ゴレイヌさんに会いに行こう!   作:丸焼きどらごん

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Gorilla38,狩り

「ねえダルツォルネさん。なんだか中心街から遠ざかってる気がするんだけど、まさかこのままお屋敷に連れ戻そうとか考えてないよね? もしそうなら、本っ当にお仕事やめるからね! 絶対絶対ぜ~ったいオークションに出るの! わたしすっごく楽しみにしてたんだから!」

「イエイエ、そんなつもりはございまセンよネオン様。実は宿泊所に戻る前に、特別な依頼者サマのもとに共に赴いていただきたいノです」

「特別な依頼者?」

「そうそう! でもってそれ、俺たちの事ね」

「え!?」

 

 わざわざヨークシンまで出向いてきたというのにオークションに出席させてもらえないと知り、ネオンはオークションに参加するために護衛達の目をかいくぐり単身街へ繰り出していた。そして知人と再会し友人を得てオークションまで街の散策を楽しんでいたのだが、そんな彼女を迎えに来たのは護衛チームのリーダーであるダルツォルネだった。当然戻ることを拒否しごねたネオンであったが、なんとダルツォルネはオークションに参加していいと言うではないか。いつも従順に自分に従いながらも、折れない時は決して折れてくれないあのダルツォルネがだ。

 だからこそネオンは名残惜しくはあったが、おとなしく宿泊所に戻ることを決めたのだ。しかしふたを開けてみれば車は宿泊所へ向かわず、どんどん周囲の景色は煌びやかな都会から廃れた地域へ変わってゆく。ネオンが疑問を抱くのは当然と言えた。

 そのため彼に疑問を投げかけたネオンだったが、その時ダルツォルネが運転する車の助手席に突如として金髪の若い男が乗り込んできたのだ。……走行中の、およそ時速70kmは出ている車の助手席のドアを平然と開けて。

 常人ならば走行中の車に飛び乗り、かつドアを開けて入るなど不可能だろう。しかし金髪の青年はそれを涼しい顔でやってのけ、開けたドアすら普通に閉めた。

 

 

 

 思いっきり不審者である。

 

 

 

「あ、あなた誰!?」

「俺? シャルナークっていうんだ。君はネオンちゃんだよね! 可愛い名前~」

 

 一見爽やかな好青年だ。柔和な笑顔は人の警戒心を溶かすだろう。しかし見た目が普通なだけに、先ほどのパフォーマンスがその異常性をより際立たせる。

 ……普通ならば。

 

 少々驚きはしたものの、それなりに変人を見慣れているネオンは青年を必要以上に気味悪がる事も無く今度はその彼に問うてみた。もし見る者がいたならば、ネオンという少女を「意外と図太い」と称するだろう。

 

「ふ~ん。お兄さんが占いのお客さんなんだ? えっと、シャルナークさんだっけ」

「そう! 正確には俺たち、複数ね。これから君には俺たちの拠点に来てもらって、全員占ってもらいたいんだ。それが終わったらオークションに行けるから安心して! なんなら一緒に行く?」

「あはは、お客さんなのにナンパ?」

「そりゃあ、華やかな場には可愛い女性を伴って行きたいからね。折角出会ったんだしお誘いしてみようかなって」

「シャルナークさんって調子のいい人だねー。でもゴメン! 今回は先に誘った友達がいるんだ。でもってもし男の人にエスコートを頼むなら、最初の相手はもう決めてるの。だから折角だけどわたしのエスコートは諦めて」

「そうなの? 残念」

 

 肩をすくめるシャルナークに「なんだか気さくで話しやすい人だなぁ」と感想を抱きつつ、ネオンは急きょ入った仕事にやや不満を覚えながらもその後の予定を考えて顔をにやけさせた。

 

「でも、そっか! そのお仕事が終わればオークションに行けるのね」

「うん。だから急で悪いけど、占いを頼むよ」

「しょうがないな~。…………でも! 急なお仕事なんて聞いてないし、この分はきっちりおねだり追加するからってパパに言っておいてよね! せっかく友達と遊んでたのを中断して帰って来たんだから」

 

 ぎゅっと眉根を寄せて精一杯の「怖く見える顔」を作ったネオンはダルツォルネに釘をさすが、その要求は思いのほかすんなりと受け入れられた。

 

「エエ、かしこまりました。お伝えしておきマす」

「よろしい!」

「よかったね、ネオンちゃん」

「うん! えへへ~。これでまたまたお宝ゲットーぉ」

 

 運転するダルツォルネの返事に満足そうに頷いたネオンであるが、内心舌を出しながら「でもゴメンね! その友達とはまたあとで遊びには行く予定なんだ~」とつぶやいていた。というのも今から少し前……ダルツォルネが迎えに来た際に、こっそりキルアに薄型のケータイを渡され後で会う約束をしたからである。

 

 

『このままバイバイってのもつまんねーだろ? よかったらこれ持ってろよ。俺が前使ってた奴だけど、今日別のケータイ新しく買ったからお前にやる。まだ契約切って無いし普通に使えるからな。連絡するから、またあとで遊びに行こうぜ』

 

(キルアったらなかなか気が利くじゃない! もしかしてネオンお姉さんに恋しちゃった? わたしったら罪な女~)

 

 

 今日知り合ったばかりの銀髪の少年……キルアの言葉を思い出し、ネオンは上機嫌で窓の外を見ながら鼻歌を歌う。

 

 偶然にもヨークシンで再会した元護衛でありファッションの弟子でもあるエミリアに、彼女を通して知り合った明るく素直な少年ゴンと生意気だがどうも憎めない少年キルア。あと少々名前が思い出せないが、気さくに話しかけてきたサングラスをかけた長身の青年。

 彼らとはまだ会って間もないが、友達と称するには十分なほどネオンの中で彼らの好感度は高いものとなっていた。

 

 侍女とは仲が良いし、父が過保護なのは今に始まった事ではない。だから護衛達に関しても慣れたものだし、時々文句こそ言うがネオンは現在の環境に特に不満を感じているわけではなかった。

 しかし気を使わず普通に接してくれる相手というのは、どうやら思っていた以上に一緒に居て楽しいみたいだ。そのため隙を見て再び抜け出す気満々のネオンは、カバンにしまい込んだケータイを撫でてニンマリと笑う。

 

「あ、そうだ。リオレオさんだ」

「どうしたの?」

「ううん、なんでもないよ」

 

 シャルナークにひらひらと手を振って答えながらも、残り一人の名前を思い出せてすっきりしたネオンは今後の予定を頭の中で組み立てる。

 

(え~と、まずお仕事でしょ? でもって夜は待ちに待ったオークション! 今日はミイラだったよね。ゴンくんたちは無理でもパパに頼んだら元護衛なんだしエミリアなら一緒に連れて行けるかな。さっき誘ったからエミリアも楽しみにしてるかもだもんね。がっかりさせたら可哀想だし、大丈夫そうなら一緒にオークション連れてこうっと。それでそれで、明日はお買い物の途中でまた抜け出しちゃおうかな! あ、でも今日の事があるから難しいか。それだったら、護衛付きでもいいから一緒に遊べないかなー。ちょっとだけだったけど、ゴンくんたちと遊ぶの楽しかったし! このままお別れだとキルアが言うみたいにつまらないもんね。う~ん、楽しみ! オークション以外にも色々楽しみが出来ちゃったな。ヨークシン来てよかったー!)

 

 ネオンはとりとめなく思考しながら、これからの予定に想いを馳せる。そんな彼女の表情は笑顔であり、それを見たシャルナークもまた「変に疑われてないみたいでよかったな。こっちのが占ってもらうの楽だし」とほくそ笑んだ。

 そして手元にある黒いケータイ電話を手早くプッシュし、自身の能力「携帯する他人の運命(ブラックボイス)」で操作しているダルツォルネに車の速度を上げさせる。

 

 

 

 団長であるクロロが気にしていたネオンを監視する"外側"の気配。その何者かの視線が、クロロがネオンに接触したことでどうやらこちらに向いたようなのだ。

 それを幸いにとシャルナーク達は何故かネオンと知り合いだった知人を邪魔だからとさっさと横に除けると、その視線を引きつけたまま二手に分かれて移動。複数感じた気配はそれによってうまいこと分散した。

 

 待機していたマチが様子を窺えば、ダルツォルネに連れて行かせたネオン=ノストラードにはまだ何者かが監視する気配が残っていたようだ。しかし監視する人数が減ったのならば欺くのは容易くなる。

 そこで地下駐車場で一回ネオンを気絶させ、マチと一緒に待機していたコルトピがネオンを人形としてコピー。その人形を乗せた車はフィンクスの運転でアジトとは別方向へと向かった。そして少々時間を置いてから、フルスモークの高級車で本物のネオンを乗せた車はアジトへ向けて出発したのだ。

 シャルナークは自分の後をつけてきた気配をまいてからダルツォツネとネオンが乗る車に合流したが、どうやらうまくいったのか現在はネオンに張り付いていた気配は感じられない。

 

 お人形を乗せての運転という仕事を不満に思ったのか「気にしすぎじゃねーか? どんな奴が来ようがぶっ飛ばせばいいだろ。めんどくせぇ」とフィンクスが嫌そうな顔で言っていたが、それについては「ま、夜までの暇つぶしだと思ってさ」とシャルナークが説得したので渋々ではあるが納得したようだ。

 本音を言えばシャルナークとしても少々手間をかけすぎではと思うのだが、団長命令ならば従うだけのこと。フィンクスに言った通りいい暇つぶしにもなるし、一石二鳥だろう。

 ちなみにフィンクスにはパクノダが同行している。本来フィンクスは運転のためなどではなく、消えたフェイタンを探しつつあわよくば自分がヒソカを殺してやろうとアジトの外に出てきたのだ。そのストッパーにパクノダが抜擢されたのだが、彼女なら人形を囮に相手を欺きつつその後の立ち回りもうまくこなす事だろう。

 

「さてと。どんな占いの結果が出るのかな?」

 

 楽し気に呟くシャルナークであったが、そんな彼の乗る車には人知れず一枚の紙が紛れ込んでいた。

 

 

 

 

 

「僕とマハおじい様から簡単に逃げられると思った?」

 

 

 いずこかで紙の主が、艶やかな笑みと共に呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はゴンさん達に「急用が出来たので出かけてくる」と告げると、彼らと別れてミルキと共にハゲ共の後を追った。

 ちなみにカルト坊ちゃんとマハじいさんはシャルナークを追ったようなので、私とミルキはクロロとウボォーギンを追っている。ネオンさんに関しては奴らを追えば自ずとたどり着くだろう。少なくとも能力を奪うつもりだろうから、クロロを捕捉出来ていれば問題ない。

 

 そして奴らを追うにあたって役立つのが、少し前に形になったばかりのミルキの念能力である。

 

 

 

蟲の指揮者(リトルコンダクター)

 

 この能力はミルキの作った受信機を身につけた司令官となる虫を中心に、その虫の周囲に居る同種族を複数操る能力だ。効果範囲はその受信機の電波範囲内。といっても、電波が届いてもミルキ自身の練度によって効果範囲は変わってくるが。

 一見シンプルかつ攻撃向きではない能力だが、ミルキが使うことによってその汎用性は高くなる。

 

 つってもミルキの野郎、先にもっと攻撃向きでない……完全に趣味に偏った念を作っていたからキャパ的にこれが限界だったんだけどな。そんな中でそこそこ役立つ能力を一緒に考えてやった私は頑張ったと思う。まあ元は奴が蚊に爆弾をつけて云々言ってたのがヒントだから、恩着せがましく言うつもりはないが。

 

 

 

 ともかく、現在はミルキが操る蚊の指揮官がクロロとウボォーギンに張り付いている。私たちはその蚊の後を追えばいいわけだ。

 

 そしてたどり着いた場所であるが、そこにあったのは廃墟の"()れ"であった。群れなんていうと動物を指す言葉に聞こえるが、まったく同じ外観の廃墟が整然と並ぶ様は無機物ながらどこか動物染みた集団の不気味さを感じさせる。それはこれ等が念能力者が生命力であるオーラで形作ったものであるが故の印象だろうか。……まあ、どうでもいいか。

 どうせさっき姿を見られている上にネオンさんと知り合いである事も割れてると開き直った私は、電話で少々"打ち合わせ"をすると遠慮なく廃墟群に踏み込んだ。ちなみにここからは一人だ。……円の役割を果たすコルトピのコピー群に入り込んだら、どうせ隠れててもばれるからな。下手にミルキについてこさせるより、他のメンバーと合流させた方がいいだろう。

 雇い主自ら正面特攻とか馬鹿みたいだけど、今回はネオンさんが居る。我が師ネオンを助けるのは弟子である私の役目だ。

 

 …………それにしてもコルトピの能力を思えば私が来たこともすでにバレただろうに、奴らのテリトリーに入り込んだにも関わらず誰も出てこないところを見ると「来い」ってことか。上等。

 

 私は円を使いさっさと本物のクソガキ共アジトを特定すると、これまた無遠慮に踏み込んだ。円に引っかかった複数の人間のオーラを頼りに廃墟内を進むと、しばらくして開けた空間に出る。そこにはお目当てのクソガキ共がそろい踏み…………してないな。フィンクスとパクノダが居ない。チッ、パクノダ居ないのか。出来れば早めに始末したいんだけど。

 

 

 …………まあ、これだけ集中的に集まっていれば十分か。

 

 

 

「あ、エミリアだ!」

 

 真っ先に声を上げたのは、私の認識でいうなら攫われたはずのネオンさんだった。

 

 

 

 

 

 

 そして何故かネオンさんはシャルナーク、シズク、ノブナガとトランプをしていた。

 

 

 

 

 

「あ、ノブナガさんダウト!」

「んな!? く、クソ……。占い師だけあって鋭いじゃねーか」

「え~、占い師は関係ないよ。だってノブナガさん分かりやすいんだもん」

「あはは! 言えてるー」

「シャルテメェ! 今日は負けが少ないからって調子に乗るなよ! いつもビリはお前だろうが!」

「いつもじゃないよ! 俺とノブナガとウボォーの勝率はどっこいどっこいだろ!?」

「…………えーと、何してんの」

 

 とりあえず聞いた。思わず膝を地面につきそうになったけど聞いた。

 

「ねえ、あの子だれ? 勝手に入って来ちゃったけど始末しなくていいの?」

「ああ、シズクはエミリアと会った事無かったか。あいつはなんつーか………………あー………………同郷だ」

 

 トランプを両手に持ったかわいい眼鏡……おそらくシズクだと思われる人物が、私についてフランクリンに問いかけていた。それに対するフランクリンの回答は大分間を置きながらも無難なところに納まったらしい。同郷。まあ、そうだな。関係の内容はともかく間違いではない。

 

「おう、なんだエミリア! お前から俺たちの所に来るのは珍しいな。この嬢ちゃんを追ってきたのか?」

 

 ずかずか近づいてきたウボォーギンが馴れ馴れしく肩に腕を回してきたので肉を千切るつもりでつねってやったが、奴はしぶとく放さない。鬱陶しいな……!

 とりあえず無駄に体力使ってもあれなので、いったんウボォーギンの腕を退けることを諦める。そしてさっさと用件を伝える事にした。

 

「………………その子、友達なのよ。返してくれない?」

「ねえあんた。エミリアはああ言ってるけど本当?」

「え、何が?」

「友達って」

「うん、本当だよー」

「…………。槍でも降ってきそうだね」

 

 マチ、何故確認した。お前天空闘技場で私にゴンさんとキルアさんという友達が居る事知ってただろ。何故改めて確認するんだ。そんなに私に友達がいたらおかしいのか。

 

「…………とにかく返せ。奪ったんなら、"それ"も」

 

 言いながら奥の方で何やら複数枚の紙を読むクロロを睨みつける。近くに居た包帯男がこちらを見てくるが無視だ。他に構っている暇はない。

 クロロは私の呼びかけに伏せていた顔を上げると、口角をあげた。

 

「ヒソカと組んでるのかというのは、半分くらい単なる言葉遊びのつもりだったんだがな。…………お前か、エミリア」

 

 奴はそんな言葉と共に、紙を一枚折って飛行機にすると私に投げてよこした。それを受け取り無言で開くと、そこにはこんな内容が書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 捕食者と獲物は入れ替わり

 かつての糧は毒となる

 毒持つ狩人を現世(うつしよ)に留めてはいけない

 鎖と絆があなたを穿ち

 朔の夜に抱かれるから

 

 

 

 

 

 

 

 ネオンさんの予言だ。しかも紙に書かれているのは、たったこれだけ。現在が9月の初めであるに関わらず…………他の週の予言が書かれていないのだ。

 私は自分の顔が心底嬉しそうな笑顔に歪むのを自覚した。そして今度こそ全力でウボォーギンの腕をふりはらうと、勢いのままにネオンさんのもとまで跳躍しその小さな体をかっさらう。私に複数の攻撃が叩き込まれたのが分かったが、私は自身の体をネオンさんの盾にしつつ全て受けた。

 念弾が肩を抉り、斬撃が背中に裂傷を刻む。そして念の糸が私を捕らえようと体に食い込むが、それを力任せに引きちぎると体の内からオーラを全身に巡らせた。

 

「はッ! 温いなぁ!!」

 

 強化蘇生(パワーリザレクション)

 自身の能力で今負ったばかりの負傷を無理やり回復させる。それとほぼ同時に廃墟に入る前にセットしていたケータイのタイマーが鳴った。

 

 

 

 そして、次の瞬間は刹那の間を経てやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 上空より飛翔する光龍がもたらした槍がおびただしく降り注ぎ、廃墟を刺し貫いたのだ。

 

 

 

『!!!!』

 

 

 

 

 『龍星群(ドラゴンダイヴ)

 ゼノ=ゾルディックの念能力であるそれは、廃墟の天井など障害としない。

 

 ある者は避け、ある者は防ぐ。そしてある者はなすすべなく貫かれた。

 

 

 

「あれ?」

 

 カツンと乾いた音と共に眼鏡がコンクリートの床に落ち、その持ち主である眼鏡の女は自分に何が起こったのか分からないように首をかしげて呟いた。しかし自身の胸を貫く光のオーラを目視すると、まるで「ああ、ここまでなんだな」と納得したように静かに目を伏せた。そして体は糸が切れた人形のように床に崩れ落ちる。

 

「! シズク!」

「クソッ! コルトピもだ!」

「マジか!? つーか痛ぇ! なんだこりゃ!」

 

 騒々しくなる室内を尻目に、私は鋭く飛来しクロロの体を拘束した鎖にネオンさんを抱えたまま掴まった。そして鎖が引っ張られると、それに身を任せる。

 しかし室内が混乱する中、唯一私の動きを最後まで追っていた者がいた。そいつは大きな手を伸ばし私の足首を掴む。

 

 

「お前か、ウボォーギン!」

「エミリア!」

 

 私の足を引っ掴み、共に鎖に引っ張られていくのはウボォーギンだ。まったく、よくもまあ目で追った上に捕まえられたもんだ。

 しかしもとからこいつとは決着をつける予定だったのだ。ネオンさんの救出をまず優先したが、自分からついて来てくれるなら丁度いい。重いだろうからクラピカには悪いけど、このままこいつも連れて行こう。

 

 

 

 

 さぁ、長年の決着をつけようか。

 

 

 

 

 


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