ゴレイヌさんに会いに行こう!   作:丸焼きどらごん

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※注)本日2回目更新


Gorilla53,愛の告白のその後で~勝利×説教×お預け

 ゴレイヌさんに……ゴレイヌさんに告白しちゃったぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 ゴレイヌさんを庇ったはいいものの、実はわりとすぐに私は目を覚ましていた。これくらいなら強化蘇生(パワーリザレクション)ですぐに回復できるからな。体力満タンだったし。顔の腫れも引いた。

 だけど勢い余ってゴレイヌさんに「愛してます」なんて告白してしまった手前、目を覚ましたはいいけど未だ起き上がれずにいる。

 

 だ、だだだだだだだだだって! いずれは告白しようと思ってたけど! いざしてみたらどんな顔してゴレイヌさんに向き合えばいいのかわかんないし! っていうか、奥さんがいるからまずフラれる事なんてわかり切ってるし!! …………今目指しているのが愛人枠とはいえ、やっぱり真正面からふられるのはキツイ。分かってても多分しばらく立ち直れない……! いやフラれてもリトライするけど! 愛人枠超狙う気満々だけど!!

 

 そんな風に私が悶えている中、ドッジボールの試合は進む。今のところボールはこっちのものになったけど、ツェズゲラが負傷し実質退場扱いだ。

 その後ヒソカがバンジーガムを駆使して、相手にボールをぶつけた後再びボールを確保。そこまでは順調だったのだが、その後相手方の念獣が合体してパワーアップすることでボールをとられてしまう。で、レイザーが投げたボールをゴンさんが堅からの硬でもって受けるという無茶をやらかした。さっきボールを顔面に受けた私が言うのもなんだけど、無茶をするものだ。そのお陰でボールはこちらのチームの内野のものになったけど、ボールを弾いただけで受け止められなかったゴンさんはアウトで外野へ。多分バックの権限はゴンさんが使って戻ってくるんだろうけど……。

 

 

 そして。

 

 来た! 来た来たきたぁぁぁああああああ!!!!

 

 

「やられっぱなしってのは性にあわねーんだ。あの子の分も借りを返すぜレイザー」

 

 ボールはゴレイヌさんの手に渡り、彼の台詞と共に外野に居た黒い賢人(ブラックゴレイヌ)が動く!! そしてゴレイヌさんが投げたボールは黒い賢人(ブラックゴレイヌ)へ! そして素早くレイザーサイドのフィールドに入り込んだ黒い賢人(ブラックゴレイヌ)とレイザーが瞬時に入れ替わった!! 決まった、ゴレイヌさんのマジックコンb……念能力だ! そして入れ替わったレイザーのあんちくしょうの頬を、ゴレイヌさんが投げたボールが抉るようにぶち当たる!!

 待ってた! ゴレイヌさん最大の魅せ場、待ってた!!!! やった、さっきは白い賢人(ホワイトゴレイヌ)不在による誤算で頭真っ白になったけど黒いのが参加してたおかげでこのシーンが無くなることは無かったやった!! ボールを顔面にうけた甲斐があった!!

 

 

 

「ざまぁみやがれ! テメェも外野へ引っ込みな!」

 

 

 

 ゴレイヌさんの決め台詞の時点でもう我慢できなかった。

 

「きゃああああああ! ゴレイヌさん、ゴレイヌさん素敵ーーー!!」

「は!? エミリアお前、いつから起きて……!?」

 

 横たわっていた私の面倒を見てくれていたケスーが突然起き上がって叫んだ私に驚いたようだけど、私としては構っている場合ではない。くそ! 馬鹿! なんであらかじめ分かっていた事なのにビデオを用意してなかったんだ私は!! ゴレイヌさんの雄姿はもちろん脳内保管庫に永久保存したけど、実際の映像でも残しておきたかった……! なんてもったいないことを……!

 っていうか、もしかして今ゴレイヌさんが言ってた「あの子」って私? 私!? え、ゴレイヌさんったら自分のメンツだけじゃなくて私のためを思って借りを返してくれたってこと!? ど、どうしよう幸せすぎて死にそう……! いや死ねない! こんな幸せ真っ盛りだけど想いを遂げてない今、まだ死ねない!!!!

 しかも試合はまだ終わっていないんだ!

 

 レイザーにボールをぶち当てたはいいものの、その後さっき合体して出来たデカブツの13番が小柄な2番を投げてこちら側に来そうだったボールを取りにいかせたのだ。そしてボールを確保した2番が13番にボールを投げ渡し、13番がすかさずゴレイヌさん目がけてボールを投げる!

 

 

 

 

 

 私は再びその間に割り込んだ。

 

 

 

 

 

『エミリア(さん)!?』

 

 

 本日二回目のボールからの熱烈な口づけ(キス)である。これがゴレイヌさんだったらどんなにいいか……!

 だが、ゴレイヌさんを二回も守れて私は満足だ! それにさっきのレイザーの球に比べたらこの程度どうってことない! さっきは咄嗟の事で中途半端な堅になっちゃったからダメージ受けたけど、今はちゃんとオーラで防御してたもの! ご、ゴレイヌさんの顔を見るのは恥ずかしいけど、とりあえず大事な試合中だし告白の件については今はまだゴレイヌさんも触れないはず。だから今のうちに、このまま試合に貢献して好感度を……!

 

 

 

『外野のエミリア選手。バック宣言無しで許可なく内野に戻ったので失格。退場です』

「え」

 

 

 そんな私に審判は塩対応だった。

 

 そ、そんな! せっかくこれからゴレイヌさんにいいところを見せるはずだったのに……! 私が強化系として生まれてきたのは、ゴレイヌさんを守り、ゴレイヌさんにここで良いところを見せるためだと途中から思っていたのに!! そんなのってあんまりだ……! なんのための強化系だよ……! ここでレイザーを私渾身の投球で仕留めたらきっとゴレイヌさんだって見直して……って、いや待て待て私。冷静になれ。逆にこれでよかったんだ。今のままならゴレイヌさんを身を挺して守った健気な恋する女の子だけど、調子に乗ってレイザーを仕留めんと張り切ったらいい所っていうか暴力的な面をゴレイヌさんに見せる事になってしまう。そんなのはごめんだと、ついこの間初対面の時後悔したばっかりじゃないか。そうだ、これでよかったんだ。だから私はこのまま大人しく退場……。

 

 しかしすごすごと内野を去ろうとする私の肩を、がしっと掴む人が居た。……キルアさんである。

 

「なあ、お前いつから目ぇ覚ましてた?」

「え」

 

 続いてクルーガー先輩も反対側の肩を掴んでくる。

 

「目を覚ましたばっかりで、あんな動き出来るわけないわね? ほほっ、ちょーっとあとでお話いいかしら?」

「その」

 

 正面にゴンさんがやって来てにっこり微笑む。

 

「エミリアさん。俺、結構心配してたんだよ? こういうの何回目かな」

「ゴンさ」

 

 離れた位置でヒソカが愉快そうに笑っている。

 

「くくっ、自業自得♥」

「ヒソカおま、」

 

 とどめにゴレイヌさんがちょっと落ち込んだ様子で。

 

「庇ってくれたのは嬉しいが……俺にもメンツってもんがある。ははっ、二度も女の子に守ってもらってちゃかっこつかねぇな……」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 私は自分の狸寝入りと行動で大きく信用というか、大切な何かを失った事を知った。そして行き場のないやるせなさをぶつけるべく、内野を去る前にレイザーに向かって叫んだ。

 

「ぜんぶおまえのせいだ!!」

 

 その声が鼻が詰まって涙声だったもんだから格好も何もあったもんじゃなく最悪である。いや台詞的に完全に八つ当たりだから格好つくも何もないけど。ううう……なんて格好悪い……!

 

「酷い八つ当たりを受けたんだが」

「俺に話を振るな」

 

 何故かレイザーは私でなくツェズゲラに向かって文句を言っていた。何でだ。

 

 

 ちなみにフィールドを去った後、ツェズゲラをはじめとしたバリー、ケスー、ロドリオットにもこってり説教された。起きてたならさっさと復帰しろと……自分で回復できる能力があるならなおさらで、せっかく戻れたのに自分から反則して退場してどうすると……物凄く怒られた。

 年下からの本気説教もつらいけど、ちゃんとした大人である年上からの説教もすごくきつかった……。ていうか、今まで人と関わりなんでほとんど無いまま生きてきたから私叱られ耐性無いんだ。どうしよへこむ。ツライ。

 

「まったくお前は……。そのタフさを活かせばこの先活躍できただろうに、何をやっているんだ」

「お前がゴレイヌを好きなのは分かる。だが、今はチーム戦だ。私情を優先させてチームワークを乱すなら、俺はその気持ちを応援できないぜ」

「さっきのレイザーの一撃ならともかく、今のは受けても死にはしない一撃だった。お前がわざわざ失格になる必要があったか? あれを受けたゴレイヌが気絶して、あいつの念獣まで消える可能性を絶ったとすれば評価できるが……お前そんな事まで考えてなかったろ。目先の事だけで行動するな、迷惑だ」

「たしかお前、一応ライセンス持ちのプロハンターだって言ってたよな? そんなんじゃ、この先やっていけないぞ。いいか、俺達もお前が憎くて言ってるわけじゃ無い。この一週間、美味い飯を作ってくれたしお前の頑張りも見てる……これでも、色々抜きにしてお前を気に入ってるところもあるんだぜ。だからこその忠告だ。流してくれるなよ」

「はい……。ごめんなさい……」

 

 

 

 その後、試合が終わるまで私は正座待機だった。

 

 

 

 漫画と違って気絶しなかったゴレイヌさんの光輝くフォロー力とか、ゴンさんキルアさんのナイスコンビネーションとか、ヒソカの機転とか……試合の見どころはたくさんあったんだけど、私が興奮して歓声を上げるたびに「動くなよ」という視線が突き刺さって最後まで身を縮ませていた。非常に情けない事この上ない。そしてとても恥ずかしい。

 ……途中偽十四人の悪魔の連中が笑ってたので八つ当たりも兼ねてオーラで威圧しておいた。何人か気絶してたけど知った事か馬鹿にしやがって。私だって好きで正座してるわけじゃ……!

 くっ、フィールド内ではゴンさん、キルアさん、ヒソカの連携でレイザーに勝利してみんな歓喜に沸いているというのに何故私だけが正座を……。

 

 

 

 とりあえず、お詫びもかねて試合が終わった後……一坪の海岸線入手後、ゴンさんとゴンさんの球の射出砲台になってぐちゃぐちゃになった手のキルアさん、そしてツェズゲラの傷を治療した。我が友ヒソカはさっき笑っていたので後回しである。

 もともと自分以外の治療に関してはそこまで得意では無いのでそれぞれ完治とまではいかなかったけど、ちょっとはお詫びになっただろうか。おかげで私のオーラもすっからかんだけど、悔いはない。

 ゴンさん達に試合中はお流れになった狸寝入りの件についてお説教はされたけど、「でも、これがエミリアさんだもんね」「ったく、しょーがねーなお前はよ」と言って許してくれたゴンさんとキルアさんの心の広さには感謝するばかりである。……私、いい友達をもったなぁ……。

 

 

 そして全てにひと段落ついた後だが、ツェズゲラがゲンスルー組に対するためにゴレイヌさんやゴンさん達に組まないかと持ち掛けてきた。私としてはゴレイヌさんに告白した手前、それに対してのゴレイヌさんの反応が気になるのだけど……。流石にここで自分の色恋ごとを優先させるのは空気を悪くするから今は我慢。私は反省したのだ。

 だからしばらく大人しくしていることを決めたのだが、そんな時だ。

 

 

 

『他プレイヤーがあなたに対して交信(コンタクト)を使用しました』

『久しぶりだな……誰だかわかるか?』

 

 

 

 ゲンスルーがツェズゲラに交信(コンタクト)をとってきた。

 

 

 

 

 

 

 ………………やっべぇ。そういえばまだゲンスルー始末してなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




超面白いレイザー戦本編は原作を見てね!
あ、いて、痛てて、あの、スミマセ、石は、石を投げるのはご勘弁を……!

そしてどうしよう。当初の目標中編予定だった時の30話の倍の60話に届きそうなのにまだ終わりません。

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