「球技大会、お疲れ〜〜!!」
「「「乾杯!!」」」
俺の家がかつてないほど賑わっていた。
というのもクラスの寺坂組以外全員集まっているからだ。
「はいは〜い、たくさん食べてね〜」
「ふむ。たまにはこういうのもいいねぇ。」
お姉ちゃんもクリムも、ノリノリですね。
まぁ、別に楽しくないわけでもないいし、全然良いんだけど。
なぜこうなったのかというと、球技大会が終わり、男子が勝って本校舎を盛り下げたということでお祭状態になった。そのお祭状態で校舎を出るとこのまま打ち上げに行こうといった話になり、偶然そこに姉ちゃんが通りかかり、イベント好きのお姉ちゃんは家でやればいいといいだした。
殺せんせーや鳥間先生、ビッチ先生も一応呼んだのだが、あいにく鳥間先生は防衛省へ。
ビッチ先生は…………あれ?ビッチ先生への連絡誰がした?誰がビッチ先生にも連絡して!!
殺せんせーはなにか作ってるらしい。ほんと何作っいるんだろ?
「にしても広いな。坂上の家は。」
千葉が羨ましそうに言ってきた。
「そうか?広すぎてもあんまいいことないぞ?」
「でも大は小をかねるっていうだろ?」
岡島が言うとなんかだめなんだよな〜
言い方というか雰囲気とか。
するとカルマが横に来て、
「ねぇねぇ、拓実の部屋どこ?」
「カルマ……お前のやることは大体わかるが期待してるようなものはないぞ?」
「一応だよ、一応。」
駄目だ。触覚と尻尾が見える。
結局、特にやばいものもないので教えると、カルマと中村は俺の部屋に行った。
すると、カルマがいなくなったことで空いたスペースに桃花が座った。
「ありがとね、場所。貸してくれて。」
「別に?断る理由もないし。」
桃花は「そっか」といって微笑んだ。
「にしても最後のホームランはすごかったよ!すっごい飛んだもん。」
「はは……実は杉野が帰って来れるぐらいって思ったんだけどね、自分でも以外だったわ……。」
俺は苦笑しながら答えた。
すると、俺の部屋に行っていたカルマの中村が戻ってきた。
……色々持って。
これはなんだこれはなんだと次々に聞いてくるが、やばいものではないので答える。
だが…
「じゃあこれは?ちょっと焦げてる免許証。拓実のじゃないよね?」
中村が免許証を出して聞くと、クリムも姉ちゃんも顔を曇らせた。多分…俺も。
「それは…俺の友達の免許証だよ。」
普通に答えられたと思う、多分。
「ふ〜ん、この人今は?」
「……亡くなったよ。」
俺の家にいた全員が固まった。
「えっと……ごめん。」
「別に…。タイミングがなかったから今までに行ってなかっただけだし。」
しんみりした空気に、倉橋が、
「じ、じゃあたっくんの卒業アル…」
「拓実!ちょっといい?」
倉橋の発言を姉ちゃんが遮った。
倉橋の言いかけたことが少し気になったがが
「あぁ、」
返事をして姉ちゃんについて廊下に出た。
桃花sid
卒業アルバム。陽菜乃がそう言おうとしたらお姉さんが遮った。
二人がそのまま廊下に出ると、クリム先生が深刻そうに話はじめた。
「みんなすまない…。そういう話はやめてやってくれ。」
「なんか理由でもあんの?」
カルマがクリム先生に聞いた。
「うむ……拓実は、小学五年から中学二年のはじめの頃までの記憶を失っている。」
えっ……?
「そして卒業アルバムも持っていない。本人も気にしているところがある。だから……」
クリム先生がそう言おうとした時、
「大丈夫だよ、クリム。」
拓実が戻ってきていた。
「姉ちゃんもクリムも深刻に考えすぎ。確かに気になるし、なにがあったか知りたいけど、そんな深刻に考えなくていい。」
「この間シロが言ってたのはこういうことか……」
前原がそう呟く。
確かにシロがクリム先生と拓実に何か言っていた。
「ねぇ……なんでロイミュードと戦うの?」
私は思い切って聞いた。
すると拓実は苦笑しながら、
「えっとな、目が覚めると姉ちゃんと、クリムがいていきなり戦え〜って。そんときクリムの知らなかったしなんじゃこりゃ!?ってなったけどね。」
「あの時はほんとにすまない。焦っていたんだ。」
多分それが記憶を失った直後なんだろうな……。
そう考えてると拓実が、「でも」と付け足して、
「今はそうじゃない。守りたいものもあるし、これは…俺の罪滅ぼしでもある。」
「罪滅ぼし?」
渚がみんなの代わりに聞いた。
「ロイミュードは……俺の父さんが生み出したものなんだ。」
えっ?
言葉が出なかった。
これは神崎さんに聞いたんだけど、修学旅行の時、親のことを聞いたら表情が暗くなったらしい。
「俺は父さんが作ったものでみんなが危ないんだとしたら、止めないといけない。なぜかそいつらはE組ばかり狙う。」
と、そこに
「私達のお父さんは研究者だったの。
そこでの研究が、ロイミュードを生み出した。」
「姉ちゃんは最後まで信じてた。あれは父さんが産んだものじゃない。仮にそうだとしても、なんとかするはずだと。でもあいつは、『家族は研究材料としか思っていない』と言い切った挙句、母さんまでロイミュードに変え、『母さんの研究材料としての役目は終わった』と吐き捨てやがった。あいは裏切ったんだ。信じた姉ちゃんを……これは姉ちゃんに対する侮辱だ。 」
拓実の言葉にあのカルマでさえも気まずそうな顔をしてる。
「俺と……さっきの免許証に写ってるやつ、チェイスは父さんと戦った。でも、あいつは強くて、手も足もでなかった。………俺が、俺がヘマをして殺されそうになった時に、チェイスが俺をかばった。そして、父さんと爆発した。」
「ば、爆発?」
どういうこと?なんで爆発なんて……
「チェイスもまた、父さんが作ったロイミュードだったんだよ。元々は人間だったんだけど。父さんが母さんみたいにロイミュードに変えた。そして、俺を庇ったときに受けたダメージがでかくて、体は限界。チェイスは父さんにひっついて、爆発した。それで終わったと思ったが、ロイミュードは耐えなかった。だから俺はロイミュードを全部倒す。撲滅する。父さんの代わりに罪滅ぼしをする。
それが今戦う理由だよ。」
そう言い終えた拓実に私たちは何も言うことができなかった。
時間的にも遅くなり、解散の流れになった時、拓実が、
「友達は大事にしろよ?俺はずっとチェイスを受け入れられなかった。ロイミュードが人間と、共存できるわけないって。チェイスが俺と友達になろうとしてたのに俺は最後まで拒絶してたんだ。そして失っている初めて気づいた。そして後悔した。あんなことになるなら言っておけばよかった。もう友達だってな。お前らは……後悔するなよ。」
拓実の過去が知れた。それはいいはずなのに、みんな、心に言葉にできないモヤモヤを抱えて帰宅することになった。
拓実sid
「……よかったのかい?すべて話して。」
「あぁ、別に隠してたわけじゃない。」
クリムと俺は自室に戻っていた。
「まだクリムの過去は知らないけどな。」
「すまない……」
「いや、別にいいんだ。いつか……知れたらいいなとは思うけどね。」
俺はチェイスの免許証も元の位置に飾った。
あぁ……打ち上げなのに……なんか悪いことしたな……。
打ち下がったみたいになってる……。
でも、俺が伝えたかったことは言えた。
ホントは寺坂達もみんなと仲良くしてほしいんだよな。
みんな苦手だって言う人もいるかもしれない。でも、死んでほしいって思ってる人はいないはずだ。
寺坂たちにも寺坂の考えがあって、距離が出来たんだろうけどみんな拒絶だけはしないでほしいな……。
今回は短めです。
個人的には島の話が好きなので早くそれを書きたい……。
あと、イケメグの話は飛ばします!すみません!