須川亮とRe:文月学園二年生生活   作:森野熊漢

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UA数が700近くまで…!
本当にありがとうございます!
また、感想を送ってくださった方、本当にありがとうございます!
これからも感想等々、お待ちしています!

さて、今回は完全にオリジナル回です。
原作片手に書かないでいいので楽ですが、いかんせん本編にどう絡ませていくか全く考えてません。いきあたりばったりです。きちんとやっていく予定ですけどね。
そして一時間ほどで書いたので中身がきちんとできてるか怖いです。




少女との出会い、というよりはお母様との出会い

「雪下月華(ゆきしたげっか)と申します。よろしくお願いいたしますね」

 

学園長室に入り、俺たちの前に立つやいなや、女子生徒は自己紹介を始めた。

ふむ、なんとなくだがお嬢様のような雰囲気を醸し出してるな。

言葉遣いがこの年代にしてはしっかりしているってだけで判断してるが、まあ見た目もすごくお嬢様っぽい。

どこぞの対吉井最終ぺったんこ兵器とは違うな。うん。

あ、なんか俺の方を見て笑った。……可愛い。

 

「雪下、こいつがさっき話した須川だよ。しばらくはお前のサポートを任せようと思っているから仲良くしてやっておくれ」

「はい、わかりました。よろしくお願いしますね、須川さん」

 

にしても、俺に女子生徒を紹介するだと? 一体何が目的だ?

いかに俺が云十年女性と縁がないからと言って、簡単にこんな話に乗ると思っているのか?

……はっ! わかったぞ! これはあれだ、Fクラスを利用して俺を嵌めようという策略だな!

しかし、甘いぞ学園長。見抜けてしまえばそんな策、断ってしまえば回避できるのだからな!

 

「おい、須川。ぼーっとしとらんと挨拶せんか」

 

バシン!

 

「……はっ、よ、よろしく」

 

鉄人の張り手を背中に受け、思わずよろしくって言ってしまった。

俺的にはクラスメートに夜露死苦されるって意味合いになる宣告にもなってるんだけど。ねえ、取り消していいかな。

 

「よしよし、じゃあ須川。この子のサポートをよろしく頼むよ」

「すみません、学園長。信頼していただいているのは嬉しいのですが、俺にこの子の面倒を見ろというのは少し無理があるかと」

 

少し予定が狂ったがここからでも何とか盛り返さないと。俺の学園生活のためにも!

 

「……驚いたねえ。まさか本当に断りが来るとは」

「そうですね、まさかとは思いましたが」

「……はい?」

 

何やら月下さんと学園長が顔を見合わせているのだが……。そして月下さんに関してはすごく不服そうな顔なんだが……?

 

「須川。すまんがアンタの断り文句はどうあっても受け入れられないよ」

「なっ!? 横暴です!」

「いやねえ、困ったことにこっちとしても断られては困ってしまう事態なんだよ」

 

「見せてもいいとは言われていたが……」と言いながら、一枚の紙を手渡してきた。

何やら契約書のようだが……月下さんの転入手続きのようだな。住所やらなんやらは別紙に記載してるのか、書かれてはいないが。いや、書かれていたらこんな軽々しく他人に見せないだろうけどさ。

 

「えっと、転入手続の何に問題が?」

「最後まできちんと読んでみたかい? というより、最後に問題があるんだよ」

「はぁ」

 

最後、最後ね。ん? 手書きだな。

 

「ええっと、なお月華の転入の際、サポート役に須川亮をつけること。対象生徒が断った場合、学園への資金提供を取りやめ、かつ対象生徒を社会的に抹殺いたしますので、よきお返事を期待しています」

 

……………………。

 

「おい須川! 思いつめた顔をしながら窓に足をかけるな!」

「離してくれ鉄人! 社会的に抹殺されるかクラスの奴らに殺されるかしか道がないなんて、どれだけブラックな企業の契約でもなかったんだよ! こんなことなら今俺はここで自決する!」

「落ち着け! まだお前は就職してないだろ! あとここは一階だ!」

「いえ、まずは自暴自棄になってるところを落ち着かせるのが最優先じゃないでしょうか…?」

 

畜生! なんて理不尽なんだ! 女神様は俺を見放したか!

 

「何を大騒ぎしてるんさね……」

「いや、これを見て騒ぐなという方が無理でしょうが!」

「いや、まあそれは」

「おいこらこっちを見てはな……いや、やっぱいいや。気持ち悪くなりそう」

「どういう意味さね!」

 

うるせえ! せっかく若い身体になってるというのに、好き好んでババアの顔を見たいと思うものか!

 

「ええっと、その、少しよろしいですか」

「ん? ああ、雪下さん?」

「雪下、どうしたんだい」

「これに関して、です」

 

俺の手元から月下さんは書類を抜き取っていった。

 

「まず始めに、学園長先生。おそらく母は本当にスポンサーを辞めると言い始める可能性はあります。ですが、それは須川君じゃなくても、私が慣れるまでの間、誰かしら専門的にサポートに回ってくれる人をお願いしたかったと思うので、あまり思いつめないでください。」

「あ、ああ……誰でもよかったのかい……それにしてはやけに具体的だったんだがねえ」

「須川君が断っても学園長には非はありませんからね。もちろん学園長が須川君に断るように唆したというのなら話は別ですが」

 

なるほど、あくまで学園長への脅しはついで、と言ったところか。

………………ん? あれ? 俺への脅しは?

 

「そして、須川さん。あなたに対しての文面はガチです。よかったですね」

「やっぱりか畜生! どこもよくねえよ!」

 

流れ的にそうだとは思ったけど! 悪魔か!

 

「私もおかしいと思い、母に訊いてみたのです。どうして母本人が顔も知らない相手をサポートに指名して、あまつさえ脅し文句をつけたのか、と」

 

ふむ、なるほど。もしかしたら何か特別な理由があったのかもしれない。

もしかしてうちの親となんらかの関わりがあったとか? それなら、脅し文句は置いておいてもまだあり得る話だが。

 

「そうしたら、母曰く、「だって面白そうじゃない?」とのことです」

 

「よし、鉄人。警察に電話だ」

「鉄人と呼ぶなと言っておるだろう」

「待って、今それよりも大事な話が聞こえてましたよね?」

 

駄目だこの鉄人、早くスクラップにしなごばぁ!

 

「スクラップになるにはまだ50年は早いわ」

 

それは人間を辞めてると思う。あと自然な動作で殴らないでほしい。

 

「しかし、妙な話でもあるねえ。須川。アンタはこの子の母親と面識でもあるのかい?」

「いえ、ありませんよ」

「それは私が答えてあげましょう!」

 

バン!と扉を開け放ち、大声を上げながら入室してきた人物が居た。

 

「誰さ……ああ、これはどうも、こんにちは。今日は如何されましたか」

「ええ、藤堂学園長。やはり娘のことが心配になりやってきた次第ですわ」

「あらあら、そうですの」

「うふふふ、ええ」

 

こわっ!急にやってきてババアと気持ち悪いやりとりしてるんだけど! あの人!

ちなみに俺はというと、何故か鉄人が俺の前に移動してきたせいでその女性がどんな人か見えていなかったりする。

 

「あの、お母様、なぜここに」

「ふふ、心配なのもあるけど、須川君に説得?かしら。あら、須川君は?」

「……ここです」

 

鉄人がようやくどいてくれた。ガタイのいい男の背中なんて別に見たくもなかったし暑苦しかったから助かった……。

ふむふむ、若くて綺麗で年上の色気を感じる女性だな!

もし俺が数十年における人生体験がなければ襲い掛かってるレベルだな!

今でさえ足が震えているというのに! よく我慢してるぞ俺!

そんな俺の葛藤もいざ知らず女性は近づいてきて俺をじっくりと見る。

 

「ふふっ、やっぱり聞いていたとおりね。初めまして須川君。雪下月華の母ですわ」

「あ、初めまして。須川亮です……確認ですけど、俺の顔も知らずにサポートを頼んだんですか?」

「ええ、そうよ。と言っても、私にあなたを薦めてくれた人がいたからなんだけどね」

 

どういうことだ……? 本当にわけがわからないんだが。

葛藤を上回る疑問に頭を悩ませていると、俺の耳のすぐ横に顔を寄せてきた。

 

「何やら、これも彼への特典の一つ、とかなんとかって。よくわからないんだけど」

「とく、てん……!?」

 

何だろう、すごく聞き覚えがある気がするんだが……くそっ、わからない。

 

「とりあえず、私も、あなたを何が何でも月華のサポートにしなさい、って言われてね」

「はあ、面白そうというのは」

「この話、その人からあなた以外にするなって言われているのよ。だから面白そうって理由にしただけ」

「はぁ……」

 

なんともよくわからない人なんだな、その雪下さんのお母さんに話をした人っていうのは。

 

「あと、その人曰く、『受けないと全てをなかったことにするから』とのことらしいんだけど」

「わかりました。サポートの件、お受けいたします」

 

頭の中で危険信号がなり始めたと思った瞬間にはそう言葉を紡いでいた。

なんでだ? どこに俺は危険を感じた? ……いや、これ以上考えるのはやめておこう。

 

「ええと、須川? 話はついたのかい?」

「……ええ、俺が受けるという形で決着しました」

 

小声で会話してたため、俺と雪下さんのお母さん以外には聞こえていなかったようなので、改めて、俺の敗北宣言を行う。

うん、仕方ないね。もう本能的に危機を感じてしまったんだからどうしようもないね。

 

「わかったさね。雪下、あんたは須川にサポートしてもらうっていうことでFクラスになるが本当にいいんだね?」

「ええ、それはもちろんです。クラスが違っては須川さんの負担になってしまいますから」

「いや、それはそこのバk……須川が頑張っていればよかったんだがねえ」

 

おい、今保護者の前で危うくボロが出るところだったぞこの学園長。

 

「しかし、あの環境に女子生徒を置くというのはなかなかに厳しいと思いますが……」

「何言ってんだい、2人ほど女子がいるじゃないか。そこまで雪下だけ特別扱いはできないよ」

 

姫路はともかく、島田はほぼ女じゃないから平気だろうな。残念ながら月下や他の女子と同じ「女」という性別に認知されてしまうのが悔やまれるが。

 

「とりあえず話はこれでいいさね。須川、しっかりサポートするんだよ」

「わかりました。しっかりサポートしていきます」

「お願いね、須川くん。月華のこと、お願いします」

「了解です。あ、西村先生、今日の放課後、よろしくです」

「お前……いや、いい。わかった」

 

さて、では教室に戻ろうか。

 

「では失礼します」

「……失礼します。学園長、これからよろしくお願いします」

 

部屋を出る際、一応しっかりと挨拶だけはしていく。

ほら、雪下のお母様の手前だし?

この学園のスポンサーらしいし?

この学園が潰れでもしたら俺としては相当まずいし?

 

「そうだ、須川くん」

 

件のお母様が俺を呼びとめてきたんだけどなんでしょうか。

雪下はすぐそこのトイレに行ってしまったので待たせることにはなってないが。

 

「どうやらあの子、須川くんに会ったことがあるみたいなんだけど……覚えてる?」

「えっ? いえ、初対面だと」

「まあ、あの子が「思い出してくれるまでは言わない」って言ってたんだけど……もしかしたら勘違いってのもあるかもしれないし。でも一応面識があるかもしれないってことだけは覚えておいてね?」

 

あと、私が言ったっていうのも秘密よ?と、念を押された。

……脅迫じみた言葉が付属してたので詳細を述べるのはやめておくことにする。

戻ってきた雪下が何やら俺の震えを気にしてくれていたが、武者震いということにしておいた。

 

あ、Fクラスに戻らないといけないってことはこの武者震いというのもあながちウソじゃないかもしれないな……。




ちなみに、鉄人が須川君の前に出てきたのは「急に扉が開いたため、何かあったとしても生徒を守れるように」という反射神経からきた行動というのが理由です。
鉄人はやはり生徒思いの教師にしたいです。
あとそろそろタグにアンチ島田を入れた方がいい気がしてきました。
完全にアンチ化、という予定ではないのですけどね。

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