うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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わざと話を飛ばしています。なのでちょっと前話から話が飛んでいます。


その道を征く

「果てなく征け、アキレス」

「顕現せよ、ルシファー」

 

俺はエンジェルスター内部でひとりの女と対峙していた。

 

「さぁ、存分に競い合おう山野バン。貴方と戦える日を待ち望んでいた」

「……何者だ貴様」

「神谷コウ。お見知り置きを」

 

LBXの方は知ってはいるが、女だと?馬鹿なこれを持っているやつは男だった筈だ。

こいつから滲み出るオーラはとんでもない。本来ならもっと山野バンが精神的にも技術的にも育ってからかち合うはずの敵なのだ。

だが、負けてやる義理はない。

 

「アキレス、見せてみろよ。お前の力」

「来るか!」

 

黄金に輝くアキレス。そしてアキレスとルシファーが激突する。剣を使うルシファーに対して、アキレスはその剣よりも外側の槍の射程から攻撃をする。だが、あっけなく防がれる。

 

それを狙ったが如く、アキレスは槍を手放した。肉薄するアキレスは盾も捨てボクシングのように拳で攻撃を叩き込んだ。

 

「そうでなくては!ルシファー!君の力、神に選ばれし彼に示すがいい!」

 

その時、ルシファーが膝に内蔵しているドリルを露わにしてアキレスの装甲を抉った。

 

「チィッ!」

 

背中に背負っていたメイスを掴み、それを地面に突き立て、それを基点にその場を離脱する。

 

アキレスの抉られた横腹は中のコアスケルトンが見えてしまっている。たいしてルシファーはフレームにダメージがある程度、油断したとは言わないが、それでも心のどこかで舐めていたかもしれない。女になっていたからその分英才教育は軽減されているのではと。

 

だが、結果はこれだ。失敗したと反省する。

 

 

槍も回収しておいたので、メイスとの二刀流だ。

バランスも考えて最も効率の良い動きを計算する。その間0.1秒。

山野バンならもっと早くできた筈だ。

 

 

またもアキレスから仕掛ける。突きを連続して放つ。其れを危なげなく剣で防ぐルシファー。ならもう一段スピードをあげよう。

 

正確にはスピードを上げるのではなく、無駄をなくすのだ。それによって倍近い速度で連撃を放てる。

 

「ああ……さすがですバン様」

 

相手もさらに速度を上げてきた。こちらは純粋に反応速度をあげたのだ。

そこにメイスを叩き込んだ。

 

「メイスを忘れてはいないか?」

「いいえ。ですが貴方のそれは受け切れる気がしませんね」

 

そう、不敵に笑う。何やら嫌な予感がして、槍を投げつつ後方に退避した。

その直後、アキレスがいた場所に剣戟の嵐、ソードサイクロンが吹き荒れた。

 

「さすがです」

「敵に褒められてもな」

 

少し嬉しい。

 

メイスを構えて、準備する。ルシファーが必殺ファンクション後の硬直から解けたところで、肉薄してきた。

 

やばい、そろそろVモードが切れる。そうなれば機体の性能差で押し負ける。

 

今度はメイスを投げつける。

 

「同じことを」

「ではないさ」

 

Vモードの機動力を活かして背後に回り込む。こんな芸当ができるのは武器を全て無くしたからだ。

 

振り返ったルシファーの顔面に拳を叩き込んだ。

 

そのあと、静寂が訪れた。

 

「……ここまでです。ああ、楽しかった」

「……なぜだ?このままいけば貴様の勝ちだろう」

「いえ、それが父には内緒で来ていまして。バレる前に戻りたいのです」

 

ルシファーを回収して、こちらに背を向ける。

 

「最後に聞かせろ。お前は……」

「貴方に救われたものです。では失礼します。また会いましょう」

 

そして、彼女は立ち去った。

 

まさか、彼女なのだろうか?記憶の奥底にある泣き虫の少女を思い出しながら、俺は先に進んだ。




崇拝系のヒロイン登場。このキャラを出そうか出すまいかでかなり悩んでいた。

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