須川亮とRe:文月学園二年生生活   作:森野熊漢

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大変遅れました。
久し振りに続きを考えたら存外難産で更に遅れたでござる。
キャラのぶれ具合とか辻褄とか気になるところありそう。
投稿自体に気付いてもらえるか、というところからですが。


FFF団の創始者

雪下視点

 

土屋君と相手……工藤さんとの一騎打ちが終わりました。

これで、一勝一敗一分け。

土屋君の前の試合で、吉井君は左利きということを知れましたが、正直一騎打ちにはなんら関係はなかった事柄でしたね。

さて、次はどなたでしたかね。

 

「ちょっと待ってもらおうか」

 

そう思っていたところに聞き慣れない声がしました。

うちのクラスではないですから、Aクラスかと思ったのですが、向こうもざわついているので違うようです。

何事か、と皆さんが目を向けた方向に目を向けると。

 

「……なんですか、あれ」

 

全身真っ黒のローブ。覆面のようなフードをかぶっています。穴が開いているのを見るに、あそこから外を見ているのでしょうか。額のあたりに大きくFという字が書いてあるのも気になります。

そして、何故か大ぶりの鎌を持っていますね。何故でしょう。危ないことこの上ないのですが。

 

「須川亮に呼ばれて来たのだが……ここが試召戦争しているところか?」

 

低い声でそう尋ねてきました。

 

「ああ、そうだが……お前は?」

 

突然の見慣れない来訪者に両クラスとも面食らっていましたが、いち早く回復した坂本さんがそう尋ねました。

 

「俺か。俺は……そうだな、FFF団の会長とでも言っておこう」

「FFF団?」

 

なんでしょうか、それは。S〇S団みたいなものでしょうか。

 

「FクラスのFクラスによるFクラスのための団。それがFFF団だ」

 

どちらかというとリンカーン的思想だったようです。

 

「Fクラスの…?」

「Fクラスによる…?」

 

Fクラスのメンバーにとっては、味方ということで心強く感じているのでしょうか。何やら復唱しているのが何人かいますし。

 

「さて、俺のことは今はいい。さっさと用件を済まさせてもらおうか」

「用件…ですか?それは一体?」

 

思わず私が答えてしまいました。会長さんはこちらをちらっと見ました。

 

「なに、須川から聞いた話だが、一回戦でルールに則った試合が行われなかったのだろう? 俺に木下とかいうやつと戦うように奴から言われたのでな」

 

なるほど、須川さんが時間を稼いでくれと言っていた理由は、あの人を呼んでくるためだったのですね。

……クラスで全く見かけたことないので本当にFクラスなのかわからないですけど。

 

「ってことで、Aクラスの木下。さっさと始めようか」

 

どうやら会長さんはさっさと始めてしまいたいようです。まあ呼びつけられたとのことですし、さっさと終わらせてしまいたいのでしょう。

 

「ちょっと待ってくれるかしら?」

 

そう声を上げたのは……呼ばれた木下優子さんでした。

 

「あなた、Fクラスの助っ人って話だけど、まず本当にFクラスなのかしら?」

 

おそらくAクラスのほとんどが思ってた疑問。

 

「無論。でなければわざわざここに来たりしない」

 

それに対して、余裕を持って答える会長さん。なんでしょう……若干苛立ってるように見えますが気のせいでしょうか?

 

「どうだか。Fクラスって勝つために何でもする感じがあるし、どうにも信用できないわね」

「……ふん、正規の方法で勝負をしなかったお方からの言葉は重みがあるな。さすがAクラスだ」

「……何よ、バカにしてるのかしら?」

「さてね、こちらは訊かれたことを答え、事実を述べただけだ。バカにされたと思うのは、それは自分に負い目があるからではないのか?」

「……っ、高橋先生、この人、退場させていただけますか?正規のFクラスと証明がされてないのに戦争に参加するのはルール違反です」

 

「いや、それには及ばないよジャリ共」

 

乱暴な口調で話しながら学園長先生が入ってこられました。…………。

 

「……学園長先生、こちらは校長室ではありませんよ?」

「誰も間違えてないさね!? お前さんじゃあるまいし」

 

どうやらきちんとした理由があって来られたようです。それはそうと、私じゃあるまいしってどういうことでしょうか。何のことかわかりませんね。

 

「で、どうしたんだババア」

「ふん、学園長と呼べと言ってるだろう。だからクソジャリなんだよお前は」

「……あの、では何の御用なんでしょうか」

 

坂本さんと学園長先生がにらみ合いを始めてしまったので私が本来の質問をします。

……この光景を見るに、どっちもどっちですよね。

「こほん、そうだった」と学園長先生は、そう一言を置いてから話しはじめました。

 

「そこの、あー、FFF団会長とやらはこれまではとある理由から参加は出来てなかったんだが、今回は本人のたっての希望で入ることになったんだよ。私も許可を出したしね」

「学園長の許可が出ているんですね。それはわかりました」

 

あ、木下…優子さんでしたっけ? 彼女が入ってきました。

 

「では、何故今まで参加できなかったのか。それと須川くんはどこに行ったのかは訊いても」

「やめておきな」

 

学園長先生の低い声が木下さんの声を遮りました。

 

「ああ、須川に関しては、急ぎで来てもらったからね。別室で休んでいるよ」

「やめておけ、と言ったのは…そいつが何故今まで参加しなかったか、ということか」

 

坂本君が顎で会長さんを指しながら言う。

 

「その通りだよ。どの生徒にも事情というものがある。公開していいものかどうかはこちらと本人、本人との深いかかわりを持つ関係者が判断することだよ」

「わかり、ました。私もさっき、Fクラス内で代わりを出すなら、という話をしましたし」

 

木下さん、ああ言ってはいますが不服そうですね。まあ、気持ちはわかりますし、周りのみんなも同じ気持ちだとは思います。

ですが、学園長先生がここまで仰るならこれ以上無理強いしても効果はないでしょう。

 

「じゃあ、早速やりましょうか、FFF団会長さんとやら」

「……ああ」

 

ようやく、と言ってはなんですが始まるようです。

にしても、制服姿の女子生徒と相対してるのが謎の覆面付き黒ローブを纏った方というのは違和感しかありませんね。

 

「では、教科は……」

「木下、決めろ」

「え、あたしが?」

「俺はなんでも構わないからな」

 

な、なんでしょうあの余裕は……。あの方、Fクラスですよね?

Aクラス相手に何故あんな余裕を……?

 

「馬鹿にされてるのか、それとも最初から諦めてるのか……どっちなのかしらね」

「……ほう?馬鹿にされてる、と一方的に決めつけられると思っていたのだが」

「まあね。そっちを正直捨てきれないんだけど、あんたの態度を見てたらそうも思ってられなくなったわけ。油断を誘うつもりだったとしたら、最初の挑発が仇になったわね」

「……存外、冷静だな。失礼した」

「……高橋先生、科目は古典でお願いします」

「わかりました」

 

古典の召喚フィールドが展開されました。

さて、どうなるのかしら。

 




雪下さん目線で次もいく予定。

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