うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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鋭角な鹿様、ひまじ〜ん様、評価感謝です。


奪われたアキレス

俺は、アミからの提案でキタジマ模型店に寄ることになった。

そこではミカがアマゾネスのメンテナンスをしてもらっていたところだった。

メンテナンスの終わったアマゾネスを受け取ったミカ。店長はそれを確認した後に、俺の下までやってきた。

 

「よかったなバン!遂にLBXを手に入れたんだな!」

「……ありがとう、店長」

「見たことのない機種だな……AX-00。バン、何か心当たりとかないか?」

「いや、俺も偶然に手に入れたものだから」

 

俺はあらかじめ考えておいた説明を山野バンとして語る。ここでボロを出すわけにはいかない。

しかし店長は少し悲しげな顔をしてから、何かを思いついたように手を打つ。

 

「カバーパットじゃカッコつかないだろ?お前がLBXを手に入れた記念に、昨日見せたアキレスをやろう」

「……ありがとう」

 

この後の展開を知っているだけに、俺は素直に喜べなかった。無論表には出さないけれども。

 

提案した店長に向かって店長の奥さん……北島沙希さんが告げる。

 

「あ、あれ売れちゃったわよ?」

「何⁉︎何時だ?」

「今朝開けた時に……」

「す、すまんバン!」

 

俺に期待させたと思ったのか、手を合わせて謝ってくる店長。

 

「……店長が悪いわけじゃないです。だから顔をあげてください」

「あー!これ偽物だぁ!」

 

いや、待てよ。タイミング悪くないか?沙希さんや。俺がカッコ悪くなるでしょう?

 

「なに!」

 

無視ですか。そうですか……酷すぎない?

 

なんて心の中で漫才していると、トントン拍子に話が進む。

 

「これ、どう見ても偽物だぞ?」

「ごめん。眠くって」

「つまり、泥棒ですよね、それ」

「アミの言う通り」

「俺が取り戻しますよ」

 

その言葉にみんなが一斉に振り向いた。少し緊張するが、山野バンを演じきる。

 

「俺が取り戻します。だから……」

「わかった。アキレスは今からお前のものだ。だから取り返してこい」

「了解」

「私も手伝うわ!」

「私も……って言いたいけど、今日あんまり時間がない」

 

ミカは残念そうに眉をひそめる。どこまで本気かはわからないけれども、現金なことに俺は彼女への友情を感じていた。

 

……俺って、もしかしなくてもチョロい?

 

まぁ、それはともかく、早く盗んだ相手のことを知らなければ。

昨日の事から、全てが原作通りというわけでもないらしいので、もしかしたら郷田が盗んだのではないのかもしれない。

一抹の不安を胸に沙希さんに聞いてみる。

 

「……その人たちの名前とか分かりますか?」

「えっとね、確か四人組で、その一人が郷田って呼ばれてたね」

 

よかった。そこは変わらないみたいだ。それに反応を示したのはやはりと言うべきかミカだった。原作だと郷田に惚れ込んでたんだっけか。

 

「郷田さん……ミソラ第二中学校の不良グループ「四天王」のリーダーで、番長を張っている。バンと同じ、背中で語る漢」

 

そうか、やはり……って待て。俺が何時からあいつと同類になった。というか何時背中で語ったよ?

 

「あー、背中で語るってバンと同じだね。でもなんでそんな人がアキレスを盗んだんだろう?」

「わからない。けど理由があると思う」

「……取り敢えず会ってみないとわからん。放課後に捜索しよう」

「「わかった」」

 

そうして俺たちは学校に向かう事になった。

 

この事件でカズはウォーリアーを破壊されてしまう。だから、カズを巻き込まないようにしないと……

 

そんな甘い考えを持ちながら。




TSってありなのかな(ボソッ)

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