東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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第1話 雛鳥

 

 

 

 

 

 

 

 

お母さんは言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      誰かの為に強くなれ!

 

 

 

     それが本当の強さだ!って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めまして!

 

私の名前は藤原ルナ!

 

幻想郷で暮らす可憐な女の子だよ!

 

歳は10歳!彼氏は居ません!でも心に決めた人は居ます!

 

 

今日は私の周囲の人達を紹介していきまーす!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の里

 

はい!まずは人間の里からです!人が沢山居ます!

 

今でも多いですけど昔はもっと沢山居たらしいです、私が赤ちゃんの頃に大きな事件があったらしくてその時大勢が亡くなったんだって

 

「むっ?ルナじゃないか、どうした?今日は寺子屋に来る日じゃないだろ?」

 

「あ!慧音先生!こんにちは!」

 

私に話しかけて来た胸が服を着てるような人は上白沢慧音先生、里で教師をやってる里の守護神的な妖怪で私に勉強を教えてくれる人です、怒ると頭突きか拳骨を食らわされる怖ーい人です

 

私のお母さんの無二の親友の一人で怖いけど私に優しくしてくれるとっても良い人です!

 

「今日は紅魔館に行く日なのでお土産を買いに来たんです!」

 

「そうか、私もちょうど買い物をしに出たところなんだ、一緒に行こう」

 

「はい!行きましょう!」

 

慧音先生と色々お話しながらお土産を買った私は先生と別れて紅魔館と呼ばれる場所へ向かいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやぁ?雛鳥のルナじゃないか!久し振りだねぇ!元気にしてるかい?」

 

途中、誰も居ない場所で声が掛けられました、見えないけどこの声は知ってます

 

「萃香さん!」

 

私が呼ぶと周囲に出現した霧が集まって私と同じくらいの背の小さい女の子が笑ってました

 

「相変わらず楽しそうですね!」

 

「まぁそれなりにね」

 

2つの瓢を片手に持つ立派な角を生やしたこの人は伊吹萃香さん

 

幻想郷で一番おっかない鬼って種族の中でも飛び抜けて強い鬼の四天王の一人なんですけどその中で一番強い人で霧の異名を持つ凄い人です、人は見た目によりませんよね、酔っ払いにしか見えませんもん

 

自由の象徴の様に気ままに生きる萃香さん、無理矢理お酒飲まそうとしてきたりしますけど素敵な人です

 

「今日はどこへ出掛けてるんですか?」

 

「ん~?今日は幽香の所に行くつもりだよ」

 

「幽香さんの所ですか……」

 

風見幽香さん

 

萃香さんの親友で花の大妖怪って呼ばれる幻想郷で一番嫌いな人です

 

何が嫌いってあの人すぐ私をイジメるんです、酷い時なんかわざわざ会いに来てまでイジメに来ます……

 

「どうしてそんなに嫌そうな声を出すのかしらルナ……?」

 

「アイェェェ!?なんで!?幽香さんなんでここに!?」

 

「散歩してたら知った声が聞こえたから見に来たのよ……それよりそんなに私に会うのが嫌なのかしら?」

 

サディストな暗い笑みを浮かべた幽香さんが私の頬をつねります、痛いよぉ……

 

「そ、そんなことないれふ……」

 

まぁこんな風に頬をつねられたりとかそんな程度ですけどたぶん私が一番イジメられてるんじゃないかなぁ……ついでに悔しそうなリグルさんにもイジメられてます……

 

「その辺にしときな幽香……ついでにあんたも一緒に来るかい?」

 

「あー……私、これから紅魔館に行かないといけなくて……」

 

見かねた萃香さんが助け船を出してくれました、この人地味に優しいんですよね

 

「そうかい、じゃあ私は行くよルナ、またね……今度飲むよ!」

 

「私まだ未成年って言ってるじゃないですか~幻想郷じゃ関係無いですけど……じゃあまたです萃香さん!……幽香さん」

 

「今度覚えときなさい」

 

絶対嫌です

 

そう思いながら萃香さん達と別れた私はふと思い付きました

 

「あっそうだ!まだ時間あるから博麗神社に寄って行こっと!」

 

決めた私はピューっと飛んでいきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社

 

「あらルナじゃない、いらっしゃい、賽銭箱はあっちだから入れてきて良いわよ?」

 

「お小遣い少ないから無理でーす!」

 

私を迎えてくれたのはこの博麗神社で一番偉~い巫女さんの博麗霊夢さん!

 

幻想郷で一番大事な博麗大結界を管理する歴代博麗の巫女の中で最強の人です、別名は鬼巫女、生まれる種族を間違えてるなんてよく言われてます

 

「靈夢さんは居ますか?」

 

「そこに居るわよ」

 

霊夢さんが指を差すとボロ雑巾の様に倒れている二人の男女が居ました

 

「またしごかれたんだ……だ、大丈夫ですか靈夢さん?龍神様?」

 

「全然大丈夫ですよぉルナちゃーん……ぐふっ……」

 

「なんで僕まで……ぐはっ……」

 

死んだ魚の目をした二人が笑って言いました、大丈夫じゃないやつだこれ……

 

「大きな星がついたり消えたりしている……あははは……大きい!彗星かな?いや違う、違うわ……彗星はもっと、バァーって動くもんね!」

 

この今にも精神崩壊しそうな女性の方が博麗靈夢さん、当代の博麗の巫女なのですが権力を全て霊夢さんに奪われてしまった可哀想な人です、基本的に良い人で守矢神社の早苗さんとよく私と遊んでくれます、変な本を見せようとして霊夢さんにボコボコにされるのはいつもの光景

 

とっても明るくて誰にも怒らない優しいお姉さんみたいな人なんですが一度だけ怒った時があります、私が怒らせたんですけどあの時は本当に怖かったなぁ……

 

「気をしっかり持つんだ靈夢……それ以上行ったら戻れなくなるぞ……」

 

次に男性の方が龍神様、この姿は仮初めで本当は大きな龍の神様らしいです、博麗神社の祀る神様で巫女さんより偉いはずなんですが……昔に何かあったのかなぁ?

 

 

「休憩終わりよ靈夢!スペシャルハードコースの続きをしなさい、龍神も一緒に!」

 

「はーい……」

 

「なんで僕まで……なんで……」

 

(これって調教済み……ってやつだよね?)

 

逆らえずに立ち上がる二人を見て私はそう思いました

 

「霊夢さん?スペシャルハードコースって何ですか?」

 

「私が考案した一週間で立派な博麗の巫女になれるプログラムよ」

 

へぇ、そうなんだ……あれ?おかしいな……靈夢さん当代の博麗の巫女だよね?あぁそうか、まだ未熟だから立派じゃないんだ、驚いたなぁ……私よりよっぽど強い靈夢さんでも半人前なのか、と言うか龍神様はする必要ないよね?

 

「あんたもやってく?」

 

「あっいえ!?私、これから紅魔館でお稽古なんです!」

 

「そっ、やりたかったらいつでも来なさい」

 

「か、考えときます……」

 

私は逃げるように博麗神社を出ていきました、まだ死にたくないもん

 

 

 

 

 

 

紅魔館へ向かう途中で色んな人と擦れ違いました

 

ルーミアさんや命蓮寺の白蓮さんに妖怪の山に居る鴉天狗の文さん、白玉楼の妖夢さん

 

皆と少しお話して紅魔館へ向かいます、さぁもう少し

 

……それにしても今日はよく外で知り合いに会う日だなぁ、なんでだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧の湖の先にその建物はあります

 

ぜーんぶ真っ赤にした赤より紅い建物、それが紅魔館です

 

施設的に言えば全然重要な場所ではないんですがこの紅魔館は幻想郷で一番の名物になってるんです

 

それはここに住む人と集まる人が理由です

 

「こんにちはミストさん!」

 

門に降り立った私は傍らに立つ二人の門番の内の一人、影が実体化した感じの人に挨拶しました

 

「ルナか……」

 

私を見てそれだけ言うとミストさんは門を開けてくれました、この人全然喋らないんですよね……

 

「美鈴さん……寝てるや」

 

壁に持たれたまま腕を組んで不動の絶賛居眠り中のこのおっぱい妖怪は紅美鈴さん、門番の主任であり武術の達人な人です、いつも寝てるけど今日は特に深く寝てるなぁ、いつもなら私が門に降りたら起きるのに珍しい

 

「そっとしておけ、最近昼夜問わず気を張っているから疲れている……心配無い、敵が来たら起きる、見知るお前だから起きないだけだ」

 

ミストさんはそう言って行けと促したので私は中へ入って行きました、ミストさんって美鈴さんの事になるとよく喋るんですよね……新密度の関係なのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいルナ」

 

「お待ちしていました」

 

エントランスで迎えてくれたのは紅魔館のメイド長の咲夜さんと執事のウォルターさん

 

咲夜さんは紅魔館の全てを管理する偉いメイドさんでこの紅魔館の持ち主の専属メイドさんでもあります、たまに暴走しちゃいますけどクールでお淑やかな人です、でも胸は残ね……おっとこれ以上はやめとかないと、前にからかったら次の日の文々。新聞に載っちゃうところだったからなぁ

 

「皆さんお待ちかねですよ」

 

優しい顔で笑ってくれるウォルターさんは咲夜さんの次に偉い執事さんで紅魔館の持ち主の妹さんの専属執事です、とても整った顔をしているいわゆるイケメンさん、人間の里の女の子に凄く人気があってファンクラブもあるらしいです、なので妹さんは取られちゃうんじゃないか心配してますけど心配しなくてもウォルターさんはずっと居てくれると思います

 

「はーい!じゃあ行ってきます!」

 

二人に笑顔で言うと私はこの紅魔館の図書館へと向かいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館・図書館

 

「こんにちはー!」

 

ようやくここまでこれました!元気良く挨拶をしながら私はこの幻想郷である意味一番重要な場所のドアを勢い良く開けます

 

「来たわねルナ!」

 

「こんにちはルナちゃん!」

 

そんな私を二人の妖精さんが迎えてくれました、青と緑の妖精さん、私よりちょっぴりだけ大きい見た目は子どもなお二人さんです

 

「相変わらずバカみたいに元気ですね親分!」

 

「親分に向かってその口の聞き方はなんだー!」

 

怒って私の頭をグリグリするのはチルノ親分

 

この幻想郷で一番強い7人は頂点と呼ばれています、その頂点の力はほぼ互角なんですけど親分だけは頭一つ抜けてて最強の異名を持ってる実はとんでもない妖精さんなんです

 

どれくらい凄いのかと言うと本気を出した時は他の頂点の人達が力を合わせないと止められないと意見が一致するくらい凄いらしいです、まだ見た事は無いですけどあの真剣な顔は冗談ではなかったし事実、頂点の人達の純粋な力比べでは無敗を誇ってます

 

それとなんで私が親分と呼んでいるかですけど私が物心ついた時にいきなり子分にするって言われたのが始まりです、私が赤ちゃんの頃に決めてたらしいですが迷惑な話です!でも楽しいからいいや、ちなみに私は二人目で一人目は私のお母さんです

 

「大妖精さん助けてー!」

 

「チルノちゃんそろそろ許してあげよ?」

 

優しく微笑んでくれるのは親分の一番の親友の大妖精さん

 

大妖精さんも頂点の一人で気の弱そうな外見ですが実はとっても芯が強い人なんです、昔は見た目通りだったらしいですけど強くなって変わったそうです

 

頂点の皆さんが大好きでお菓子を持ってきたり縫い物が得意だったり女子力が有り過ぎる素敵な人です、理想のお姉ちゃんみたいな感じかなぁ……でも幻想郷で妹にしたいランキングでは堂々の1位です、そんな大妖精さんですけどたまにすっごく甘える時があるらしいです、お父さんとお母さんみたいに感じてる人がいるらしいのですが……誰だろ?

 

実は幻想郷で一番怖い人で怒らせたら誰も逆らえません、普段が優し過ぎるからかとんでもない威圧感で足がすくむ程です……前に怒らせた時、怖過ぎて泣いちゃったもん

 

 

 

二人と並んでとっても広い図書館の中心に置かれた大きなテーブルに向かいます、皆居ますね

 

「ルナー!!」

 

私の名前を叫んで抱きついて来た人が居ます、フランドール・スカーレット……通称フランさん、紅魔館の持ち主の妹さんです

 

「今日も可愛いねー!ん~!」

 

頬をスリスリしてくるフランさんは吸血鬼、生まれながらに身体能力と魔力に優れた羨ましい種族です、鍛えに鍛えて頂点の一角にまでなったフランさんの本領、それは力、解りやすく言えば腕力、元々強い吸血鬼の身体能力を伸ばしたフランさんの腕力は幻想郷でナンバー2!でも1位が殿堂入りだし3位以下とかなりの差があるから実質1位です、その凄さたるや精錬されていないとは言えオリハルコンを引き千切れるくらい強いです、腕相撲で永遠亭送りになった人多数なくらい本当に強いです……私と同じくらいちっちゃいのに……

 

 

「よしなさいフラン、はしたないわよ」

 

気品溢れる雰囲気を持つ人が紅茶を飲みながら言いました

 

この人はレミリア・スカーレットさん、この紅魔館の持ち主で頂点の一人でカリスマな人です!

一つ一つの仕草や言葉に威厳があって艶があって何故か魅了されちゃうレミリアさんは万能型、多種多様な状況に対応出来るようにステータスを満遍なく高めています、指揮才にも秀でていて皆の指揮官役でもあります、もちろんとんでもない強さですがどちらかと言えばサポート寄りですね、こうなったのは他の攻撃の割合が高過ぎるから制止の意味も有ると言ってました、流石カリスマ!気遣い素敵です!

でもそんなカリスマなレミリアさんは意外にもお料理が得意なんです!それもとっても美味しい!特にパイなんて絶品!大切な人に食べて欲しくて頑張って練習したらしいです、愛ですね愛!

 

 

「よーし、そんじゃ始めるか!ルナ!パチュリー!」

 

椅子から立ち上がって下りた帽子を上げて笑ったのは霧雨魔理沙さん、幻想郷で魔女の二天と呼ばれる一番高みに居る二人の魔法使いの一人です!

弾幕はパワーが信条と豪語する言葉に嘘はなく、普通の弾幕が有り得ない威力を持ってます、平時の基本攻撃力は攻撃範囲を加味して頂点随一!攻撃は最大の防御を地で行く姿から力の大魔導士と呼ばれています、小手先に頼らない真っ直ぐなその戦い方は影での努力がとても表れてます!

力に目が行きますが実は結構色々出来ます、魔理沙さんが見せないだけで魔力を使う系統の事は大概出来ちゃったりします、凄いなぁ……

 

 

「そうね、そろそろ始めましょうか」

 

読んでいた魔導書を閉じて答えたのがパチュリー・ノーレッジさん、二天のもう一人で魔理沙さんと対になる技の賢者の異名を持った頂点の頭脳役です

年中本を読んでいるその知識は伊達ではなく何でも知ってます、知識の賢者なんて呼ばれる時もありますね

クールな雰囲気からは想像できませんがかなり子煩悩で世話好きです、親分との絡みなんかまるで親子みたいに見える時がありますもん、大妖精さんも前に間違ってお母さんって言ってたけど違和感無かったなぁ、言われたパチュリーさんも満更でもなかったみたいですし

ちなみにケーキが大好きでよくお弟子さんのレティさんと盗み食いして大妖精さんに追いかけられてます

 

 

 

以上が紅魔館にいつも居る主なメンバーになります!とんでもないメンバーですよね!名物な理由はこれだけの面子がこの1ヶ所に集まってるからに他なりません

 

何せ門番の美鈴さんにミストさん!これだけで充分凄いのに更に咲夜さんとウォルターさんが内部に控えててその奥に頂点の6人!ここだけパワーバランスがおかしい事になってますよね、一説では幻想郷の総力を持ってしても紅魔館を落とせるかどうからしいです、それだけの化物が集まってるって事ですよね、恐ろしい……

 

 

そんなわたしが紅魔館へ来るのは魔法のお稽古の為なんです、魔理沙さんとパチュリーさんに魔法を教わっているのです!

 

 

 

 

「あ!魔理沙さん、パチュリーさん!」

 

あ、そうでしたそうでした!肝心な人を忘れてました!ある意味一番重要な人をまだ紹介してませんでした!

 

「その前にちょっと待ってください!」

 

指導を始めようとしたお二人を制止して私は足早にレミリアさんの隣で本を読んでいる人に向かいます

 

「こんにちはバーンさん!」

 

挨拶をすると立派な角が生えた魔族の男性は本を下ろし私を見ます、映えるスカーフ素敵です!

 

「……」

 

視線だけをくれるこの人はバーンさん

 

レミリアさんの旦那さんでズバリ!大魔王です!

 

とても威厳に溢れる人でカリスマはレミリアさん以上!と言うか全てにおいて格が違う人です、その力は頂点で最強である親分より上で実質はバーンさんが幻想郷で一強……なんですが元は外来人である事が理由なのか純粋な幻想郷の住民では頂点が一番強くて外来人を含めればバーンさんが一番強いみたいな風潮になってます、たまに頂点の皆さんと手合わせをしているのですが幻想郷への物理的な被害を避けて異空間で行われているのでどれくらい強いのかまだ見たことがないのです、親分以上……想像もつきません

 

もし仮に……門番を倒して従者も倒してラスボスの頂点達も倒すなんて奇蹟を起こしたとしましょう、最後にバーンさんが居ます、同じ場所に裏ボスが居た……まさにそんな感じかな?

 

まぁ紅魔館が名物なのの7割くらいはバーンさんが担ってるんじゃないかな?

 

 

 

「……うむ」

 

一言だけ言って私を少し見つめるとバーンさんはまた本を読み始めました

バーンさんは私に関心を持ってくれません、それは前からなんですが2年前のあの日から私をいつも少しだけ見つめてきます、とても寂しそうな目で……

 

……たぶん、それはきっと私が原因なんだろうけど……ごめんなさい

 

 

「お待たせしました!お願いします!」

 

そんなこんなで私の紅魔館でのお稽古が始まりました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……下手ね」

 

「……ああ、そだな」

 

パチュリーさんと魔理沙さんが言いました

 

「氷と風と熱、そんで補助呪文……おまけに魔力の操作、どれも上達しねぇなぁお前」

 

「むむ……難しいですよ……」

 

呆れている魔理沙さんに答えます、本当に難しいですよ!

 

「結構練習してるのに……なんでかしら?」

 

すいませんパチュリーさん、私にもさっぱりです

 

「あ!でも火の魔法は上手くなりましたよ!」

 

そう言って火球を作って見せると二人はまた呆れました

 

「お前それメラゾーマじゃねぇか、また上達したのか……なんで火の魔法だけそんなに天才的なんだよ」

 

「それを作る感覚で他の魔法をやるのよって言ってるのに……」

 

そう言われてまた他の魔法を試してみたけどやっぱり上手くいきません……私、魔法の才能無いのかな……

 

「とーぜんじゃん!ね!大ちゃん!フラン!」

 

「そうだねチルノちゃん!私も同じこと思ってたよ!」

 

「こうなっちゃうのは仕方無いよねー!」

 

親分と大妖精さんとフランさんが笑ってます、なんでだろ?

 

「ルナが火しか得意じゃないのは当然よ」

 

レミリアさんが歩いて来て背中から肩に手を置きました

 

 

「だって妹紅の娘よ?」

 

 

そう言って笑ったレミリアさんはパチュリーさんと魔理沙さんを見ます

 

「だなぁ……あいつを見てたらそりゃそうもなるか」

 

「子は親に似るって言うけど不器用なところまで似なくてもいいのに」

 

その顔は呆れていましたがどこか嬉しそうでした

 

「むぅー!」

 

お母さんと似ている、そう言われると何故か嬉し恥ずかしくて頬を膨らませて怒ってますよアピールして誤魔化してみるけどもっと笑われるだけでした

 

 

 

 

「はい!ルナちゃんの分だよ!」

 

その後、しばらくお稽古をして休憩になりました、大妖精さんが持ってきたお菓子を頬張ります、美味しいです!

 

「お嬢様、バーン様」

 

すると咲夜さんが現れて二人に言いました

 

「ロラン様が見えています」

 

「通して」

 

了承を得た咲夜さんが消えると私は思わず勢いよく立ち上がりました

 

「ロランさんが来てる!?」

 

テンションだだ上がりです!今日、紅魔館に来て良かった!

 

ワクワクそわそわしながら私は待ちます

 

「こんにちは、お久し振りです」

 

青い服を着た超イケメンさんが現れました!カッコイイー!

 

「こここ……こんにちはロランさん!」

 

「やぁ久し振りだねルナちゃん、元気そうだね、よかった」

 

「~~ハイッ!」

 

私の緊張しまくりの挨拶にも爽やかに返してくれるイケメン様……笑顔が素敵過ぎる!

 

この人はロランさん、異世界の人でとっても凄い勇者様なんです!どれくらい凄いって?破壊神を破壊するぐらい凄いです!

 

私の将来のお婿さん(予定)で色々アプローチしてますけど中々……まだ私が子どもだからか……おっきくなったら絶対告白するぞ!

 

「ルナ!鬼ごっこしよ!あたしが鬼になったげる!」

 

「さっそく伝説の吸血鬼を成敗しに出掛ける!あたいに続けルナ!」

 

「鬼を成敗しちゃダメだよチルノちゃん!そんな鬼ごっこ聞いたことないよ!」

 

フランさんと親分と大妖精さんが何故かいきなり遊びを提案します、私をロランさんから遠ざけるつもり?うむむ……遊びたいけどロランさんも気になる、何の用なのかな?

 

「じゃあ10数えるよー!」

 

フランさんが数え始める間、気になった私は聞き耳を立ててました

ん~?聞き取りにくいけど何か言ってる……

 

「今回も……メだった……」

「いったい妹……は何処に……」

 

そんな言葉が聞こえてきました、なんだろう……?

 

「ほら!早く逃げるわよ!」

 

私の疑問は親分の引っ張る手に引き摺られて紅い館に消えていきました

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ロランさんも帰り、親分や魔理沙さんが帰る時に合わせて私も帰る事になりました

 

 

 

 

 

 

何故か帰りも色んな人に会ったなぁ……なんかピリピリしてる感じがしてたし……なんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭

 

「ただいまー!」

 

大きな声で元気良く玄関の戸を開けます、今はここが私の家です

 

「あっ、お帰りなさいルナ」

 

「お帰り~」

 

一緒に住む鈴仙さんとてゐさんが迎えてくれました、永琳さんは医務室みたいです

 

「もうすぐ夕御飯が出来るからちょっと待ってて」

 

「じゃあ……それまでちょっと行ってきます」

 

鈴仙さんにそう言ってまた外に出ました、ダメだなぁ……どうしても普通に居られないや……あそこに行こうと思ったらどうしても落ち込んじゃう

 

「はぁ……」

 

溜め息を吐いて重い足取りで竹林へ向かいます

 

「あら、お帰り」

 

すると横から声が聞こえました

 

「輝夜さん!」

 

この人は蓬莱山輝夜さん、私のお母さんのライバルだった人で私の戦いの師匠でもあります、2年前のあの日に泣いていた私を永遠亭に引き取ってくれた人です、その際にレミリアさんや紅魔館の人達と一悶着あったみたいですが強引に引き取ったそうです

とても厳しくて泣いた事なんて何度もあったけどそれと同じくらい優しくしてくれる人です

 

……でもたまに私を見る目がバーンさんと同じになるのはやっぱり……

 

 

「出掛けてたんですね」

 

「ええ、ちょっとね」

 

軽く言葉を交わすと輝夜さんが私を見つめて口を開きました

 

「あそこに行くつもり?」

 

私の様子から察したみたいで私がはいと答えると輝夜さんは歩いて来て私の前に立ちました

 

「今日は私も一緒に行ってあげる」

 

「……はい」

 

いつもなら嬉しくて喜んでいるのに私の気持ちは落ちたまま、あそこだけはどうしてもこうなっちゃうんです

 

「行きましょう」

 

歩き始めた師匠の後を追う形でその場所に向かいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷いの竹林

 

広い広い竹林の中にポツンとある小さな小さな家、二人が精一杯なくらいの小さな家に私と輝夜さんはやってきて中に入りました

 

「ただいま……」

 

帰りの言葉を呟くも何も返ってきません、それもその筈、誰も居ないのだから

 

「……」

 

誰に言われる事なく掃除を始めます、小さい家だし今日は輝夜さんも居るからすぐに終わっちゃいました

 

「……」

 

テーブルを挟んだ2つしかない椅子に座るとボーッともうひとつの椅子を眺めてしまいます、そこにいつも居た人を思い浮かべて

 

「……先に戻ってるわね、早く戻ってくるのよ」

 

様子から察した輝夜さんが返事も待たず出ていったあと、私はテーブルに顔を落として呟きました

 

「ねぇお母さん……」

 

ここに藤原妹紅、私のお母さんは居ません

 

「何処に行ったの……?」

 

幻想郷にも居ません

 

「会いたいよ……」

 

お母さんは2年前にこの御守りだけを残して行方不明になっているから……

 

 

「お母さん……」

 

 

ここは幻想郷、忘れられた者達の楽園

 

 

 

 

 

こんなに平和で……大好きな人達が居る場所なのに……

 

 

 

 

 

お母さんだけが居ない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしました、1話になります。

新キャラの紹介と10年後の幻想郷の様子を軽く見せるのを兼ねてるので物語は進みませんがお許しを……
ルナは前作を読んでくれた人にはわかると思いますが番外編で出た赤ん坊です、容姿はローラ姫に妹紅の服に似たスカートタイプの服を着ている感じです、適当?完全オリジナルなんて私には無理です。
名前の由来はロランの仲間であるDQM+のムーンブルクの王女のルーナから、Ⅰの次はⅡって事でローラ姫の次のムーンブルクの王女なんですがもうひとつ理由を込めてます。

一人称で書いてみましたがどうでしたか?たぶん今回だけで次からはいつも通りに戻ります、そして話を進めていきます。

次回も頑張ります!

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