お久しゅうございます皆様。私は現在リハビリ的な感じでいろんな所で短編を書き綴ってみたりしながら過ごしています。
あと消え去ったプロットを思い出しながら出力しておりますが中々どうして上手くいかないものですね。
文の書き方が分からなくなってきましたが、1日でも早く復帰できる様努めて参ります。
追記:誤字報告ありがとうございます
「助かりました。匿って頂き、本当にありがとうございます」
「いいえ、気にする必要はない。あなたの為だけではないから」
フフフ、アハハとふたりの少女、コウとアミがティーカップを片手に団欒といそしんでいた。両者とも顔はとてもにこやかにしているものの、目はまったく笑っていない。中身のない会話で相手の隙を探っていた。
そして部屋の隅にプルプルと震える少女と何やらワクワクしているランがいた
「ら、ランちゃん。あのなんか二人こわいよぉ……」
「うん、ありゃ達人同士のやり取りだね。お互いに一撃必殺の間合いを確かめてる」
「おバカちゃん達、理解を放棄して脳死でやり取りしないでくれたまへ」
そして彼、紫苑もまた部屋の隅へと紅茶片手に追いやられていた。
「誰がおバカちゃんですか! 至ってまじめですよ! えっとー、そういえば貴方は……?」
「あ、僕の名前? 自己紹介してなかったっけ?
まあいいや、オホン……ふーはははっ!! 僕―――もとい私こそは悪の科学者にして愛の喜びの伝道者! 自称、紫苑ブローディア博士、紫苑博士とお呼びなさい!」
「紫苑うるさい」
一呼吸おいてからの口上に、コウから黙れとばかりに個包装されたクッキーが投げつけられ、ランはあーこいつあらかじめ用意してたんだなぁとか白い目をする。
対して口上になにか引っかかった少女は、頭で疑念をかみ砕き、疑問にたどり着いた。
「って自称なんですか!?」
「うわ、愛の喜びとか胡散臭い……顔はイケメンなのに」
「モグモグ……ふふふ、最近は若作りに力を注いでいてね。私がイケメンなのは当然のことなのだよこのクッキー美味しい」
「え、もしかして意外と年取ってるんですか?」
「何歳に見えるぅー?」
先ほど投げられた事で砕けたクッキーをモグモグしてから、えへーと頬に両指をたててぶりっ子を演じる成人済みの男性。
紫苑はガタイ自体はよくない方で、顔立ちも中性じみてるとはいえ、ぎりぎりアリよりのなしだな。とランは鳥肌を立てた。
「ウザー。えーっと、40歳とか?」
「残念! その2倍以上はいきてるZE!」
いわゆるジョ〇ョ立ちでピシッとラン達に指を突き付ける。唐突なシュールにふたりは思わず噴き出す。
「わははっ! 流石に嘘だぁ、それは若作りとは言わないって、もはや化け物だよー!」
「ぷぷっ!」
「おや、漸く笑ったね。よかったよかった」
どうやら先ほどまでの流れは緊張の取れない二人を気遣ってのものらしい。どこまで本気にしていいか分かったものじゃないなと、コウは張りつめていた神経を一段緩ませた。そして前にいるアミに向かって
「ハッ(嘲笑)」
「あ゛?」
お互いがCCMを取り出し強化ダンボールのパノラマへと向かう。負けられない戦いがそこにはあった。
「邪魔するぞ、頼まれていた荷物だが……どういう状況だこれは?」
「あ、お帰り。ちょうどいいや、レックス、キミにきめた!」
「ピッ、ピカチュウ!……とでも言えばいいのか?」
「ほわぁ! あのレックスの声真似!? 滅茶苦茶レアじゃん!」
「言ってくれるんだ……レックスさんて意外と愉快な人? あと薄々わかってたけどランちゃんミーハーだね?」
「行けレックス! アミ嬢とコウに十万ボルト(拳)!」
「あー。なるほど。待ってろ。三十秒で終わらせる。決勝までに戻らなくてはならないしな」
渋い声でやってきた理不尽の化身がコウとアミを蹂躙するまであと十秒。戦いは数秒で完結したのだった。
皇帝への挑戦。それは仙道ダイキにとって目標の一つであった。
LBXプレイヤーの間で噂される強者のひとり、それこそが海道ジン。
強者と聞けば挑まずにはいられないのがLBXプレイヤーのサガである。
「やれ! ジョーカー!!」
高速移動からの3機に分身。
本来ならば分身ではなく3機のLBXを操作して相手を翻弄するのだが、他の2機は以前の事件によって完全に破壊されてしまっており、アングラビシダスまでに新しく補充する事は叶わなかった。
完全ではない、寧ろ条件的には悪い。しかし、この大会を通して自分は強くなっていると仙道は実感している。
攻撃、回避、防御、その全てが最悪のコンディションで戦い続ける中、どんどんと研ぎ澄まされているのがわかる。と同時に自らの技術に胡座をかいていたと実感した。
今まで頂上に登ったと思い込んでいたが、どうやら己は自分の上っていた山の大きさを勘違いしていたらしく、更にその先があった事実にようやく気付けた。つまりはまだ己は先に行けると歓喜と共に不敵に笑う。
「さぁ、ショーの開幕と洒落込もうか!」
「流石だな、仙道。秒殺どころか良いバトルだ」「うわぁ、凄いね彼。うちのジンとバトルになってる……」「フッフッフーこの地域の二大番長は伊達じゃあ無いんだぜー?」「……なんでリュウが得意げ?」「お前あんまり仙道と関わりないだろ」「そ、そんな事ねぇよぉバン! さっき連絡先交換したし!」「は? 仲良くなりすぎじゃないか?? まだ俺も交換してないんだが???」「……安心して、バンには私がいる」「それの安心要素どこだい?」「というかなんでいるんだ海道ユウヤ」「敵情視察」「………………そっか」「バン、思考停止は良くないとリュウ思う」
「……ミカもそうだそうだと言っています」「何かの映画のネタ?」「ゴジラ」「ゴォズィラ……」「昔の怪獣映画だろ? ほら今度リメイクされるやつ」「怪獣知らない人もコレは知ってるっていうタイプ」「……レトロ感満載、古き良き映画達」「へぇ、オススメなの教えてよ」「……良かろう。汝に叡智を授けよう」「辞めろよ
「(うるッっっせェーッ!!!!?!)」
あんまりな
「(何だあいつら、ホント何なんだよ!? 応援? 応援のつもりか?? ならせめて試合の話題にしろよ!? 何関係ないことペラペラと! あとユウヤとやら! お前だお前! なんでお前はそこの馬鹿どもと一緒に和気藹々としてやがる!? せめてギスれよ! ベストは海道のやつの後ろにいやがれ! さっきトボトボと会場外に歩いてったろうが! なに山野バンの所にノコノコと戻ってるんだよ!?)」
ピキピキと頭の血管が浮き出るのがわかる。というか既にプッツンと来ててもおかしくないようなストレスだ。
荒く息を吐いて、目の前のバトルに集中しなお「彼、なんか荒れてるね。オコなの?」冷静に「ホントだー、仙道さんなんか怒ってる」れいせ、い「……(パシャ」しゅ、しゅう「いきなり撮るなよミカ。仙道だとしても一応失礼だろ?」ちゅ「……ごめんなさい。あまりにもレアだったから」う……
「ウガァッッ!!」
「隙あり」
「あ」
この後、仙道は頑張って立て直し、腕一本奪い取るくらいの善戦したものの負けた。
コツリという固い音、小さな石を蹴り飛ばしてしまった音に、思わず身体をこわばらせた。
隠密行動中だというのに音を立ててしまったという緊張。初めての経験に想像してるよりも消耗し、注意力が散漫になっているとカズは汗を拭った。
「すんません……」
「気にする必要はねぇよ。こういう潜入は初めてなんだろ?」
「ヒヒ、そうそう。お前さんは後輩らしく俺らの後ろをついてくりゃ良いのさ」
「——ウッス!」
郷田とギンジにフォローされる。なんというべきか、関わり合う前まではこの2人の先輩に恐怖まで抱いていたというのに……大切にしていたLBX『ウォーリア』を破壊されて内心恨んでいた筈の相手だというのに、今では尊敬に近い感情を向けている。
「(人生って予測不能なんだなぁ……)」とか若いくせに思ってみたり。
張り詰めていた思考をこのまま悟りを開けば潜入に役立つかなぁとか関係なさげな思考へと変え、カズは『ハンター』をいつでも出せるようにポケットに突っ込んでいた手を握ったり開いたりと緊張での強張りをほぐす。
現在、カズ達はとある施設への潜入していた。
そこは恐らくイノベイターの研究施設の一つであり、以前確保したイノベイター製LBXの破片の塗料の製造元からの追跡、そしてギンジの集めていた不審者の情報や物資の不可解な流れを見つけ、探り当てた場所である。
「(もしかすればここにバンの親父さんがいるのかもしれない)」
カズはここを探り当てると同時にハンターへと届いたメールを思い出す。
送り元は山野淳一郎とあり、そらを受け取った時の驚愕は未だに抜けきっていない。
内容としては、『その施設の奥に囚われた者がいる。この施設の稼働は夜間であり、日中は人が少なく、地下水道からの侵入であれば容易い』との事でともに部屋の位置情報も送られてきた。
どうやらこれは山野博士がこの付近に山野博士製のLBXが近付くと受信できるように設定していたのだ。これはもしや山野博士からのSOSではないかとギンジと考察し、四天王招集とあいなった。
現在イノベイターからの注目はアングラビシダスに向けられている。故にこちらはノーマークであると、連絡を受けた郷田は考え、レックスにこれから潜入することを伝えた後に二ルートからの侵入を試みたのであった。
しかし潜入が何もしていなくてもここまで消耗するなんて思いもしなかったとカズは額の汗を拭う。ひとりだったらこの重圧に耐え切れないかもしれないとも考えた。
バンはひとりでエンジェルスターに乗り込んだんだよな。とその事実を更に重く受け止めた。
それはつまり下手をすればイノベイターに捕まってしまっていたであろう事実だ。そんな危険な行動に怒りと頼ってもらえなかった自分への情けなさに胃のところがきゅぅっと絞まる感覚がする。
だからこそ今度は頼ってもらう。決して一人でどこか遠くへ行かせない。そう胸に刻み込み、施設の奥へと進んでいく。
そんな覚悟を、郷田とギンジは察したのか、顔を見合わせてフッと笑いあった。
途中梯子を見つけ、ギンジのLBXで偵察を行った後に施設への侵入を開始する。
いきなり明るくなった視界に目がくらみつつも、どうにか周囲を警戒するカズ。しかしその警戒の隙をつくかのように小さな影が襲いかかる。カズが気づいた時には相手の鋭い爪が目玉めがけて振り下ろされようとする瞬間だった。
「だっぶねえなぁ!?」
しかしそんなことを許すほど、カズの先輩達は甘くはない。
郷田の出したブルド改にハカイオーの足を付けた『ブルド改Ⅽ(カスタム)』がハカイオーの武器『破岩刃』で影を斬りつけた。
影は両腕でガードする。郷田としてはその防御ごと叩き斬るつもりだったのだが、不幸にも武器と一体化した腕、『武器腕』の一種であった様で、弾き飛ばすだけにとどまった。
「逃すかよぉ!」
ギンジが『マッドドッグ』を繰り出し、弾き出された影、敵性LBXに向かって追撃を試みる。
相手は空中で無理やり身体を捩り、両腕から弾丸を撃ち出して『マッドドッグ』の行動を牽制してくる。だがギンジは知ったことかと飛来する弾丸を爪で弾きながら突き進む。ダメージを負いながらも『マッドドッグ』の射程圏内にまでたどり着く。
「しゃらぁ!」
『マッドドッグ』の鋭爪とそれを迎撃する敵LBXの刃爪がかち合い、地に足着けていた『マッドロック』に軍配が上がる。防御を崩し、その勢いで床に敵LBXを叩きつけた。
「ッ! こいつ硬ぇ!」
しかしその一撃はろくに装甲を傷つけることができず、防御力の高さに思わずギンジは舌を巻いた。
LBXのカメラ越しに、敵LBXの肩にあるカメラと目が合う。瞳孔のように拡大と縮小をしたカメラから反撃が来るのを察知し、背後に『マッドドッグ』を逃がした。直後に振るわれた爪がかすめるように空を切る
「おぁっらぁ!!」
反撃が外れたところで入れ替わるように郷田が突貫する。両手で破岩刃を力任せに粉砕せんと頭部へたたきつけた。
「クソッ、パワーが出ねぇ!」
だがハカイオーであればいざ知らず、代用のLBXでは装甲を突破できず、決定打にはなりえなかった。
代わりにどうやら頭部と目に当たる部分が破損し、視界を奪えたようだったのは幸いというべきか。
このまま押し切れるか? という考えがよぎったところで、郷田の『ブルド改C』が蹴り飛ばされ、間髪入れずに射撃を開始する。
「見えてもねぇはずなのによぉ!?」
「郷田くん、肩だ! 肩のやつもカメラだ!」
「チィ! そういうことかよ!」
それぞれ正確に射撃してくる敵LBXに武器を盾にして、どうにか防ぐが、ガードの上からじわじわと削られ、当たり所が悪かったのか『マッドドッグ』の片腕が装甲に罅が入る。
それでもどうにか凌ぎ続け、反撃の機会を伺う。
武器腕の射撃は存外にカツカツで、無限に撃ち続けられるわけではない。
特に今、武器腕を使っているギンジはその隙をよく知っていたし、郷田も仲間たちが使っている武器種についてある程度の知識はあった。
賭けにはなるが、その刹那に必殺ファンクションを叩き込む。現状の攻撃力では突破できないのは先ほどの攻防で確認済みであり、ならば瞬間的に火力を出せる必殺ファンクションに賭けるのだ。
問題は発動時の隙にリロードが終わって再度攻撃が開始された場合だ。
ふたりにとって初めて見るタイプのLBXであり、リロードにかかる時間なんてわかるはずもなく、場合によっては近接に切り替えてくるかもしれない。
敵LBX……『インビット』がどの程度ここに配備されているのかもわからないし、操作する人間がどこにいるかもわからない。
もしかしたらそもそも操作者はいない自立型の可能性も考えなくてはならない。
どちらにせよ接敵した際に周囲に救援を発信しているだろうし、自立型ならば既にLBXの機動力を生かしてここに向かってきていることだろう。
ならば連戦の可能性も考えられ、あまり消耗したくない。とギンジは考えていた。
だが想定外の硬さと粘りを見せられてしまった事で状況が変化した。このまま攻めあぐねていれば敵の仲間が到着してしまい、数的不利になると判断できた。
それくらいならばいっそ賭けに出ようとギンジは目で合図を送り、それを察した郷田はうなずいた。
そして、『インビット』はリロードの為の排熱を行う。その刹那―――
―――『ブルド改C』と『マッドドッグ』の間を縫うように二発の銃弾が通り過ぎた。
銃弾は正確に肩部のカメラを射抜いており、視界を失った『インビット』は混乱したのか壊れたように上半身をぐるぐると回転させていた。
二人が振り返ると、膝立ちのカズがハンターを伴って『インビット』を見据えていた。
「二人とも今だ!」
「へっ! よくやったぜカズヤ! ギンジ、やるぞ!!」
「おうともさ! 必殺ファンクション!!」
『Attack・Function/旋風!』
身体を回転させ、相手を足元から掬いあげるように下から上に爪拳を何度も打ち込む。最後をアッパー気味に放てば『インビット』は空へと打ち上げられる。
「トドメだ、必殺ファンクション!」
『Attack Function/パワースラッシュ!』
そして『ブルドC』によって放たれたエネルギー体の斬撃が、打ちあがった『インビット』を腰から上下に分断し、一瞬の空白の後に爆発の閃光と共に四散した。
爆散した『インビット』から右腕パーツが足元へと転がってくる。
それが戦闘終了の合図となり、肩から力が抜ける。郷田が腕パーツを拾い、ギンジに投げつける。
「お前が持っときな」
「おうさ、任されて。キッヒッヒ」
「カズヤもよくやった。いい腕じゃねぇか!」
「ウッス!」
それぞれLBXを回収し、増援が来る前に走ってその場を離れた。
息をひそめ、交代しながら警戒とLBXの調整をし、どうにか消耗を回復させてから潜入を再開する。
それからはスムーズに事が運び、数度の遭遇戦、『インビット』との戦闘があったものの、一度目の戦闘で動きや特性を理解し、対策が出来たこともあってやけにあっさりと勝利できた。
「やっぱ初見の相手ってかなりきついんだ」
「そらぁな。なんもわからねえ相手は対策の取り様がないからな。どうしても後手に回っちまう」
独り言のようにこぼれたそれを郷田は周りを警戒しながら拾い上げた。
現在廊下の影で小休止を取っている。先ほどギンジの『マッドドッグ』が片腕の不調をみせていたからだ。
どうやら初戦での乱射を防いでいた時に当たり所が悪かったようで、その証拠とばかりに装甲のひび割れが目立っている。
なのでギンジは最初に装甲を予備のパーツに変えようとしたのだが、蓋を開けると、コアスケルトンにも異常が見られたため、右腕すべてを外す羽目になったのだった。
幸いにもパーツそのものは先ほどの『インビット』から奪っており、仕掛けもないようなのでそのまま使うことにしたのだった。
「ヒヒッ 同じフレームでもアキレスとウォーリアの動きは全然違うだろ? パーツを1個変えるだけで動きが別物レベルで変わっちまうことだってある。動きが違えば対策だって変わる」
「あぁ、確かに」
「それに操作する側だって動かし方を慣らさないといけねぇ、色んな奴が安易にカスタムしない理由だな。お前さんだって『ウォーリア』から『ハンター』に乗り換えた時、苦労しなかったか? それと同じ苦労をパーツを変える度にしなくちゃなんねえ」
「その乗り換えの原因は『ウォーリア』を先輩にぶっ壊されたからっすけどね」
「おう、悪かったな!」
「素直! まあ、もう気にしちゃいねーっすが」
他愛のない会話ができるほどまで精神的な余裕を得たカズは、CCMで相手してきたLBXの動画を見ていた。
性能的にはアキレスやハカイオー、ハンターなどのハイエンドほどではないのだが、複数で当たられるとハイエンド達でも食われかねないだろう。
今回、データを取れたのは幸運だった。これがあるだけで対処法を確立できる。あとで皆に共有しなくてはと休憩中に特徴の箇条書きをしておく。
「そろそろ行くぞ、のんびりしてりゃあまたアイツらが湧いてきちまう」
「あいよ、付け替えも終わったが、1、2戦は慣らしをさせてくれ」
「サポートは任せてくれギンジさん」
「頼りにしてるぜ、後輩」
尻を叩いて埃を払う。
しばらく廊下を進み、やっとこさでメールにあった位置情報の部屋にたどり着く。
管理室っぽいところを片っ端から鍵っぽいのを拝借しながら通過したり、何やら物々しい電子操作の扉を二度くぐったが、ギンジのLBXでのハッキングに対しても特に敵影らしい敵影は出現せず、静寂に満ちていた。
最後の扉は意外にもアナログ式であり、明らかに増設された南京錠でロックされていたが、管理室から拝借した物で簡単に解除できた。
「周囲に敵影無し、伏兵もなしだ」
『マッドドッグ』が周りの偵察を終えてギンジの肩に戻ってきたところで突入の準備をする。
「お前ら、準備はいいな?」
「ウッス、いつでも」
LBXをいつでも展開できるように握りしめ、顔を見合わせてタイミングを計る。次の瞬間には郷田が扉をあけ放ち、内部へと一気呵成に畳みかけんと突入した。
そしてそこにいたのは
「ちゅるちゅる―――んん!?」
そこにいたのは……!!
ベッドのうえで胡坐をかきながらカップ麺のうどんを啜る少女だった!!!
「はぁ……??」
カズ達は思わずそう漏らしたのだった。
特に深い意味はありませんが、どん兵衛って美味しいですよね。特に天ぷらそばの汁がダシが効いてて大好きです。
いや、うどんも好きですよ。うどんだと香川県のを食べた時に『これが有名な讃岐うどん……』と感動した覚えがあります。