マッハと暗殺教室   作:ジョンウォン

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暗殺の時間

島へ出発当日

 

こんにちは。坂上です。

寝れませんでした。

 

有希子に言われたことや島が楽しみすぎて寝れませんでした。

 

まるで小学校の遠足です。

 

「にゅ、にゅゃぁぁぁぁ………」

 

相変わらず殺せんせーは乗り物に弱いようだ。

すかさず倉橋が

 

「見て見て殺せんせー!」

 

と言いつつナイフで一回切るが、殺せんせーはシュバっと避け、まだダレる。

 

だが、そんなことはみんな気にしない。

なぜなら目の前には、テストという戦いで勝ち取った……!

 

「「島だ!!!」」

 

島があるからだ。

 

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「ようこそいらっしゃいました。サービスのトロピカルジュースです。」

 

「お、おぉ……!これは……!」

 

俺がいつか飲んでみたいと夢にも思ったトロピカルなジュース……!

 

………うまい!!

 

「初めて飲んだよ〜!」

 

「うっめーな!!」

 

みんながそれぞれ味わう。

 

だが、ゆっくりはしてられない。

俺達は当初の予定通り、修学旅行の班で別れ、殺せんせーの注意を引きながら、

暗殺のための準備に取り掛かる。

 

俺は修学旅行の班でどこにも所属していないので、クリムと共にサポートを行うことになった。

 

島ではクリムの専用台座は持ってこれないので俺の腰か、鳥間先生の腰に巻きつかれての移動となる。

 

「しかしなかなかいいところだね?」

 

「まー、沖縄だからな。青い空!白い雲に透き通る水!悪いところなんてないだろ。」 

 

「それでも、ちゃんと覚えているかね?」

 

クリムが念を押してきた。

そう、俺が今日出発する前、姉ちゃんに気になることを言われた。

 

「あの島、普通にしてたら多分大丈夫だけど、気おつけてね。嫌な話も聞くから。」

 

聞くところ、薬とか未成年の酒タバコとか、黙っているホテルがあるとか。

警察もうかつに入れないらしい。

だが、行かなければ問題はないようなのでおそらく大丈夫だろう。

 

と歩いていると、ビッチ先生が。

水着姿でボーゼンとしてる。

 

「どうしたんですか?ビッチ先生?」

 

「な、なんで誰も他の客がいないのよ!!」 

 

「そりゃそーでしょ。これから国家機密の暗殺があるってのに。」

 

そこに鳥間先生がやってきた。

 

「坂上君の言うとおりだ。この辺り一体は貸し切りにしてもらった。」

 

キッー!!とビッチ先生は叫んですぐさま鳥間先生に色気を出すが、

鳥間先生はそのままビッチ先生を担いで海に投げ入れた。

 

「なにするのよ!鳥間!!」

 

怒るビッチ先生に鳥間先生は真剣な顔で、

 

「……イリーナ、クリム、坂上君……今回の暗殺についてどう思う。」

 

「……あれだけ複雑な暗殺だと、必ず綻びが出るわ。私はね、ただ遊んでるだけじゃないの。

本気でおこぼれを狙っているわ。」

 

「そうだね。今までにない大掛かりな暗殺。いくら殺せんせーでも楽ではないだろう。」

 

仕事モードにはいったビッチ先生とクリムは言う。

 

「……今回は七本の触手に加えて水のフィールド…。皆今回の暗殺計画に自信を持っている。でも渾身の一発……。もし今回ミスがあったりして不発に終わると、そうとうダメージがあるかもしれない。」

 

俺も思ったことを言う。

鳥間先生はそれ以上なにも言わなかったが、なにか遠い目をしているようにも思えた。

 

ここにいる誰一人、成功の確率を低く見ている。

あの超生物の事だ。まだ奥の手があるに違いない。

 

だが可能性はゼロではない。

奥の手がないかもしれない。

今やれるだけのことはやってみるのみだ。

 

そして夜。暗殺開始前のした準備。

 

ディナー…!(イケボ)

 

「いやぁ、遊んだ遊んだ」

 

「黒いわ!」

 

日にずっと当たっていたせいか、黒。

黒っぽいとかではなく。黒。

真っ黒。

 

「表情まで読み取れないよ。」

 

桃花も横でつぶやく。

……ん?……!!

俺は計画にはなかったことを思いつき、片岡を小声で呼ぶ。

 

「どしたの?」

 

「ちょっと……」

 

聞こえないよう片岡に片岡の耳に、いわいるこそこそ話をして思いついた内容を伝える。

片岡はにやっと笑って「任せて」といって殺せんせーの元へ。

 

「……………っ…」

 

………ちょっと、なんで睨むの桃花……。

 

「では殺せんせー、夕飯はこの船上レストランで。さあ、夜の海をゆっくり楽しみましょう。」

 

と磯貝が言うと、

 

「なるほど。先生を船に酔わせて戦力を削ぐ作戦ですか。」

 

そう、暗殺はもう始まっている。

暗殺者の顔が割れており、暗殺されることを知っている相手だからこそできることである。

 

「当たり前です...暗殺の基本ですから。」

 

「実に正しい。でも大丈夫。暗殺前に気合の入った先生に船酔いなど恐れるに…」

 

「「「黒すぎるわ!」」」

 

おそらく縞々模様で言っているだろうが俺達には全くわからないのでみんなで叫んだ。

 

「そんなに黒いですか。」

 

自覚ないのか!?

ここで片岡がさらに押す。

 

「なんとかしてよ……。前も後ろも分かんないよ。」

 

そしてやっぱりというべきか、

 

「でも大丈夫。先生には脱皮があります。」

 

脱皮をした。

 

「本来はヤバイ時の奥の手ですが、こういう使い方…」

 

どしよ……笑いが……こらえ…ププッ

 

「ばっかでー……暗殺前に自分で戦力減らしてやんの。」

 

「どうしてこんなドジ未だに殺せないんだろう。」

 

先生は赤くなって顔を抑えている。

俺と片岡はうまく行き過ぎた結果にハイタッチ……

 

ちょっと……なんで睨むの桃花……。

 

そして完全に酔いきった殺せんせーを暗殺会場へ。

 

「さあメシの後はいよいよ暗殺だ。会場はこちらですぜ。」

 

「この船上パーティールーム。逃げ場はありませんよ。」

 

「さあ席に着けよ殺せんせー、まずは映画鑑賞から始めようぜ。」

 

このクラスの最高傑作とも言える暗殺計画……存分に味わってくれや

 

「まずは、三村が編集した動画を楽しんでもらい、その後テストで一位を取った七人が触手を破壊。そして一斉に暗殺をする…それでいいですね?」

 

「ええ、上等です。ドンと来なさい。」

 

「じゃあ映画鑑賞から。セッティングありがとな!三村!岡島!」

 

俺の礼に苦笑いしながら

 

「ああ、皆が飯食ってる間もずっと作業してたさ。」

 

殺せんせーsid

 

このチャペルの壁には対先生物質が塗られている可能性が高い……。

この中で避けきるしかないですねぇ。

 

「遠慮はいりません。皆さん、本気の暗殺期待しています」

 

「言われなくても、始めるぜ。殺せんせー。」

 

タイトルは……

 

「三年E組が送る 〜とある教師の生態〜」

 

にゅ?私の生態?

……おっと、後ろの小屋で生徒達がしきりにが出入りしていますねぇ。位置と人数を明確にしないためでしょう。

しかし甘い。千葉くんと速水さんの匂いがここにありません。二人のかすかな匂いが陸の方からする。

それさえ注意していれば大丈夫ですね。

 

しかしこの動画よく出来ている。編集とナレーションは三村君ですか。いいセンスです。

 

にゅ?

 

「まずはこの映像をご覧頂こう。我々の担任の恥ずべき姿を。」

 

カブトムシに擬態しエロ本を読む生物……。なんですかこんなことを生徒の前でするものは………って、

 

「にゅやあああ!」

 

「お判り頂けだだろうか。これが我々の担任である。教師にあるまじき姿だ。」

 

「ちょ岡島君達。皆に言うなとあれほど!」

 

「お次はこれである。女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影。誰あろう奴である。

女装以前に人間じゃないとバレなかっただけ奇跡である。」

 

な、なんでこんなものが!

なぜ知っているのですか!?

 

「給料日前にはティッシュ配りに分身を作って並ぶ。

そんなにもらってどうするんだと思いきや、唐揚げにして食べだした。奴に教師としての、いや生物としての尊厳はあるのだろうか。

後一時間、奴の恥ずかしい映像をたっぷりお見せしよう。」

 

「後一時間も!?」

 

--一時間後--

 

「死にました……。もう死にました……。先生、あんなの知られてもう生きていけません…。」

 

「さて、秘蔵映像にお付き合い頂いたが、何か気付かないだろうか殺せんせー?」

 

にゅ?暗殺で七本の触手をもってかれ………

 

「にゅや!」

 

浸し!?

誰も水の流す気配などなかったのに……!!

まさか満潮!?

 

「誰かが小屋の支柱でも短くしたんだろ。」

 

!?

 

「船に酔って、恥ずかしい思いして、海水吸って、だいぶ動きが鈍ってきたよね殺せんせー。」

 

「さあ本番だ。約束だ。避けるなよ。」

 

やりますね。しかし狙撃手のいる窓の方向、そこさえ注意すれば……!

 

九人が同時に触手を撃つ。

 

にゅゃぁぁぁぁ………

 

バキバキバキバキ!

 

チャペルが崩れた!?

なぜ!?

 

バシャァァ!

 

水中からフライボードが!?

皆さんフライボート操れるんですか!?

 

「す、水圧の檻!」

 

えっと、えっと!どうしましょ!

こーゆーときは…!!えっと!

 

バン!

 

り、律さん!?

なんで水中から!?

 

「射撃を開始します。範囲 殺せんせーの周囲一m」

 

え、え!?当てないんですか!?

……っ!!

逃げ道が……!!!

 

ブゥン!!

 

!!??

 

「殺せんせー……いくぜ!」 

 

「坂上君……!」

 

変身済み〜!!??

 

坂上君はゼンリンシューターを器用に使い、速さで攻めてくる…!!

 

にしても狭い…!

今は避けきれて…!

 

「はぁ!おりゃ!」

 

ばしゅ!ばしゅ!

 

「にゅ!」

 

ゼンリンシューターを弾こうとした触手を見切って切った……!?

 

「俺だってマッハで動けるんだ!こんな狭いところで存分にスピード出せない触手は……見える!」

 

〚必殺!ゼンリン!フルスロットル!シューター!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁぁあ!」  

 

これは……!まずい!なんしてでも避けなけれ……はっ!!

 

後ろに気配がしてとっさに後ろを向いたが……もう目の前に二発の球が……

 

これは……もう…まずい!!

 

よくぞ………ここまで……!!

 

拓実sid

 

俺の陽動に気を取られていた殺せんせーはとどめの二人……

 

水中に隠れていた千葉速水コンビについていけていなかった。

 

もらった…!!

 

そう、思った瞬間。

 

殺せんせーの周りにものすごい光が……!

 

そして、衝撃波のようなものが起き、周りにいた生徒はふっとばされた。

 

今までとは違うやっという手応え……

 

しかし、千葉速水コンビと俺には何が起きたか見えてしまっていた。

 

水中から浮かんできた殺せんせーは玉にこもっており、

 

完全防御形態というらしい。

 

やられた。やはり持っていたか…奥の手……。

 

--ホテル--

 

「しかし疲れた、もう何もする気力ねー。」

 

「んだよてめーら。一回外したくらいで。これだけ頑張ればもう十分だ。明日はゆっくり遊ぼうぜ。」

 

「そうそう、明日こそ水着ギャルをじっくり見るんだ。」

 

……でも確かに、ちょっとだらけ過ぎな気もする……。

 

「渚君、ちょっと肩を貸してくれんかね。」

 

「中村さん!すごい熱。」

 

「どうした?」

 

渚が騒いでいたので少し様子を見に行く。

 

「部屋に戻って着替えたいんだけど、ちっとも体が動かなくて。」

 

中村……?

 

「ヤバイ、想像しただけで鼻血が…」

 

「岡島!?」

 

中村、岡島を筆頭にクラスの約半分ほどの人が倒れた。

 

その騒ぎに鳥間先生が駆けつけるが、鳥間先生の携帯が鳴った。

 

非通知か。

 

「やあ先生。可愛い生徒が苦しそうだねえ。」

 

「これは貴様の仕業か!」

 

「賞金首を狙っているのはガキ共だけじゃないってことさ。察しが良い。人工的に作り出したウイルスだ……。

一週間で死に至る。

治療薬も一種しかないオリジナルでねぇ。あいにく手持ちもこちらにしかない。

直接取りに来てくれないか?

この島の山頂にホテルがある。

手土産はそこの賞金首だ。

今から一時間以内に最上階までもってこい。

だが烏間先生、あんたは腕が立ちそうだ。動ける生徒の中で背の小さい男女二人に持って来させろ。

外部と連絡を取ったり少しでも遅れたら……治療薬は破壊する。」

 

「…………。」

 

「礼を言うよ。よくぞそいつを行動不能まで追い込んだ。」

 

「くそっ!」

 

鳥間先生が殺せんせーの玉を机に叩きつけた。

 

「烏間さんダメです。政府としていくらあのホテルに電話を繰り返しても、プライバシー保護を繰り返すだけで…。」

 

「姉ちゃんから聞いた。あのホテルは警察からもマークて、伏魔島と呼バレてるらしい。政財界やマフィアの大物、政府のおえらいさんとかも出入りしているから警察も迂闊に手を出せない。」

 

これが……姉ちゃんの言ってた……

 

「拓実、まさか向こうから来るとは予想外だった……。すまない。」

 

「クリムのせいじゃねぇ。俺だって絶対大丈夫だって、思い込んでた。」

 

慌てた吉田が叫び出す。

 

「どーすんだよ、このままじゃ皆死んじまう!」

 

「そーそ落ち着いて吉田君、そう簡単に死なないからさ。」

 

「すまねえ原。」  

 

寺坂が、

 

「んだよお前ら、今すぐ都会の大病院に連れて行けば良いだろうが。そこで治せば良いんだよ!」

 

そんな意見に竹林が、

 

「賛成しないな。それが本当のウイルスだった時、どんな病院にも治療薬はない。

その時のリスクが高すぎるよ。

取り敢えず応急処置はしとくから、取引に行った方が…。」

 

それぞれの意見をぶつけ合うが、これといった解決策が見当たらない……。

 

こうなったらいっそ、俺が…俺のせいなんだ。

罪滅ぼしは自分の手で!

 

「待ってください。坂上くん。

皆さん、私に考えがあります。動ける人は全員動きやすい服装で来て下さい。良い作戦かは分かりませんが、大人しく取引に応じるよりは良いでしょう。」

 

俺達は防衛省の車に乗って崖に来た。

 

「私の考えは、ここから侵入し、最上階まで向かいます。そこで黒幕に奇襲をかけ、治療薬を奪還します。」

 

「これは……ちょっと……。」

 

「そもそもこの崖よ、その前に転落死よ。」

 

「危険すぎる、やはり二人に……」

 

鳥間先生はみんなが立っていた方を見るが、

そこには誰もいなかった。

 

「いやま、崖登るくらいなら楽勝だけど、未知の場所で、未知の敵と戦う訓練はしてないから、烏間先生、難しいけど、指揮、お願いしますよ。」

 

「落とし前、きっちりつけてやる。」

 

「鳥間先生。貴方のもとには十六人の特殊部隊がいる。どうしますか?」

 

鳥間先生はしばらく考え、

 

「全員注目!」

 

「隠密潜入から奇襲への連続ミッション!違うのはターゲットのみ。作戦開始は○○○○!マップを三分で叩き込め!」

 

「「「了解(おう)!」」」


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