ひだまりスケッチ&無敵鋼人ダイターン3withクレヨンしんちゃん(凍結)   作:越後屋大輔

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逆バレンタインデーだゾ②(完結)

 バレンタインデーが迫ってきた、破嵐万丈はギャリソンを通じて紹介されたパティシエに会いにいく事になっていたが

 「万丈様、学校が終わりましたらお迎えに参ります」校門前に自動車(くるま)を止めそう告げて邸へ戻るギャリソン。

 「やっぱり1人で行くのは気が引けるな、誰か連れがいればいいんだが」今一歩踏ん切りがつかず、そのせいかこの日は珍しくボーっとして過ごしていた。

 

 ギャリソンは帰り道でよく知る顔を見つけて自動車から声をかけた。

 「これは銀の介様ではございませんか、お一人でいらっしゃいますかな?」

 「あんれま、ギャリソンさんでねぇか!こいつぁ天の助けだべ」話を聞くと奥さんのつると些細な事で喧嘩になり秋田の家を飛び出してき、それでほとぼりが冷めるまで息子一家の元にと思っていたが

 「じいさんを家に上げるでねぇ!」とつるが先手を打って連絡してあったので寝場所に困っているそうだ。

 「それならば当家にお泊まり下さい、その代わりといってはなんですが万丈様にお付き合い頂けますかな?」

 「えっでも、おらこの年で援交するのは…それも同性となんて」頬を染めてクネクネする銀の介に

 「そういう意味ではございません」淡々と突っ込むギャリソンであった。

 

 一日の授業が終わり迎えにきたギャリソンの自動車に乗ると銀の介が同乗していたので万丈も挨拶する。

 「では、例の店にご案内しましょう」ギャリソンの運転で双葉商事に程近いアーケード街につき、一軒の食堂へ案内される。

 

 「最後の生徒さんが見えましたね」定休日であるこの日の越後屋では大輔が毎年恒例のバレンタインチョコ作り教室の講師を勤めていた、去年までは熊実の仕事だったのを今年から任される事になったのだ。

 「では万丈様、ご健闘を祈りますぞ」

 「あの~バレンタインっちゅうのはおなごからチョコを渡すんでねぇか?」

 「欧米では男性から差し上げるのですよ、銀の介様も奥方にプレゼントされてはどうでしょう?では私は車内でお待ちしております」ギャリソンは悠々と去っていった。

 「仕方ない、覚悟を決めますか」

 「おらは乗り気せんのぉ」店内に入る2人を待っていたのは講師以外全員女性だった、いきなりテンションのあがる銀の介に対し閉口する万丈。

 

 「初めて参加される方々ですね、僕は本日の講師を務めます、越後屋大輔です」

 「破嵐万丈です、どうぞよろしく」握手を交わす彼らをよそに

 「いやぁ、おらお菓子作りに昔から興味があって」生徒の女性達に白々しく見栄をはる銀の介にズっこける万丈。

 「今日は卵と砂糖とココアパウダーだけでつくるガトーショコラを紹介します」卵黄に砂糖とココアパウダーを混ぜると卵白を泡立てメレンゲを作り2つを合わせてオーブンで焼くだけ、見た目には至って簡単に見えたが

 「腕が結構痛くなるわね」

 「どうしてもダマ(・・)ができちゃう」女性陣は悪戦苦闘している。

 「どれ、おらがお手伝いをば」しゃしゃり出ようとする銀の介に

 「野原さん、まずご自身の分を仕上げましょうね」と諌める大輔は笑顔だったが銀の介は言い様のない恐怖が背中に走った。一方万丈はというと

 「ケーキ作りがこんなに大変とはパティシエ諸兄に頭が下がるな、ある意味メガノイドと闘う方が楽かもしれん」こうして各自が手作りのガトーショコラをもって越後屋を後にした、その後の万丈がどうなったかは先刻ご承知の通り。銀の介は秋田へ帰りつるに

 「向こう式のバレンタインじゃ、今年限りで2度とせんからの」少々ツンデレ気味に差し出す。

 「ほんじゃお茶にすっべ、2人で食うべな」洋菓子は普段口にしないつるの感想は

 「卵の味が濃いの、だどもしつっこさは全然ねぇで。じいさんええ職人さんに教わっただな」

 「味見はせんかったがこれは我ながらいいできじゃのう、農業辞めて転職するべか」

 ゲ・ン・コ・ツ!

 「ったく、ちょいと褒めるとすぐ調子にのるだな。このハゲは!」

 

 余談だがつるからこの話を聞いた小山ひさえは大層羨ましがり、

 「ご主人からの手作りお菓子なんてステキねえ」と当て付けがましく夫に話した、その一ヶ月後ホワイトデーのお菓子教室を開いた越後屋を訪ねる小山よし治がいたそうだ。

 

 

 

 

 

 




銀の介はともかくよし治はこの為だけに熊本から出てきて越後屋に訪ねたようです、地元にもお菓子教室あっただろうに(笑)。

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