東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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第21話 心の在処

 

「うっ!?」

 

弾幕が靈夢を打つ

 

「それそれそれ!」

 

「うぅ……!?」

 

更に打つ

 

「そーれ!」

 

「うあっ!?」

 

衝撃波が打ち飛ばす

 

「博麗の巫女だけあって強いね、まぁまぁだけど」

 

黄髪のへカーティアはヘラヘラと笑っている

 

「でも全然足りないね~全力出せない今の私にそれじゃあね~」

 

二人の差は明らかだった

 

本気を出せないにも関わらずへカーティアは全てにおいて靈夢を圧倒していた、更に手加減していて尚その差は顕著

 

バーンに匹敵していた全盛期の神奈子に近い力を持つへカーティアの力は全力を出せずともかなりの力を持ち靈夢は劣勢に陥っていた

 

「くっ……やっぱり神様ですね、強い……本当に龍神様と同じなんてとても思えない」

 

立ち上がった靈夢はゆっくりと息を整える

 

「ふぅ……外させていただきますね霊夢様……では、本気でいきます!」

 

髪留めに手を掛け、取る

 

ドウッ!

 

押さえつけられていた霊力が爆発的に高まった

 

「第2ラウンド……始めましょう!」

 

霊夢に渡され、今は靈夢に受け継がれたバーンの髪留め

 

付ければ肉体と霊力に負荷を掛ける呪いを秘めた修行用の呪具、それを外した時、靈夢の真の力が解放された

 

「……こんな力を隠し持ってたなんて思わなかった、ビックリしたよ」

 

それが本当に驚きだったのかへカーティアは目を丸くしている

 

(やるだけやってみるけどこっちもダメかな……)

 

敗北を確信したへカーティアと靈夢は構え合う

 

「ハッ!」

 

先に靈夢が動いた

 

「「夢想封印 散」!」

 

放った封印結界がへカーティアを閉じ込める

 

「「夢想封印 集」!」

 

続けて集中式の封印結界が体の自由を奪う

 

「「夢想封印 瞬」!」

 

更に追加される六芒の封印結界が封印の力を上げる

 

「「夢想封印 寂」!」

 

封印結界を覆うように更に封印結界

 

「「夢想封印 侘」!」

 

4本の棒状の封印結界が全ての結界を繋げるようにへカーティアに突き刺さり封印の力を何倍にも高める

 

「靈式「五重奏結界・夢想天生」!!」

 

最後に霊力を集中し錠を付け、完成された

 

「これが私の最高結界!」

 

靈夢が長く苦しい修行の末に体得した封印結界を五重に張り全てを繋げ効力をただ五重に張った何十倍もの強さを誇る当代の巫女の最強結界

 

「ちぃっ!くっ……そっ……!?」

 

へカーティアは僅かに指を動かせる程度で身動きが取れない

 

「……」

 

その強度と完成度はバーンをして見事と言わせる程であり鬼眼王の力を使わねばすぐには脱出出来ない程

 

「流石に閻魔様が恐れるだけあります、ここまでやってまだ指を動かせるなんて……」

 

へカーティアへ靈夢は言う

 

「貴方が全力ならば破られてましたね……ですが今は不可能です、大人しく連行されてください」

 

僅かな油断も無く結界の力を緩めない

 

「……わかった、わかったよ……大人しくしてるって」

 

無駄と知った黄髪のへカーティアは靈夢に連れられ幻想郷の陣へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そらそらぁ!」

 

「たわば!?」

 

祓い棒が顔を打つ

 

「そらそらそらぁ!」

 

「ちにゃ!?ッ……この……!?ひでぶっ!?」

 

弾幕が打ちのめす

 

「そらそらそらそらそらぁっ!」

 

「うわらばっ!?」

 

連続往復ビンタの後に放った掌底が打ち飛ばす

 

「こ、こらぁー!ちょっとは手加減しろー!」

 

ボロボロながらなんとか起き上がった青髪のへカーティアが抗議すると霊夢は返した

 

「手加減ってなぁに?」

 

「うーわ……すっごい良い笑顔してる……ぶべらっ!!?」

 

またしばき倒される

 

鬼巫女に言葉は通じないのだ

 

(ちょっと予想以上過ぎたなぁ……今じゃ、って言うか二人でも怪しいかな……全力じゃなきゃ絶対勝てないな、うん……これは正攻法は無理)

 

元から諦めていたが今ので更に確信する

 

(……うん?正攻法……?ふーん……?)

 

突如天啓がへカーティアに降りた

 

(もしかしたらいける……かも?)

 

成功するかはわからないが試す事にする

 

「やるね鬼巫女……私の完敗」

 

満身創痍を装い霊夢に話しかける

 

「でもね……私は貴方の攻撃では死なない……」

 

背を向け弾幕を発生させ自分に狙いをつける

 

「フフッ……」

 

自決する為に弾幕を放とうと構える

 

(わざわざ自決しようとする奴を止めはしないでしょ?私は敵なんだしね!)

 

青髪のへカーティアが考えたのは自決する芝居をしてこの場を脱出する事だった

 

弾幕を自分に放って上手いこと爆煙の煙幕を起こしてそれに乗じて逃げる算段だったのだ

 

「サラダバ……じゃなくてサラバダー!」

 

地獄の神の逃走劇が今、幕を開ける

 

 

 

 

ガシッ……

 

 

 

 

「知らなかったのね……?」

 

なんて事は有る筈もなかった

 

後頭部を掴んだ霊夢が目を光らせながら口元を吊り上がらせている

 

 

「鬼巫女からは逃げれない……!!」

 

 

「だよねー!うん知ってた!頑張れ最後の私!」

 

 

自決の振りをして逃げようとしたがバレたのか単純に死に逃げるのを阻止したのかわからないがどっちでも良い

 

全てを諦めた青のへカーティアは笑うしかなかったのだから

 

 

 

「あんたに神を見せてあげる」

 

「え?神?龍神?別に見たくない……って言うかあんなの役に立つ?」

 

首を傾げていると霊夢は祓い棒を捨てて異様な構えを取り始める

 

 

「私が今作った博麗神拳・奥義「鬼巫女百烈拳」……さぁ何発目で逝くかしら?」

 

 

「いやそれ北○神拳だよね?パクり乙……あ!ちょっと秘孔突かないで……らめっ!?あっ……あべしぃぃぃぃぃぃッ!!?」

 

 

断末魔が響き渡り無事に退治された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まーた私に暴言吐くんだ……」

 

「勿論ですとも!私は守矢神社の風祝ですから崇めるのは神奈子様と諏訪子様だけです、他の宗教の神様に敬意を払う必要なんてありませんよ!ましてや変なTシャツ着た神様なんて特に特に!」

 

早苗と赤髪のへカーティア、こちらは今始まるところ

 

「あーこれは許されないやつだぁ、地獄行き決定ー!」

 

赤へカーティアが力を解放する

 

「貴方は私にまた暴言を吐いた……許さない!絶対にだ!!」

 

早苗に向けて威圧するも早苗は怯まない

 

「やってみろ……この早苗に対して!……と言いたいところですがあまり時間は掛けられないので1発で終わらせてやります!」

 

天に手を掲げ叫ぶ

 

「こちら早苗です!オンバシラキャノンを射出してください!」

 

すると御柱が飛来……ではなく奇跡の力で出現した

 

「八坂の御柱……?」

 

「ええその通り!これはその昔に神奈子様から盗ん……拝借した素晴らしい御柱なのです!」

 

「それで?半人前にもなれてない腐れの貴方がそんなものでどうしようと言うの?使えないでしょう?」

 

「誰が腐れだ変Tヤロー!……まぁでもそうですね、確かに私じゃまだ完璧には使えません!ですが私の奇跡の力を増幅して撃ち出す事は可能なんですよ!」

 

「……だからオンバシラキャノンなのね、そういえば八坂もガンキャノンって昔言われてたっけ、言った奴は全員神罰が下ったけど……龍神が半殺しになってたかな確か」

 

苦笑している赤へカーティア、早苗がいくら神奈子の御柱を持とうが元が未熟と見抜いているから余裕たっぷりである

 

「フフフ……メタルジェノサイダーモード!」

 

「アッハー……虐殺なんて大層な名前だけど何にも……」

 

嘲笑する赤へカーティアの表情は次の瞬間驚愕に変わった

 

「変わらない……何それ!?」

 

早苗の持った岩質の御柱が変形してとてもメカメカしい砲台に姿を変えていた

 

「フフフ……驚いたでしょう?」

 

「何をどうしたらそうなるの……」

 

「奇跡の力です!」

 

変態したオンバシラキャノンに早苗は更に奇跡の力を注ぎチャージしていく

 

「もういいや……なんかよくわからんが食らえ!「トリニタリアンラプソディ」!!」

 

付き合ってられないと弾幕を放った

 

「フフフ……エネルギー充填120%!吹き飛ばせーーー!!」

 

奇跡の力が放たれる

 

 

「フフフ……奇跡「デッド・エンド・シュート」!!!」

 

 

砲口から凝縮増幅された空前絶後のミラクルパワービームが撃たれ赤へカーティアの弾幕をものともせず粉砕する

 

「ふぁっ!?ウソ!?ちょっと待っ、タイム……ぐわあああああああああっ!!?」

 

ビームに飲み込まれ赤へカーティアは倒された

 

 

 

 

「いやったー!バーンさんが来てから115年!初白星!」

 

勝利を得た早苗は喜びの巫女ダンスを踊っていた

 

「あ……そうだ、捕まえてって映姫さんに言われてたんでした……あちゃーマズイ……スーパーハイテンション絶対許早苗状態で忘れてた……生きてるかな……」

 

ビームが過ぎ去ったへカーティアが居た辺りをそーっと見に行く

 

「……うん、ミンチより酷い!って言うか何も無い!私が強過ぎて消し飛ばしちゃったみたい!てへぺろ!」

 

任務は遂行出来なかったがそこまで早苗は気にしていない

 

(死んじゃってもあと二人居るんでしょ?大丈夫大丈夫!平気平気!)

 

最初に居た妖怪の山へ戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……アホの子で助かったぁ~!」

 

木陰で溜め息を吐く者が居た

 

先程倒されたと思われた赤へカーティアである

 

(なんとか上手くいった、本当にアホで助かった!)

 

へカーティアはビームが当たる直前に上手く直撃した様に見せかけて逃げる事に成功していたのだ

 

(これで私は死亡扱い、自由に動ける……)

 

さっそく戦場の把握を始める

 

(……キルギル倒されたんだ、手間が省けたね……ヴェルザーとゼッペルは……風見幽香が居なくなって魔女の二人が相手してるくらいか……それで純狐は……)

 

友である純狐の今を感じる

 

(まだ八坂とやってるか……じゃあ私は一番危険な奴の監視へ行っとくとしよう)

 

幻想郷に知られない様に、更にはソルにも知られない様に神の力を使いへカーティアは向かう

 

(……純狐は任せたよ、八坂……)

 

友の身を案じながら目的の為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ごときが私を止めるだと……?」

 

純狐は神奈子を見て鼻で笑う

 

「ふん……随分と舐められたものだな、全盛の頃のお前ならばまだしも今のお前が私に勝てると?信仰の力も無しにか?」

 

くだらないと一笑にふす

 

「わからなかったか八坂?私がまだ全力を出していなかったという事を?」

 

「……」

 

神奈子は返さない

 

「フフッ……声も出ないか?残念だが事実だよ、お前は私に勝てない……!」

 

「……そうか」

 

神奈子は笑った

 

「……何がおかしい?」

 

「いや……激情に駆られたついさっきのお前が手加減する余裕が有ったのだと思うと面白くてな、真に迫っていた……とても演技とは思えなかったよ」

 

「ッ……!?」

 

純狐の顔が露骨に歪む、神奈子の言ったそれこそ図星だと言うように

 

「純狐……お前はこの先どうするつもりだ?」

 

神奈子は問う

 

「もし魔王軍が勝ったとしてお前はどうする?魔王軍に着いていく気か?」

 

「……」

 

純狐は返さない

 

「答えろ純狐……お前に未来は有るのか?」

 

同じ神としてではない、八坂神奈子として知人の安否を憂うから聞くのだ

 

「もうよせ純狐……復讐は成したのだ、ならばお前が魔王軍に肩入れする必要は無くなった筈……幻想郷を守る為に力を貸せ」

 

「……」

 

神奈子の優しさを受けた純狐

 

「……いちいち堪に障る奴だよお前は」

 

答えはNOだった

 

「私はなぁ!目障りだったんだよここが!復讐を邪魔する愚か者達が蔓延るここが!私を変えようとするここが!!」

 

もはやその目に他の物は映っていない、有るのは恨み、ただそれだけ

 

「私の道を遮ろうとした罪は重い!幻想郷がどうなろうと……構うものかァァァァァァ!!」

 

純粋となった激しく深い恨みが純狐を包んだ

 

「……恨みに身を任せたか」

 

極大の恨みに変化を果たした純狐を神奈子は悲しく見る

 

「ヤサカァァァァァァァァァ!!」

 

異常な恨みが純狐の皮膚を黒く染め上げている、その恨みの強さは純狐の服の色すら変えてしまう果てしなき憎悪

 

「わかった純狐……」

 

もう言葉では不可能を悟った神奈子は意を決する

 

「私が受け止めてやる」

 

神の力が高まる、それも先程までとは比べ物にならない力の上昇

 

その源は信仰だった

 

「この戦争が始まる前に託されていた……今は魔界に避難している者達から……幻想郷の為にとな」

 

戦いでは力になれない者達は何とか力になりたいと神奈子に信仰の力を渡していた

 

神奈子に未来を託していたのだ

 

「使わせて貰う……」

 

信仰の力を得た神奈子、全盛期だった全ての人間が神を信じていた神話の時代程ではないが頂点に匹敵する神気を纏っている

 

「来い純狐……その恨み、私が余す事なく受け止めてやる」

 

御柱に全てを込め、構えた

 

「キエウセロォォォォォ!!」

 

突撃してくる純狐

 

「神祭「エクスパンデッド・オンバシラ」!!」

 

放たれた御柱が迎え撃つ

 

「ウアアアアアアアアアッ!!」

 

恨みを纏う純狐が咆哮をあげる

 

(これで……)

 

衝突の最中純狐は自問する

 

(これで良かった筈……私は何も間違っていない……!そう!私の復讐は正しく当然だった……!)

 

せめぎ合う神の力のぶつかりの中で純狐は己が正当性を確かめる

 

(なのに……何故私の心はこうも虚しさを感じている……復讐は成せた筈なのに……何故……)

 

疑いは無い、間違いなく正しいと確信している、だが何故か復讐を成した日から心が沈む、まるで心の在処を失ってしまった様に

 

『お前に未来は有るのか?』

 

神奈子に言われた言葉が頭を過る

 

(私は……私は……!)

 

更に力が込められ御柱にヒビが入り押していく

 

「……ヤサカァァァァァァ!!」

 

 

バァン……!

 

 

打ち勝ったのは純狐

 

御柱は壊され純狐は神奈子に迫る

 

「アアアアアアアアアアアッ!!」

 

振りかぶった拳を放った

 

 

 

……トッ……

 

 

 

「……」

 

「……」

 

拳は神奈子を打つ事はなかった

 

「なぁ……八坂…」

 

置くように置かれた拳に力は入っていない、力を使い果たしていた純狐はすがる様に神奈子の胸から崩れていく

 

「教えてくれ……」

 

切望する声

 

「私は……これからどう生きればいい……」

 

全ての恨みを吐き出した純狐は元に戻りまるで脱け殻の様に力無く神奈子に問う

 

「教えてくれ……頼む……」

 

純狐は何も見えていなかった

 

恨みのみを生きる糧にしていた純狐は復讐しか見えていなかった

 

それが果たされた今、それだけだった唯一の糧を無くした純狐に今はおろか未来すら無い、生きる理由が無かったのだ

 

皮肉にも生きる理由だった復讐を成したが為に己を死に向かわせていた

 

 

「……それは私にもわからぬ事だ純狐」

 

神奈子は告げる

 

「お前を止める事は出来たが救う事は出来ん……」

 

「う……うぅ……」

 

「愛故に苦しみ、愛故に悲しみ、愛故に心の在処を失った哀れな純狐……お前にはもう何も無い……恨みに生きた無名の神狐よ……」

 

何もしてやれない神奈子はせめて慈愛の心で接する

 

「お前に必要なのは時間だ……永劫に続く時の中で己を見つめ直せ」

 

神々の戦いはここに終結した

 

 

 

 

 

 

 

「終わったみたいだね」

 

諏訪子が現れ神奈子に微笑む

 

「……純狐を頼む」

 

「わかったよ、へカーティアの方も3人が上手くやってくれた……残るは魔王軍だけ」

 

「そうか……」

 

諏訪子に連れられて行く純狐を見ながら神奈子は想いを馳せる

 

(もし……あいつを救える者、心の在処をわからせてやれる者が居るとすれば……一人だけ……私にとって諏訪子や早苗の様な、バーンにとってのあいつ等の様な……)

 

それが出来る可能性を持つ者を思い浮かべ、そうなる様に願う

 

「……まだ戦いはこれから……行くか」

 

神奈子は乱戦の場へ戻って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山・にとりの研究室前

 

「ゆくぞ弟達よ!」

 

バル、ベル、ボル、ブル、魔族の4勇者の体に光が灯る

 

 

「「「「4身合体!!」」」」

 

 

ドタドタと4人が集まり組体操を始める

 

 

「勇者!バベルボブル!!」

 

 

魔界の勇者が姿を現した!

 

 

「こうなってはもう優しくはないぞ!」

 

頭部分を担当するバルが自信たっぷりに告げる

 

「あっそう……」

 

にとりは冷めた目で見ていた

 

「まずは小手調べ!食らえ!ブーストナックル!!」

 

剣を持った右腕をロケットパンチのごとくロビンに発射……ではなく投げた

 

カンッ……

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「コラ!勝手に飛ばすな!!」

 

右腕を担当するボルが怒る

 

「戦いは一瞬の判断の遅れが死を招く……まだお前には早かったようだな」

 

「もっともらしい言い訳すんな!バーカ!バカバーカ!」

 

「兄に向かってバカとはなんだ!?そこに直れ!修正してやる!」

 

「うるせーぞお前等!」

 

「次はオレの番だ!飛ばせ鉄拳!ロケットパーンチ!」

 

バベルボブルは中で言い争っている

 

「……ロビン」

 

ロビンはバベルボブルを殴った

 

「な、中々やるなキラーマシン……これからが本番!俺達の戦いはこれからだ!!」

 

「黒太陽先生の次回作に御期待ください……はぁ……バカしかいないのかよ」

 

呆れながらにとりとロビンは戦う

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいお前!」

 

見ていたカメハの前に1体の魔物が立った

 

「暇そうだな、オレが相手をしてやる!この機甲師団副団長、マシンマスター・セト様がな!」

 

小さいコロポックル族の青年、3頭身ぐらいしかない小さな体に純白のコートを羽織り威風堂々と立っていた

 

「……お前が相手か?」

 

「フン!自惚れるなよ小僧……お前ごとき凡骨にオレが相手をするまでも無い!」

 

セトは天高くその短い腕を突き出し、叫んだ

 

「来い!我が最強の僕!」

 

すると待機していた機甲師団の中から一体の機械モンスターがセトの横に並ぶ

 

「これこそオレが手塩をかけて改造した最強のメタルドラゴン!これぞ究極の機竜!その名も「ブルーアイズホワイトドラゴン」!!」

 

応える様に白き機竜も吼えた

 

「……なぁ」

 

それを見たカメハは聞いた

 

「メタルドラゴンならレッドアイズブラックドラゴンの方が良かったんじゃないか?機械なんだしブラックメタルドラゴンでもいけるしよ?」

 

「……!!?」

 

セトは狼狽える

 

(その発想は無かった……!!?)

 

後悔すると気を取り直してカメハに告げる

 

「ふぅん……凡骨にしては中々の案だ、凡骨から馬の骨に昇格させてやろう……と言うより何故貴様がそれを知っている!?」

 

「要らねぇよ……オレの国で一時流行ったんだよ、とある最強最悪のカオスでエンペラーなドラゴンが出た時にオレは辞めたけど」

 

「そうだったのか……ククク!どうやら貴様はオレと戦う宿命にあった決闘者のようだな」

 

「……何でもいいからかかってこいよ」

 

「そうだな……これ以上の言葉は不粋……」

 

セトは側近に叫ぶ

 

「デュエル開始の宣言をしろイソノ!!」

 

「はいっ!……デュエル開始!!」 

 

宣言と同時にカメハの連れた3体の魔物とセトの機竜が構える

 

「全速前進だ!」

 

「頼むぞ皆!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこだロビン」

 

ロビンの放ったボウガンの矢がバベルボブルに向かう

 

「うおおおっ!?ヤバイぞ!?ベルに突き刺さってしまう!?」

 

あたふたしているバベルボブルだが命中する瞬間、目が光った

 

「緊急回避!オープンゲット!」

 

瞬時に分離し矢を回避した4人はそのままロビンに組み付く

 

「ウハハハハ!貴様のマシンデータを取りつつ、神の国への引導を渡してやるー!」

 

各々が攻撃を開始する

 

「イタクナーイ」

 

ミス!ロビンにダメージを与えられない!

 

「……ロビン」

 

「「「「ぐわああああっ!!?」」」」

 

振り払われた4人はまた集まり合体する

 

「やるな河城にとり……」

 

「お前が全然やれないだけだからな」

 

全く相手にならないバベルボブルの弱さ、それはにとりに逆にどうしようかと考えさせる程

 

(まぁまぁ強いってもやっぱり大した事ないか……でも一気に倒して全員が来たら厄介だからなぁ……適当に激闘演じて名勝負っぽく見せたら上手いこと言って帰ってくれないかな?)

 

そんなにとりにバベルボブルは話しかけた

 

「平行世界のソル様を知っているなら変身が2回有るのは知ってるな?」

 

「……急に何の話だよ?」

 

「厳密には変身とは異なるがまぁ2回だ……」

 

「……それが?」

 

バベルボブルはニヤリと笑った

 

「フッフッフ……俺達にも有るんだよ、変身が……!」

 

「なに……?」

 

「驚いた様だな……」

 

剣をVの字に合わせるとバベルボブルは告げる

 

「あと2回……ソル様と同じく俺達は変身を2回残している、この意味がわかるか?」

 

「なん……だと……!?」

 

驚愕するにとりの前でバベルボブルは叫んだ

 

「変身……!!」

 

本当の戦いはこれからだったのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソルパレス

 

『純狐、及びへカーティア敗北の模様!』

 

「……そうか」

 

報告を受けたソルは気にせず酒を嗜む

 

(元々奴等に期待などしておらん……偶々利害が一致し乗ってやっただけの話だ、初めから戦力にも数えてもおらん)

 

ソルにとって純狐とへカーティアはどうでもいい存在だった

 

新参であり戸愚呂に近い立場だったが戸愚呂程の価値を見ていなかったソルには捨て駒同然の扱いだったのだ

 

だから負けたところで気にならないし勝っていたとしても気にならない

 

(そういえばキルが言っていたか……へカーティアを月の都の至る場所で見たと……明確な意志が有った純狐と違い最後まで心の在処を悟らせなかったへカーティア……何かをしていたとすれば気になるが今となっては些細な事か……)

 

いくつか有る映像を見ながらソルは楽しそうに微笑む

 

(どれも面白くなって来た……さぁ、次はどれを見るべきか……)

 

激戦を繰り広げる強者達の戦いの鑑賞に戻る

 

(……ムッ……グレイツェルの居る場所に誰か現れた……この雰囲気、只者ではない……何者だ……)

 

氷獄のフィールドに視線は釘付けにされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、次に行きましょうか」

 

グレイツェルの乗る球体が反転しチルノが散った場所から離れていく

 

「ゼッペルの所にでも行ってみようかしら?それとも紅魔館に行っちゃう?」

 

上機嫌にグレイツェルは進む

 

 

「倒されたのか……氷の申し子よ……」

 

 

ゾクッ……

 

 

「!!?」

 

グレイツェルを強烈な悪寒が襲った

 

「やったのはそなたか……」

 

問われたグレイツェルはゆっくりと振り向く

 

「ッ!!?」

 

悠然とそこに佇む闇の影に思わず息を飲む

 

「……だぁれ?」

 

勝利の余韻に浸る陽気から一変、冷や汗すら流す最警戒でグレイツェルは問う

 

「身の程を弁えよ、魔族に成り損なった人間風情が……この名はそなた程度が知れる程安くはない」

 

「ッゥ……」

 

グレイツェルでなければとうに立てなくなっている程の冷たく、身震いすらする内に秘めた王位の魔力

 

「だが……氷の申し子を倒せしそなたになら褒美として特別に名乗ろうではないか、有り難く思うがよい」

 

それは絶望をその身で体現したかの様な魔性の化身

 

それは憎しみを糧とし、悲しみを喜びとする

 

それは地下世界を征服した偉大な大いなる魔の王

 

 

「我が名はゾーマ……全てを滅ぼす者」

 

 

起源にして頂点「闇の大魔王」降臨す……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何体か抜けたぞ!狙いは指揮官……さとりだ!止めろぉ!!」

 

さとりが指揮する人間の里方面は劣勢を強いられていた

 

「この……!」

 

守に長ける靈夢が抜けていたのが災いし綻びが生まれようとしている

 

(ダメ!?全員は倒せない!3体討ち漏らした!?)

 

凶刃が迫る

 

(やられる……!?)

 

身構えたさとりが目を閉じた

 

 

ズバッ……!

 

 

「え……?」

 

さとりが目を開くと魔物は一閃の元に倒されていた

 

「遅くなってすまない」

 

代わりに守る様に青い服を来た青年が立っている

 

「貴方は……」

 

さとりは青年を知っている、10年前に人間の盗賊団が暴れた時に力を貸してくれた異世界の住人

 

「今来たばかりで状況がわからない、僕はどうすればいい!?指示を頼む!」

 

「……!」

 

さとりは青年の心を読む

 

「貴方は月へ行ってください!今は八雲紫と連絡が取れません!妖怪の山の河城にとりの研究室に転移装置が有ります!そこから月へ!」

 

「月へ……?」

 

「早く行ってください!ルナもそこに居ます!」

 

「!!……わかった!」

 

了承した青年は抜いていた剣を構える

 

「ウオオオオオッ!!」

 

ドウッ!!

 

振り抜いた剣から凄まじい衝撃波が生まれ押されていた形勢を一撃で戻す

 

「これぐらいしか出来なくてすまない……行ってくる」

 

青年は魔物を切り捨てながら一直線に妖怪の山へ向かって走って行く

 

「……何がこれぐらいですか」

 

僅かにだが余裕が出来たさとりは先程青年が攻撃した箇所を見て苦笑する

 

「流石は破壊神を破壊した生ける伝説……恐ろしい力です」

 

底が見えない巨大なクレーターを前に心強いと強く思う

 

 

 

 

 

 

 

戦場を駆ける青年、勇者は急ぐ

 

「すぐに行く……生きていてくれ……ルナ……!」

 

 

 

 

 

 

 

闇あるところ光あり

 

 

幻想に力を貸すかつて祖先が倒した闇の王に呼応するように血の勇者は幻想の郷に現れた

 

 

幻想に触れた最後の者は想い人の象徴と同じ不死鳥の剣を携え戦場を走る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっとゾーマ様出せた!

全体的に今話はギャグ寄りですかね……霊夢と早苗とにとりとカメハとバベルボブルが悪いんです……これも全て黒太陽って奴の仕業なんだ!

・現在の主な犠牲者
幻想郷 永琳、咲夜、白蓮、チルノ
魔王軍 ザングレイ、ダブルドーラ、キルギル、親衛騎団(3/6)、純狐、へカーティア?


幻想郷の戦力は名前が判明していないのも居ますがこれで全てになります、にとりの戦いがターニングポイントでようやく上位陣に入りたいと思っています。

次回も頑張ります!

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