fate/never surrender,s 作:R-boat
仮面ライダーの映画とテレビの時系列が噛み合わないのと一緒です。(理不尽)
「結論から言えば、駆紋戒斗と言う人間は確かに2013年に存在していたよ」
幾分か疲労を見せながらロマンは藤丸に語る。
「なんか、すごい疲れてない?」
「いやいや、そんなことは…」
「カルデアの復旧の合間にろくな睡眠もとらずに調べ物だ。疲れてなければ人間じゃないさ」
「ばっ、何でバラすんだレオナルド!」
藤丸の問いに言葉を濁すロマンを嗜めるように突然現れ、話し出したのはルネサンス期の天才にしてカルデアのサーヴァント第三号であるダ・ウィンチちゃん(体“は“女性)である。
「ダ・ウィンチちゃん、おはよう!」
「おはよう、藤丸くん」
「…で、君は何をしにきたんだ?」
「何、解説役は私の役目だからね。君は大人しく休んでいたまえ」
「仕方ない、大人しく従うとしよう…」
ダ・ウィンチちゃんによる横槍で限界が来たのか、フラフラと仮眠室へ歩いてゆくロマンを見送った後、藤丸はダ・ウィンチちゃんに問いかける。
「…もしかして、余計な仕事増やしちゃた?」
「無駄ではないさ。君のサーヴァントが何者なのか、それを明らかにするのは君を守ること、ひいては人類を守ることに繋がる。それはカルデア全体の願いなのだからね」
「ありがとう、ダ・ウィンチちゃん」
「その言葉は彼に言ってあげたまえ」
ロマンの疲労の原因が自分なのではないかと感じた藤丸に、ダ・ウィンチちゃんはいずれにせよやらなければいけないことだったのだと語る。
「さて、駆紋戒斗についての話だったか、どんな質問にも答えよう。いわば、なぜなにカルデアだね」
「古いネタを…」
「私にとっては未来だがね!」
空気を入れ替える為にどこぞの機動戦艦みたいなことを言うダ・ウィンチちゃんに藤丸も乗っかり、本題に入る。
「まず、駆紋戒斗は魔術とあまり縁のある人間では無かった」
「そうなの?」
「正確には、魔術世界においては重要視されて無かったと言うべきかな。彼が関わった事態には、当時の大企業であるユグドラシル・コーポレーションによる徹底的な隠蔽が為されていたんだ」
「それなら少し覚えてる。沢芽市の怪物騒ぎだよね」
「正解だ。正確に言えばあれは並行世界からの侵攻だったらしい」
「…らしい、って」
「現代の魔術師にしてみれば、所詮科学に傾倒している企業のしていることだからと一部の変わり者以外は気にしてなかったのさ。蓋を開けてみれば第二魔法のバーゲンセールだし、気付いた時には後の祭りとさんざんだったようだ。お陰で無駄な手間が増えたよ」
「うわぁ…」
「幸い、カルデア前所長はその一部の変わり者だったからどうにか調べ上げることができたがね!」
現代の魔術師の杜撰さに藤丸は何も言えなくなり、ロマンやダ・ウィンチちゃん達の苦労を思い同情する。
「駆紋戒斗の話に戻ろう。彼は…」
◼
「それで、君が足止めか?」
大空洞前、白髪の
「俺が足止めだと?俺を軽んじる奴は、全て『力』でねじ伏せる!」
「…!」
アーチャーの言葉を挑発と受け取ったバロンは、殺意を隠すこともなくアーチャーへぶつける。それを受けたアーチャーは、表情を変えることなく目の前の敵への警戒を強める。
「ほう、良い殺気だな。だが直線的すぎないかね?足元を掬われても文句は言えまい」
「搦め手を狙うのなら覚悟しろ。その全てを叩き潰してやろう」
「大した自信、だなっ!」
「…っ!」
先ほどの反応から挑発は有効と判断したアーチャーはあえて会話を続け、切りのいいタイミングで左手の剣をバロンへ投擲、自らも右手の剣を構え間合いを詰める。
「嘗めるなぁ!」
投擲された剣を右に避けて、肉薄してきたアーチャーの剣を自らの剣であるグロンバリャムで受け止める。
「不意討ちか、弱者のやりそうなことだなぁ!」
「如何にも私は弱者だからな、弱者らしく足掻かせてもらおう!」
アーチャーと鍔競り合うバロンの背中に突然剣が突き刺さる。アーチャーの持つ夫婦剣には、互いに引き合う性質がある。それを利用した奇襲により受けた想定外のダメージにバロンは致命的な隙を作ってしまい、グロンバリャムを弾いたアーチャーはそのまま剣をバロンの腹部へ突き刺す。
「最初の投擲から計算済みだったと言うことか…」
「他愛なし、だ」
しかし、既にアーチャーは致命的な失態を犯していた。もしアーチャーが正気だったのなら、恐らく先ほどのタイミングで迷わずサーヴァントの弱点である頭か心臓を狙っていた筈である。そしてそのミスがアーチャーの明暗を分けた。
腹部を刺されたバロンはグロンバリャムを右手から落とし、
そのままバロンに剣を刺しているアーチャーの右手を掴んだ。
「他愛ないのは!」
「なっ!」
「貴様の方だぁ!」
そして、左の拳を一切の躊躇なくアーチャーの腹部へ叩き込む!
「がはぁっ!」
吹き飛ばされたアーチャーは廃墟へ勢い良く叩きつけられる。
腹と背中の夫婦剣を引き抜き、打ち捨てたバロンの傷痕が植物のようなもので覆われる。
「真性の怪物か?よもや私の知らない英霊がいるとはな…」
「貴様も十分化け物だろうが」
「ふっ、違いない」
起き上がったアーチャーが黒弓と捻れた剣を何処からか取り出すと同時に、バロンの体が植物で覆われていく。
「
「
アーチャーが黒弓に剣をつがえると、剣はまるで矢として使う為に設計されたかの如くその身を細く変える。
「
そして、アーチャーの矢は植物に包まれたままのバロンへと一直線に放たれる。その瞬間、
「
バロンの宝具が発動する。
FGOやって鎧武見よう!