fate/never surrender,s   作:R-boat

1 / 5
fate/never surrender,s

夢を見た。

 

弱者も強者も無い、そんな世界を。

 

その為に俺は力と言う名の強さを求め、

そして文字通り人間を超えた力を得た。

 

理想は正しかった筈だ

ただ、方法が間違っていたのだろう。

 

泣きながら前に進むと、そう言った男がいた。

それが『弱さ』だとしても、と。

 

お前は強い。俺よりも、誰よりも。

あぁ、だからこそ、俺は。

 

 

人理継続保障機関カルデアが、

2017年以降の未来の焼失を観測し、紆余曲折を経てその原因と推測される『特異点F 冬木』への跳躍、すなわち『レイシフト』を実行に移したのは数時間の前のことである。

 

しかし事故を装った何者かの妨害により、実際にレイシフトを成功させたのはマスター適正を持つだけのほぼ一般人、藤丸立香と奇跡的に『デミ・サーヴァント』となった

マシュ・キリエライト。そして一人はぐれた位置へレイシフトしていたカルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアのみ。

 

この危険な状況に対し、臨時のオペレーターを行っている

ドクター・ロマンことロマニ・アーキマンの提案により、

人類史にその名前を刻んだ英霊を召喚、使役する『英霊召喚』を行うこととなった。

 

「先輩、準備完了しました」

 

その細身に似合わぬ、マシュに憑依した英霊のものであろう『宝具』である大盾を霊脈へ設置し、召喚サークルを形成したマシュがオルガマリーと詠唱の確認を繰り返している藤丸に声をかける。

 

「わかったー!」

「いい?余計なことは考えないで、詠唱に集中しなさい」

「頑張ります!」

「…いまいち信用出来ないわね」

 

全体的にどこか緊張感の無い藤丸に対しイライラ感を出しているオルガマリーだが、その理由が他にも在ることにロマンは気付いていた。

 

(魔術の名門に生まれながらマスターとしての適正を持たなかった所長はそれで色々苦労してきたし、そんな彼女に

にとって、たまたま適性があっただけの一般人である藤丸くんに頼りきりな状況は苦しいだろうな…)

 

そんなロマンの考えは露知らず、カルデア式の召喚において触媒となる金平糖めいた物体、聖晶石を3つ並べると藤丸は詠唱を行う。

 

「おぉ、思いの他うまくいってるじゃないか!」

「あなたが言い出したことでしょう、ロマニ・アーキマン!」

「そうは言っても、設備が整っているカルデアでも英霊召喚はほとんど失敗だったからなぁ」

 

そんな世間話をしている間に、回転する三本の光のサークルは一瞬激しく発光してその光を消す。

 

「召喚は…?」

「成功したの?まさか、失敗…?」

「いや、反応が一人分増えている。エネミーでないのなら、おそらく…」

 

ロマンの言葉に、閃光の影響が残ったままの目を凝らして召喚サークルをじっと見た藤丸は、人影のようなものを認識する。しばらく動かなかった人影はやがて立ち上がり藤丸たちに近づいてくる。

 

近づいたことではっきり見ることができるようになったその姿は、過去の英霊と言うよりは、現代寄りの服装をした日系の若者であり、藤丸はその正体を全く掴めずにいた。隣に立つオルガマリーもまた英霊を睨むように見ており、正体にたどり着けていない様子である。

マシュは最悪の事態に備え、回収した大盾を構える。

そんな周囲を見て軽いため息を吐いた英霊は、名乗りを上げる。

 

ーーこれは、未来を取り戻す物語である。

 

「クラス、バーサーカー。バロンとでも呼べ」

「バロン…?」

 

ーーそして、魔王が魔神を殺す物語である。

 

fate/never surrender,s

もし、ロードバロンが召喚されたら。

 

多分続かない。




クラス バーサーカー
真名 ロードバロン(駆紋戒斗)
宝具 
『超人類化・異界侵食』 A-
オーバーロード
生前にたどり着いた極地。文字通り人類を超える。
ステータスに補正が掛かる他、怪物へ変容できる。

『人類遺産・擬似進化』 D-
アーマードライダー
使用不能の宝具

『今は亡き勝者の森』 A
ヘルヘイム
固有結界として並行世界を呼び出す宝具。
結界内で外傷を負った者は例外なく異界の植物に侵食される。
  

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。