マッハと暗殺教室   作:ジョンウォン

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茅野の時間

 

「ここにくんのもいつぶりだろうかー……。」

 

俺は今、クリムと姉ちゃん。その部下二人を連れてある場所に来ている。

 

蛮野天十郎の元研究室。

 

前回の戦いで、シロ……それか他の連中が蛮野のロイミュードに関する研究が再び使われてるという事実にたどり着いた。

そこで俺たちは一度放置してあった蛮野天十郎の研究室に探りを入れることにした。

もっとも、もうほとんど何も残ってはいないだろうが。

 

「じゃ、はいるわよ。」

 

姉ちゃんを先頭に研究室に入る。部下と姉ちゃん、俺はそれぞれ部屋を探る。

 

「拓実。最後に来たときよりかなり荒らされている……。私達が去った後に研究データを盗んだかもしれない。」

 

「かもな。……にしても、シロって誰だ?父さんの知り合いで怪物、ナンバーのないロイミュードを操っていた……。」

 

シロが研究を盗み出す必要はないはずだ。

知り合いなら、同時研究……。研究内容を見せてもらったり色々できるからだ…。

 

「クリム!これをーー」

 

「む、何か見つけたのかね。」

 

俺のところにいたクリムは姉ちゃんの呼びかけに答え、姉ちゃんの所へ。

 

やっぱ何もないか〜。…ん?なんだ?これ?

 

机の下に、何か銀色のケースがあった。

開けると、蓋の裏に

『触手細胞』

とだけ書いてあり、注射器が何本かあった。

 

触手……。殺せんせーの?イトナの?

おそらくどちらもだろう……。

 

「拓実、我々は次の部屋に行くが?」

 

「あ、あぁ…。先に言っといてくれ、もうちょっと調べたい。」

 

「……わかった。」

 

そういって部下二人、姉ちゃん、クリムは部屋を出ていった。

 

そして、俺はいろいろなファイルを漁り始めた。

そんな中見つけたのは、

『死神』

と書かれたファイル。

中には健康診断書のようなものがたくさん……。

いや、それはいい。

問題は、そのサイン。おそらく診断を行った人のサインだが、

『雪村あぐり』

この名前には聞き覚えがある。

 

確か、前原が、

「殺せんせーが来る前、担任は雪村あぐり先生でさ、これまた面白い先生でー…」

 

みたいなことを言っていた。

同一人物がどうかわからない。

そのファイルを置いて、俺は再び漁り出した。

お目当てはその雪村あぐりについての資料。

数分探し続け、ようやく見つけた。

いろんな人の情報が書いてある。

その中で、雪村あぐりのページを見つけた。写真付きで。

一度写真を見してもらったことがあるため、同一人物であることは理解できた。

雪村あぐりの写真はクリップで止められていて、その下にもう一枚ある。

家族構成のところに妹

『雪村あかり』

と書いてあるのでそいつだろう。

 

そう、軽く思っていた。

 

その写真に写っていたのは茅野カエデにそっくりの人。

いや、髪は黒いがこれは茅野カエデだ……。

 

正直いろいろ混乱してきた。

とりあえず、『死神』のファイルと

雪村あぐり、あかりに関する資料が入っているファイル。

ちらっと見えたが、蛮野天十郎や

この研究の長である柳沢誇太郎という人物の資料も含まれていた。

 

そして、クリム達のところへ向かった。

 

 

 

「どうだね?何かあったかね?」

 

「……いや、なんにもないよ。」

 

姉ちゃんは少し残念そうに、

 

「やっぱり期待してなかったけど何もないか〜。」

 

……ごめんなさい。嘘です。思いっきりありました。

 

「じゃ、帰るか〜……およ?どしたの?早く乗りなよ。」

 

車に乗り込みながら動きを止めてる俺に言う。

 

「……俺ちょっと寄りたいとこあるし、歩いて帰るよ。」

 

「そっか。」

 

車は颯爽と走り去った。

別にどこかに寄りたいわけではない。

すこし整理したいだけだ。

そう思いながら商店街でも行こうかと歩いていたら、

 

「あれ?坂上君?やっほー」

 

「かっ、茅野!?」

 

うわー、なんてタイミング!見計らったようなタイミング!

 

「そんなに驚かなくてもー。あ、そうだ、これから時間ある?」

 

「え?あ、あるけど。」

 

「じゃぁさ、カフェいこ!あそこのプリンめちゃくちゃおいしいらしいの!」

 

と言うわけで複雑な思いのまま茅野についてカフェに入った。

 

「早速」とプリンを注文した茅野はもう、ワクワクドキドキとした顔……幸せそうだなぁ、ほんと。

 

「お待たせしました。」

 

「き、きたーー!!」

 

幸せそうにプリンを食べる茅野。

 

この時俺は迷っていた。あのことを聞くか、聞かないか。

 

そんな俺を不審に思ったのか

 

「どしたの?坂上君。難しい顔してる。」

 

俺は、決めた。

軽く、聞こうと。

 

「なぁ、「茅野カエデ」って、存在するのか?」

 

「………」

 

あくまで表情を崩さない茅野は

 

「いきなりどしたの〜?茅野カエデは私…」

 

「ほんとに?それが本名なの?………雪村あかりさん……。」

 

証拠とかはなかったのでカマをかける言葉を、遮るように言うと、

 

「………いつ、気づいたの?」

 

認めた……のか。別に茅野に不審なところは全くなかった。

 

「さっき、ほんとにさっき。」

 

すると、

 

「どこで?バレる所あった?」

 

と聞いてくるので、さっきまでの経緯を話た。

触手については抜きで。

 

「…確かに私の本名は雪村あかり。

E組の元担任雪村あぐりの妹だよ。

……今はそれしか言えない。」

 

「そっか……。なんか…ごめん。」

 

「あやまんなくていいよ。……このこと、みんなには言わないでもらえる?」

 

「わかってる。誰にも言わない。」

 

雪村……茅野はそれだけ聞くと満足そうに

 

「すみません!プリン一つ追加で!」

 

プリンをおかわりし、帰宅路についた。

 

「ありがとね〜おごってもらっちゃって。」

 

「いんや、別にいいよ。」

 

「それじゃ、また明日!」

 

「あぁ」

 

茅野の別れ、家に帰った俺はファイルを見る気にもなれず、机に隠し寝ることにした。

 

今日はいろいろありすぎた。

 

「あ、明日からテスト一週間前だ。」

 

そして俺は、テストのことで手一杯になり、このファイルのことを少しの間忘れてしまうのでありました。

この時すぐにファイルを見ていればよかったのかもしれない。

すると、ある二人の資料に行き着くことができたのだから……。?


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