東方大魔王伝 -mythology of the sun-   作:黒太陽

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第16話 竜攘虎搏

 

ソルパレス

 

(あの神はおそらく主力の一人……最初は純狐か)

 

ソルの見ていた地上の映像はちょうど二人が相対した場面だった

 

(味方ごと攻撃は目に余る行為故に注意しようと思ったがその必要も無くなったか……しかし神同士の戦いとは面白い)

 

二人の背景を思い酒を飲む

 

(かたや幻想郷を守る神、かたや幻想郷を裏切った神……見せ物にしては充分な娯楽と言えるが……)

 

気にはなるが総指揮をする立場故にそれだけは見ていられない、ソルは他の場所を見ていく

 

(ここの入口を守るあの者……大した力だ……今の余では勝てんな……だがそれだけの者をあそこに置いて来た割には侵入者達は随分と慎重に進んでいる……まぁ罠が無いとは言え敵の本拠地なのだから警戒するのは当然か、この調子では守護者の場所まではまだまだ掛かるか……)

 

パレス内を見たあと地上に切り換える

 

(……何?アレはまさかハドラー……か?……そうか、平行のハドラーと言う訳か、また面白い者が居るものだ……この様子では他にも変わり種が居るやもしれんな……お互いに)

 

不適に笑うと酒を手に取る

 

(場は煮えきり弱い者から淘汰され始めた……強き者達が顔を会わせるのはそろそろ……か)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社

 

「……暇だな」

 

一人しかいないその場所で龍神は呟いた

 

(不可侵にしてるから誰も入ってこれないもんなー、敵も見切って何もしてこないし……任された僕が言うのは不謹慎だけど暇だ!かと言って僕は八坂みたいに戦闘向きじゃないしなぁ……あー暇だ!)

 

聖域に何かあった時の万が一の為に配置された龍神だったが今の所役に立ってはいなかった

 

「……ん?」

 

だが次の瞬間、聖域に干渉してくる力を感じる

 

「ハッ!無駄無駄!この聖域は僕と八坂と神器の力を使って超複雑にした不可侵聖域なんだ、力自慢が破れる代物じゃないよ」

 

馬鹿にした言葉を吐く龍神だったが更に次の瞬間

 

「……あれ?」

 

その顔は青冷めた

 

(なんかすっごい勢いで解かれてないかこれ?……待て待て待て!神の知恵だぞ!?なんだこいつ!?伝説の魔術士かなんかか!?ヤバイヤバイヤバイ!博麗大結界は死守しなきゃならないのに……!ていうか先に霊夢に殺されてしまう!!?)

 

慌てて解かせないように抵抗するも勢いを緩めただけで止まらない

 

「マジでヤバイぞこれ!?だ、誰か助けてー!!」

 

涙目の龍神は一人叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

魔物と戦っていた正邪はピクリと反応する

 

(やっぱり来たか……)

 

予想通りだと口元を吊り上げる

 

(っと、笑ってる場合じゃないや、早く行かないと)

 

倒せそうな魔物の相手を止めて幽々子へ叫ぶ

 

「抜けるからな!すぐ戻ってくるから悪いけど頑張ってくれ!」

 

「わかったわぁ!貴方も頑張って!」

 

予め予告していた事もありスムーズに正邪は戦場を離れ一人飛んでいく

 

博麗神社の方向へ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ……」

 

テリーは忌々しく舌を打つ

 

(これだけ集まった気配の中では見つけられない……)

 

戦場を探し回るがまだ目的の者には会えていなかった

 

「ウオオオッ!!」

 

妖怪達が襲い来る

 

「……邪魔だぁ!!」

 

背に携えた禍々しい異形な怪剣の一閃が切り捨てる

 

(このままでは埒があかないか……ならば……!)

 

押さえていた気配を解き、同時に濃厚な殺気を放つ

 

(来るように仕向けるまでだ……!)

 

狂信する青い剣士は血に餓える魔剣を構える……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ムッ!?」

 

敵を倒しながら無縁塚へ加勢に向かう咲夜、ミスト、ウォルターの3人、あと少しの場所でミストが2人を制止した

 

「どうしましたミスト?」

 

感じれないウォルターが問うがその体は油断無く臨戦態勢に入っている

 

「……厄介なのに見つかった、先に行け」

 

そう答えるとミストはある一点を睨み続けている

 

「……わかりました、行きましょう咲夜さん」

 

「ええ……気を付けてミスト」

 

自分達にはわからないがあのミストが自分達を先に行かすだけの事態なのだと察し2人はすぐにその場から離れる

 

「……それで気付かれていないつもりか?出てきたらどうだ」

 

ミストが言うと少し離れた場所の土が膨れあがる

 

「ククク……ようやく会えたな……お前……!」

 

中から現れたのは戸愚呂の兄

 

「……死んだ気はしていなかったがあれだけバラバラにされて元通り再生するとは……ヒュンケル並みのしぶとさだ」

 

「お陰で直るまで辛かったよ……俺をあんな目に合わせたお前をこの手で八つ裂きにする事だけを考えての時間はとても辛かった……」

 

ミストが寄生した美鈴の一撃でバラバラになっていた兄、普通なら即死だったが妖怪として力を上げていた兄は持ち前の驚異的な再生力で復活を果たしていたのだ

 

「次はお前の番だ、必ず殺してやる」

 

そしてその憎しみはミストにのみ向けられている

 

「私も貴様に借りがある、粉微塵にされても再生出来るか試してやろう」

 

「やれるものならやってみろ」

 

王の腹心は魔道に堕ちた邪悪な妖怪と再び対峙する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴウッ!

 

咲夜とウォルターがミストから離れた直後、空から飛来した影が咲夜を連れ去った

 

「咲夜さん!?」

 

過ぎた方向の空を見ると誰かが乗った人間の3倍はあろうかと言うワイバーンが咲夜を掴んでいた

 

「離しなさい!」

 

「……」

 

もがく咲夜をワイバーンに乗った魔族、超竜将べグロムが睨みつける

 

「デスカール、ブレーガン、メネロをやった奴とやりたいところだったが見つかりそうもなかったからお前で我慢してやる」

 

命令すると咲夜を掴んだワイバーンが高く飛翔していく

 

「くっ……ウォルター!!」

 

強い力で拘束された咲夜は能力を使ってもすぐに抜け出す事が出来ず叫ぶ

 

「こいつは私が!貴方はお嬢様の所へ!!」

 

「……御意!」

 

咲夜の意思を汲みウォルターはレミリアの待つ無縁塚に急ぐ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいそこの!」

 

「あーん……?」

 

掛けられた呼び声に勇儀は倒した魔物を放りながら声の方へ向いた

 

「女の割りに力があるな、相手を願おうか」

 

百獣将ザングレイが不敵な笑みを見せていた

 

「務まるのかい?最恐と畏れられた鬼の四天王の一人、力の勇儀の相手があんたに……?」

 

挑戦された勇儀は同じく不敵な笑みを浮かべながらザングレイに歩み寄っていく

 

「来いよ牛面……死ぬ前の良い土産にしてやる」

 

「威勢は良いな……調子に乗るだけの力があるのか試してやる、お前が先に来い」

 

互いに目前にてメンチを切り合う

 

「気前良いねぇあんた……後悔しなぁ!」

 

ドンッ!

 

勇儀が動き、ザングレイの胸元を片手で掴み上げ背負い投げの様に地面に叩きつけた

 

ドンッ!

 

「後悔しそうだ……この程度では、となぁ!」

 

倒れた状態から勇儀の腕を掴み地面に叩きつけたザングレイ

 

「上等……!」

 

「行くぞぉ!」

 

立ち上がった二人の戦いは始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無縁塚

 

「……!!?」

 

妖夢は気付く

 

「……」

 

目の前の戦況と遠くに感じた知る殺気を天秤にかけどちらを優先すべきかを考える

 

「……くっ!?」

 

どちらも見過ごせない状況だった

 

ここで数を減らす為の主な戦力である自分が抜ければ厳しいのは明白、しかし自分と同等の力量を持つ者を放置すべきではない

 

鋭敏過ぎた感覚が苦しい二択を持たらしていた

 

「……レミリアさん!!」

 

妖夢は問う

 

「一人の敵軍団長の位置がわかりました!指示をお願いします!」

 

勝手な判断で決められない、ならばこの場の指揮官に聞くのが適切な判断だと妖夢は一番近くに居たレミリアに情報を提示し指示をあおいだのだ

 

「……倒せる?」

 

即座にレミリアは妖夢へ問い返す

 

結界呪法でレベル差が互角になっている今、懸念すべきは呪法の影響を受けない軍団長クラス、数で劣っている以上こちらを楽に減らせれる軍団長クラスを放置する訳にはいかないのだ、軍団長クラスを好きにさせるだけで戦況は一気に劣勢になってしまうくらい危ういのだから

 

だから妖夢に問う、倒せるのなら行けと

 

「倒します!!」

 

そしてそれに妖夢も間髪入れずに即答した

 

正直に言えば勝敗はわからない、それだけ拮抗していると実感している

 

しかし口には出さない、幻想郷は勝つ事しか考えていない、ならば自分も言い切らねばならない

 

自分は幻想郷を守る剣なのだから

 

「任せるわ!!」

 

決意を見たレミリアは妖夢に行けと命じる

 

「ありがとうございます……では!!」

 

妖夢はすぐに向かって行った

 

信じてくれた事に報いる為にも全力で……

 

 

 

 

 

(大丈夫よ……妖夢が抜けてもまだ萃香が居るもの、分身で補ってくれればまだまだ持つ……)

 

指示を出そうとレミリアは萃香を探す

 

「ん……?……あれ?」

 

だが見つからない、霧になっている様子も無い

 

(さっきまで向こうで戦ってた筈……相手は雑兵だったしあの萃香が簡単にやられる訳が……)

 

考えているとすぐ可能性が浮かぶ

 

「まさか……黙って勝手に単独行動してるんじゃ……」

 

自由の象徴である萃香なら有り得るとレミリアは頭を抱える

 

(マズイわ……ロンは左翼を任せてるしレティも何かと戦ってるみたいだし……持たない……)

 

それを裏付ける様に押されていき味方から対応を迫られる

 

「まだ咲夜達も来ない……しょうがないわね」

 

意を決したレミリアは魔力の槍を生成し狙いを定める

 

「私が出るわ」

 

ドシュッ!

 

投げられた槍が味方の隙間を塗って進み敵を何体も貫き後方で爆発を起こした

 

「薙ぎ払ってやるわ……」

 

紅魔の王女、出陣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ソル様」

 

無縁塚の中心で魔獣兵団軍団長ゼッペルは主に問うていた

 

「よろしいでしょうか?」

 

己の持つ何かへの了承

 

『許可する……いざとなれば余が止めてやろう、気兼ねる事無く存分にその野性を解き放つがよい』

 

返事はすぐに来た

 

「ありがたく……!この状況を打破し、必ずやソル様に勝利を持たらせてみせましょう……!」

 

礼を述べたゼッペルが念じると巨大な魔方陣が展開される

 

「ソル様から許可が出た!魔獣兵団に野性を縛る理性は要りません!総員!その野性を解放しなさい!」

 

ゼッペルの言葉に呼応した魔獣兵団の精鋭達が己の中にある野性を解き放ち攻勢に出る

 

「動きが変わった……!?」

 

連携重視だった先程までとは違い個の力で動く変則的な動き、ビースト系統の魔物が持つ野性的な動きが幻想郷の対応を崩す

 

「……では私もそろそろ行くとしましょう」

 

展開された魔方陣がゼッペルの体に取り込まれる

 

「ウッ……!?ギッ……ギギッ……!!?」

 

目の色が変わる、血の様な真紅の赤に

 

体が変わる、人間の体だったそれが一回り大きな灰色の魔獣の姿に

 

そして魔力が変わる、人間の持つ魔力だったそれがまるで魔王の持つ邪悪で強大な魔力へ……

 

「ギ……ギッ……!」

 

これがゼッペルが力の全てを出した魔獣兵団の軍団長たる真の姿、まさに魔獣王とも言うべき邪悪の化身

 

 

「ギアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

ゼッペルの咆哮が無縁塚に轟く

 

「……ギィッ!!」

 

ある一点を見た瞬間、既にその場から飛び立っていた

 

 

 

 

ズドオッ!

 

 

 

 

次の瞬間には離れた場所で粉塵が舞っていた

 

「うっ……かはっ……」

 

足を退けたそこには大地に埋まる永琳の姿があった

 

「ギギギィィィィィィィ……!!」

 

魔獣としての本能が牙を剥く、回復をする厄介な者の始末を野性の直感が瞬時にそこへ向かわせ、終わらせていた

 

「ギアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

魔王軍最強の一人が禍々しき魔哮を響かせる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館

 

「……!!?」

 

寡黙に目を閉じていたバーンの顔が僅かに歪んだ

 

(なんだと……これは……まさかエスター……!?ソルめ!こんな者を……!?)

 

幻想郷から感じた魔力がかつて体験したある法式に酷似していた故に

 

(……いや、違う……これは非常に似てはいるが異なるものだ……依代になる為ではなく……これは自らが……!?)

 

法式を更に読んでいく

 

(……法式に細工がなされている、ソルが組み入れた安全装置、先に行こうとするのを抑制し、いざとなれば解除出来る様にしてある…………ソルだけしか解けぬ、同じと言えど余でも無理か)

 

読むに連れて置かれた状況の厳しさがよりバーンの表情を曇らせる

 

(この強さ……こやつだけで全滅も有り得る、それにこのこちらに向かう竜の力……ッ!?これはヴェルザー!?月人から聞いた情報から可能性は考えていたがまさか本当に冥竜王まで居るとは……!?)

 

更にはかつて魔界を二分した宿敵の平行の存在も知り普段崩れない表情は焦燥に変わっていた

 

(どうする……生半可な者では太刀打ち出来ん、頂点クラスでなければ……呼んだあの二人ならば大丈夫だろうがあの体では厳しいだろう……誘いかもしれんが余が向かうか?)

 

それだけ今幻想郷に居る者達は脅威な存在だった

 

(どうする……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソルパレス

 

紅魔館でバーンが思案しているのと同じ頃

 

「「……!!?」」

 

進む8人の先頭を行く2人が立ち止まった

 

「どうしました?罠ですか?」

 

大妖精が問うた瞬間

 

「パチュリー!!」

 

「わかっているわ魔理沙!!」

 

2人が顔を見合わせる

 

「紫!!」

 

『どうしたの!?』

 

6人をそっちのけで2人は紫と話を始める

 

「私とパチュリーをそっちに送ってくれ!今すぐだ!」

 

『……!?そちらはどうするつもりなの!?』

 

「地上の事情が変わってしまったのよ!ソルを討つより先に対処しなければならない者がそちらに居る!早く!!」

 

『ッ!?』

 

魔理沙もそうだがあのパチュリーにそれだけの事を言わせる非常事態が起きているのだと知り紫はすぐに予め施してあるマーキングを標にスキマを広げる

 

「魔理沙さん!!」

 

「パチュリー!!」

 

スキマに入ろうとすると大妖精とフランが呼び2人は顔を向ける

 

「こっちは任せてください!!」

 

「負けたら許さないかんね!!」

 

それに思わず笑顔が出た

 

理由も聞かずに応えてくれるその信頼に!

 

「……頼んだぜ」

 

「気をつけてね」

 

二人の頂の魔女は魔が満つる郷へ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煮えきったと思われた戦場は更に熱を帯びる

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだお前は!?」

 

「目に付いたとは言え兎が相手か……」

 

鈴仙と魔影将ダブルドーラ

 

「……お前のその鎧の下、ほぼ空洞だな?異質な気を感じる……核で動くインチキ生物ね!」

 

「!……成程、ただの兎ではないらしい、相手にとって不足無しか」

 

戦いの渦中で相打つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハッ!?」

 

咄嗟に身を引いた文の前を黒い槍らしき物が通り過ぎる

 

「何者……あやッ!?」

 

振り向くも投げたらしき者は居ない

 

「ッ!!?」

 

投げられた槍の方を見るとそれはそこに居た

 

「……」

 

槍を手に取る黒い陸戦騎の姿が

 

(速い……投げた槍に追い付くなんて……それにあの槍も飾りではありませんね)

 

敵を求めてやって来た陸戦騎の実力を感じ油断無く構える

 

「……」

 

陸戦騎が攻撃を仕掛けてくる

 

「てやっ!」

 

団扇を振るって出した鎌鼬が陸戦騎を切り刻む

 

「!!?」

 

目が見開く、切り刻んだと思った鎌鼬は陸戦騎を通り抜けたのだ

 

(残像ですって……ッ!?)

 

直後に背後から悪寒を感じた瞬間に飛び出し風切り音を聞く

 

(くっ……!?)

 

さっきまで文が居た背の辺りで陸戦騎は居た、槍を降り下ろした状態で

 

「疾風「風神少女」!!」

 

再度団扇を振るい弾幕を放つ

 

シュン……!

 

「!!?」

 

陸戦騎が消えるとまた背後に居た

 

「このッ……あやっ!?」

 

離れて団扇を構える文の背後にはいつの間にかまた陸戦騎が居る

 

(なんでわざわざ後ろに回るんですかこいつ!?速さの主張!?上には上が居るとでも言いたいんですか!?)

 

挑発的な行為に文は意を決すると先程までとは比べ物にならない速さで距離を取って見せた

 

「流石に本気の私の背後は取れないみたいですね……しかし初めて見ましたよ、私の本気に着いてこられる人なんて……妖夢さんですら一瞬だけなのに素で幻想郷最速の私と互角とは驚きを禁じえません……」

 

本気を出した文の速さは背後を取られなかった、だが着いてこられた

 

「……」

 

数メートルの間隔を空けて立っていた陸戦騎がそれを証明していたのだ

 

「ちょ~っと許せないですね貴方……元から負けるつもりはありませんけど貴方にだけは負けられません!」

 

それが文の心に火を点ける

 

「……」

 

「……行きますよ?」

 

幻想郷最速はプライドを賭して戦う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰かそいつを止めろ!?」

 

超魔ゴリウスは無秩序な移動をしながら暴れ回っていた

 

「うわああああッ!!?」

 

妖怪達の攻撃をもろともせず角による体当たりを放とうと足に力を込め走り出す

 

「……!」

 

その足はぶつかる前に不意に止まった

 

「グルル……」

 

ぶつけられた強い剣気にゴリウスは向けられる方向を睨む

 

「妙なのが居ると思ったらまさか超魔生物、それもゾンビとはな……」

 

一振りの剣を構えたロンが凄まじい威圧を向けていた

 

「お前等下がってろ……超魔ゾンビには少し因縁があってな、オレが相手をする……来いザボエラの遺産、遊んでやる」

 

この場をロンに任せ妖怪達が下がる

 

「グルアアッ!!」

 

ゴリウスが反応し襲いかかる

 

 

ギィンッ……!

 

 

「俺が遊んでやると言ってるんだ、そう邪険にするな」

 

防いだロンが距離を取ると腰に携えてあったもう一振り剣を抜く

 

「星皇の真の剣技を見せてやる」

 

名工は今は剣士

 

完成された剣の剣技が炸裂する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セアアアアッ!!」

 

「……!!」

 

ガァン!

 

白蓮と兵士の拳がぶつかり鈍い金属音を響かせる

 

(硬い……!?この強度……緋緋色金(オリハルコン)並み……!)

 

兵士の連続殴打

 

「……ハアアッ!!」

 

同じく殴打にて打ち合う

 

身体強化を行った白蓮の攻撃力はかなり高い、フランとまではいかないが勇儀と同等な程まで高める事が出来る、その白蓮と互角に殴り合っている事実が兵士が硬さだけではないと知らしめる

 

ガァン!

 

また一際大きな金属音を響かせ二人は距離を取る

 

「……他を気にして務まる相手ではない様ですね」

 

決意した白蓮が魔力を高め兵士のみを見据える

 

「では改めて全霊を持って相手をしましょう……いざ!南無三!!」

 

壮絶な肉弾戦が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

""至る所で強者共が顔を会わせている……""

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズザァァ……!

 

「うあっ……!?」

 

吹き飛ばされたアリスが地に倒れる

 

「あらあらあら……少しは強いと思ったけど期待外れだったわねぇ……キャハハ!」

 

ゆっくりと追い付いて来たのはグレイツェル、適当に戦場を散歩していたらアリスを見つけたので攻撃を仕掛けたのだ

 

「うっ……つぅ……!……行って!!」

 

痛みを堪え人形を飛ばす、既にアリスは本気だった

 

「ふぅ~……何べんも言わせないで?」

 

キンッ!

 

人形は凍りつき地に落ちた

 

「人形遊びは他所でやりなさい」

 

グレイツェルが妖しい笑みを見せる、アリスは軽く捩じ伏せられていた

 

「もういいわ貴方……飽きたからバイバイ」

 

「くぅ……」

 

歯噛むアリスに傘を向け氷柱を撃った

 

 

キンッ!

 

 

氷柱は凍りついた

 

「えっ……?」

 

「へぇ……私の氷魔法を凍らせるなんて……誰かしら?」

 

唖然とするアリスを余所にグレイツェルは感心しながら相手を見つける

 

「あたいが相手だ!!」

 

それは最強の頂点、チルノ

 

「大丈夫アリス!?」

 

「ええ……何とか……」

 

「……もう戦うの無理っぽいわね、動ける?あたいに任せて魔界で休んでなさい」

 

「そうね……人形は全部壊されちゃったけど私だけ休むなんてごめんよ、戦うわ」

 

「わかった、じゃあ離れてなさい!危ないから!」

 

「……ごめんなさい」

 

「なに謝ってんのよ!気にしないでいいから早く行きなさいって!」

 

「……うん」

 

アリスが離れるのを確認するとチルノはグレイツェルに向く

 

「確か……頂点の一人に冷気を使う最強の妖精が居るって聞いたわね、貴方がそう?」

 

「そうよ!あたいが来たからにはお前はおしまいだ!覚悟しろ!」

 

チルノが最強の頂点だと知るとグレイツェルはとびきりの妖しさで笑った

 

「ウッフッフ……頂点の魔女とやってみたいところだったけれどゼッペルが会いたがってた最強と会うなんてねぇ……思いがけず大当たりかしら」

 

気が高揚していく

 

「私はグレイツェルよ……氷絶の大魔女なんて呼ばれてるわ、気が合いそうね私達……よろしくね」

 

同時に魔力が高まる

 

「バカなのお前!大外れよ!あたいと会ったのが運の尽きだ!ぜ~ったいブッ飛ばす!!」

 

妖精と魔女

 

奇しくも同じ属性の二人が出会う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社

 

「ヒョッヒョッヒョッ!」

 

聖域の前でキルギルが上機嫌に笑っている

 

(おめでたい……この程度の聖域に本当に手が出せないとでも?儂の知識を持ってすれば解除など容易い事です、抵抗しても手遅れですよ)

 

龍神が頑張っているが既に聖域の解除まで後僅かのところまで来ていた

 

 

「楽しそうだねジジィ」

 

 

掛けられた声に手が止まる

 

「……何故儂がここに来るとわかったのですか?」

 

誰が来たか理解したキルギルは背を向けたまま問う

 

「簡単な話さ、お前と私は似てるからねぇ、考えを読んだのさ……お前は他の奴等とは違う、他は正々堂々と戦って勝つつもりだけどお前はゲス……先に博麗神社を落としておいて万が一負けそうになったら大結界を人質に降伏を迫るつもりだったんだろ?流石と褒めてやりたいよ!やる事がゲスい!」

 

「……では何故間に合ったのですか?」

 

「それも簡単、お前が博麗神社を狙うと読んだから聖域が解かれ始めたら私にだけ合図が来る様にちょっと細工してたのさ……わかった?」

 

答えを知ったキルギルはゆるりと振り向く

 

「鬼人正邪……確かそう聞きました」

 

妨害しに来た正邪に向けるその目には憎悪が宿っていた、同族嫌悪の眼光

 

「舐めた小娘が……先に宣言通りぶち殺してから仕事を再開するとしましょう」

 

「私もすぐ戻るって言ったからちゃちゃっと終わらせて戻るとするよ」

 

対する正邪も軽口を叩くがその目はキルギルと同じ目をしている

 

「ぶち殺す!!」

 

「死ぬのはテメェだゲスジジィ!!」

 

博麗神社前の決戦が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山・にとりの研究室前

 

「ちょっとくすぐったいよ!」

 

にとりがロビンの背に回る

 

「ロボビタンZ注入!」

 

以前ハドラーに教わったマシン系統に効く栄養剤、それをロビン専用に改良した特別な栄養剤を拳銃型の注入機を持ってコネクターに突っ込む

 

「やるよロビン!スペルカード発動!」

 

「リョウカイ!」

 

ロビンのボディの至る所が開閉しミサイルやらガトリングやらビームバルカンやら物騒な兵器が出現する

 

 

「終符「エンドオブワールド」!!」

 

 

にとりの宣言で全ての重火器が火を吹いた!群がる魔物達を山の地形を変えかねない威力で吹き飛ばしている

 

「ワハハハハー!見ろロビン!敵がゴミの様だ!アッハハハー!」

 

「ニトリ、ソレシツメイフラグ」

 

上機嫌に笑うにとり、さながら魔王のようである

 

「とりあえず一掃したね、さぁて次に備えて索敵っと……」

 

レーダーを見たにとりの表情が変わった

 

(大量のマシン反応がこっちに来てるじゃん……何これ……あ、まさか……)

 

その時、ヘルゴラゴに乗ったカメハがにとりの前に現れた

 

「間に合った……!にとり!妙な機械系モンスターの大軍が来てるぞ!」

 

「今確認したよカメハ……もしかして助太刀しに来てくれたの?」

 

「そうだよ!多分機甲師団って奴等だ!いくらにとりとロビンでも軍団丸々相手は無理だから来たんだよ!」

 

「生意気言うじゃん、そんな事は私に1回でも勝ってから言うんだね」

 

「せっかく来てやったのに酷い言い草だな!?」

 

「頼んでないし……まっ、ありがとカメハ、後でお姉さんが膝枕してあげる」

 

「ふざけてる場合じゃないだろ!でも膝枕は頼む!」

 

軽口を言い合う二人、それはすぐに遮られた

 

 

「「「「ワハハハハハハハハハハ!!」」」」

 

 

重なった4つの笑い声が響く

 

「機械有る所に我等有り!」

 

「魔王軍に我等機甲師団有り!」

 

「機甲師団に勇者有り!」

 

「我等こそ魔界の勇者!」

 

4人が並ぶ

 

 

「「「「魔族4勇者推参!!」」」」

 

 

決めポーズを取って機甲師団と共に、バル、ベル、ボル、ブルの軍団長が現れた!

 

「……」

 

「……」

 

にとりとカメハが黙って見ている

 

(妖夢と同じ臭いがする……バカの臭いだ)

 

(なんだこいつら……)

 

可哀想な者を見る目で……

 

 

「河城にとりとお見受けする」

 

長男バルが礼儀正しく礼をする

 

「あの横の冴えない人間は誰だ?」

 

「さぁ……?河城にとりの奴隷あたりじゃないか?いかにもって顔してるし……童貞の顔でもあるよなアレは」

 

「あー確かに……って事はアイツ魔法使いか!?アイツ見た感じ30は越えてるだろ?確か人間の男って30越えると魔法使いになるんだろ!?ヤバイぞ皆!魔法に気を付けろ!危なかったな……賢者だったら勝ち目が無いところだった……!!」

 

次男と三男と末っ子がカメハを見てヒソヒソ言ってるつもりだが丸聞こえだった

 

「……にとり、オレにやらせてくれ!あいつら絶対泣かす……ウラァ!オレはまだ20代だテメェ等ァ!!」

 

カメハは激怒している

 

「年齢詐称かよ……これだから童貞は……」

 

「隠したくなる気持ちはわかるよ、恥ずかしいもんな……でも嘘はいかんよね嘘は!」

 

「プークスクス……!」

 

しかし受け流され更に燃料を投下されてしまう

 

「ヤロォォォォ!!」

 

「待ちなよカメハ」

 

飛び出そうとするカメハをにとりが押さえ耳打ちする

 

「熱くなるなって、あいつらとぼけた面してるけどまぁまぁ強い……後ろに部下も控えてんだから慎重にいかないと返り討ちだよ?」

 

「うっ……悪い……」

 

諭され気を静めるカメハ

 

「それに童貞は本当だろ?」

 

「なっ!?にとりテメッ……!?」

 

顔を真っ赤にしながらカメハは下げられた

 

「待たせて悪いね、そうだよ、私が河城にとりだよ」

 

「よし……では河城にとり!勝負だ!」

 

「……?勝負も何も元から戦争なんだから当たり前だろ?」

 

「そうだが……条件を加えたい、我等が勝ったらそのキラーマシンを頂く事を了承して貰いたい!」

 

「!?ロビンを……」

 

チラリと横目でロビンを見る

 

「……嫌だと言ったら?」

 

了承しかねる提案に威圧しながらバルを睨む

 

「諦める」

 

「ひゅい……!?なんだそりゃ……」

 

ズッコケそうになるにとりだがバルの目を見て本質を読み取った

 

(気の抜ける奴等だ……殺してでも奪い取るぐらい言えば良いのに……でもあの目、本当みたいだね……奴等なりの誇りが有る訳か、後ろの奴等もこいつ等を信頼してるのがよくわかる面してるし……無理矢理じゃ着いてこないってわかってる……モンスターマスターみたいな奴だな)

 

気を取り直すとロビンと共に告げた

 

「どうせ戦いはやめられないんだ、ロビンはやらないけど良いよ……かかってきな!」

 

「よし!決闘だ機甲師団!誰も手を出すなよ!」

 

バルの命令に機甲師団のマシン達はバル達に声援を送りながら下がる

 

「舐めてんねお前等……こちとら遊びじゃねぇんだよ!私とロビンに挑んだこと後悔させてやる!」

 

幻想のモンスターマスターと魔界の勇者、激突す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もういい」

 

ついに痺れを切らしたテリーはついに進み始め手近に居た妖怪に剣を突き出す

 

「恨むならその程度の実力で戦場に居る自分の力の無さを恨め……」

 

その怪剣が命を刈り取る……その刹那!

 

 

「待てぃ!!」

 

 

透き通る声が高らかに響く

 

「世の中には2種類の者がいる、平和を愛しお互い助け合おうとする者……戦争を好み、お互い憎み合おうとする者……だが愛を貫き通した者にしか素晴らしい未来は訪れない!人それを「幸福」という!!」

 

崖の上から太陽を背にして居た

 

「……一応聞いてやる、何者だ!」

 

目的の者が現れた事でテリーの顔が狂喜に歪んでいる

 

 

「我が名は魂魄妖夢!主、西行寺幽々子様の宝剣にして幻想郷を守る剣!!」

 

 

崖から降り立った妖夢は剣を抜きテリーと相対する

 

「御託は要らないな?」

 

「ええ……」

 

再び出会う運命の相手にもはや語る事は無い、有るのはただ1つ

 

どちらが強いか、それだけ

 

 

ズズズズズ……

 

 

二人の剣士の放つ闘気、妖力、魔力、それらを総じた異常な剣気が見る者の目に空間が歪んでいる様に見せる

 

 

「「……!!」」

 

 

剣が重なり火花散らす

 

 

 

 

鬼となりて、いざ逝かん

 

 

神を斬り、仏を斬りて 

天に仇為し我道を逝かん

 

 

仁を断たらば 修羅 と為さん

義を断たらば 羅刹 と為さん

 

 

二つのつわものども、 

対峙すれば 死合う のみ

己が死生を刃に賭けん

 

 

技、極めること叶わねば 

殺すことも、また情け

道、貫くこと叶わぬ果て 

野垂れ死ぬとも、本懐なり

 

 

無情の生涯、語るに及ばず

我道に殉ぜし極みこそ 

古今無双の死に様なり

 

 

いざ、尋常に勝負せよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽の畑

 

「……」

 

そこで静かに目を閉じ佇む魔族の男

 

「魔族に花は似合わんねぇ……やっぱり花と来たら私みたいな可憐な女の子か花を愛する私の親友だろうよ」

 

酒を片手に陽気に現れたのは萃香

 

「……やはりな、ここで待てば強者が来ると思っていた」

 

魔族の男、魔軍司令ガルヴァスが目を開け微笑んだ

 

ガルヴァスはこの太陽の畑には世界樹の苗木らしき物が有ると報告で知っていた、もしそれが本当に世界樹の苗木ならば将来的に世界樹になる、世界樹の価値を知るならば重要な場所

 

そこでガルヴァスは世界樹の苗木が有るこの場所で待った

 

ここなら求めるとびきりの強者が来ると願って

 

「ここは私の親友の大事な場所でね……気になって見に来たけど荒らされてなくて良かったよ」

 

そして萃香は来た、親友である幽香が畑を心配していたが勝手を出来ないと苦しんでいたのを察して

 

「我等は戦いを求めはするが無益な破壊や殺戮はせん、そこまで腐ってはいない」

 

ガルヴァスの願いは叶ったのだ

 

「ここで私等が出会ったのも必然だったんだろうねぇ……私は伊吹萃香、霧の鬼さ……あんたは?」

 

「オレの名はガルヴァス、魔軍司令ガルヴァスだ、軽く聞いてはいるが幻想郷で10指に入る最強の鬼……それもデスカールをやった奴が相手とは行幸と言わざるを得まい!」

 

萃香の力を感じガルヴァスの戦気が昂っていく

 

「今すぐやりたいところだが先に場所を変えねばな……良い場所は有るか?」

 

「気を使わせて悪いね、じゃあっちに行こうか、あっちなら広いし誰も居ないから存分にやれるだろうよ……着いてきな!」

 

強者を求めし魔軍司令は友の為に動いた霧の鬼と消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大魔宮・ソル城階下、ドーム型闘技場「帝王の間」

 

「待っていたぞ紅美鈴」

 

「先日はお世話になりましたね」

 

ソルの主城に繋がる天魔の塔の最上階、本来帝王と呼ばれるフロアマスターが守護する場所で美鈴と戸愚呂は向き合っていた

 

「いいねェ……武者震いが止まらないくらい昂っているみたいだなぁ?」

 

戸愚呂が面白そうに指摘する

 

「ええまぁ……何せ久し振りですからね、豪鬼と戦ったのが最後だったので随分と久し振りなんです……武道家が相手で勝敗の見えない戦いに身を置く……と言うのが」

 

美鈴も若干の興奮を押さえきれていなかった

 

「ここは今ソルパレスに配置されている守護者の間でね、滅多な事では壊れない造りになっている、オレ達が存分に戦うには持ってこいだからここで待っていた訳だねェ」

 

ポケットから手を抜き開始の意思を見せる

 

「貴方は強い、ですが言わせて貰います……」

 

正直、戸愚呂に勝つのは無理かもしれない

 

しかし美鈴は宣言する

 

「私は負けない!!」

 

幻想郷の為に勝つ、と

 

「いいねェ……お前ならば久し振りに敵になれると期待している!失望させてくれるなよ!!」

 

戸愚呂も応える様にジャケットを脱ぎ捨て闘気と妖気を高める

 

「ゆくぞ紅美鈴!」

 

「……来い!」

 

闘劇の合図が鳴る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

""そう、それはまるで導かれる様に……

 

       導かれる様に龍虎は相打つのだ……""

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……止まれ超竜軍団」

 

紅魔館に向かっていたヴェルザーは前方に一人の妖怪の姿を確認し全軍を停止させた

 

「何か用か女……?」

 

緑髪の妖怪へ威圧を込めて問う

 

「用……?温い事言ってるわね……食事に誘いに来た様に見えるのか爬虫類ごときが……お前等全員潰しに来たのよトカゲの王様」

 

それは紛れもなく花の大妖怪、風見幽香

 

「バーンは私の獲物……手を出すお前は殺す」

 

最凶の妖怪が冥竜王に立ち塞がる

 

 

「「……!?」」

 

 

2体の怪物の戦いが始まろうとするまさにその刹那、異様な力を紅魔館の方角から感じて2体の怪物は同時に振り向く

 

 

「ほぉ……でかくなったな小僧……」

 

 

低く、重く、圧の有る声

 

並みの者ならそれだけで平伏してしまう覇者たる威声

 

「誰よお前……?」

 

知らない幽香は現れた正体不明の魔道師風の魔族を睨む

 

「何ッ……!?き、貴様は……!?」

 

だがヴェルザーは違った、信じられない者を見る目で激しく狼狽えていた

 

「何故……貴様が……!?貴様が何故ここに居る!?」

 

もはや幽香など見えずその魔族に怒鳴っていた

 

「ふん……ワシの知るヴェルザーとは違うのはわかってはいたが知ってはいる筈だ……不敬なその物言い……どうやら忘れてしまった様だな」

 

冥竜王を前にして何も恐れは無い、何故なら……

 

 

「思い出させてやろう……王の中の王であるこの竜王の偉大さをな……」

 

 

その者は全ての竜の頂きに立つ覇者なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ""そしてそれは更なる強者を呼ぶのだ……""

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いつもより多く書いたのにこれでも全員じゃない……サブタイは竜虎相搏つみたいな意味です。

対戦カードが揃ってきましたがどうでしたか?妖夢のはもはや様式美、ノルマ達成!剣士にちなんだネタも思い付いて満足です。

次回も頑張ります!

・余談
つい先日誕生日でした、出張先で一人寂しくお祝いの珈琲飲みました、美味しかったです(小並感)

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