東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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第22話 震える山

 

「ムゥゥゥ……ムンッ!」

 

バベルボブルが力を入れると体の色に変化が起きた

 

「バベルボブル・モビルフォース!!」

 

全体的に白くなり持つ剣がピンクに輝くビームサーベルの様に変化したバベルボブルが名乗りをあげた

 

「……むむっ?」

 

驚いたにとりだったがすぐにその顔を怪訝に変えバベルボブルを凝視する

 

「行くぞキラーマシン!」

 

バベルボブルが手に持つ剣をロビンに向ける

 

「バベルボブル行きまーす!」

 

ズキューン!

 

なんと剣からビームが撃たれた

 

「モビルフォース形態は射撃重視の形態!戦闘力も当然上がっているぞ!数値で言えば100万以上は確実か……」

 

バチッ

 

ビームはロビンの強靭な装甲によって弾かれた

 

「いや……お前の世界の基準で言われても知らんし」

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「遊んでるなら帰れよ」

 

「何をー!?遊びでやってんじゃないんだよー!」

 

ビームを乱射するバベルボブル

 

バチッバチッバチッ

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「ならばこいつはどうだ!うおー!いっけー!ハイメガキャノン!!」

 

2本の剣を合わせて特大ビームを発射!

 

「ロビン、バリア」

 

バチィッ!

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「バリアだとぅ!?小癪!ならば……行けよファングゥ!」

 

ボディパーツを分離し12の遠隔武器がロビンを襲う

 

「ヒトツ!ツギ!」

 

ロビンのレーザーが一基撃ち落とす

 

「ミッツ!」

 

二基、三基

 

「イツツ!ムッツ!……メンドクサイ」

 

六基目を破壊した時、ロビンは全身からマシンガンやらバルカンやらガトリングやら火器を出現させ残った六基を一気に殲滅する

 

「ぜ、全滅?12機のファングが全滅?30秒も持たずにか……!?」

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「ば……化物か……!?」

 

「いやいや、お前が弱過ぎるだけだから」

 

「なんとぉー!」

 

バベルボブルはビームサーベルで切りつけるがロビンのサーベルに防がれ蹴り飛ばされる

 

「攻撃ってのはこうやるんだって見せてやれロビン」

 

「リョウカイ……コイボディビット!」

 

ロビンに応答し研究室からロビンより二回り小さい2体のロビンが現れる

 

これはロビンのボディパーツの一端、コアを入れ換える事が出来るロビンの用途に合わせた数あるバリエーションの内の2体

 

それを本体のロビンが遠隔で操作している

 

「ジェットキラーアタック!!」

 

流れる様な三連攻撃がバベルボブルに決まった

 

「ぐわああああああああっ!?」

 

大ダメージを受けてバベルボブルは倒れる

 

 

 

 

 

 

「そんな……モビルフォース形態が押されてる!?」

 

機甲師団の一部でざわめきが起きている

 

「お前新顔か?まぁ肩の力抜けよ」

 

古くから機甲師団に居る先輩が静める

 

「パイセン……でもバベルボブル団長が……」

 

「心配すんなって!お前はまだ知らんだろうけど団長はまだ変身を残している……つまり本気を出していないって事だ」

 

「そんなに凄いんですか?その変身って……?」

 

「そりゃな!団長が魔界の勇者って呼ばれる理由がその最終形態にあるんだからな!」

 

「ほえ~」

 

「まぁ団長が自称してるだけで認めてるのも俺達だけなんだけどな……」

 

「え?パイセン今なんて……?」

 

「あー……とにかくお前も機甲師団なら団長を信じてろって事だ!」

 

熱いガッツポーズに新顔も強く頷いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「滅びのバーストストリィィィィム!!」

 

機竜が口から超エネルギーのブレスを発射する

 

 

ドーン!

 

 

着弾地点が爆砕される

 

「粉砕!玉砕!大喝采-!フハハハハー!強いぞー!カッコいいぞー!」

 

高らかに笑い声をあげるコロポックルの青年セト

 

「当たってないからな」

 

カメハが指を差すと狙った3体のモンスターは着弾地点から離れた場所でピンピンしていた

 

「トラップカードか!?オノレ小癪な真似を!」

 

「トラップってなんだよ、んなのしてねぇよ……普通に避けただけだチビ」

 

「ふん……やるなと言いたいが甘いぞ童貞!素早っこいだけではオレには勝てん!!」

 

「次童貞って言ったらお前マジ許さねぇからな」

 

「なにぃ~?童貞の戯言は聞こえんなぁ」

 

「ハッハッハッ……ヤローテメーブッコロース!!」

 

カメハは指示を出す

 

「ガンガンいけ!」

 

呼応した3体のカメハの魔物が機竜を囲み一斉に攻撃する

 

「ぬっ!?迎撃しろブルーアイズ!」

 

グランスライムに向かってブレスを放とうとした機竜だったが魔獣の俊敏性を活かしたヘルゴラゴが顔を引っ掻きブレスは中断される

 

「くっ!?ブルーアイズ!先にその素早いのを……」

 

ヘルゴラゴを倒す指示を言い切る前にダークマターが放ったジゴスパークが直撃する

 

「その程度でオレの……!!?貴様ァ!!」

 

セトが気付いた時には遅かった、残るグランスライムが唱えたビッグバンが機竜を凄まじい熱爆発で包んでいた

 

「ブルーアイズ!?……なんだと!?」

 

セトが叫んだと同時に爆煙から衝突音が聞こえ機竜が弾き出されてセトの前に転がる

 

「よし!良いぞみんな!」

 

カメハの前にダークマターとグランスライムが立ち、今体当たりを食らわせたヘルゴラゴが並び立つ

 

「どうだ!オレ達の連携は!」

 

カメハのパーティーは見事に完成されていた

 

互いに信頼し庇い合い協力して戦う

 

言うだけなら簡単だがそれが一番難しい、モンスターの個性や性格を全員が把握し尚且つ絶大な信頼してなければ指示1つでここまでの連携をするのは不可能な事

 

カメハはにとりから教わったモンスターマスターの本質を正しく理解し、実践し、ここまでの高みまで押し上げたのだ

 

もはやその実力は伝説クラス、モンスターマスターで誰が一番強いか?と話題になれば多数がカメハと答える程にその実力は抜きん出ている

 

(やっぱりオレ達って強いよな……でも勝てないんだよなぁ……)

 

……もっとも、そのカメハが今だ1回も勝てないのが今や御伽噺にすらなっている幻のモンスターマスターにとりとロビンのコンビなのは誰も知らない事である

 

「ブルーアイズ……オノレェ……!?」

 

傷付いた機竜を見て怒りに身を震わすセト

 

「さすがに3体1は分が悪いか……ならばこうだ!」

 

セトはもう1体の機竜を呼び出した

 

「キメラテック・オーバー・ドラゴン!!」

 

六首の機械竜が現れる

 

「魔法カード!「融合」を発動!」

 

魔術式が組み込まれたカードをかざすと2体の機竜が混じり合う様に体が融け合い姿を変える

 

「ブルーアイズ・メタルセブンス・ドラゴン!!」

 

セトの前に現れた融合機竜

 

まさに異形そのもの、機械の強靭な胴体からブルーアイズと呼ばれた機竜の首が7つ生えているのだ

 

その姿は7つしかないが八岐大蛇と呼ばれるヒドラ種の魔物によく似ていた

 

「合体だと……ちょっと男心をくすぐるじゃねぇかよ……」

 

それを見てカメハはすぐに攻撃には出なかった、余裕の有る事を呟きながらも冷静に新たな機竜を観察している

 

昔なら構わず勢いに任せて向かったに違いない、そうならないのは成長したからであろう

 

「よしみんな、命を大事にだ、いつもの1.5倍……いや、直感を信じるなら倍だな、倍の距離を取って様子を見ろ」

 

カメハの指示に防御寄りの体勢で機竜を囲む

 

「ふん……本能的にこいつの恐ろしさが理解できた様だな……」

 

的確な指示に感心したセトは命令を下す

 

「ならば見せてやれ更なる力を得た我が究極の僕よ!滅びのぉ……バーストストリィィィィィィィム!!」

 

7つの首の1つがブレスをヘルゴラゴに放つ

 

「避けろ!」

 

距離を離していたたのもあって軽く回避する

 

「甘いぞ!ニレンダァ!」

 

隣の首がブレスを撃つがそれも避けられる

 

「サンレンダァ!」

 

回避した直後に放たれた3撃目がヘルゴラゴを銅を掠りバランスを崩した

 

「マズイ!?援護しろ!」

 

集中攻撃を受けるヘルゴラゴを助けるべくダークマターとグランスライムが機竜に向かう

 

「甘いと言ったぞ!グォレンダァ!」

 

撃っていない2つの首が2体を撃ち足を止める

 

「捉えたぞ!ナナレンダァ!!」

 

残る2つの首が放ったブレスが2体に直撃した

 

「大丈夫か!!?」

 

慌てて駆け寄るカメハ

 

「……!」「……!」

 

2体は心配ないと言わんがごとく立ち上がり首を振る

 

「まだ大丈夫だな、よかった……しっかしヤバイな、アレじゃ近付けない」

 

7連のブレス攻撃を見事に回避しながらも果敢に攻めようとするが激し過ぎる攻撃はこのパーティーで一番速いヘルゴラゴですら近付けない、その事実をカメハは恨めしそうに愚痴る

 

「ッ……呪文も唱える隙も無いと来やがった」

 

ダークマターとグランスライムも見張られているらしく動けば即座にブレスが飛んでくるだろう

 

(ダメージ覚悟なら可能性は有る、けどまだ後が控えてるからあまり無茶は出来ない……)

 

セトとの戦いが終わりではない今ここで深刻なダメージを負ってはならない、まだまだ戦いは続くのだから出来るなら被害を少なくして勝ちたい、だが良い案が思い浮かばない

 

(にとりならどうするんだろうか……クソ!どうする……)

 

打開策を必死に考えている時だった

 

「ん……?」

 

カメハはふと遠目の空に見えた光に気付く

 

(なんだ?こっちに来てるぞ……?)

 

それはドンドン近付き……機竜の近くに着弾し大爆発を起こした

 

「なっ……なんだぁ……!?」

 

突然の事に戦闘を止め収まっていく煙を見守るカメハとセト

 

 

 

「…………」

 

 

 

煙が晴れたそこには誰かが居た

 

「お前は……」

 

倒れていた緑髪の妖怪、それはカメハの知っている者だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調子に乗り過ぎたな!最強形態で叩きのめしてやる!」

 

バベルボブルの宣言ににとりは腕を組む

 

「さっさとやりなよ」

 

変身をする事を承諾し待つ事にしたにとり

 

普通なら変身などさせずそのまま逆に叩きのめしてやればいい、戦争なのだから

 

だがにとりはそれをしなかった

 

それは背後で律儀に鑑賞している機甲師団に理由がある

 

手出し無用の決闘と決められせっかく軍団長とサシの勝負になっているのに卑怯な真似をして見た目によらず地力の高い機甲師団が怒り向かってくるとなればにとりとカメハ、ひいては妖怪の山の妖怪達では防ぎきれない

 

だから付き合うのだ、時間稼ぎと決闘の作法を守るバベルボブルであると信じて

 

 

 

「うおおおお……!!」

 

全身に力を込めるとバベルボブルの体の色が変化していき同時に力の増大が始まる

 

「……コイツ……」

 

にとりの表情が変わる、増大する力に表情が引き締まる

 

「オオオオオオオオオオオオッ!!」

 

闘気と魔力のオーラを纏い、バベルボブルの最終形態は姿を見せた

 

「見よ!このボディ!」

 

黒を基調にし紫が入ったボディ、剣も変化し黄金のソードと化している

 

 

「バベルボブル・グレートジンガー!!」

 

 

偉大な勇者

 

魔族の住まう魔界の中で唯一本物の勇気を持った兄弟が見せる最強の姿

 

「これがお待ちかねのフルパワーだ!」

 

「……」

 

醸し出される圧ににとりは押し黙る

 

「行くぞキラーマシン!ドリルプレッシャーパンチ!」

 

回転する右腕を撃つ、今度は投げるのではなく文字通り弾丸の様に撃つ

 

ガァン!

 

「ギッ……!?」

 

ロビンの体が大きく仰け反る、ダメージは確実に有った

 

「ジンガーブレード!」

 

戻った右腕を装着したバベルボブルが両手のブレードを構え突撃し振り下ろす

 

「ナメルナ!」

 

合わせられたサーベルにより鍔迫り合いに発展

 

「ギッ……ギギッ……!?」

 

ロビンのサーベルが押されていく、バベルボブルの力はロビンを上回っている

 

「ただ力が強くなったわけではないぞ!食らえ!グレートタイフーン!」

 

バベルボブルが唱えたバギクロスがバルの口から竜巻の様に放たれロビンを台風の中に閉じ込める

 

「……ロビンのボディが溶けてる!?強酸か!急いで脱出しろ!」

 

同時に流された強い酸に気付いたにとりの指示に内蔵火器を暴発させた爆発で辛くも脱出したロビンだったがバベルボブルの次の攻撃は既に撃たれていた

 

「ブレストバーン!!」

 

胸にV字に装着されたブレードから放出されたベギラゴンの超熱線がビットを吹き飛ばしロビンに迫る

 

「……ギギィ!?」

 

熱線に飲み込まれるロビン、凄まじい熱がロビンのボディを赤熱させていく

 

「それくらいでやられるか!ロビン!!」

 

「ギッ!!」

 

モノアイから射たれた冷凍ビームが熱線と相殺しバベルボブルに目を向ける

 

「勇気の雷鳴を呼べ!!」

 

「!!?」

 

バベルボブルは天にブレードを構え叫んでいた

 

「雷雲!?まさか……!」

 

バベルボブルの頭上に出現していた雷雲から降りた雷がブレードに直撃し激しい雷光を纏わせ帯電する

 

「サンダーブレーク!!」

 

突き出したブレードから撃たれた聖なる雷がロビンに直撃した

 

「はぁ!?ギガデイン!?勇者だけの呪文じゃないのかよクソッタレィッ!」

 

まさかの呪文に驚くにとりだったが焦ってはいない

 

「でも絶縁処理してるロビンに効くものか……」

 

だがそれはすぐに焦りに変わった

 

「ギッ……ギガッ!!?」

 

「なんだって!?」

 

ロビンが苦しんだからだ

 

(聖なる雷だから効くのか?ふざけやがって絶縁無効だとぅ!?インチキ効果も大概にしろ!!)

 

雷の照射が終わるとロビンは黒煙を吐きながら膝を着きダメージに呻く

 

「フハハハハー!どうだ魔界の勇者の実力は!機械を統べるオレ達に勝てる訳がないのだー!」

 

高笑いをしながらロビンを見下すバベルボブル、最終形態の力はロビンを大きく上回っていたのだ

 

「……」

 

にとりは何も言い返さず静かにロビンの傍に向かいロボビタンZを飲ませ完治とまではいかないが大きく回復させる

 

「まだやる気か?構わないが何度やっても結果は変わらないぞ!」

 

バベルボブルが煽るがにとりは気にせずロビンに向かって呟いた

 

「本気で行くよロビン……合体だ」

 

「リョウカイ!」

 

モノアイから出た光線がにとりを包むと一瞬でにとりは消えた

 

「絆合体!!」

 

ロビンの中からにとりの声が響く、合体は成功したのだ

 

「お前も合体だと!?」

 

「卑怯とは言うまいね?」

 

ロビンが真の力を見せる

 

「内部損傷無し……システム正常……よし!新兵器を御披露目だ非想「天」則のロビン!」

 

コックピットに居るにとりはあるシステムを作動させる

 

「勝てる……!」

 

その瞬間のにとりはさながら悪役の様に笑っていた

 

 

ドウッ!

 

 

モノアイからレーザーが放たれる

 

「ぐっおっ……!?ぐわっ!?」

 

ブレードで防ぐが明らかに威力が上がったレーザーにブレードははじかれ撃ち飛ばされる

 

「コノヤロー!」

 

すぐさま体勢を立て直し突き刺しに来るバベルボブルのブレードを避け組み合う

 

「バカにしてて悪かったよバベルボブル、通常のロビンを圧倒するなんてね……でも私達が本気を出した以上、お前に勝ち目は無い!」

 

「そんな台詞言う奴はだいたい負けるって知ってるかー?」

 

押し合う二人、単純な力では互角

 

「ならやってみな」

 

レーザーが撃たれバベルボブルを遠ざけるとそのまま連射する

 

「ぐっぐわあっ!?」

 

容赦ない攻撃がバベルボブルを襲う

 

(あの魔力を使った攻撃の威力が増幅されている!魔力系統の武器がパワーアップしてるのか!?)

 

威力は高く通常のロビンを圧倒した最終形態ですら馬鹿に出来ないダメージ

 

(だがこの威力……極大呪文並みの魔力を込めて連射している、キラーマシンは元々白兵戦向けのマシンだ、MPの総量が多いマシンではない、それでもこの弾数は異常だがもう打ち止めになるはず……!)

 

マシンモンスターを統べる知識で耐え忍ぶ事を決め防御に徹する

 

「ワハハハハー!撃て撃てー!!」

 

「ぐぐぅ……い、いつまで……!?」

 

しかしレーザーは一向に止まない

 

「こ、これ以上は致命になる!?オープンゲット!」

 

堪らず4人に分離し同時攻撃を仕掛ける

 

「合体せねば役に立つまいが!」

 

ロビンのモノアイが光ると炎と冷気の塊が生成される

 

「フレアブリザード!」

 

「「「「ぐわああああああっ!?」」」」

 

容赦なく吹き飛ばされた4人は慌てて合体する

 

「今のも極大呪文……ど、どうなってるんだ!?キラーマシンがそこまでMPが持つ筈がない!?」

 

息を切らしながらバベルボブルが愚痴るとにとりは攻撃を止め語り出す

 

「ふふん、確かにロビンのMPの総量は多くない、だけどそれを補うシステムを組み込んでいるのさ!」

 

「な、なんだってー!?」

 

「冥土の土産に教えてやるよ、システムの名は「次元連結システム」これにより異なる次元から魔力を得る事が出来るようになったのさ」

 

「なん……だと……」

 

「ちなみに得られる魔力に上限は無い、無限に使用出来る」

 

「うそ……だろ……」

 

とんでもない事実

 

これがにとりが秘密裏に開発していた新兵器、次元を繋げて魔力を吸いだしロビンの物にする常識破りの超兵器

 

魔力総量の少ないロビンは呪文は使えるがすぐにガス欠になるから言わば苦手、だからどうしても内蔵兵器に頼らねばならない

 

そこでにとりが考えたのは魔力供給、ただ魔力供給するのは簡単だが自分の世界の魔力を使いすぎれば枯渇するかもしれないと考えにとりは異なる次元からこっそり吸い出す事を思いついたのだ

 

無数の平行世界からくすねる魔力は理論的には無限、それこそ可能性の限り無限に有る平行世界からくすねるのだから極大呪文程度撃ち放題なのだ

 

 

「ワーハハハー!」

 

「……うおおおお!ブレストバーン!!」

 

狂気の笑いを出すにとりにベギラゴンを撃つ

 

「ロビン!力場を展開しろ!」

 

バリアに阻まれダメージが無い

 

「わかったか!非想「天」には通用しないという事が!バリアの出力を上げたのさ!」

 

「ぐぐっ……ならばァッ!」

 

バベルボブルは雷雲を召喚する

 

「ギガデインか……ふん、たかが雷ごときが非想「天」に効くとでも?愚かな……!」

 

雷雲に向かいロビンは圧縮した空気の塊を発射する

 

「ロビンは……と言うかキラーマシンは呪文はほとんど使えない、けどそこを私の技術力で無理矢理使ってる……アレはバギクロスを超圧縮してあるだけさ、これも次元連結システムのちょっとした応用だね」

 

塊が雷雲の中で爆ぜると解放された暴風がバベルボブルに落ちる前に全て吹き飛ばした

 

「チャージなどさせるものか」

 

希望を砕くマッドサイエンティストの声が響く

 

「ぐぐぐっ……オノレ河城にとり!!」

 

バベルボブルは叫ぶ

 

「悪魔め……!倒す……!倒してやる!この勇者バベルボブルが必ず!!」

 

偉大な勇者は諦めない

 

 

「私は河城にとり!悪魔などではない!」

 

 

「見せてやる……無限を超えた絶対勝利の!本当の勇気の力を!!」

 

 

勇気と共に進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風見……幽香……」

 

カメハとセトの前に落ちてきたのはヴェルザーによって彼方に吹き飛ばされた幽香だった

 

「だ、大丈夫かよ?」

 

ボロボロになって目を閉じていた幽香に声をかけると目が開かれた

 

「……」

 

辺りを確認しカメハを一瞥すると幽香はゆっくりと立ち上がる

 

「ッ……!?」

 

カメハは背筋が凍り後ずさる

 

幽香から異常な殺気が溢れ髪がざわざわと蠢いていたから

 

それが本能的に危険だと下がらせた

 

 

「オイ貴様!」

 

そこに立ち塞がったのはセトと機竜

 

「決闘の邪魔をしてただで済むと思うなよ!」

 

中断されたのが気に入らなかったセトが機竜を差し向ける

 

「……」

 

セトと機竜を見た幽香はまるで目に入っていないかの様に気にせず歩き始める

 

「オレを無視するとはいい度胸だ……やれブルーアイズ!」

 

機竜がブレスを放つ瞬間

 

 

 

 

 

退け……

 

 

 

 

 

幽香の髪が長く伸びていた

 

 

 

 

 

ドウッ!!

 

 

 

 

傘から撃たれたビームが機竜を跡形もなく消し去った

 

「なっ……!!?」

 

一瞬の出来事に唖然として機竜が居た場所を眺めるセト

 

「……殺す」

 

周囲を破壊する勢いで幽香は飛び立って行った

 

 

「あー……うん……その、なんだ……」

 

突然の災害に勝負を終わらされたカメハが気まずそうに声をかける

 

「……何も言うな、オレの全てが消えたんだ……どんな言葉も意味を成さん、だから……何も言うな」

 

「……わかった」

 

カメハはいたたまれない顔でにとりが戦っている場所へ戻って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐわああああああっ!?」

 

バベルボブルの苦声が聞こえる

 

「どうしたー?勇気の力とやらを見せるんじゃなかったのかー?」

 

にとりの優越の喜声が聞こえる

 

「へいへーい!勇者ビビってるぅー!」

 

「ぐわああああああっ!?」

 

にとりの蹂躙は続いていた

 

「く……そっ……!?グレート……」

 

「そい!」

 

「ぐはっ!?」

 

バベルボブルは何もさせてもらえない

 

「ハハッ……勇気の力は非想「天」までは届かない!」

 

「うっ……ぐはぁ!?」

 

ついに膝を着いてしまう

 

「ククク……河童の技術は世界一……」

 

興が乗ったにとりは機甲師団の心証の事など忘れ完全な悪役顔で笑う、まるで魔王か冥王の様

 

「フフフ……ハッハッハッ……アーッハッハッハー!!」

 

圧倒的な理不尽の化身が高笑う

 

 

「く……クソォ……!?」

 

散々に痛めつけられ崩れるバベルボブル、もはや致命の瀬戸際まで来ていた

 

(負けられない……!オレ達は負けられないんだ……!)

 

立つのすら出来ないダメージを押して立とうとする

 

それはバベルボブルの過去に理由が有った

 

(あの時……無様に負けたオレ達を慕って付いてきてくれる皆の為に……!)

 

その昔、ソルが破った平行の天魔王が支配する世界の魔界でバベルボブルは仲間の機械モンスター達と共に天魔王を倒そうとしていた、支配を嫌い、仲間達と自由を求めて戦おうとしたのだ

 

だがそれが成就する事はなかった、ソルが現れ天魔王を倒したからだ

 

世界に平和が訪れたと思われたがバベルボブル達はソルが新たな支配者になろうとしていると思い排除すべく戦いを挑んだ

 

……結果は惨敗

 

仲間は全て倒されバベルボブルも気紛れで相手をしたソルにより完膚なきまでに返り討ちにあったのだ

 

(オレ達はもう負けない……!)

 

敗戦の直後、支配をする気が無いと聞かされ魔王軍が新たな戦地を求めて帰還しようとする間際、ソルが言ったのだ

 

『臆する事なく余に挑むその気概……気に入った、そなた達が望むのなら付いてくるがいい、強くなろうとする者を余は拒みはせん、そなた達が勇者であるならばこの首……いつでも取りに来るがよい』

 

そうしてバベルボブルは魔王軍に入ったのだ

 

そして目覚ましい躍進を遂げ一緒に入った仲間達と共に機甲師団の軍団長にまでなった

 

「お前に勝つまでは!!」

 

全てはソルにもう一度挑み、勝つ為に

 

勇者であると証明する為に!

 

「ぐおおおおおおおッ!!」

 

だからこんな奴に負けていられない

 

 

「無駄無駄無駄ァ!お前に勝利などあるものか!」

 

慈悲無きレーザー攻撃がバベルボブルを撃つ

 

「がっ……!?ぐあっ……あああああああッ!!?」

 

「フゥーッハッハッハー!」

 

踊らされ続ける傷だらけの勇者

 

「団長を助けろ!!」

 

機甲師団の面子が割って入ろうとするがレーザーで牽制される

 

「そうだったそうだった、楽しくて忘れてたよ……雑魚共も居たんだっけ、よしっ!茶番は……終わりだ!ロビン!魔力を収束させろ!」

 

ロビンのモノアイに別次元から吸い出した膨大な魔力が集まりバベルボブルと背後の機甲師団に狙いをつける

 

「や、やめろ!こいつらは関係無い!!」

 

「寝言は寝てから言いなァ!遊びでやってんじゃないんだよこちとらぁ!戦争仕掛けて来てそんな戯言が通用すると思ってんのかバーカ!泣け!喚け!そして……死ぬがいい!」

 

「き、貴様……!?」

 

にとりにやめるつもりは一切無い

 

「消え失せろ!「天」の力の前になぁ!!」

 

極大のレーザーが放たれた

 

 

 

「……キサマァァァァァァァ!!」

 

怒りの絶叫をあげたバベルボブルが立ち上がり

 

 

バシュッ!

 

 

「な、なんだって!?どういう事だ!?」

 

レーザーを掻き消した

 

「許さんぞ河城にとり……悪魔め……絶対に許さん!!」

 

「バカな!?さっきまで死にかけだったんだぞ!?どうして立てるんだ!!?」

 

力強く立ち上がっているバベルボブルににとりは恐怖にも似たものを感じ戦慄する

 

「……オオオオオオオッ……!!」

 

バベルボブルの勇気が高まり大地を揺らす

 

「ち……力が増大していく……ロビン!奴の戦闘力はどれくらいに……おわぁ!?」

 

「ソクテイフノウ」

 

計器が爆発しコックピット内を転げ回るにとり

 

「もしかしてやらかした?……ちょっと調子に乗り過ぎた……かな?」

 

「カナリノッテタゾ」

 

今さらながら後悔し始めるも既に遅し

 

 

「ウオオオオオオオオオオッ!!」

 

 

極限まで高まった勇気が負けられない意思と怒りによって限界を越えバベルボブルの体が光に包まれる

 

(ヤッバー……負けたかもしれない)

 

もう後の祭り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほぼ丸々にとり回!趣味全快のネタ回です。

見てわかったと思いますがロボットネタばかりです、カメハは違いますが……まだ続くのかよ、とか竜王とゾーマ様どうなったんだよとか思うでしょうがもう少しだけ付き合ってください。

・次回予告


「バベルボブル死す」デュエルスタンバイ!


次回も頑張ります!

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