うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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繁忙期おわったよな? なんでこんなに忙しいんだ……?(ヒント:一時的に人手が激減してるから、ついでに資格試験も有)

なんて近況と共に謝罪をば、次こそもっと早く書きます。信用はないだろうけど……


闇の大会だからと言って闇鍋になっていいわけではない

◎スラム一角、郷田三人衆拠点◎

 

 ギンジは自LBXの『マッドドッグ』とカズの『ハンター』を調べていた。装甲に残るへこみ―――奴、海道ジンのLBXたる『ジ・エンペラー』のハンマー痕だ。

 殴られた部分をスキャナーで読み取り、痕跡からどこの企業で作られた武器に近いのかを調べる。

 オーダーメイドであろうとも企業の癖というものはどうしても残るものだ。しかもここにはカズが回収してくれていたイノベーター製LBXの足パーツがある。二つの結果からある程度の精度で情報を得られるだろう。

 

「ヒット、ハンマーは神谷重工のものに類似したものが数点、足パーツはこの会社の他LBXのノウハウを使っていると推察できるか……他のイノベーター製LBXもここの製品に類似してたし、確かバンの奴が潜入した工場も神谷重工の傘下だったか。こりゃあ、かなり黒めかねぇ? まあ所詮、類似というだけだがね、ヒヒヒ」

 

「すげー、こんなのでわかっちまうのか」

 

 手に入れた情報たちを前に漏れ出たカズの感嘆の声。ギンジは少し得意げに、喉をならした。

 そしてこれらの判断材料から海道義光(イノベーター)と神谷重工が繋がっている可能性を示唆している。その上で、海道ジンのLBXが神谷重工製ともなれば、あくまで血縁や類似しているだけという証拠でしかないがこれは黒に近いといってもいいだろうとギンジは考える。

 脳裏に少し前の宇崎氏とリーダー(郷田)たちの会話がよぎった。

 

「ヒヒヒ、信じ切るのも問題だと思うがねぇ……」

 

「ギンジさんはジンの事、反対なのか?」

 

 ギンジの顔色をうかがうカズ。彼の瞳にはかすかな不安が混ざっていた。もしかすると敵対することになるのかという不安だ。

 

「ギンジでいいさ、四天王の一員としてリーダーの意向に従う。けどな、チームってのは時に反対の事柄を言う奴が必要なのさ、ヒヒッ」

 

「そんなもんか?」

 

「ヒヒッ。そんなもんさ、お前さんも覚えときな」

 

 チームのバランサーとなるならやってみせろとカズを小突いた。

 

「……うっす」

 

 少しでも先達から学ぼうと、必死に画面に羅列する情報を理解しようと、カズはバンの真似として眉間にしわを寄せて、知恵を振り絞るのだった。

 

 

◎アングラビシダス会場◎

 

 

 

「……一回戦突破おめでとう」

 

「さすがだぜバン! あのガトーをあんなあっさり!」

 

 首切りガトー戦を終え、会場を降りた俺に駆け寄ってくるミカとリュウが拳を突き出してくる。

 一つ質問いいかな? いつものカズとアミ

 

「ああ、アイテム警戒が功を奏した。リュウの情報収集のおかげだ。感謝する。それで次の試合はミカか」

 

 アキレス・リュカリオンはタンク相手に運動性でメタを張っているのと、リュウのおかげでガトーの奥の手であるスタングレネードの事を思い出せたのもあり、すんなりと突破できた。リュウには拳をぶつけて感謝を、そしてミカには応援の意味も込めて応える。

 

「……うん、それにトーナメント上ではバンより先に海道ジンと当たる」

 

 どうやらミカはすでにジンを倒すのではなく削る方向で考えを進めているようだ。というのも、自身の新しいLBXの調整が間に合わなかったのもあり、アルテミスを見据え手札の温存を図ったのと、俺の勝利のために少しでも消耗させようとしてくれているのだ。

 

「なぁなぁ、あの転校生ってそんな強いのか?」

 

 なお、リュウはそんな事まったく知らないのである。知らないのにつれてきたミカは控えめに言っても鬼では?

 でも知ってたらこやつは大会に来なかったじゃろうて。しょぎょうむじょーじゃよ。

 いや、祇園精舎の鐘の声も聞こえないし、なんか使い方違くない?―――消えよネタの俺! 最近脳内漫才が増えた気がする。

 

「そうだな。短期決戦では俺より強いだろう」

 

「げ!? そんな強いのと俺は二回戦にあたんのかよぉ!?」

 

 今回もトーナメント戦では俺はAブロック、海道ジン、リュウ、ミカ、仙道はBブロックなのだ。偏り過ぎでは?などと言っていけない。不正はなかった。いいね?

 

「頑張れ頑張れ、陰ながら応援している」

 

「心こもってない!? せめて普通に応援してくれよぅ!」

 

 リュウの悲鳴にミカと一緒に笑う。お調子者なのにすぐ弱気になるリュウのおかげで弱音を吐きたくなる気持ちがどんどんと小さくなるのが認識できた。これならミカも適度な緊張感で試合に臨めるだろう。

 

「なんだ、面子が変わっても相変わらず気の抜けた奴らだこって。このザマなら優勝はもらったようなものだな」

 

「ああ、ツンデレ(仙道)か」

 

「あ゛あ゛ぁ゛ん!?」

 

 やべ、口に出てた。

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか仙道の怒りを鎮め、一同でミカの試合を観覧する。流石というべきか相手を速度で圧倒するのは見ていて気持ち良いものだろう。

 

「しかし仙道。手品の用意をこの短期間で出来たのか?」

 

 前回の戦闘で二体のLBXを失った仙道。魔術師の特徴ともいえる三機同時運用がないのであれば、こちらの勝率は7割は堅いだろう。しかしある場合は厳しい戦いになるのは疑いようがない。なのでそれとなく煽りを交えて尋ねた。

 というか、仙道にはつい煽りが出やすくなる。なにせ煽り煽られの関係が楽しいのが悪い。仙道も同じようなのだが何も言うまい。また怒られる。

 

「ふん、心配されずとも万全の状態でお前を、そして海道ジンを粉砕してやるよ」

 

「クハッ、楽しみにしておくさ」

 

「ほえー、バンいつの間に他校の番長となかよくなったんだ?」

 

「仲良くねぇよ! テメェの目は節穴かクソデブ!」

 

「ひえぇっ!!?」

 

 リュウがわざわざ虎の尾を踏みに行きやがった。なんというか締まらないなあとか思いつつ、ミカの『アマゾネス』が槍で相手をブレイクオーバーにする流れを見届ける。こっちに無表情でVサインを向けるのに苦笑しつつ手を振って返してやる。

 

 と、そこへ。

 

「やあ、君たち。さっき海道ジンとか言ってなかった?」

 

「ん、そうだが……ミッ゜!?」

 

 魂消た。ほんとに心臓ないなったかとおもた……心の中のネタの俺が消し飛びかけるくらいびっくりした。

 

「あん? お前は確かAブロックの……」

 

「こんにちは、仙道くんであってる? 僕はユウヤっていいます。もし勝ち進んで試合になった時はよろしくね。山野バン君」

 

「あ、ああ。よろしく頼む」

 

 もしもしサポセン? なんか灰原ユウヤがいるんだけど。不具合ですか??

 

 




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