バカとE組の暗殺教室   作:レール

42 / 55
明久の時間

女子達がBARフロアへ潜入するのを見送った僕らは、作戦が成功して裏口の鍵が空いたらすぐ入り込めるように裏口の側にある建物の陰で待機することとなった。人の行き交いがあるBARフロア周りで待ってるわけにはいかないからね。

 

「受付さえクリアすれば彼女達が裏口に辿り着くまでに大きな障害はないだろう。寧ろ俺達の方が見つかった際のリスクは高い。周囲への警戒は怠るな」

 

「あとは彼女達が上手いこと裏口を開けてくれるのを待つだけですね」

 

先生達の言う通り、此処に限っては潜入してる女子達も大変だけど待機してる僕らも注意しなくちゃならない。大人数で隠れてるのを見つかるだけで誤魔化すのが面倒そうだ。

 

「何人かにバラけて隠れとくのは駄目なんすか?」

 

「それだと裏口が空いた時に速やかに対応できなくなる。隠れられる場所も多くはないしバラけて見つかる可能性を増やすべきではない」

 

吉田君の提案は僕も良いんじゃないかと思ったんだけど、確かに隠れてい る時点で人数が多かろうが少なかろうが怪しまれるのは避けられないか。

 

「でもそれだったら何かされる前に倒しちゃえばいいんじゃないですか?」

 

先手必勝。見敵必滅。これまでの殺し屋みたいに連絡される前に倒しちゃえばいいんじゃないかな。それだったら少しでもバラけてた方が奇襲を仕掛けやすい気がする。

 

「吉井君の言うことは正しいですが、それでも人数をバラけさせるには地形が良くないですね。(いたず)らに戦力を分散させるだけでしょう」

 

まぁバラけるって言っても建物の陰以外に裏口の近くに上手く隠れられる場所がないのも事実だ。先生達の言うように纏まって今の場所に隠れてるのが今できる最善の選択なんだろう。

 

「……っ‼︎」

 

と、そこで顔を強張らせた烏間先生がハンドサインで誰かの接近を知らせてきた。

それを見た僕らは緊張の糸を張り詰めて気配を消すことにする。少なくとも僕には全く人の気配が分からなかったけど、烏間先生が言うのだから間違いはないだろう。

 

「(相手は一人。タイミングを合わせて仕留める。後衛はフォローしろ)」

 

といった内容の指示を烏間先生がハンドサインで続けて送ってきたので、建物の陰に隠れていた中でも外側にいた僕は臨戦態勢を取った。

相手は犯人側かホテルの警備員か一般の客か、どれかは分からないけど目撃者は消す。それが問題を起こさない手っ取り早い方法だ。相手の力量が分からない以上、不意を突いて人数差で圧倒するのが一番だろう。

タイミングを逃さないように烏間先生のハンドサインに集中する。が、いつまで経っても先生からのカウントダウンが開始されない。もしかして相手は素通りして離れていったんじゃーーー

 

 

 

「ーーー随分とネズミが紛れ込んでるな」

 

 

 

聞こえてきた声に僕の楽観的な考えは真っ向から否定された。

潜んでいることがバレている以上、不用意に近付いてくることはないだろう。仮に近付いてきても警戒されていれば不意打ちは難しい。建物の陰にいる僕らを察知できるような実力者が相手なら尚更だ。

 

「(……こうなったら一か八かッ‼︎)」

 

だったらこっちから仕掛けるしかない。相手の行動を待ってても良いことなんて一つもないんだから。下手に待ちに徹したところで誰かに連絡されたら終わりだ。

声を出してくれたことで相手の位置は僕にも把握できた。今だったら動かれる前に攻勢に出ることで精確な初撃を繰り出すことが出来る‼︎

 

「……ッ‼︎」

 

そうと決めたら僕に迷いはない。手際よく雄二から渡されたムッツリーニのグローブを嵌め、一緒に取り出した()()()()()()を建物の陰から飛び出すのと同時に投げつけた。

 

「……⁉︎」

 

僕の突然の行動に皆が驚いているものの、今は無視して相手の制圧を優先する。

これが無警戒の相手であれば当てられるか隙を作るくらいは出来ただろう。しかし相手も警戒していただけあって最小限の動きだけで躱されてしまった。

 

「(今ッ‼︎)」

 

とはいえ相手が実力者なのは事前に把握済み。寧ろ日頃から殺せんせーを相手にしていて初撃を当てられるなんて甘い考えはしていない。

だからこそのムッツリーニのグローブだ。人差し指の横に付いているボタンを押し、()()()()()()()()()()()()()()()()()を巻き取る。更にタイミングを合わせて相手が躱した方向へ引っ張ることで背後から手裏剣を相手に当てる。対人用に痺れ薬を塗ってあるから擦り傷だけで十分に効果的だ。

初見でしかも夜にこの仕掛けに対応できるわけがない。相手の身体が痺れたところを確実に仕留める。そう考えていたのだが、

 

「チッ……‼︎」

 

あろうことか相手は後ろを見ることなく大きく身体を屈めると、肩口を切り裂く軌道にあった背後からの手裏剣をも躱してみせた。

マジか……と思いつつも僕は戻ってきた手裏剣と繋がっているワイヤーを掴み取ってヒュンヒュンと身体の横で振り回す。最小限の動きで遠心力を利用して手裏剣を投げられるようにするためだ。それと同時に相手がこちらの懐に入ってこれないようにするための牽制でもある。

 

「……ただのガキじゃないみたいだな。()るなら相手になるぜ」

 

今の短い攻防で僕への警戒を高めた相手は拳を構えて臨戦態勢を取った。

改めて相手と対峙したところで僕はその風貌を確認する。服装はホテルの警備員のような黒服じゃなくて普通に薄着のラフな格好だ。上着なんかは羽織っておらず、引き締まった腕の筋肉を見る限り肉弾戦メインの戦い方だろう。ただ一つ気になるのは両手にグローブを嵌めているところだけど、遠目ながらムッツリーニのやつとは違って無駄な厚みは見られない。ただ単に拳を守っているのか何か仕掛けがあるのか、あの拳は防ぐよりも往なすか躱すかした方がいいな。

相手の外見から情報を集めつつ戦い方を考えていると、建物の陰から殺せんせーが話し掛けてきた。

 

「吉井君、分かっていると思いますが先生は相手を殺すことは許しません」

 

「大丈夫です。刃に痺れ薬を塗ってあるので急所を狙わなくても何とかなります。殺したりするような心配はありませんよ。相手の手の内も分からないので遠距離から仕掛けます。此処は一先ず僕に任せてください」

 

多分僕らの中で遠距離から相手に対応できるのは現状では僕だけだろう。カルマ君の時は戦う前に相手の速さを想定できたから良かったが、それが分からない以上は肉弾戦に持ち込むのは危険が大きい。

僕の言葉を聞いた相手は重心を落としていつでも肉薄できる体勢となった。

 

「俺の心配よりも自分の心配をしたらどうだ?最初の奇襲を外した今、そう簡単に手裏剣(それ)を食らうつもりはないぞ」

 

「そんなのやってみないと分かりませんよ。簡単に当たらないっていうなら頑張って当てます」

 

相対する僕も迎え撃つために間合いを測りながら建物から少しずつ離れていく。戦闘中に皆から相手の意識を逸れさせることもそうだが、僕の扱う手裏剣ワイヤーはある程度の広さがないと真価を発揮できない。

しかしそんな僕の意図は相手にも見破られていたようで、牽制として振り回していた手裏剣など関係ないとばかりに距離を詰めてきた。

 

「お構いなしか……‼︎」

 

空かさず僕も手裏剣を放つものの、相手は到達前に手裏剣の軌道から身体をズラす。その流れでワイヤーを狙ってきたので即座にワイヤーを巻き戻し、そのままの勢いで横薙ぎに手裏剣を振り回すことによって相手の接近を阻む。

 

「随分と実践慣れしてるな」

 

それを見た相手は前進を止めて横薙ぎの手裏剣すらもバックステップで躱しきった。

この手裏剣の軌道の先読みと動きの迷いの無さ、それに最初の背後からの奇襲を初見で見ずに躱した判断力……もしかしてこの人もワイヤー使いか?それだったら見慣れてるだろうし夜間でもワイヤーを見切ったことも頷ける。

 

「落ち着く暇は与えませんよ‼︎」

 

まぁだからといって僕のやることは変わらない。手裏剣を横に斜めに振り回して相手へと当てることに集中する。相手に向けて手裏剣を投げるのは此処ぞという時だけ。加えてワイヤーを伸ばし過ぎると狙われる可能性があるから注意しなければならなかった。

この戦術に問題があるとすればもう一つ、

 

「(この人を女子達が裏口を開けるまでにケリをつけられるか?)」

 

手裏剣ワイヤーで間合いを取りながら戦うのはどうしても持久戦になってしまう。間に合わなかった場合は僕がこの人を引き付けてる間に進んでもらえばいいけど、その後も誰かに連絡されないようにするために負けることは出来ない。やっぱり早期決着を着けるために何処かで攻め手を変えてーーー

 

「集中力が欠けてるぞ」

 

途切れず振り回していた手裏剣を横薙ぎに振るった瞬間、今まで僕の攻撃を躱しつつ攻め込もうとしていた相手が手裏剣を蹴り上げてきた。その衝撃で振り回していた手裏剣の勢いが殺される。

 

「やばっ……⁉︎」

 

慌てて手裏剣を巻き戻しつつ相手の背中目掛けて振り下ろすものの、やっぱりワイヤーと僕の腕の振りで手裏剣の軌道を読まれて見ずに躱されてしまう。

手裏剣は手元に戻ってきたけど改めて投げる余裕はない。此処は迎え撃つしかないが、今までの攻防でこの人の大まかな動きは見させてもらった。恐らく僕でも対応できるはずだ。

 

「来い……‼︎」

 

振りかぶられる相手の拳をしっかりと見定め、確実に捉えつつ往なすが重そうな拳である。グローブとか関係なく拳は受けない方が良さそうだ。その衝撃で隙を作ってしまうかもしれない。

 

「良い度胸だな」

 

「それはどうも……‼︎」

 

続け様に相手から放たれる拳や蹴りを往なして躱していき、僅かな隙を突いて僕も反撃するもののその悉くが防がれていた。その際に距離を取ろうともしたが上手く間合いを潰されてしまって押し込まれている。

 

「クッ……‼︎」

 

大人と子供、その肉体的な差は多少の訓練で覆るようなものじゃない。特に僕は体格が良いとは決して言えないし、正面から打ち合うには分が悪いのは当然だろう。

何とかして相手と距離を空けるために手裏剣も駆使して牽制する。近接戦では手刀の延長程度の間合いに合わせたワイヤーの長さだが素手よりはマシだ。

 

「シッ……‼︎」

 

手裏剣を当てるために力みは捨ててただ速さを追求する。拳や蹴りと違って手裏剣を当てられれば高い確率で状況を打開できる。勝機はそこしかない。

……というのは手裏剣ワイヤーを武器に選んだ時点で想定していた事態だ。遠距離武器を使うのに懐に入られた時の対処法を疎かにするほど間抜けじゃない。

 

「(ムッツリーニほど上手くはないけど……‼︎)」

 

何度と行ってきた横薙ぎの手裏剣を躱された刹那、固定していたワイヤーの長さを解除した。遠心力に従って僕の身体を回ってきた手裏剣のワイヤーを再び固定、超近距離で相手の背後から手裏剣が襲い掛かる。

 

「……ッ⁉︎」

 

相手は驚きながらも咄嗟に身を屈めて手裏剣をやり過ごす。この攻撃すら凌ぐのは流石だと思うけど、相手が体勢を崩した今このチャンスを逃すわけにはいかない‼︎

相手が躱したことで僕に迫る手裏剣をグローブを嵌めた手で弾きつつ、屈む相手に合わせて膝蹴りを放つ。

 

「グッ……‼︎」

 

ここまでやって漸く一撃入れることが出来た。すぐに体勢を立て直されたが弾いた手裏剣は既にワイヤーを巻いて手元へ戻している。即座に手裏剣を振り回して追撃だ。

この流れを逃すわけにはいかない。ここで決めるために僕は敢えて避けやすいように手裏剣を投げ、相手が避けると同時に()()()()()()()()()を素早く抜いて投擲した。

今まで使っていた手裏剣ワイヤーはムッツリーニの暗器、その中から使い勝手のいい得物を雄二が借りてきたもの。僕だって対人戦闘を想定した暗器くらい隠し持っている。敵がいる現状で身に付けていないわけがないだろう。

更にナイフを投擲した直後、ワイヤーを巻き戻しつつ今度は僕から距離を詰める。隠し球の暗器とはいえナイフ一本、幾らでも対応可能なのは烏間先生で身に染みていた。だからこそ接近して手裏剣を確実に当てて相手を無力化する‼︎

 

 

 

 

 

しかし次の瞬間、相手が床を殴ると拳が爆発して僕に粉砕した木片が襲い掛かった。

 

 

 

 

 

「なっ……⁉︎」

 

慌てて両手で頭を庇いつつ横っ飛びに木片を回避する。全部は避けられなくてそれなりに痛いものの、暗器を隠すため上着を着ていたから幸いにも傷は浅い。

あの両手のグローブには火薬を仕込んでたのか。殴ると同時に火薬が炸裂して身体をえぐる殺傷能力の高い暗器だ。直撃を避けてきたのは正解……って今はそれどころじゃない‼︎ 投擲した仕込みナイフも今の爆風で弾かれたし、早く体勢を立て直してーーー

 

 

 

 

 

「ーーーまずは一人」

 

 

 

 

 

受け身を取って顔を上げた刹那、頭上からそんな死刑宣告に等しい声が聞こえてきた。

目の前には既に拳を振り上げた状態の男がいる。現状に頭が危険を訴えているものの身体が次の行動に移せない。そうして振り下ろされる拳をただ見つめてーーー

 

 

 

PiPiPiPiPi。

 

 

 

突如響き渡った着信音に相手の動きが止まり、僕もハッとして慌てて相手との距離を空ける。

危なかった……もしあと一瞬でも着信音が響き渡るのが遅かったらと思うと背筋がゾッとする。下手すると無視して爆散させられてたかもしれないけど運が良かった。

相手はズボンのポケットから携帯を取り出すと通話ボタンを押して耳に当てる。

 

「どうしたアニキ?……怪しい集団を見つけた。今取っ捕まえようとしてたところだ。……何か問題でもあったか?……了解した」

 

一通り何かを話すと相手は通話を切って携帯をポケットに仕舞い、今までの戦いが嘘だったかのように警戒を解いて踵を返した。

唐突な展開に僕は理解が追いつかなかったので思わず相手に声を掛けてしまう。

 

「……え、何?どうかしたんですか?」

 

「お前らのことは放っておいて構わないそうだ。命拾いしたな。お友達にでも感謝しておけ」

 

相手は背を向けながらそう言うとこちらを見向きもせず立ち去っていってしまった。

しかしお友達に感謝しておけってことは女子達の方も何かあったのかな。取り敢えず言われたようにあとで感謝しておこう。

 

「はぁ〜……つっかれたっ‼︎」

 

まぁそれとは別に今はただ身体の怠さに身を任せて床に寝転がることにした。これだけ派手に暴れて誰も来ないってことは偶に見回りする程度で警備が薄い場所なんだろう。一般客もわざわざ裏には来ないだろうし急いで隠れなくてもいいはずだ。

 

「吉井、大丈夫か⁉︎」

 

そんな感じで寝転んでると磯貝君が建物の陰から駆け寄ってきた。他の皆もその後ろにいるし、もしかして怪我して倒れたとか勘違いして心配させちゃったかな?

 

「うん、大丈夫だよ。まぁ服はボロボロになっちゃったし身体も程々に痛いけどね」

 

僕は皆を安心させるために身体を起こして問題ないことをアピールする。実際は問題ないことはないけど身体が爆散しそうだったことを考えれば些細なことだ。

 

「吉井君、最後は詰めを誤りましたねぇ。暗器の可能性を考慮していたのであれば遠距離に徹するべきです。或いは何かあっても確実に仕留められる機会を待つべきでしょう」

 

「それが無理だと判断したのであれば助力を仰ぐべきだったな。あの長い獲物を振るわれると位置関係的にも咄嗟には加勢しづらい」

 

「う……は〜い、次からはそうします」

 

疲れてるんだけどまずは戦い方の指導かぁ……とはいえ先生二人の指摘に言い返す余地もなく反省するしかなかった。

確かに今回は女子達が裏口を開けるまでの時間とか考えて焦っちゃったからなぁ。実力が上の相手に対して勝ちを急いだのは僕の判断ミスである。今回は運で助かったようなものだし次はもっと気をつけないと。

 

「吉井も無事なんだったら取り敢えず建物の陰に戻った方がいいんじゃない?女子達がいつ裏口を開けるか分からないし」

 

カルマ君の言葉で僕は立ち上がると皆と再び建物の陰へと戻った。幾ら警備が薄くて一般客も来ないとはいえずっと隠れてないのも良くないだろう。

そのまま待機していると急に裏口が開いたので一瞬警戒したものの、すぐに片岡さんが姿を見せたので僕らは素早く裏口から侵入して横手にあった階段で上へと登っていった。その時に感謝の言葉も忘れずに言っておいた。

何はともあれ第二の難所、BARフロアも無事に突破である。まだ油断は出来ないけど今回の潜入もあと僅かだ。

 

「危険な場所へ潜入させてしまいましたね。危ない目に遭いませんでしたか?」

 

「危ない目には遭わなかったですけど少しヒヤヒヤしました……」

 

殺せんせーの問い掛けに矢田さんが少し疲れを覗かせながら苦笑を浮かべる。やっぱり女子達の方でも何かあったらしい。まぁそうじゃなかったら僕は今頃色々お見せできない姿になっていただろう。

 

「寧ろそっちの方が危ない目に遭ったんじゃないですか?」

 

「いやぁ、危険度って意味ではどっこいどっこいだと思うよ」

 

片岡さんの言う通り確かに僕も危なかったけど、周りに人の目があるBARフロアに潜入する方がバレた時の危険性は高い。何より女子達が会ったらしい人はグローブに火薬を仕込んで拳を爆発させるような人の仲間だ。間違いなく危ない人だと思う。

 

「それじゃあ先に進む前にちょっと着替えてくるから待ってて」

 

女子達と合流してお互いの安否を確認していると渚君がそんなことを言いながら物陰を指差していた。別に見た感じおかしなところもないし着替える必要なんてーーー

 

「ーーーあぁうん、そうだよね。着替えは必要だよね」

 

「今の間とその反応は何……⁉︎」

 

そういえば渚君って脱ぎ捨ててあった女物の服を着て女装してたんだった。全く違和感がなかったから普通に受け入れてたよ。

そして渚君が着替え終えるのを待ってから僕らは次の階へと進むのだった。




次話 本編
〜武器の時間〜
https://novel.syosetu.org/112657/43.html



殺せんせー「これにて“明久の時間”は終了です。皆さん、楽しんでいただけましたか?」

明久「先生、僕は全然楽しめませんでした」

渚「そりゃあ吉井君は楽しむ余裕なんてなかったでしょ。大変だったもんね」

明久「本当だよ。ずっと戦ってたから空気がシリアスで息が詰まりそうだったし」

渚「戦った時の身体の疲れじゃないんだ……」

殺せんせー「戦いの手を増やすことは結構ですが広く浅くならないように注意してくださいね」

明久「もちろんですよ。付け焼き刃の武器なんて自分も相手も色々と危なっかしいですから」

渚「それにしても新しく登場したユキさんはやっぱり強かったみたいだね。吉井君も防戦一方で綱渡りみたいな戦いだったし」

明久「なんか原作よりも拳の爆発も威力上がってたっぽいよね。あれって確か火柱で肉を抉る程度の威力だったはずだけど……」

殺せんせー「恐らく改良したのでしょう。グローブも指抜きではありませんでしたし、耐火性を上げて火薬を増やしていると思われます」

明久「そんなに殺傷能力を上げなくても十分な威力でしょうに……」

渚「まぁ何はともあれ無事で良かったよ。取り返しのつかないことになったら最悪だし」

明久「何とか五体満足でやり過ごしたけど出来ることならもうホテルに帰ってゆっくり休みたい」

殺せんせー「残念ながら弱音を吐いている暇はありませんよ。犯人との交渉期限まで迫っていますし最上階までまだありますから」

渚「あと少しだから最後まで頑張ろう」

明久「分かってるよ。皆の治療薬を手に入れるまでは帰れないもんね」

殺せんせー「では今回はこの辺りでお開きにしましょうか。皆さん、次回も楽しみにしておいて下さいね」





早坂久宜「今回は偶然だったが上手いことパイプを作ることが出来た。次は確実な交渉を持ち掛けることにしよう」

早坂幸宣「流石だぜアニキ……‼︎」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。