ラブライブ東海予選3日前
善子「曜さん。話がしたいのだけどいい?」
曜「うん。別に平気だよ。」
ラブライブ予選まであと3日。
練習も佳境に差し掛かってきたところで、私は曜さんに声をかけることができた。
ここのところ曜さんの様子はずっとおかしかった。それが曜さんだけの問題で収まらなくて、ルビィやずらまるにも広がっていた。もしかしたらリリーが暗い理由も……
とにかく私はなんとしても原因を突き止めたかった。
曜「それで、どうしたの?」
善子「最近の調子はどう?」
曜「?」
曜さんは目を丸くさせた。
曜「調子?どうしてそんなことを?」
善子「なんとなくね。」
曜「いやいや。なんとなくって……」
善子「それで、はぐらかされても困るんだけど?」
曜「……。」
曜さんは芸が凝ってるというか、常に弱さを見せないようにしてるって感じね。
善子「無理してるように見えるから。」
曜「え?」
善子「多分気づいてないのは曜さんだけよ?」
曜「!」
そう。長い時間を一緒にした私たちなら、曜さんが無理して誤魔化してることはわかってる。
善子「だから話してよ。曜さん。
私なら力になれる。堕天使の力を舐めないでちょうだい。」
曜「堕天使……か。」
曜さんは私を見ると、意地悪そうな笑みを浮かべて
曜「よーしこーは堕天使じゃなくて天使だ!」
と言った。
善子「ば、バカを言わないで!ヨハネは神に妬まれる美貌を持つ堕天使なのっ!」
曜「いやいや。堕天使って普通はこんなにお節介じゃないから。」
善子「お、お、おせっかい〜!?」
曜「だってそうでしょ?誰かがちょっと疲れてそうだからって、心配をして話しかけてくるなんて。」
善子「な、ななっ!///」
曜「冗談だよ。心配かけてごめんね。
ライブまであともう少しなんだし、ラストスパートだよ。善子ちゃんも頑張るびぃしてね!」
言い終わると曜さんは目元を緩ませてフフフと笑った。
この笑顔よ。
この笑顔なのよっ!
善子「……なんで…よ。」
曜「よーしこー?」
善子「最近ずっとその顔じゃない!」
曜「!?」
善子「なにを隠すことがあるのよ!?自分の仲間をそんなに信じられないわけ!?」
曜さんは目が泳いでいた。
なんとか取り繕おうとしてるけど、そんなことさせないんだから……!
善子「私は曜さんたちに助けてもらって今があるの!どんな私でもいいって、津島善子でも堕天使ヨハネでもいいって、そう言われて受け入れてもらえたから今の私があるのよ!」
曜「……。」
善子「今度は私の番。私が曜さんを助けたい。」
私の想いは伝えた。曜さん……お願い。
曜「……仲間だからだよ。」
善子「え。」
曜「仲間だから言えないこともあるんだよ。」
善子「あっ……。」
きっとそれは私にはわからない感情。
だって私は今までに仲間と呼べるような人が周りにいなかったから。
曜さんが感じていて、私にはわからない気持ち。何もわからないのに否定することなんてできない……
つまり私のこの行動は所詮お節介にしかすぎないってことになる。
善子「……そうよね。怒鳴ったりして悪かったわ。」
曜「善子ちゃん。」
善子「まあ。気が変わったら、気軽に話してよ。いつでも聞くから。」
いつでも話を聞いてあげる。
私が今言えることはこれくらいしかない。
曜さんの中で何が起きているのかわからない。ただ、私たちとのことで悩みを抱えていることはわかった気がする。
曜「必ず成功させようね。」
善子「ええ……。」
今の曜さんには、3日後に迫る地区予選のことしか頭にない感じだった。何かを背負っているのだろうけど、そこは曜さんならコントロールできると……
どこかで曜さんを頼ってた
だから次の日
曜「梨子ちゃんはいいよね!!」
梨子「!?」
曜「梨子ちゃんがいなければこんな気持ちになんてならなかったのに!!」
千歌「曜ちゃん!?何を言って…」
曜「梨子ちゃんなんて大嫌い!!」
こんなことになるなんて思ってなかった。