ひだまりスケッチ&無敵鋼人ダイターン3withクレヨンしんちゃん(凍結) 作:越後屋大輔
いよいよ夏本番、やまぶき高校もプール開きとなった。大抵の生徒が盛り上がる中、ゆのは憂鬱そうである。
「ゆのっち元気ないね、夏嫌い?」宮子が心配して声をかける。
「夏は好きだよ、でもプールは嫌い」
「ほうほう、それは何故に?」
「私、ノコギリなんだも~ん」
「ノコギリ?」カナヅチと言いたいらしい。
翌日曜日、しんのすけはプールに行きたいとダダをこねるがひろしとみさえの返事は冷ややかであった。
「ワザワザ出掛けても今はどこだって混んでるわよ」
「ビニールプールで充分だろ、外まで行く必要ねーよ」
「じゃいいや、オラ絶対混まないプール知ってるのに」そう言っても両親は信じる気配すらない、しかしヒロが聞き捨てならないとばかりにしんのすけを誘う。
「しんちゃん、私達と行く?」
「ホッホーイ!ヒロさんビューテホー」露骨に態度を変えるしんのすけ。
(いつもの『太股ぉー』は言わないのね、まあぶっ飛ばされるのは目に見えてるし)
(あいつも自分なりに学習したんすよ、きっと。流石にそこまでバカじゃないっすね)沙英と幸太は声を潜めて会話していた。ゆのと宮子が話に加わる。
「じゃみんなでプールに行こう!ヒロさんの体に溜まった脂肪を削ぎ落とす為に!」
ゲ・ン・コ・ツ!
「「「あ、バカがいた…」」」呟く沙英とゆのと幸太。
支度をして野原家の玄関まで出た一同、ゆのがしんのすけに混まないプールがどこにあるか尋ねる、もし市内にあるレジャープールなら電車を使う必要がある。
「駅まで歩きか、この炎天下だけど仕方ないわね」沙英が早くも汗を拭う。
「お迎えがくるから大丈夫だゾ」しんのすけが仁王立ちで宣言する。
「皆さま、お待たせ致しました。それにしても本日はお暑うございますな」高級車から姿を見せるギャリソン、しんのすけを除いて全員口をあんぐりさせる。
「しんちゃん、絶対混まないプールって。まさか…」
「万丈お兄さんのお家ぃー」
想像通りというかやっぱりというか破嵐邸の敷地内にはプールがある、しかもレジャープールにも負けない広さを誇っていた。
「大っき~いぃ!」
「こんなの私達だけで使っていいの?」
「みんな~、一緒に泳ごうぉ~」中でチェブラーシカが待っていた、しかも器用に浮かんでいる。
「うわぁ~い、ブラ殿やりますなぁ!」
「体毛を蓄えた動物はその中に油分を含んでいたり空気を取り込んだりするからね、チェブちゃんもそうなんじゃない?」沙英が解説する。
「ウオッホォ~、万丈お兄さんナイスデイ!」しんのすけはいつも以上にテンションが高い。
「ひょっとしてナイスガイって言いたいの?」久し振りにゆのが突っ込む。
「人どころか物体ですらないね、概念になった覚えはないんだが」宮子、沙英、ヒロ、しんのすけは早くもプールに飛び込むが
「ゆの君、泳がないのかい?」
「え、あっその私泳げないんです」シュンとして答えるゆの、顔が赤いのは泳げないのを恥じているからだけではない。
(今まで気にしなかったけど理事長かなり筋肉質だなぁ、男の人のセクシーってこういうのを言うのかな?)万丈も平静を装おっているが
(しんのすけ君にせがまれてプールを開放したがこうしてゆの君の水着姿を見られるとはついている、彼には感謝すべきだな)ホントは心臓が跳ね上がりそうだった。
「ゆの君、泳がないか?溺れないよう僕が手をとるから」万丈は精一杯の勇気を出して提案する。
「ハ、ハイ!あの、お願いします」プールに入る2人を確認すると女子3名は反対側に移動してニヤニヤしながらチラ見している。
「いい雰囲気じゃない?あの2人」
「あれはゆのの方もその気があるわね」
「これは余計におアツくなりそうですなぁ、違う字で」
「ホゥホゥ、クサイ関係ですな」
「それを言うなら怪しい関係!」いつの間にか合流していたしんのすけも話に混ざる。そんな中
「ゆのさん浮き輪忘れたのかな?」
「僕そんなのなくても浮けるよ」唐変木な事をぬかす幸太とチェブラーシカにテンションダダ下がりの4人。
「夏休みの間、ここは開放する。君達はいつでも好きな時に来てくれ」万丈からそう聞かされてみんな大喜びする、明日もここのプールで楽しく遊ぶ予定だ。
好評だったら続き物にそうでなければ最後を書き直して一話で完結させます