗神社-

 

「ホントに空から何か来てるわね……靈夢も龍神も何やってんのよ!気付かなかったの!?」

 

霊夢は二人を探すが見つからない

 

(今修行中の筈なのに……どういう事?サボってるの?)

 

疑問に思いながらも空を見上げ浮かび上がる

 

(まぁいいわ、今はアレをどうにかする方が先ね……ったく何だってのよ!)

 

向かってくるモノへ向かって飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!?」

 

かなりの高度を上がり、雲を突き抜けた時、それは遠目に見えた

 

「隕石……?」

 

巨大な岩が落ちて来ていたのだ、大きさは丁度博麗神社を山ごと更地に変えれる程

 

(冗談じゃないわ!あんなの落とさせるわけにはいかない!)

 

弾幕を隕石に放つ

 

「……嘘……」

 

だがなんと弾幕は隕石に弾かれてしまった

 

(どういう事?あれくらいの隕石破壊出来ないわけが……)

 

わけがわからないが焦る霊夢

 

 

「無駄ですよ、あの隕石には奇跡の加護を施してるので簡単には壊せません」

 

 

振り向いた霊夢は驚愕する

 

「早苗!?」

 

「やはり来ましたか……霊夢さん」

 

悟りを開いた様な早苗がそこに居た

 

「あんたの仕業なの!?何の真似よ!!」

 

「何って……凄いでしょう?この日の為に10年前から密かに貯めた奇跡の力……その名も!大奇跡「アクシズ」!!ガンダム知ってます?知らないか!フフフッ!」

 

得意気に嬉々として語る早苗

 

「ふざけんじゃないわよ!10年も貯めた奇跡をくだらない事に使って!何でソルに使わなかったのよ!?」

 

「……ぁ」

 

早苗がその発想は無かった様な顔をした

 

博麗神社消滅の為にしか貯めていなかったから戦争の時は完全に忘れていたのだ

 

もっとも使っていたところでソルには勝てなかっただろうが使い方を考えれば幻想郷を有利に出来た事は間違いない

 

「まぁそれは置いといて……くだらなくなんてありませんよ」

 

キリッ!っと早苗は告げる

 

「博麗神社が目障りなんです、博麗神社が有るから守矢神社に信仰が集まらない、大結界と言う存在が有るから博麗神社は在り続ける……つまり目の上のたんこぶなわけです、ですからこぶとり早苗ちゃんなんです!」

 

「後から来たあんた達が何言ってんのよ!」

 

「こんな言葉をご存知ですか?「勝てば官軍、負ければ賊軍」国が新興勢力に倒されるなんて良くある話ですよね?」

 

「早苗……あんた……!」

 

「まぁこれは建前みたいなものです、守矢信者と早苗信者を納得させる為のね……本当の理由は霊夢さん、貴方を許せないからです!」

 

「はぁ?私ぃ?」

 

「そうです、貴方は私の書いたBL本を何度も!何度も滅した!更に私のBL本をこよなく愛してくれてる可愛い妹分の靈夢ちゃんをいつも虐めている!もうとっくに早苗裁判で有罪(ギルティ)!泣いて謝っても許されません!!」

 

「……ッ!?」

 

霊夢は今更ながらかなり後悔していた

 

(まさか今までの行いがこんな事態を招くなんて……でもこれを育てたのは私の業……気付くのが遅かった……!?)

 

悔しいが今はそれどころではない

 

「だからって……!なんであんな物を博麗神社に落とすの!?」

 

止める事が先決だから邪魔をするだろう早苗に攻撃を仕掛ける

 

 

 

「私、東風谷早苗が粛清しようと言うんですよ霊夢さん!!」

 

 

「早苗ェーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

Sanae's CounterAttack

 

逆襲の早苗の幕が挙がる……

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこを退きなさい早苗!痛い目見るわよ!」

 

「やってみろ!この早苗に対して!勝てると思うな……小僧ォォォ!!」

 

苛烈な弾幕戦が繰り広げられている

 

「誰が小僧だ!神技「八方鬼縛陣」!!」

 

「何の!秘法「九字刺し」!!」

 

相克する力が弾け飛ぶ

 

「クッ……」

 

霊夢の表情は優れない

 

(10年分の奇跡による強化がここまでなんてね……隕石にも使ってる筈なのにまさか私とまともにやり合えるなんて……)

 

改めてこれをソルとの戦いの時に使っていればと思わずにはいられない程の強さ

 

「どうしましたか?落ちちゃいますよ?隕石?」

 

煽っていくスタイルの現人神・早苗

 

「調子に乗んな!」

 

霊力を全開にする霊夢、一気に早苗を倒すつもりで弾幕を放つ

 

「ぬぬっ!?流石は歴代最強の慈悲無き鬼巫女!これだけ強化した私の上を行きますか!」

 

「さっさと倒させて貰うわよ!」

 

弾幕を掻い潜った霊夢の祓い棒が早苗を捉える

 

 

ズドオッ!

 

 

霊夢を弾幕が撃ち抜いた

 

「ツゥ……このっ!誰よ!?」

 

早苗の弾幕ではないと知った霊夢は横槍を入れて来た新手を睨みつける

 

「私ですよ霊夢様……」

 

「靈夢……!?」

 

「僕も居るよ」

 

「龍神……!?」

 

それは霊夢が虐めていた二人だった

 

「居ないと思ったら……何の真似よ?外したにしては良い当たりどころだったけど?」

 

霊夢はわかっていながら問う、この二人がしたのは早苗の援護であり、そうなる理由もわかっていたから

 

「大当たりですよ……この鬼ッ!!」

 

「ッ……!?」

 

やはりかと苦虫を噛み潰す表情を霊夢は見せる

 

「そういう事さ……もう、お前の支配はうんざりなんだよ霊夢」

 

もう止まらないと意思表示をする様にすかさず弾幕を撃つ龍神

 

「クッ……」

 

呼応して早苗と靈夢も加わった攻撃は霊夢でも防ぐので精一杯、攻撃に転じられず回避しか出来ない

 

(神社に居ないからまさかとは考えてたけど……!これが……報いなのね……)

 

憎悪と嬉々を織り混ぜて攻撃してくる三人の怨念の包囲網

 

「私は結果……だから知る!自ら育てた闇に喰われて貴方は滅ぶとねぇ!」

 

「お前は生きていちゃいけない人間なんだ!消えろ!」

 

「フッフッフ……さぁ霊夢さん!貴方の罪を数えてください!」

 

霊夢の運命やいかに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だぁ?ありゃ隕石か……アレ落とそうとしてんのかよ早苗のアホは」

 

バーンに頼まれて様子を見に来た魔理沙と妹紅と大妖精の三人は霊夢が戦っている場所より離れた所で空を見上げていた

 

ちなみにパチュリーは面倒だからパスしてお昼寝していたフランと偶々来ていたレティとルナとお留守番、ロランは報告にアレフガルドに帰郷中

 

「けど冗談でもやり過ぎだろ!何考えてんだ……考えてないのか?」

 

「です!私、頭に来ました!」

 

「そういや親分は?今日珍しく紅魔館に来なかったけど?」

 

「なんかチルノちゃん用事があるらしいんです、何の用事かは教えてくれませんでしたけど」

 

「ふーん……まぁ親分の事だから大した事じゃないだろ」

 

三人は別段慌てる事なく隕石を見ていた

 

「さっさと片付けて帰ろうぜ」

 

「だな、よし!魔理沙頼んだ!」

 

「任せとけ!何か施されてるみたいだがあんなちっこい隕石なんざ私のマスパで一撃だぜ!」

 

魔理沙は八卦炉を構えて魔力を溜める

 

 

「ちょっと待ったァ!!」

 

 

三人を青い妖精が止めた

 

「あたい!参上!!」

 

チルノが決めポーズを取って現れた!

 

「……親分じゃん、手伝いに来てくれたのか?」

 

「違うわよ!あんた達を邪魔しに来たのよ!!」

 

「はぁ~?」

 

またこのバカはおかしな事を……と呆れる三人を前にチルノは叫ぶ

 

「出てきなさい!あたいの今だけ子分達!」

 

後ろから三人の鬼が姿を現した

 

「あいよ~子分A参上!」

 

「はいよ~子分B参上!」

 

「こ、子分C……参……上……!」

 

萃香と勇儀と華扇の三鬼

 

「お前等までどうしたんだぜ?トチ狂ってチルノのバカ遊びの付き合いか?」

 

「いんや?私等は雇われさね、傭兵ってなもんよ、あの隕石を壊そうとする奴を邪魔しろってね」

 

「華扇は嫌そうだぜ?」

 

「こいつは何となく連れてきたんだよ、嫌って言ってたけど昔の武勇伝広めるぞって言ったら快く協力してくれてね」

 

「知ってるか?脅しって言うんだぜそれ」

 

「そうとも言うかもしれんね」

 

「つかお前わかってんのか?隕石落ちたら大結界も壊れて幻想郷が無くなっちまうんだぜ?」

 

「だねぇ、早苗も本当に落とす気は無いって言ってたけどホントかどうかわかりゃしないしね、だけどんなこたぁどうだって良いのさ!面白そうだからやる!私の行動原理ってのは単純なのさ、幻想郷が無くなっちまったら外で好きに生きるよ」

 

「……バーンが死ぬぜ?」

 

「ああしまった!そうだったね忘れてたよ……じゃあ折衷案だ、ギリギリまでやり合ってまだ戦ってたらそっちに協力する、どうだい?」

 

「チッ……拒否権無いのわかってて言ってやがるぜ」

 

「アハハ!悪いねぇ……んじゃ成立さね、やるとするかい!」

 

「待て萃香、もう1個質問だ、チルノも雇われたのか?」

 

「いんや、こいつは適当にやりくるめられてたよ、遊びだなんだって……かき氷が報酬だったかね確か」

 

「……わかったぜ」

 

戦いは不可避だと知った三人は覚悟を決める

 

「じゃ私はあんただ魔理沙、チルノとやるのはそっちで決めな、残った奴を勇儀と華扇が相手するから、2対1になるけど許しとくれよ?なんたって頂点が相手だからね」

 

「了解だぜ」

 

「あ、そうそう!他に助けを呼んでも無駄だからね、守矢と早苗の信者がこの辺りに防衛線張ってるからね、頂点クラスじゃないとすぐには突破出来ないよ、その抑えに私等が雇われたんだからね、ちなみに正邪とにとりが居るよ」

 

「……用意周到じゃねぇか早苗のヤロー、大魔王はすぐには動かないのを見越して短期決戦かよ……しゃあねぇ!やるぜ妹紅!大妖精!」

 

早苗の策略によって足止めを食らわされた三人、果たして間に合うのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「墜ちろ!カトンボ!!」

 

「一方的にいたぶられる痛さと怖さを教えてやる!」

 

「どうですか!究極奥義なんてする暇なんて無いでしょう!戦いは数ですよ霊夢さん!」

 

 

「くっ……うぅ……」

 

防戦一方で追い詰められている霊夢

 

(正直……甘く見てた……ッ!?)

 

数の不利は勿論だったが問題は質に有った

 

まだまだ自分には及ばないが自ら鍛え幻想郷で中堅になれるまで力を付けた靈夢、神奈子には数段劣るがそれでも神の一柱である龍神

 

そして奇跡の力でかなり自分に近付いた早苗

 

頂点ですら厳しく、チルノでようやく五分か勝るかといった戦力差に日頃の恨みも加わり苦しませる様に嬲られていた

 

 

「今だ!龍符「ドラゴンサークル」!!」

 

「結界!?……ッ!!?」

 

隙を突いた龍神が霊夢の動きを押さえる

 

「止めたぞ!かましてやれ!」

 

「任せてください!」

 

「合点承知ノ助!」

 

二人が並び、靈夢は力を高め、早苗は神奈子からまだ拝借している御柱を装着する

 

「準備は出来てますか早苗さん?」

 

「私は巫女のプロですよ!外しはしません!」

 

祓い棒と御柱を突き出し、霊力と奇跡の力を同時に放った

 

 

 

「「怨符「巫女双攻撃(ダブルバーニングファイヤー)」!!」」

 

 

 

合体攻撃が炸裂した

 

 

「……くはっ!?」

 

爆煙がおさまり直撃した霊夢が姿を見せる

 

「私達のツープラトンはどうですか?強いでしょう?」

 

「でも流石ですね……まだやれそうですから、願ってもないです」

 

「もう充分弱らせたかな、後は適当に倒そうか……あ、でも念は入れとくかな」

 

靈夢と早苗にトドメを譲り龍神は苦しむ霊夢を見てニヤニヤしている

 

「正義と信じ、わからぬと逃げ、知らず!聞かず!その果てが生んだ終局です!もはや止める術などありませんよ」

 

「くっ……」

 

 

 

「そして滅ぶんです、博麗神社は……滅ぶべくしてねぇ!」

 

「靈……夢……」

 

「霊夢様……御覚悟を!」

 

靈夢が祓い棒を構え、振り抜いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱやるねぇ魔理沙……ハハッ!楽しいねぇ!」

 

「ハッ!こんな時じゃなけりゃなぁ!」

 

魔理沙と萃香は激戦を繰り広げていた

 

「二人がかりでも厳しいね……華扇、あんたが足引っ張るからだよ」

 

「貴方も大差ないでしょう!?言いがかりはやめなさい!」

 

「いい加減にしてください!もっと怒りますよ私!!」

 

大妖精と勇儀・華扇は二人が旗色が悪い

 

「くっそー……」

 

「まだまだね妹紅!」

 

妹紅はチルノに雪だるまにされていた

 

「オイオイオイ……かなり墜ちてきてるぞ、ヤバくねぇか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ったわ」

 

霊夢が発した声で靈夢の手が止まった

 

「何ですか?命乞いですか?」

 

「……!!」

 

聞き返した瞬間、靈夢は突進してきた霊夢に押し出され二人から離される

 

「悪かったわって言ったのよ!」

 

「!!?」

 

靈夢に動揺が走る

 

「修行が厳し過ぎた事……あんたの本を捨てた事も……私が悪かったわ!」

 

(不利だから揺さぶり!?いえ、でもだからってあの霊夢様がそんな真似……)

 

普段から霊夢を知るが故に本当に謝っているのだと思わせる

 

「靈夢!耳を貸すな!」

 

「龍神……あんたにも悪かったわ」

 

「!!?」

 

龍神も動揺した

 

(あの霊夢が……マジで謝ってる……)

 

有り得ないから受ける衝撃もかなりのものだった

 

それ程までに霊夢が謝るというのは有り得ない事だったのだ

 

「これからは気を付ける、だから……私にチャンスをくれないかしら……」

 

「……」

 

「……」

 

二人は攻撃しなかった

 

霊夢が自分達の事を想っての事だと心から理解出来たから

 

「どうしたんですか!私がやってしまいますよ!」

 

早苗が撃とうと御柱を突きつける

 

「……もう、やめましょう早苗さん」

 

靈夢の手が……遮った

 

「何を靈夢ちゃん……!?」

 

「許してやらないか……?」

 

「龍神様!?貴方まで……!?」

 

傷だらけの霊夢を……二人が庇った

 

「裏切る気ですか!?」

 

「いや、裏切るとかじゃなくて……霊夢が反省するって言うならもういいかな、ってね」

 

「ッッ!?」

 

「ですから早苗さんも矛を納めてください、博麗神社を破壊する必要は無くなりましたから」

 

「……」

 

二人の説得を受けて早苗はプルプル震えていた

 

「ふざけないでください!」

 

怒鳴り祓い棒を隕石に掲げる

 

「今更ッ!やめれるわけないでしょう!もう遅いんです!!」

 

奇跡の力を隕石に注ぐ

 

「何を……早苗さん!?」

 

「計画を覚えていますか?隕石がある点を越えれば奇跡の力を全て使って加護を強めて阻止不可能にする、と……もう既に阻止臨界点を越えていたんですよ靈夢ちゃん……」

 

「なんて事を……このままじゃ博麗神社は確実に破壊……!?」

 

「やるしかないんですよ龍神様!計画が開始された時点で私達に……いえ、私に退路は無かった!突き進むしかないんですよ!!」

 

隕石は四人の間近まで来ており衝突まで残り数分

 

「博麗神社は焼かれ!涙と悲鳴は守矢神社再興の狼煙となるんです!」

 

早苗は勝ち誇り、宣言する

 

 

「守矢信者が数多持つ予言の日だー!!」

 

 

その瞬間

 

「……ッ!!」

 

「霊夢様!?」

 

霊夢が隕石に向かって飛び出し、押した

 

「押し返す気ですか!?馬鹿な真似はやめといた方が良いですよ霊夢さん!」

 

「アレが落ちたら……!私達の家が無くなるじゃない……!馬鹿かどうかはやってみなくちゃわからないわよ!」

 

「ふんっ!無駄ですよ!ここまで来たアクシズはもはやフランちゃんとロランさんが居たって押し返せない推力です!」

 

「たかが石ころ1つ……私が押し出してやるわ!!」

 

強く言い放った霊夢ではあるが隕石の勢いは全く落ちない

 

「霊夢様!!」

 

「霊夢!!」

 

そこへ靈夢と龍神も加勢し押し始める

 

「あんた達……」

 

「頑張りましょう!」

 

「僕等が原因だからね……やらないと、ね……!」

 

「……馬鹿ね、大元は私が原因なのに……でも、ありがと」

 

「何なんですかこの空気!?まるで私だけ悪者みたいじゃないですか!?」

 

心が1つになっている三人と喚く早苗

 

 

「「「うおおおおおおおおッ!!!」」」

 

 

そこに更に複数の妖怪や人間が押し寄せる

 

「貴方達は……霊夢様を恨んでた……」

 

「まぁ……俺達は霊夢を憎んでたけどよ、思い出したんだ……異変の時によ、解決出来た出来ないじゃなく、博麗の巫女はいつもバーンや頂点達なんかより先に動いてた、霊夢はいつだって俺達の事を想ってくれてた……見境い無いけどなぁ!」

 

「その博麗の巫女が住む神社がどうにかなるかならないかなんだ!やってみる価値ありますぜ!」

 

どんどん増えていく

 

「どりゃあーーーー!!」

 

「やああああってやるぜ!!」

 

「んん~~~~~~!!」

 

「気張れ皆ーーー!!」

 

魔理沙達や戦っていた萃香達、更に正邪やにとりも駆けつけ皆で隕石を押す

 

「な……なんでみんな博麗神社にここまで……守矢神社の方が素晴らしいのに……こんな美人で可愛い現人神の早苗ちゃんが居る守矢神社の方が上なのに……なんでこれがわからないんですか……」

 

仮に成功したとしても後の印象を考えれば失敗、完璧な作戦にならなかったと怒る早苗

 

「ですが……!それでも守矢が存続する為には!!」

 

その意思に応えてか隕石は抵抗虚しく墜ちていく

 

 

「クッソォォォォォォォ!!!」

 

 

もう、阻止は不可能と思われた

 

 

 

 

「退いていろお前達」

 

 

 

 

絶望の闇を払う声が博麗神社から届いた

 

「バーン!!」

 

「レミリア!!」

 

そこにはルーラで駆けつけた二人が立っていた

 

「やるぞレミリア……構えよ」

 

「わかったわバーン」

 

二人が魔力を解放し黒と紅の柱を打ち上げる

 

「みんな離れろ!!」

 

それに呼応し隕石から離れる

 

「行くわよ!アカシックレコードサーチ!」

 

神槍グングニルを突き立て、展開された魔方陣から因果率に干渉する運命の紅き炎鳥が撃ち上げられる

 

「森羅万象を刻む因果の理をここに断つ……」

 

撃たれたカイザーフェニックスにレミリアの紅き炎鳥が重なり巨大な蒼き不死鳥と成って天を翔る

 

 

「「魔紅「アカシックフェニックス」!!」」

 

 

その不死鳥は奇跡の力を突き破り

 

「ウッソーン……」

 

隕石を貫き、完全に消し去った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助かったぜバーン!レミリア!」

 

「お前達三人が行ったにしては遅いと思ってな、間に合って良かった」

 

わいわいと歓声があがる博麗神社

 

「……こうなったら……!霊夢さんだけでも……!!」

 

まだ諦めてない早苗は御柱を構え霊夢に狙いを定める

 

「フフフ……奇跡「デッド・エンド・シュー……!!」

 

悪足掻きの凶刃が撃たれようとしていた

 

 

「いい加減にしろ早苗」

 

「!!?」

 

 

とても聞き覚えのある声が早苗を止めた

 

「神奈子様……諏訪子様……」

 

振り向いた瞬間殴られる

 

「まったくこの子は……皆すまない、早苗が迷惑をかけた」

 

「この子にはよーく言っておくから許して!」

 

頭を下げる二人

 

バーンに早苗が何かをしていると一応伝えられ急いで戻ってきたのだ

 

「ほら行くよ早苗!帰ったらお仕置きだからね!」

 

「ふえーん!ごめんなさーい!」

 

引き摺られていく早苗

 

「一件落着ね」

 

事件は無事に解決した

 

「隕石はな……もう1つはこれからだ」

 

博麗の三人を見ながらバーン達は帰っていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-後日-

 

「休憩にするわよ靈夢!」

 

「わかりました霊夢様!」

 

博麗神社に笑顔が溢れていた

 

「なんかメニューが少な過ぎて不安になっちゃいますね……」

 

「今までが酷過ぎたからね……」

 

レミリアによって派遣されたパチュリーと美鈴によって修行メニューの見直しがされ量は今までの10分の1、オーバーワークは禁止、適度に休憩を取る様にされた事でゆとりが出来て前より話す様になってより関係は良くなれた

 

「おーい靈夢ー!早苗の新刊買ってきたよー!」

 

「ありがとうございます龍神様!」

 

龍神はする必要が無いからと修行は免除になった、それに合わせ霊夢が昔に巻き上げたお金も返され自由になったが博麗神社に居続けている

 

そしてする必要が無いのに靈夢の修行に付き合い今も仲良い修行仲間になっている

 

「後はあんたも男見つけなさいよね、あんたもういい歳なのに……ルナに追い抜かれちゃうわよ?」

 

「霊夢様がそれを言いますか……」

 

「博麗の巫女は代々血の繋がりが無い事が多いからね、男が出来ないのは宿命かもしれない……でもまぁなんとかなるよ、僕も居るし」

 

「そうね……続いていくわよね、いつまでも……」

 

 

 

 

 

幻想郷は今日も平和な日を過ごす……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




外伝スタートです。
わかる人にはわかる通りガンダムとスパロボばっかりのネタ回でした。

予定としてはあと1つ外伝を入れてルナの外伝を書いた後、エピローグの予定です。

次回も頑張ります!

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