さて、七十五層の偵察隊です。ということは……? それでは、どうぞ。
七十五層のボス部屋が見つかったのは、僕がヒースクリフに返事をした四日後だった。あの男は近々ボス部屋が見つかることを予期していたのだろう。
攻略組の上位層が参加していないにしては攻略が早く進んだものだ。それだけ一層一層が狭くなっているということだろう。アインクラッドの階層は上に進むにつれて段々と小さくなっていくから、七十五層まで上がれば第一層の四分の一ほどの広さだ。
通例、ボスの偵察隊には各ギルドから人員を派遣する。今回はクォーターポイントだから、特別に大規模な二十人の部隊だ。ボスの攻撃を防げるタンクもいることであるし、情報収集には何の問題もないであろう。
偵察の日の朝、ユイが消えてから訪ねていなかったキリトの家に向かった。
「今回のボス偵察隊に選ばれたんだ」
「――そう……か。気をつけてな」
「もちろん死ぬ気はないけど、もしものことがあったときのために一つだけ伝えておくよ。――宝石を割ってほしい」
「何のことだ? ……まあ、お前が言うなら意味のあることなんだろうし、分かったよ」
「ありがとう。それじゃあ、またね」
調査も全て終わっている。僕が未練を残すのは人だけだ。
挨拶を終え、僕は第七十五層に向かった。
******
「えぇ、それでは、これからボス偵察を始める。え、各自事前の打ち合わせ通り、行くぞぉ!」
今回の偵察隊リーダーの《聖龍連合》の
ボス部屋はかなり広い構造で円形をしていた。ボス部屋のサイズはボスや取り巻きの数、サイズに左右されるため大型のボスが予想されたが、――端の方は霞んでいるとしても――全体を見通せるにもかかわらずボスの姿が見えなかった。
リーダーの男が先頭を切り、盾を構えながらボス部屋の中央ほどまで行ったとき、ボスの声が聞こえた。
クァァァッァァァアア!!!!
それと同時にボス部屋後方の僕達が入ってきた扉が閉まる! 今までに経験したことのない光景に誰もが足を止めた。そして、まるでその隙を狙っていたかのように声の主が
「――なっ!!!」
ボスが上にいるとは思わなかったリーダーの男は完全に虚を突かれた。慌てて盾を翳して落ちながらボスが放つ攻撃を防ごうと試みるも、それは威力を軽減させるに留まる。
そして、彼は宙を舞った。
鎌に跳ね飛ばされて飛んでいく彼のHPバーがみるみる削れていく。注意域の黄色を通り過ぎ、危険域の赤でも止まる素振りを見せないそれは、そのまま黒く染まった。
「「「……へ?」」」
誰が発した言葉だろうか。その光景は困惑と絶望を生んだ。彼は最前線の一線級タンクには劣るが、ボスの攻撃を何度も捌いてきた熟練のタンクだった。レベルも高く、防具も高ランクのものだった。更に盾で僅かながら攻撃力も削っていた。それなのに
動揺する残りの九人の前に、彼を殺したボスモンスターが全貌を明らかにした。それは端的に言えば全身が骨で出来た巨大な百足だった。前後に細長いシルエットで後身には数え切れないほどの脚がついているのだが、前身部分には脚はなく人間の肋骨のような見た目になっていて、前後の接合部――腰、だろうか――から起き上がってこちらを見下ろしている。
頭部は大きな髑髏。しかし人間のものと比べてその後頭部は異様に長い。眼窩は四つあり、そこには赤い炎が燃えている。頭の下からは大きな、とても大きな鎌が生えており、その威力は先程見た通りの馬鹿げた代物だ。五段のHPバーの上に表示された名前は《
奴が体を倒し突っ込んできた! 速い! 長い体を使い、予測しにくい軌道を描きながら近づいてくる。残りの偵察隊は散開して回避に徹する! あんな化け物の攻撃を食らっては洒落にならない。
回避。回避。回避。右へ左へ。鎌から遠ざかるように。
奴に近づいたプレイヤーは槍のような尾に刺され死亡した。重装備のプレイヤーだったので回避が限界に近かったのだろう。鎌の死角となる後身部分に隠れようとした狙いが果たされることはなかった。
残りは比較的軽装備のプレイヤーのみ。更に回避のスピードが速まる。誰も一言も発しない。いや、発せない。極限まで集中しなければ避けることができない。一人に若干鎌が掠った。一気にHPが半分以下になる。足に蹴られたプレイヤーはHPを大きく減らし、怯んだところを尾に刺された。
一人、また一人と砕けていく。反撃を仕かけたプレイヤーもいたが、骸骨の五段あるHPバーの一段目に見えるか見えないかの傷がついただけであった。動き続けている奴にはまともに攻撃を当てることさえ難しいというのに、防御力まで備えているらしい。そして攻撃を加えた彼は列車のように走り回るボスの脚に削られて命を散らす。
一人のプレイヤーは狂ったように
まるで暴走列車のような相手に生き残っているのは僕を含め三人。否、二人になった。むしろこの敵にこれだけ生き残っていることが凄いのかもしれない。
遂に最後の一人になってしまい、死亡がほぼ確実となってしまった。いくら僕でもこの敵を一人では倒せない。
―――ん?
しかし最後の一人を殺すボスの動きを見ていて、そこを何とかできるかもしれない方策が見えた。瞬時に状況を判断。思いついたその策が可能かどうか、――できる。いや、やるしかない。
最後の一人である僕に奴が向かってくる。その動きは本当に素早い。多足型で速いという僕の予想は当たってしまっていたようだ。こちらも相手に合わせて走り出す。奴が大きく鎌を振り被った。鎌の一撃自体は意識すれば外すことはできなくもない。連撃に持ち込まれる前に、生まれた一瞬の間隙に滑り込む!
自分の体が切れないよう細心の注意を払いながら奴の体を足場にして駆け上がる。奴は体をくねらせてこちらを振り落とそうとするが、こちらも命が懸かっている。そう簡単に振り落とされはしない。
無事に奴の首の裏まで辿り着く。見極めた通り、ここは奴の鎌からも尾からも間合い外になっている。一人が入れるか入れないか程度のスペースしかないが。手近にあった骨と自分の体を、持ってきていたロープで縛る。こんなこともあろうかとは思っていなかったが、ロープを持ってこようと思った今朝の自分に感謝である。
「良し、……でもないか。ま、取りあえずこれで何とかなるかな」
僕はストレージからまた別のアイテムを取り出す。その名も《フライングメッセージ》。手紙型のアイテムで、内容を打ち込んだ後に折って紙飛行機サイズにすると、直線なら狙った位置まで投げ飛ばすことができるのだ。直線でしか飛ばせないためゴミアイテムと思われがちだが使い道はある。
その手紙にボスの情報と、僕が死んだときのためにSAOについての僕の考察も遺しておく。スカルリーパーが振り落とそうとのたうち回っているが、その体の形状から推測した通りひっくり返ることはできないようだ。仰向けになられる以外なら僕が死ぬことはない。
僕はポーションを口に含み、その効果が発揮される直前に手紙を扉に向かって放った。暴走列車のようなボスの背からでも、狙ったところに飛んでいくこのアイテムなら正確にボス部屋の扉に到達する。
「……後は頼んだよ、キリト君」
遠くで扉が開くのが見えた。
******
~side:???~
「――偵察隊の半数がボス部屋に入った直後に扉が閉まり、再び開いたときにはボスも味方もどこにも発見できませんでした。ボス部屋に入った十人は黒鉄宮にて死亡が確認されています」
「ふむ……そうか。分かった、ご苦労だったな。下がってくれ」
「いえ、もう一つだけ」
「何かね?」
「扉を開いたところ、この手紙が落ちていたのですが……」
差し出された手紙の包みは『攻略組のサミットにて封を解いてください』と書いてあった。
「うむ、分かった。それでは休むといい」
「はい、失礼しました」
報告をしていた偵察隊の一人が部屋を出る。
「さて、君達も話は聞いていただろう。早急に攻略組のトップ会議を開く。アスナ君とキリト君も呼び寄せてくれ」
「「「分かりました」」」
指示を聞いた幹部プレイヤー達が部屋を出ていく。
「さて、この《フライングメッセージ》はレント君からだろう。彼は私の正体に気づいていたような素振りも見せていたしな。ふむ――実に面白い」
私は会議のための準備を始めた。
******
~side:キリト~
「キリト君……。団長から至急来てくれ、って――」
「行くしかないだろうな。七十五層だ。俺達が欠けたままじゃ辛いってことなんだろ」
遂にこの日が来てしまった。七十五層は三回目のクォーターポイントだ。呼び出されることは分かっていた。それでも。
―――アスナは絶対に守るッ!
俺達は簡単な支度を済ませて最前線の七十五層へと向かった。
******
二十分後には、ヒースクリフ、アスナ、俺、エリヴァ、リンド、タロウ、クラインの七人が一堂に会していた。
「――レントは?」
「……彼の死亡は偵察隊にて確認された」
「なっ……! アイツが死んだぁ!?」
「そんな、レントさんが――」
「彼が膝を屈するボスとは。警戒しなくてはなりませんな」
「――彼が遺した手紙がある。これを」
ヒースクリフが差し出した手紙を代表してタロウが開く。そして読み上げた。
『ボス部屋ではフレンドメッセージが使えないのでこんな前時代的な連絡手段になってしまいました。ボスの情報を以下に簡単にまとめます。
・固有名《ザ・スカル・リーパー》。
・全身が骨で構成されており、百足の頭部に人間の上半身を接合したような形状。
・メインウェポンの腕部の巨大な鎌は最上級のタンクでも防御不能。
・サブウェポンはランス状の尾だが、並みのボスのメインウェポンクラスの破壊力を誇る。
・無数の足も鋭利で、十分な殺傷力を持つ。
・HPは五段。
・非常に速く、硬い。
・ボス部屋の中央に上から落ちてくる形で戦闘が始まる。
多少なりと戦った上で考える推奨攻略法です。
まず動きを止めないとまともに攻撃を加えられません。的が大きいので当たりはするでしょうが、それでは大きなダメージは期待できません。何人かで鎌のタゲを取りつつ、動きを止めることに専念するべきです。
片方だけでも鎌を一人で食い止められそうなのは《聖騎士》だけだと思われます。もしかすれば彼でも押しきられるかもしれません。もう片方の鎌は二人がかりでも止められるかは怪しいところですが、《黒の剣士》と《閃光》の連携に期待します。残りのプレイヤーは尾に注意しつつ側面から攻撃を仕かけてください。
レイドにタンクは無用です。完璧に防御するか掠るだけに留めなければ高耐久でも一撃死は免れません。偵察隊のタンクは二人とも一撃死でした。高攻撃で固めて速攻を仕かけるのが良いかと。
ボス部屋は一度入れば出られず、結晶無効化空間になっています。武運を祈ります』
「「「――――…………」」」
その場の全員が、余りの絶望感に打ちのめされていた。これだけの情報を残してくれたレントには感謝しかない。もしもこれを知らずに飛び込んでいたらと思うと寒気が背筋を凍らせる。
「まだ、続きがあります」
タロウが宣告すれば、全員が傾聴の姿勢を取る。
『これは僕の個人的なお願いになるのですが、ボスの首裏には攻撃が当たらないスペースがあるので、そこにある石を破壊してください。
さて、ここからはこれからのアインクラッドに関しての僕の懸念を端的に書き残しておきます。想定を超え妄想のようなものになってしまっているので、聞き流す気持ちで構いません。今は七十五層攻略に集中し、意識の隅に置いておく程度にしてください。
茅場晶彦は攻略組の上澄みに潜伏していると思われます。心の準備をしておきましょう。それから九十層と九十五層はゲームシステムの面で何か大きな変革があるかもしれません。警戒を忘れずに。最後に、アインクラッド百層ボスは茅場本人でしょう。頑張ってくださいね』
「「「「――――…………」」」」
再び場は沈黙に支配された。今度は困惑だ。しかしレント自身の言う通り、今はそのことに注意している余裕はない。
俺達は頭を切り替えて七十五層のボス戦の対策を立て始めた。百層よりも九十層よりも、そして茅場よりも、七十五層を突破することの方が圧倒的に先決だった。
******
~side:エリヴァ~
「それでは、諸君。ここから先は厳しい戦いが予想される。もう一度確認しておくが、ボスの間に入ったら上に警戒してくれ。また、ボスの鎌は一撃必殺の威力だ。躱すことを念頭に置いて行動してほしい。そしてボスの行動は変わる可能性もある。臨機応変に対応してくれ。それでは、突撃!!」
「「「オオオオオオオオ!!!」」」
雄叫びと共にボス部屋に入っていく三十人強。ボスが降ってくることに注意しつつ、中央付近まで近づく。情報通り扉が閉まった。
ックルルァアァシャァアアア!!!!
―――落ちてきやがった。
初撃が来る前に全員が散開に成功している。第一段階はクリアだ。
突撃してくるボスを《聖騎士》《黒の剣士》《閃光》が迎え撃ち、作戦通りに必殺の鎌を防ぐ。《聖騎士》ですら苦しい表情を示すその鎌の重さは想像するに余りある。
ボスの突撃のスピードは速いが、三人がタゲを取り続けてくれるなら安心だ。残りのレイドメンバーはボスの側面へと回り込んで攻撃を加え始めた。しかし一人が尾の槍玉に上がる! ……本当に一撃でHPが全損してしまった。皆がその光景に息を呑むが、事前に聞かされていたお蔭で動揺は少なく、動揺したところで撤退も不可能な背水の陣のため全員の目つきが変わった。
「「「ウオオォォォォォ!!」」」
大人数からのソードスキルを浴びるボスのHPバーは、じれったい速度で減り始めた。尾は数人いる壁役が完璧に防いでいる。鎌もあの三人が防いでくれている。
三人の努力が実り、ボスがノックバックした。その隙に攻撃隊が畳みかける。そんな中、俺はボスの体を駆け上った。鋭利な脚の骨によってHPが減っていってしまっているが、知ったことか。あの会議から『石を破壊してください』という言葉がずっと頭に残っていたのだ。非常に、非っ常に珍しいレントからのお願いだ。受けないわけにはいかないだろう。
あいつの情報に間違いはなく、本当に首裏には攻撃が届かないようだった。不安定な足場を何とか進み、異質なロープとそれに引っかかった石へと手を伸ばす。それはダイヤモンドカットをされた掌大の白い宝石だった。それを得物の戦斧で叩き割る! 同時に体勢を崩してボスの背中から落ちるが、下で待ち構えていた《聖龍連合》の団員に引き摺られてボスから遠ざかる。叩き割った宝石は下に落ちて完全に破壊され、ポリゴンへと還元された。
―――ポリゴンが集まっている……!
プリズムのような虹色を示す破片が凝集してそのまま形をなし、一度大きく発光した。その光に釣られて、ボスの鎌がその光の元へと振られる。いきなりのタゲ変更にヒースクリフは反応できずにそのまま光は斬られる。しかし、その一瞬前に高く飛び上がって鎌を避けた人影があった。
「「「レント……!?」」」
「後で説明はしますから、今は奴をッ!」
一瞬駆け寄りそうになった俺達にそう声をかけると、レントは地面を蹴り飛ばしてボスへと向かっていった。唖然とするが、そうはしていられない。俺も戦線に戻り、骨を砕き、刻み始める。
レントはゾッとする狂気的な笑みを浮かべながら骸骨百足を相手取っていた。ボスの脚や、尾、鎌などの攻撃がレントに降り注ぐ。なぜかいつまで経っても、何をしてもあいつのヘイトが一番高いのだ。
しかしレントはその雨のように降り注ぐ攻撃を全て避け続けていた。低耐久のあいつでは掠っただけでも致命的な攻撃を、いっそ楽しそうに見切り反撃まで加えている。
最も驚いたのはあいつが背中に駆け上ったときだ。不安定に振り落とそうと動く骸骨の背中で、体勢を全く崩さずに踊るようにその背骨を刻むものだから、ワイヤーで吊られでもしているのかと宙を見つめてしまった。
素の状態で強いからか、最後までボスの攻撃パターンが変わることはなかった。だというのに何度もポリゴンの破砕音が聞こえた。それも終わる。ボスのHPは最後の一段も赤く染まっていた。
「総員ッ、攻撃ィィ!!!!」
声の限り叫んだ。全員が持てるソードスキルの全てを使って攻撃する。止めを放ったのはレントだった。硬直から解放されてソードスキルを放ち続けるレントは、最後に見たときよりも一段と冴え渡っていた。
―――今回のMVPだよ、お前は間違いなく。
レントが残心に入り、ボスがポリゴンとなって砕け散る。《聖騎士》を除いた全員が力が抜けたように座り込んだ。
「――何人、死んだ?」
「……10人だ」
「あと二十五層もあんだぞ……」
誰かの問いに誰かが答え、誰かが絶望の声を上げる。
「で、レント。あれはどういうことだ」
「――《
「……効果は?」
「仮死状態になることです。ポーション型で、飲んだ対象の姿を石に変えます。この状態になるとプレイヤーは死亡扱いになり、《命の礎》にも反映されます。石を砕くことが仮死状態を解除するキーになっています。デメリットは解除直後にモンスターのヘイトが溜まりやすいというものです。レアアイテムを大量に組み合わせる上に成功率も低いので大量生産もできません」
呼吸を整えつつ、見ず知らずのアイテムの説明に皆が聞き入っていた。
そんな中、やはりヒースクリフは泰然としていた。ボスを倒して喜ぶでもない。死者を悼むでもない。これからの未来に絶望もしていない。もちろん、屍薬のことを聞いても全く動じていない。
―――やっぱ凄ぇな、あいつ。
ギリギリではあるが、あの激戦を経てHPもグリーンを保っている。同じ大ギルドの長といえど俺とは違う人種だ。
ハァと俯いたとき、音が弾けた。
パアァアァァァァァン!!
――突然、キリトがヒースクリフに向かってソードスキルを放ったのだ!
―――どうした!?
……何だ、あの、ヒースクリフの周りに浮かんでいる紫のウィンドウは。
「不死属性? でも、なんで団長が……?」
「はぁ、やっぱ書かなきゃ良かったかなぁ」
「やっぱりお前だったんだな」
「「茅場晶彦!!」」
レントとキリトが声を合わせて叫ぶ。それで皆の止まっていた思考が動き出す。
「お前が、茅場……?」
「そ、そんな――」
ヒースクリフは未だ泰然としていた。
「確かに私は茅場晶彦だ。つけ加えるなら、この城の最上階で君達と戦う最終ボスでもある。本来なら九十層で明かすはずだったのだがな……」
「き、貴様ァ! ふざけるな!! 我々の忠誠を虚仮にして!!!」
《KoB》の幹部クラスの
攻撃を仕かけた彼が地に落ちた。見ると、彼には麻痺がかかっている。それから次々に攻略組の皆が倒れていく。レントやアスナも。もちろん、俺も。唯一人キリトを除いて。
俺は地面を掴んで起き上がろうとしたが、無駄な足搔きだった。力なく倒れ込む俺の目の前で、キリトにヒースクリフが声をかけていた――。
実はゾロ目層の武器の暗号を解くと、それぞれ強力なアイテムの入手法が手に入ります。ただ武器を手に入れた中で解ける――解く気力のある――人が主人公しかいなかったんですけどね……。