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#1 千歌ちゃんの決意
最近、千歌ちゃんといることが少なくなった気がする。友達といる時間は減ったわけではないけど、千歌ちゃんといる時間は減ってしまった。
千歌ちゃんがAqoursの子たちと仲良くしているのを見ると、私としても嬉しいし、このまま仲良くい続けてほしいと思う。
でも、どこか寂しい気持ちが私の中で渦巻いていた。
千歌「曜ちゃーん?」
千歌ちゃんが私の顔を覗いて、心配そうな顔をしていた。
千歌「どうしたの?何か困ってることでもあるの?」
曜「ううんううん!平気だよ!今日も元気全開であります!!」
千歌「そっか!曜ちゃんが困ってたら、私が相談に乗るからね。」
曜「ありがとう。千歌ちゃん。」
いっけない。変なことで千歌ちゃんにあまり心配をかけたくないし、明るく振舞ってないと……。
こうやって千歌ちゃんは私に話しかけてくれるんだ。何も気にすることなんてない。気にしすぎだぞ、渡辺 曜。
その日のことだった
梨子「みんなちょっと、いいかな?」
練習が始まる前に梨子ちゃんがみんなを呼んだ。
ダイヤ「どうかしましたか?」
梨子「実は話しておかないといけないことがあって……」
曜「ピアノコンクール?」
梨子「そうなの。みんな、本当にごめんね……。」
梨子ちゃんが東京のピアノコンクールに行かないといけないことがわかった。コンクールは予備予選と同じ日時になっていた。つまり、梨子ちゃんは予備予選に出られない。
……このことは千歌ちゃんは知っていたのかな?
善子「そ、それは仕方ないんじゃない?私がリリーだったとしてもそうしてるだろうし。」
花丸「マルもそう思うよ。梨子ちゃんのピアノはとっても綺麗だし、コンクールには出た方が良いと思う!」
ルビィ「ルビィも梨子ちゃんを応援する!頑張ルビィだよ!」
一年生の三人は思い思いに梨子ちゃんに声をかけていた。突然のことなのに、三人とも精一杯の応援の言葉をかけていた。
ダイヤ「悔いが残らないようにした方がいいと思いますわ。私たちはどちらの梨子さんも応援しますから、安心して行ってきなさい。」
鞠莉「やるからには全力で!梨子には頑張ってもらわなきゃ、ね☆」
ダイヤさんも鞠莉さんも梨子ちゃんを応援していた。ただ、同じ三年生でも、果南ちゃんは少し考えていた。
果南「私としても梨子ちゃんのやりたいことは尊重したいと思うよ。
でも、千歌はどう思っているの?」
果南ちゃんは千歌ちゃんの様子を心配してくれていたみたい。私も気になっていた。多分、一番ショックなのは千歌ちゃんだっただろうから。
でも、私の考えとは裏腹に千歌ちゃんの顔は落ち着いていた。
千歌「知ってた。」
曜「!?」
千歌「私、ちょっと前に梨子ちゃんから聞いたんだ。ピアノコンクールのこと。」
果南「そうだったの?それで、どう思った?」
千歌「正直びっくりしたけど、私は梨子ちゃんを応援したいって思ったよ。梨子ちゃんが続けてきたピアノを大事にさせてあげたいんだ。」
梨子「千歌ちゃん。」
知ってた……?
千歌ちゃんは知ってたの?梨子ちゃんが予備予選に出られないこと。
鞠莉「ちかっちの言う通りよ。自分の気持ちに嘘をついたらノン!私たちは逃げないけど、コンクールは今しかないよ!」
果南「千歌がそう言うのなら、私も止めないよ。私にも頑張ってほしいって気持ちがあるからね。」
梨子ちゃんも千歌ちゃんも知ってたのに、私は…。私だけ教えてもらってなかった。
多分、除け者にするつもりなんて、二人にはなかったんだと思うけど……
千歌「曜ちゃんはどう思う?」
えっ!?
曜「わ、私!?私はみんなに賛成だよ。もともと梨子ちゃんはピアノ頑張ってたんだから、自分がちゃんと納得するところまでやらなきゃ!」
梨子「曜ちゃん……」
突然千歌ちゃんに話を振られて焦っちゃった。ちゃんと思ってたことを言えたかな?
ダイヤ「満場一致ですわね。
さあ、行くからには中途半端な気持ちではいけませんよ。狙うはトップしかありません!」
果南「こらこら。あまり気負いさせるのは良くないって。」
ルビィ「コンクール、楽しんできてください!」
善子「リリーに悪魔と契約したヨハネのこのたま」
花丸「いい結果が出ることを楽しみにしてるずら♪」
善子「邪魔しないでよ!!」
鞠莉「梨子が居ない間のAqoursは心配しないで。めいっぱいenjoyしてくるのよ!」
千歌「みんな、梨子ちゃんのこと大好きだから、梨子ちゃんのこと遠くにいても応援してる!梨子ちゃんが帰ってきたら、またアイドルしようね!」
梨子「みんな……」
梨子ちゃんは目に涙を溜めていた気がする。良かった。喜んでくれて…
私は何か言うことがないか考えていたけど、それより先に体が動いていた。
曜「梨子ちゃん。」
梨子「曜ちゃん?」
曜「緊張したときのおまじない、覚えてる?」
梨子「クスッ。覚えてるよ。」
梨子ちゃんはハニカミながら敬礼した。
曜「おはヨーソロー!
コンクール前で緊張したら、やってね。そうしたら、私たちがすぐ近くで応援してる気持ちになれると思うから!」
そう言うと、梨子ちゃんは嬉しそうな顔をして
梨子「ありがとう。」
と言ってくれた。
千歌「梨子ちゃんのためにも、絶対この予備予選、突破するからね!」
梨子「ありがとう。私も、みんなと同じ気持ちでステージに立つよ。」
そっか。
梨子ちゃんがいない分、私も頑張らないとなんだ。気を引き締めないと!
でも……梨子ちゃんがいないところをどうするんだろ