向日葵に憧れた海   作:縞野 いちご

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#6 本当のキモチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィ「なんで花丸ちゃんを責めるようなことを言ったの……?」

 

 

ごめんなさい…

 

 

 

 

 

 

鞠莉「…Chao」

 

 

 

行かないで!鞠莉ちゃん!!

 

 

 

 

 

 

花丸「悲し…かったずら……」

 

 

 

傷つけてごめんね……

 

 

 

 

 

善子「裏切られた…私の憧れだったのに……」

 

 

 

こんな私でごめんね……

 

 

 

 

 

ダイヤ「果南さんと鞠莉さんの傷が癒えることは無理でした。こんなのあんまりではないですか……」

 

 

 

私のせいで…ごめんなさい……

 

 

 

 

 

果南「…千歌とダイヤと鞠莉に謝って。

もう、終わりだとは思うけど。」

 

 

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子「……。」

 

 

梨子ちゃん……

 

 

梨子「…酷い。酷いよ…」ポロポロ

 

 

許してください……

 

 

梨子「こん、なに…がんば、ったのに……」ポロポロ

 

 

本当にごめんなさい……

 

 

梨子「……今まで好きだったよ」

 

 

ごめんなさい……

 

 

梨子「さようなら……」

 

 

 

りこ……ちゃん………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「……。」

 

 

 

ごめんなさい

 

 

 

千歌「……。」

 

 

 

千歌ちゃんの友達を傷つけてごめんなさい

 

 

 

千歌「……。」

 

 

 

千歌ちゃんの夢を壊してごめんなさい

 

 

 

千歌「……。」

 

 

 

千歌ちゃんに悲しい思いばかりさせてごめんなさい……

 

 

 

 

千歌「……渡辺さん。」

 

 

 

!!

 

 

 

千歌「もう、遅いんだよ…」

 

 

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

 

 

千歌「何も変わらないからさ、やめてほしいな。」

 

 

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

 

 

千歌「そんなに辛いなら、いなくなっちゃえば?」

 

 

 

そ、そうだよね。

そうすればみんな喜ぶよね?

 

わかったよ。今すぐにでもやるよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ、私の部屋だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「……うっ。うぁ…うぁぁ……」ポロポロ

 

 

 

 

かなしい。かなしい。

 

 

夢だとわかっててもかなしい。

 

 

千歌ちゃんは優しいからあんな事は絶対に言わない。でも、心の中ではあれくらい恨んでいるかもしれない。

 

 

 

曜「…嫌だ。イヤだ、イヤだ、イヤだぁぁっ!!」ポロポロ

 

 

 

Aqoursのみんなから向けられた冷たい視線が忘れられない。怖い、怖い…

 

 

 

曜「っ。」ダッ

 

 

 

ここにずっといると気が狂ってしまいそうだったから、私は無我夢中で外に飛び出して走った。

 

どこかに行く宛もない。

 

 

プール、学校、海、砂浜、水族館、果南ちゃんのお店、梨子ちゃんの家、千歌ちゃんの家、私の家

 

沼津が全部、私にとって辛い場所になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

いや

 

 

 

あるじゃないか

 

 

 

 

私の大好きなあの場所が

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「はぁ……はぁ……」

 

 

最近はめっきり運動することがないからか、体力も大分落ちてしまった。

 

 

曜「着いた……」

 

 

私の目の前に広がる一面のひまわり畑。今となっては、沼津の中で唯一の私の居場所だ。

 

 

 

 

曜「でも…今日はもう…」

 

千歌「よーちゃーん!!」

 

 

曜「!!」

 

 

 

 

いる!!千歌ちゃんがいる!!

 

 

 

 

曜「はぁ!はぁっ!」

 

 

私はひまわりをかき分けて進む。

いる。私の大好きな場所に、私の大好きな子が!

 

 

 

曜「千歌ちゃん!!」

 

 

千歌「よーちゃん、待ってたよ。」

 

 

制服に黄色いスカーフをつけている千歌ちゃん。いつも笑顔で私を迎えてくれる千歌ちゃんだ……

 

 

曜「っ!」ダキッ

 

千歌「おわっ!ととと…

よーちゃん?どうしたの…?」

 

曜「もう…もう……会えないかもって……」

 

千歌「なに言ってるのー?私と曜ちゃんはずっと一緒だよ?」

 

 

もう言わなきゃいけないって思った。

 

 

曜「…絶交、したんだ。」

 

千歌「へ?」

 

曜「千歌ちゃんはわからないと思うけど…私、二年生なんだよ。」

 

千歌「いやいやぁ。まさか…」

 

曜「本当なの!

それで二年生の千歌ちゃんもこの世界にはいるの。」

 

千歌「え…?

じゃ、じゃあ……私は未来を見てるってこと?」

 

曜「…そうだよ」

 

千歌「うそ……」

 

 

 

 

普通の千歌ちゃんだったら「すごーい!タイムスリップだよ!私にはこんな能力があったなんて!」ってはしゃぐはず。

 

 

なのに

 

 

 

千歌「ぜっ…こう……」

 

 

千歌ちゃんは顔を青くさせて、今にも泣き出しそうな顔をした。

 

 

曜「ちか…」

 

千歌「なんで!?」

 

曜「……。」

 

千歌「なんで絶交したの!?」

 

 

 

 

 

千歌ちゃんから言われたなんて言ったら、千歌ちゃんはどう思うのだろう。

 

 

 

とても傷つくに違いない。

だって、千歌ちゃんは優しいから…

 

 

 

曜「私がね、千歌ちゃんの大事な友達を傷つけたの。」

 

千歌「そんな!でも私には曜ちゃんが一番大切な…」

 

曜「ううん。千歌ちゃんはまだ知らないけど、これから私よりもっと大切な友達と会えるんだよ。」

 

千歌「うそだよ!」

 

曜「本当だよ。

千歌ちゃんにとって、かけがえのない友達。」

 

 

 

 

 

梨子ちゃん

 

 

 

 

 

 

千歌「それじゃあ…曜ちゃんはなんでその子を傷つけたの?」

 

 

 

嫉妬

 

 

 

曜「うらやましかった。」

 

 

 

千歌「え?」

 

 

曜「千歌ちゃんの側にいつも居て、千歌ちゃんを本当の意味で支えてあげられて……羨ましかったんだよ。」

 

千歌「曜ちゃん……」

 

曜「優しい子でね。イジワルしてる私にもあったかくて、だから余計に私が惨めに思えてきて……」

 

 

 

私はもうどうしようもなかった。

 

 

 

曜「もう……千歌ちゃんの隣は梨子ちゃんなんだって……」ポロポロ

 

 

結局、今まで隣にいた私が抱いている感情は醜いものだった。あったかくて純粋な梨子ちゃんに惹かれない方がおかしい。

 

 

 

曜「…っ、ぅっ、っ……」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュッ

 

 

泣いていたせいで最初はよくわからなかったけど、あったかくて心地よい感覚がしたからわかった。

 

私は千歌ちゃんに抱きしめられている。

 

 

 

千歌「……ごめんね。」

 

 

曜「…っ」

 

 

千歌「こんなに辛い想いをさせてごめんね…」

 

 

 

ポトッ

 

 

私の肩に何かが落ちた感触がして、顔を向けると

 

 

千歌ちゃんが泣いていた。

 

 

 

 

曜「ち…か…」

 

 

千歌「私から……なんだよね?

絶交したのって…」

 

 

返答を迷った挙句、私は首を縦に振った。

 

 

千歌「っ。」ギリッ

 

千歌ちゃんの顔に怒りが込められていることが見てわかった。

 

 

 

千歌「会いたい。今の私に会いたい。」

 

曜「多分、無理だと思う。こっちの千歌ちゃんと私が接触すると、千歌ちゃんはいつも消えちゃうから。」

 

千歌「許せない。」

 

曜「ちかちゃん…」

 

千歌「許せないんだよ…!私が私を!

だって、だって…私が言ったんだよ?

曜ちゃんと…ずっと一緒って……私が言ったんだよ……」ポロポロ

 

 

 

 

 

覚えていてくれていたんだ

 

 

 

それなら、きっと今の千歌ちゃんだって覚えてる…

 

 

 

千歌「ひどいじゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「千歌ちゃん。」

 

千歌「…なに?」

 

曜「千歌ちゃんはね、優しいの。」

 

千歌「……。」

 

曜「だからわかったよ。千歌ちゃんの気持ち。」

 

千歌「こっちの私の…?」

 

曜「うん。」

 

千歌「私にはわからないよ…」

 

 

 

 

 

そう。千歌ちゃんの気持ちは

 

 

 

 

曜「きっと私のためだったんだよ。」

 

千歌「え……」

 

 

あくまで私の勝手な妄想にしか過ぎない。でも、千歌ちゃんなら多分…

 

 

 

曜「私をこれ以上傷つけないように、千歌ちゃんは私を遠ざけたんだと思う。」

 

千歌「!」

 

 

 

 

千歌ちゃんならきっと……

 

 

 

 

 

 

でも、目の前の千歌ちゃんはさらに拳を強く握りしめていた。

 

 

 

 

千歌「逃げてるんだよ……。

私はこれ以上曜ちゃんが傷つかないように側にいれたはずなのに。」

 

 

チクッ

 

 

曜「……でもね。

それでも、少しでも私のこと考えてはくれているみたいで嬉しいかな。」

 

千歌「こんなに無責任なのに?」

 

 

曜「私はね、千歌ちゃんに笑っていてほしいんだ。」

 

千歌「よーちゃん……」

 

曜「だから千歌ちゃんを笑わさせてあげたい。夢に向かって頑張ってもらいたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「…そこに曜ちゃんがいなくても、なの?」

 

 

 

 

 

 

 

チクチクッ

 

 

 

 

 

 

 

曜「…少しでも千歌ちゃんの力になってあげたいから。」

 

 

 

千歌「かわいそう、だよ。」

 

 

曜「え?」

 

 

 

 

千歌ちゃんの意味深な言葉に戸惑う私を尻目に千歌ちゃんは口を開いた。

 

 

千歌「……ごめんね。もう行かなきゃ。」

 

 

曜「ど、どこに?」

 

千歌「家まで送っていくね。」

 

曜「い、いやだ!もうあそこには帰りたくない!!」

 

千歌「…どうかしたの?」

 

曜「怖い夢を見るから…。

みんなに責められて、悲しくなって……?」

 

 

 

 

あれ?

なんだか、ねむく…なって……

 

 

 

 

千歌「大丈夫だよ。私が一緒にいるから。」

 

 

 

 

 

 

 

千歌ちゃんに包まれていく気がする中、私はいつもより安心した気持ちで眠っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「……曜ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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