須川亮とRe:文月学園二年生生活   作:森野熊漢

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まさかのプロローグだけで100越え……!
ありがとうございます!
そして先に謝らせてください。
駄文でホントすみません。
極力頑張っていきますので、よろしくお願いします。

前半は説明重視になっていますのでご容赦を。


俺のクラスは

あの完全に夢だと思っても仕方ない女神様との邂逅から月日は流れた。

俺は「須川亮」として再び生を受け、母親、父親と再会(でいいのだろうか?)した。

一度目の時は、俺がバカだったのもあり、ずいぶんと苦労をかけたな…と心の中で思いながら、幼少期を過ごした。

記憶を維持している、とは言っているが、俺にとっては高校時代やそのあたりなんてもうはるか昔のことなのだが、女神様が気を利かしてくれたのか、ある程度鮮明に覚えられている。

ただ、勘違いしないでほしいのは、俺が生前に得た記憶、知識が極力色あせないようになっているだけであり、生まれ変わってから得る知識に関しては通常の人間と同じらしい。それに、やはり死ぬ前に忘れかけていたことまでははっきりと思い出せないようだ。

 

で、父や母に苦労をかけないようにと思いながら過ごしていたからか、「子供らしくない」だのなんだの言われたが、ガン無視。親の手伝いを進んでやったり等々生前の俺からは考えられないほどの優等生ぶりを発揮していたわけだ。

 

小学校、中学校はすまん。割愛させてもらう。俺が変わったことや、それの影響で前世と変わったこともあったのだが、それはまた後ほど説明する予定だ。

一言いうなら、「学力があまりないように見せること」は頑張ったとだけ言っておく。

 

なぜそこを頑張ったか。それには俺の目標である「高校生活をやり直す」というところに関わってくる。

さっき説明した「生前の記憶」が維持されているので、そこらの奴らよりはベースとなる知識の量に既に差をつけている。このままきちんとやり続ければいい高校に行けるのは明白だし、学校の教師が推薦を推してくるだろう。

 

だが、俺が目指す「高校生活をやり直す」というのは「文月学園で」というものだ。

つまり、文月学園を狙ってもおかしくない位置づけにいないといけないのだが、俺のいた学校は、学力の高い奴と低い奴に大きな差が開いており、中間層というものがほぼ存在しなかった。

俺の生前は、Fクラスにいたという経歴からわかると思うが低い方だった。つまり、低い方に行かないと文月を受験させてもらえない状況になる、と踏んだ。

 

別に高い成績で行ってもいいのでは、と思われるかもしれない。

だが、俺のやり直しは「Fクラス」で行う。そう決めていた。

学力が高い状態でも姫路のように、不慮の事故でFクラスに、ということもあり得るのだが。

あくまで「成績の悪い須川亮」という状態でやり直したいのだ。中身も頭も、昔と今で全然違うが。

 

他の理由としては試召戦争で最初からジョーカー扱いされて警戒されるのは避けたいというのも大きな理由ではある。ただ、俺としてももう一度やり直すからにはきっちり勝てるようにならないといけない。

そこで俺は無事に文月学園高校に入学した後、いくつか手を打った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時は俺が高校二年生になった春。

先日、振り分け試験が終わり、その結果が発表される日であり、同時に一年間過ごすクラスが決定する日でもある。

 

前世の俺はどんな気持ちで学園への道を歩いていたのだろう。

そんなことを考えながら歩いていると、校門と一人の人物が見えてきた。

 

今年一年は俺がやり直しを望んで、やっとのことでつかんだチャンスの年なんだ。

気持ちを引き締めてやっていかないといけない。

 

そう強く思いつつ、門前の人物に声をかけた。

 

「おっす、鉄j……西村先s……鉄人」

「おい須川。何故一度言い直してまた間違えた」

「わざとです」

「はぁ……」

 

この野太くドスの利いた声の持ち主は頭を抱えた。

この人物は鉄人。またの名を西村宗一という先生だ。

「おい、逆だ逆」

「なんで読めるんだよ……さすが主成分筋肉100%」

生まれ変わったというのにこの人物にだけは勝てる気がしない。まあ今は勝つ必要もないんだが。

 

「っと、須川。これが試験結果だ」

 

そう言いながら差し出された茶封筒を俺は受け取ったその場で開けていく。

 

「須川。お前……」

「わかってるよ、鉄人」

 

珍しく心配そうな目で俺を見る鉄人にそう返す。

茶封筒の中身なんてある程度は既に分かってるが、ポーズとして、そして一応の確認ということで見ておく。

 

「須川亮……Fクラス」

 

(っし!)

内心ガッツポーズ。ある程度の点数を取りつつFクラスに行く必要があったから実は少し心配ではあったんだよな。

 

「さて、最低クラスになってしまったようだが……まあお前のことだ。なんとかするだろ」

「ははっ、わかってますね鉄人。まあこれが俺の臨んだ結果ですから」

 

俺の言葉に若干驚いたようだ。もっと上のクラスを狙うものだと思ってたのだろうか。

初めて鉄人を出し抜いたって感じがして心地いいね。

 

「まあ、これからもお世話になると思うんでよろしくお願いしますよ、西村先生」

「あ、ああ…………」

 

後ろ手に手を振りながら校舎へ。さあ、懐かしのFクラスへと行こうじゃないか。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ボロボロの外観。まさに学年最底辺といった雰囲気を醸し出している教室。

 

「ほんと懐かしいな……」

 

ここから始まる二度目の俺の2年Fクラス生活。絶対に前よりもいいものにしてやる。

そう思いながら、教室のドアに手をかけた。

 

ガラッ

「早く座れ、このウジ虫野郎」

パタン

 

「……さて、帰るか」

 

人を蛆虫呼ばわりする奴なんてクラスメイトにいるはずがないからな。

 

「待て須川、謝るから帰るな」

 

ぼそっと呟いた俺を教室の中から慌てて引き留めたのは、赤ゴリラ。

もとい、クラス代表の坂本雄二だった。

 

「さっきのは明久用の挨拶だったんだ。あいつだとばかり思ってたからな」

「なるほどな。…………生爪4枚で許してやるが」

「それは世間一般的に許されてないってことを知っておいてくれ」

 

席に着くように促す坂本に着いていきながらそんなやり取りを交わす。

 

物騒な話を冗談として話せるところから見てわかるように、俺は坂本とそこそこ仲の良い友人関係となっている。

 

「びっくりしたか? この教室、まともな机や椅子がないぞ」

「ああ、そうだな……卓袱台に座布団か。…………そういえば最初はこんなのだったな」

 

懐かしいな、この設備。最初はこうだった。

見渡せは既に席についてる奴らがいて……そいつら一人一人を見るたびに懐かしさに震えた。

 

ああ、やっぱり、ここが俺の居場所だったんだ。

 

前世で一番楽しかった時間を過ごした場所。

一番好き勝手にやらかした場所。

そして。

俺が人生を間違えた場所。

 

「……………………。」

「須川。大丈夫かお前」

「!! あ、ああ。すまん。教室の惨状に気が遠くなってた」

 

いかんいかん、感傷に浸るのはもっと後でよいだろうに。

 

「じゃあ俺は明久を出迎えるまであそこにいっから、お前も適当にくつろいどけよ」

 

そう言って坂本は先程までいた教卓に向かって行った。

 

席は決まっていないので、前世で最初に選んだ席について、待つことにした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「すいません、ちょっと遅れちゃいました♪」

「早く座れ、このウジ虫野郎」

 

ん? さっき俺に向けられた台詞がまた聞こえてきた。ってことは吉井が登校してきたか。

 

「聞こえないのか? あぁ?」

「雄二、何やってんの?」

 

そこから何やら二人でやり取りしていたが、後ろから声をかけられたらしく、席についていく。

 

「えー、おはようございます。担任の福原慎です。よろしくお願いします」

 

そうだ、福原先生。最初の試召戦争終了までの短い期間ではあったが、確かにこの人が担任だったっけ。

 

「皆さん全員に卓袱台と座布団は支給されていますか? 不備があれば申し出てください」

 

いや、仮にも勉強するという観点から言えば、不備しかないのだが。

前は何とも思っていなかったというのは内緒。

 

「せんせー、俺の座布団に綿がほとんど入ってないんですけど」

「我慢してください」

 

まあ、そうなるわな。せめて綿を支給してくれてもいいとは思うが。

 

「先生、卓袱台の足が折れてます」

「気合でくっつけてください」

 

どうやらこの担任、俺たちを人外か何かだと思っているらしい。

 

「冗談です、あとでボンドを支給します」

 

それはそれで扱いが酷いけどな。

 

「窓が割れていて風が寒いです」

「ビニール袋とセロハンテープを支給を申請しておきます」

 

いや、窓ガラスはきちんとしておけよ。主に防犯的な意味で。

 

「先生、隣りのゴリラが目障りです」

「あとで保健所に電話をかけますのでそれまで怪我をしないように」

「はーい」

「はーい、じゃねえ! あんたも何平然と返してんだ!」

「冗談ですよ。吉井君、ゴリラを坂本君扱いしないように」

「はーい」

「…………素、だよな? 素で間違えたんだよなあの先生…………」

 

ああ、今のは吉井と坂本か。というか、福原先生って冗談とか言うキャラだったか?

…………あ、そうだ。折角だし俺も言っておくか。

 

「以上でいいですか? 必要なものがあれば極力自力で調達…………なんですか、須川君」

「いえ、教室に大きな不備があったので、それを伝えたいと思ったので」

「はぁ、なんでしょうか、どうぞ」

 

このおっさん、俺でも気付けたことにまだ気づいてないのか。

 

「いえね、Fクラスだから設備が最低なのはわかる。椅子じゃなくて座布団とかそういうのはな。だがな」

 

指をさした先は福原先生……の後ろ。

 

「あくまでここが「学校」であるなら、きちんと授業ができる最低限の物資を用意しておくべきだと思いますよ、先生。特にチョークなんてこれからの授業で使うに決まっているでしょうに」

 

ここの学校は各クラスの担任がチョークを持ってきておくという制度があるのを知っていたが故にここまで言える。

 

「あ、ああ。すみません。ちょっと私自身担任に決まったのが昨日だったので用意ができてなかったのですよ」

「……ああ、なら、仕方ないか。すみません、若干八つ当たりが入ってました」

「いえ、教育機関としてあるべきものがないというのはゆゆしき事態ですからね。須川君はよく気が付いてくれました。ありがとう」

 

…………なんか俺への評価が上がったようにも取れるけど気のせいだよな。

 

「では、自己紹介でも始めましょか。廊下側の人からお願いします」

 

さて、久しぶりに2-F全員の顔が拝めるな。

そのことを若干楽しみにしている俺がいた。




いや、ほんと黒猫が5話ほどいってるのに、こっちはプロローグだけでそれの半分いってたからびっくりしました。

次回は自己紹介~です。
お気づきの方もいると思いますが、須川君が前世と変わってるため、彼が体験したことと違うイベントが発生したりもします。

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