ひだまりスケッチ&無敵鋼人ダイターン3withクレヨンしんちゃん(凍結) 作:越後屋大輔
世間では夏休みのある月曜日、越後屋大輔は小学生の頃から愛読する雑誌「少年ジャ○プ」の最新号を買って食堂を営む我が家へ帰宅した。いつもならそのまま自室で読みふけるのだがこの日は別である。
越後屋では毎年この日に大食いチャレンジメニューが一日限定で販売される。元々越後屋は某相撲部屋近くにあり先代店主である熊実の父も以前は力士だったが怪我が元で序の口で辞めてしまい料理人になった。今日がその引退記念日なのである、自分が叶わなかった夢を追う若者の為に先代が始めたこのメニューだが今ではあまり注文するお客はいない。巨体を誇るアスリートや運動部学生が何度か挑戦はしたが結局この店最高額の一皿分3千円を支払うハメになった、因みに食べ残しは持ち帰りが原則となる。
以前はアパートを経営していて今はOLの大家シノは上司の妻野原みさえと元店子で今は野原家に居候している宮子、野原家のお隣のオバさんで女子会をする事にして店を訪れた。因みにひろしは子供達と留守番をいいつかり沙英、ヒロ、ゆのは宮子と入れ替わるように実家に帰省している。
「いらっしゃいませ、初めてのご来店ですね。何かありましたらお気軽に店員に声をかけて下さい」感じのいい若いウェイターがお冷やとおしぼりを並べて声をかける。
「あまり大きいお店じゃないね」オバさんが言うと
「係長が味は保証するって言ってましたよ」大家の言葉にみさえも頷く。
「そうね。それにギャリソンさんもここの常連らしいわよ、この前ウチの人がここで会ったって」
「それなら間違いなさそうですね」壁を見渡すと手作りのポスターが目にはいる、そこにはこう書いてあった。
「年に一度の店主からお客様へ挑戦!ミックスメガグリルセット制限時間内に完食された方は
「食べきれなかったら持ち帰りね。宮子ちゃん、大丈夫よ。もし残ったらしんのすけのお昼にでもするから」
「持ち帰った分はどうしようとお店も何も言わないって。そしたら私も酒のつまみに貰ってくからさ」
「辞めておいた方がいいわよ」宮子の健啖ぶりを知らないオバさんは言う、それに同意する人がいた。
「そんな細い体に入りきる訳がないわよ、私だってムリだったんだから」野原家の知り合いでプロレス同好会所属の女子大生の神田鳥忍、強靭な筋肉と巨体を持つ彼女は怯えるように忠告する。しかしそれが宮子に火をつける事になった。
「私、挑戦します!」
「お待たせしました、ミックスメガグリルです」サラダに山盛りのご飯、にんにくの効いたローストチキンが3本、ローストンカツが2枚、網焼牛ヒレステーキ1ポンドが直径50センチ程の皿に乗せられて宮子の目の前に置かれた。その量と香りに刺激されたのか猛烈な勢いで食べ始める宮子、その食べっぷりに忍とオバさんは茫然とする。
「このステーキ全然筋ばってなくて凄く柔らかい!トンカツもサックサクだし、チキンの肉汁が染み渡る~。焼き方に秘密があるのかな?それにご飯との相性が抜群!これは手と口が止まりませんなぁ!」制限時間内にご飯粒一つ、ソース一滴残さず完食してしまった。
「ご馳走さま、とても美味しかったです、でもホントに無料でいいの?」ポスターを取り外しているウェイターに問うてみるが
「ええ、こちらでそう謳ってる以上お代は頂きません。流石に何人も成功されると儲けがでませんから今回は締め切りにしますが」
「そう」支払いの必要がないのにナゼか財布を開ける宮子、やはり中身は空っぽ。
「これじゃ今週のジャ○プ合併号が買えな~い(泣)」
「僕、買って来てますよ。読み終えたら進呈しましょう、明日店の裏口にでも来て下さい」
「マジで?!やったー」
「ワ○ピースは今後の展開に目が離せませんぞ」
「アイ○ール○や○ョジ○も新章に入ったし、再来週が楽しみですね」
「思わぬ形で同志と出会ったわね」ジャ○プファン2人の会話を苦笑して聞いていた熊実。彼(彼女?)は知らない。自分亡き8年後、このわが息子も同然の養子が異世界で店を経営し、宮子とも意外な繋がりが増える事になるのを。