マッハと暗殺教室   作:ジョンウォン

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転校生の時間 2

律が正式にE組に入り、クラスメイトとビッチの絆も深くなった今日この頃。

梅雨に入って雨が増え、雨が増えるのと同時に殺せんせーの顔の面積が増え……いや、湿気て。

色々あった暗殺教室だが、俺はそろそろまた何かありそうな気がしていた。

ロヴロが言っていた、律ともう一人の暗殺転校生。おそらくそろそろだろう。

俺はそんなことを思いつつ通学していた。そんな時、

 

「拓実さん!鳥間先生からメールです!」

 

「ん、あぁ、ありがと………ってえ!?」

 

「どうしました?拓実さん!」

 

俺は周りを見るが、あの黒い機械……すなわち律はいない。が、確かに聞こえた。律の声が。

 

「拓実さーん?どうしましたー?」 

 

………。まかさ……。

俺は恐る恐る自分の携帯を見た。

 

「………律。なんで俺の携帯にいるの?」

 

「クラスのみなさんともっとコミュニケーションを図るため、殺せんせーが用意してくださったアプリケーションを皆さんの携帯にインストールしました!」

 

「ほぅ、そんなこともできるのかね?殺せんせーは」

 

カバンの中にいたクリムが驚きの声を出した。

確かに、殺せんせーはどっからそんな情報を?ほんとに超生物なのか?

その割にはやたらと物知りで詳しすぎる……。

 

「……拓実さん?どうかしました?」

 

「いや、なんでもないよ。それより鳥間先生はなんて?」

 

「本日二人目の暗殺転校生が来ると!」

 

うわぁ、なんていいタイミング!まるで漫画見たーい!

とにかく警戒するか……。

 

「すまない律。その転校生について何か知ってるかい?」

 

クリムも気になったのか律に聞く。

 

「……はい。本来、二人同時に転校する予定でしたが二つの理由で中止されました。」

 

「二つの理由?」

 

「はい、一つ目はもう一人の転校生の調整に時間がかかったこと。

二つ目は………私が劣っていたからです。」

 

律が劣ってる?グレードアップ前の律だぞ?

その律が劣ってるって…。

 

「律は劣ってなんかないよ。」

 

心なしか悲しそうな顔をしていた律が少しだけ笑顔に戻ったので安堵して校舎に向かった。

 

--教室--

 

殺せんせーを交えて転校生の話になってる頃。律がさっき俺にした話をして、少しビビってる。いや、結構ビビってる。

それから少しして、扉がいきなり開いた。

 

ガラッ!

 

入ってきたのは白い修道服のような服にマスク……目すら見えない程のマスクをかぶって、俺らより体がでかい人……。

中学生?

その人は手を出して……何をする気だ……

 

バタバタバタ!!

 

鳩ぉ〜〜〜!!??

 

クラス全員がびっくりした。

教室で鳩放つなよ!びびるわ!

すると白いやつは愉快に「ははは」と笑うと、

 

「驚かせてすまないね。転校生は私じゃないよ。

私は保護者、まあ白いし無難に『シロ』と呼んでくれ」

 

なんなんだこいつは……。どうやら今日は様子を見ていくようだ……。

 

「あれ?殺せんせーは?」

 

前原の言葉にみんなが探すが……、

 

「殺せんせーなら上だよ……」

 

クリムの言葉に……

 

「ビビりすぎだよ、殺せんせー!」

 

「なんだあれ?」

 

「奥の手の1つで液状化」

 

奥の手まで使って……

 

「にゅ……さっき律さんがおっかない話をするので……」

 

その様子にシロは満足そうに、

 

「皆良い子そうだ。これなら、あの子も馴染みそうだな。ん?君は拓実君かい?」

 

その言葉にクラス全員が俺を見た。

だか、俺もこんな人知らん。

 

「あなた誰ですか?」

 

「ん?君のお父さんと少し知り合いでね……おっと、睨まない睨まない。」

 

シロはごまかしながら

 

「席はあそこですか殺せんせー?」

 

「え、ええ、そうですが」

 

「ちょっと性格とか特殊なんで私が紹介します。イトナ!入っておいで!」

 

特殊?それってどういう……

 

ドガァァァァ!

 

その特殊な転校生は壁からあらわれた。

 

「「「なんで壁から!?」」」

 

全員が突っ込んだ。それに、答えることなく、

 

「俺は勝った。この教室の壁より強いことが証明された……それだけでいい……」

 

壁……壁?

 

「堀部イトナだ、仲良くしてやってくれ」

 

満足そうに教室の前に行こうとするイトナにカルマが話しかける。

 

「なんで手ぶらなのに土砂降りの雨の中全く濡れてないの?」

 

するとイトナはカルマの頭を掴んで、

 

「前はクラスでも強い……けど俺はお前より強いから殺さない……安心しろ」

 

そして、俺の方を見て、

 

「お前は不思議な力を使うが俺のほうが強い。」

 

「………。」

 

「俺が殺したいのは俺より強いかもしれないヤツだけだ。ここでは殺せんせー、あんただけだ」

 

そういって殺せんせーの前まで出た。

 

「それはケンカの事ですかイトナ君?力比べでは先生とは次元が違いますからねぇ」

 

「違わないさ……俺達血を分けた兄弟なんだから」

 

ん?兄弟……?

 

「「「兄弟!!!???」」」

 

「兄さん、放課後この教室で勝負だ。俺の強さを証明する」

  

殺せんせーは言葉がでない。

 

「殺せんせー兄弟いたの?」

 

「そんなことありません!親に弟か妹がほしいといったら気まずくなったの覚えてます!」

 

桃花の問に答えるが、嘘だろそれ。

地球破壊超生物がそんなにいたら迷惑極まりない。

だが、イトナと殺せんせーの共通点は多かった。例えば、

 

「すごい勢いで甘いもの食ってんな…」

 

「殺せんせーと似てるかもね」

 

甘いものを、たくさん食べる。

 

「兄弟疑惑で比較されるとなんだかムズムズしますねぇ。気分直しに買ったグラビアでも見ますか」

 

流石にこれは……

 

「なんでイトナまでグラビア持ってきてんだよ……」

 

「これは俄然信憑性が増してきたな……」

 

グラビア……いや、巨乳好き。

 

「岡島君……?」

 

「巨乳好きは皆兄弟だ!」

 

その後女子たちのボコボコにされたのは別の話。

そして放課後になった。

教室には机をまるでボクシングのリングの用に並べ、中に殺せんせーとイトナがいる。

 

「まるで試合だな」

 

隣にいた前原がそう言葉をこぼした。

 

「ただの暗殺だと面白くないので1つルールを作りましょう。ルールの内容はただ1つリングの外に足がつけばその場で死刑だ」

 

「それ負けてもルール守るヤツなんているのか?」

 

シロの提案。疑問の前原に、カルマが答えた。

 

「いや……皆の前で決めたルールを破ると先生として信用が落ちるから意外と効くよ。これ……」

 

「それでは、暗殺……開始!」

 

ザシュ!!

 

クラス全員驚いた。なにがといえば、殺せんせーの触手が一本切れた。

だか、そのことに関してではない。切ったもの。

 

「なるほど…濡れないわけだ。文字通り雨粒一つ一つはじいていたのだからね」

 

「あぁ…。でも驚いた……。まさか…触手持ちだったとは。」

 

クリムの言葉に俺は付け加えた。

その次の瞬間。恐ろしい殺気で包まえた。

 

「あっ……」

 

「この感じ……」

 

桃花と有希子が涙目で反応した。

どうやら覚えがあるらしい。

 

「どこでそれを手に入れた‼その触手を‼」

 

ど怒りの殺せんせー……真っ黒だ。

その様子に全く焦らない、シロ。

 

「言う義理はないね。けど確かに君と彼は兄弟だろ」

 

「……どうやら詳しく聞かないといけないようですねぇ」

 

「君はここで死ぬから無理だね」

 

売り言葉に、買い言葉。殺せんせーが

動こうとした時、動けなかった。

 

ザシュ!

 

また一本持ってかれた。

殺せんせーの動きを止めたのは光だった。

 

「至近距離でこの光線を浴びると君は一瞬硬直する。触手同士の戦闘でこれがどれほどの隙か君には分かるだろう?」

 

その隙を逃すまいとイトナはラッシュをかける。

 

ドガガガガガガ!

 

「殺せんせー!!」

 

「いや、上だ!」

 

寺坂が指差して言った。

 

「脱皮か……それにも弱点があるのは知っているかい?」

 

「もう奥の手を使わせた……」

 

「これは……戦闘能力が違いすぎる。」

 

クリムが焦りの声を上げた。

 

「再生や脱皮には結構なエネルギーを消費するんだ。私の計算では君は今イトナとほぼ互角だね。加えて触手は精神に左右される。動揺から立て直っていない君を見て、今どちらが優勢化は一目瞭然だろうねー」

 

こいつは……知ってる。殺せんせーに対する戦い方を……。

 

それと同時、クラスには一つの意見が言葉にせずともまとまりつつあった。

このまま、イトナに殺らせたくない。

自分たちで殺せんせーを殺したい。と

 

それは俺も同じだ。 

 

俺はポケットから対殺せんせーナイフを取り出して、床に落とした。そのまま足で踏んで、リングの中に滑らした。

 

「さぁ、イトナ。トドメを指しなさい。」

 

「シロさん、あなたは一つ計算外をしている。」

 

「してないね、私の計算は完璧だ。」

 

イトナは遠慮なく触手を出して、接近した。

 

バシュ!!

 

その音は殺せんせーではなく、イトナから。

殺せんせーもその隙を逃さない。

脱皮した皮で素早くつつんで外に掘り投げた。

 

「どうやら落とし物を踏んだようですね。脱皮の皮で包んだので怪我はないでしょうが足はリングの外。よって死刑。二度と先生を殺せませんね?」

 

シマシマの顔で言うが……。よく言うよ、死にかけだったくせに。

 

「負けた………?俺が………?」

 

イトナの触手は真っ黒。ど怒りだ。

 

「まずいな……」 

 

が、そのイトナに針が刺さって倒れた。

イトナを抱えたシロは、

 

「これでは勝負にならないな。それにあの子もまだ登校できる精神状態じゃなかったみたいだ。しばらく休学させてもらいますね」

 

「待ちなさい、あの生徒は放っておけません。それにあなたにも山ほど聞きたいことがある」

 

「いやだね。止めるなら力ずくで止めてみなよ」

 

そういった瞬間、土の中からロイミュードが……いや。ロイミュードではない怪物………。

 

「じゃ、任せたよ。………そうだ拓実君。君はどこまで覚えている?」

 

「なんの話しだ。」

 

「クリム…君もなかなかひどいねぇ」

 

そういってシロは山を降りていった。

シロの言葉が気になったが、

 

「拓実!」

 

「わかってる!」

 

クリムに返事しつつバックルを巻きつけた。

 

「変身!」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

「おらぁぁ!」

 

まず、パンチを放った。怪物の体に当たったのだが、動かない。

 

「は?」

 

続けて殴って、蹴って、

だが動かない。

 

「こんなもんか」

 

奴は俺の拳を掴んで、反対の手で反撃のパンチを二発。

 

「ぐわっ!のわぁ!」

 

殴られるたび火花が散る。

蹴られた俺は地面に倒れた。

 

「くそっ、」

 

少し距離を取り、

 

〚ズッート、マッハ!〛

 

〚ゼンリン!〛

 

足に力を込め弾丸のごとく奴の背後を取ると、俺はゼンリンシューターを思いっきり肩に叩きつけた。

 

ガキッ

 

が、起きたのはゼンリンシューターを持つ俺の手に反発の力がかかって、ゼンリンシューターを思わず離してしまったことだった。 

 

すかさず奴は連続で殴ってくる。

 

「うっ。がはっ、」

 

一撃一撃が重い、痛い……。

俺にくるダメージは絶大だった。

 

「はぁ!」

 

「ぐわぁぁあ!」

 

最後の一撃。俺はぶっ飛ばされた。

強制変身解除ダメージまでは行かないが、俺は地面から立てなくなった。

 

「がはぁぁ……」

 

「拓実君!」

 

「待ちたまえ、いってはいかん!」

 

飛び出しそうな桃花や有希子を殺せんせーやクリムが止める。

 

俺がやられるわけにはいかない。

だからこそ、強さがほしい。

 

俺はクリムにもらったサイドカーを握った。

バイク部分を車に入れて、ベルトにセットした。

 

〚シグナルバイク!シフトカー!ライダー!デッートヒート!〛

 

マッハの姿は胸部や、顔の一部が赤に変わり、

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

体の節々から無駄な空気が抜けるように、例えるなら列車の出発のとき車輪から出る煙のように、

身体のうちから溢れ出す力に確かな実感を覚え、

 

「はぁぁ!」

 

今までに達したことのないスピードに乗って、渾身のパンチを叩きつけた。

 

「ぐっ、」

 

奴が初めてひるんだ。

 

「行ける!」

 

さらにスピードを上げて連続で叩きつける。

 

「はっ!おりゃ!」

 

「ぐぉ!うぅ!」

 

足に力を入れて飛んで、その勢いを利用してパンチをいれた。

 

「はぁぁぁ!」

 

「うぐぅぅぅ!」

 

桃花sid

 

今までと道がけるスピードとパワーを出すマッハに口を開けて見ることにしかできなかった。

 

「クリム先生!あれは……」

 

クリム先生に聞くと、満足そうに

 

「あれはマッハのパワーアップ用の

デットヒートだ。見ての通りスピードとパワーが上がる。うまく使いこなせてて驚いた。だが……使いすぎると、暴走する。」

 

暴走!?

 

と驚いてる時に、

 

〚必殺!フルスロットル!デッートヒート!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今までにないぐらいパワーのオーラを放ったマッハが敵に必殺キックを放った。

 

ドカァァァン!

 

大爆発が起きて、その炎と煙がなくなると少し悔しそにマッハが立っていた。

 

「ちっ、逃げられた。」

 

と、その時、マッハの肩に付いていたタイヤ、今はメーターのようなものがある。それが………振り切った。

 

「え?ちょ、え?うわ、うわぁぁぁぁ!!」

 

マッハが暴れだした。

 

「いかーん!早く変身を解きたまえ!!」

 

「んなこといわれてもー!!」  

 

え、ちょ、どうするの?

私は周りを見渡すと、ゼンリンシューターが落ちていた。ゼンリンシューターとマッハが暴れたときに落ちた止まれを持って、速水さんのところに行った。

 

「はやみん、お願い!」

 

「え、え?私?」

 

「なるほど、考えたね。」

 

「速水さん、頼めますか?」

 

「はぁ…」

 

クリム先生や殺せんせーに言われてしぶしぶ止まれをゼンリンシューターに入れた。

 

〚必殺!フルスロットル!トマーレ!〛

 

構えたはやみんは暴れるマッハを正確に撃ち抜いた。

 

〚トマーレ!〛

 

「ぐわぁぁ!……速水…ナイスショット……」

 

〚オツカーレ!〛  

 

そういって変身解除したマッハはその場で倒れた。

 

「「「拓実(坂上)ーーー!!!」」」

 

拓実sid

 

目を開けるとそこは、保健室だった。

 

「目が覚めたか?」

 

横に鳥間先生がいた。

 

「今何時ですか?」  

 

「君が倒れて一時間といったところだ。」

 

ってことはみんなは帰ったかな……

と思っていたが、外が騒がしかった。

それに気づいた鳥間先生が少し笑って

 

「フッ、実はな…」

 

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「あの……もっと教えてくれませんか、暗殺技術を」

 

「……?今以上にか?」

 

磯貝君を筆頭にクラスの殆どが職員室にやってきた。

 

「今までは、結局だれかが殺すだろーなって思ってたけど、」

 

「今日、イトナを見て思ったんだ。

『誰でもない俺達E組で殺りたいって』」

 

「だから限られた時間で殺れる限りしたいんです」

 

「僕たちの担任を殺して自分達の手で答えを見つけたいんです。烏間先生」

 

そういう生徒達の目はやる気に満ちていた。

 

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「へぇ、そんなことが。」  

 

「あぁ、生徒がそう言ってきた以上、俺がやらないわけにはいかないからな。」

 

俺はずっと気になっていたことを聞くことにした。

 

「鳥間先生、防衛省はなにをしてるんですか?」

 

「急にどうした?」

 

少し真面目な顔で聞いてきた。

 

「言葉通りです。防衛省は俺ら中学生に暗殺依頼を出した。そうすることによって殺せんせーをその場にとどめて置けると。」

 

「そのとおりだ。」

 

「ですか、本当に期待してるんですか?防衛省が選んだ殺し屋は全く歯が立たず、今だ殺せんせーを追い込めていない。イトナが初めてだ。そんな防衛省は俺ら中学生に期待してるはずがない。防衛省ななにをしているんですか?」

 

そう聞くと鳥間先生はすまなさそうに

 

「申し訳ない。俺はあくまで現場管理で、細かいことは聞かされていないんだ。」

 

「そうですか……」

 

俺はそのまま帰宅するために校舎を出た。


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