異世界転生したカズマは召喚師になりました。 作:お前のターン
今回はちょっとアレなお話…………です。
最近、周囲からの反応が冷たい気がする。
これに気づいたのはここ最近の事だ。別に思い当たるふしがない訳じゃない、ただそうかもしれない程度に思っていた。
しかし、件の問題…………例の変態との騒動以来それが明るみにで出した。
例えば…………。
「このクエストを受けたいんですけど…………」
「はぁい、ではこちらの――っ!!?は、ははははい!!!書類はこちらで処理しておきますのでどうぞクエストへ行って下さい!!!」
「…………はい」
受付嬢の反応が酷い。俺の顔を見るやひきつった顔で接待しやがる。しかも早く行けと言わんばかりに急かす。
他にも…………。
「あぁ……疲れた。……っと、すまん。ぶつかっ――」
「っ!!?いえお構い無く!!!…………ヤバいわ、早く消毒しないと妊娠しちゃう!!?」
「…………」
ちょっと肩がぶつかっただけでこの反応ですわ。
酷い時には目があっただけで『妊娠させられちゃう!?』とか言い出す奴も………。
「…………俺が何したって言うんだ?」
「元気を出してください。こうして私達のような美人が隣にいるではないですか?」
「ありがとう、俺は幸せだよ…………死にたい」
「どっちなんですか!!?」
情緒不安定になってきた。
ダストやキース、男連中とは以前よりも更に仲が良くなったが代わりに大事なナニかを失った気がする。
「そうねぇ、カズマは女難の相でもあるんじゃないの?」
「つまりお前らがそういうことになるんだが、いいのか?」
「冗談よ。こんな超有能美人パ作っておいてそれはないわね」
自分美人ですって言っちゃうか…………。まぁ、否定はしないけどな。俺がこんな風評被害を受けてるのに見捨てないで構ってくれるんだ、本当にいい仲間に恵まれたんだろう…………。
その結果がこれなんですが、なにか?
「それより――」
「それより!!?お前、俺が真剣に悩んでるのにそれよりって言っちゃうか!?言ってしまうのか!!?」
「面倒くさいわね。あんたが変態なのは今更でしょうに。それより、最近めぐみんとゆんゆんが妙に仲が良いのはどうしてなの?出会った当初はあんなにも反発してたのに」
「なんだよそれ、初耳だぞ?ついに百合に目覚めたか?」
「ついにとはなんですか!?まるでその兆しがあったかのように――」
「「あったけど?」」
「ぐっ…………!?」
なんとなくジャンヌに乗せられて言っちゃったけど、どうもめぐみんにも少しは自覚はあったらしい。キッパリ言ってやると、何かを思い出したかのように顔を真っ赤にし始めた。
「そ、そもそもジャンヌが宴会で酔った勢いで私達に王様ゲームでキスさせたからでしょう!?何を他人事のように言っているんですか!!?」
「え?お前、そんな事させてたのか?」
「えっと…………どうだったかしら?シュワシュワを口移しさせて酔わせた事は覚えてるんだけど…………」
「ひでぇな…………」
俺の知らない間にジャンヌはとんでもない要求を仲間たちにしていたようだ。たまに、ゆんゆんとめぐみんが朝から青い顔をしていた事があったが…………なるほどそういうことか。
「で?最近百合に目覚めたのはどういう了見だ?」
「目覚めてませんよ!!!…………そうではなくて、ゆんゆんと一緒にカズマの悪評を直そうとしていたのですよ」
「ううっ!!?…………すまない、本当にすまない」
ああ…………目から滝のように塩水が!
なんて健気な……なんと嬉しいことか!こんな幼い少女に心配をかけて、フォローまでされていたとは!?
…………涙で前が見えません。
「…………で、結果は?」
「…………あの、あくまで一例なのですが」
「…………え?」
――――――――――――――――――――――――――――――
「カズマさんの悪口は止めてください!」
ゆんゆんが知り合いの女冒険者達に突っ掛かった。それもそのはず、人通りの多い場所で悪評を触れ回っていたのだ。それも、ゆんゆんの好きなカズマの事なら引くはずもない。
「え?だって…………ねぇ?」
「何がですか!?カズマさんは優しい人です!何を根拠にそんな事言うんですか!!?」
「…………聞いた話なんだけど。ある女クルセイダーを縛って吊し上げただけに飽きたらず…………こ、肛門の辺りに延延とフリーズをかけ続けてたらしいわよ?」
「そっ……………………………れで?」
「他にも、盗賊の女の子を全裸にひんむいて目の前で下着を嗅いだとか…………」
「………………………………」
「最近じゃあとある店の美人店主を押し倒して気絶させて、その隙に孕ませたとか…………」
「やめてええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!私の中のカズマさん像が崩れちゃううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
幾つか合ってはいるものの誤解があるものや、全くの嘘情報があったのですが…………中にはやりかねないと思うものがあったので、ゆんゆんもそれ以上は強く言えませんでした。
なので、ここからは私の番です。
「おい、そんな根も葉もない噂でカズマを罵るのはやめてもらおうか」
「め、めぐみん…………!?」
「カズマはそんな事はしません。あの男は人を悲しませる事だけはしないはずで―――」
「いいのよ、強がらなくても。私達はわかってるから」
「お、おい!?何を訳のわからない事を―――」
「これ、あげるわ。あの男に脅されてるんでしょ?いいの、私達は分かってるから。だがら、屈したら駄目よ?」
そう言って、女冒険者達は去っていきました。
私の手のひらに避妊具を残して。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「………………完全に性犯罪者じゃねぇかよ」
「カズマ、あまり落ち込まないでくださいね?私達は信じてますから」
「………………そ、そうね!ええ、信じてるから」
「……おい、いま間があったけど…………お前」
「そんなわけないでしょ!?このパーティで一番付き合いが長いのよ?理解してないわけないでしょ?」
なんだろう、心の奥底を抉られた感覚がする。
以前はゆんゆんの慰め会とかやってたけど、今となっては逆だ。俺が慰められる側に回っている。
それもこれも…………この世界が悪い。
くそ、あのアマ…………不条理な世界に転生させやがって。
「で、二人のその後の進展は?」
「まだ言いますか!?」
「あぁ、それ、俺も聞きたい。最近はゆんゆんがたまに怖い時があるから困ってるんだ。出来ればそっち系に目覚めてくれると助かる」
「嫌ですよ!同性で愛し合うなど…………おえっ、気持ち悪いです」
「そうか?結構絵になると思うけどな?」
「カズマ、たまには私と意見が合うじゃない?」
どうやらジャンヌもらしい。
はたから見れば本当に仲が良い、むしろ良すぎだ。抱き合ってても疑問にも思わない。いっそその光景を見てみたい。
「ねぇ、カズマ。ゆんゆんに頼んでみなさいよ」
「あぁ…………いけるかもな」
「止めてください!!!さもないと、ゆんゆんの前で『一発やっちゃいました』って公言しますよ!!?」
「おい馬鹿やめろ!冗談でもそれは危険過ぎる!!つか、お前は女なんだからそういう卑猥な事は言うなよ!!?」
「はい!!?男女平等がどうとか言ってたではありませんか!!?私が言ったら不味いのですか!!!」
「少なくとも俺が死ぬからやめてくれ!!!」
たぶん、とんでもないことになると思う。
クリアマインドの境地を越えてオーバートップクリアマインドまで行く。闇の先の闇、ダークネスの世界に突っ込んで正真正銘のヤンデレに進化する。
「では、百合に仕立てあげるのはやめてもらおうか?」
「うう~ん…………うう~~~ん!………………悩むな」
「何をそこまで悩んでいるのですか!?」
「いや、だってたまには癒しが欲しいじゃん?」
「…………ほ、本当にそれで癒されるのですか?」
「ああ!!!」
「うっ……!?まさか断言するとは思いませんでした。…………いいでしょう、今回だけですよ!」
まさかのOKサイン貰いました。
めぐみんもたまには良いことするじゃないか、うん?完全に言っちゃった感があるし、顔真っ赤だけど知らん。…………見たいもんは見たいもん!
「カズマ。言っとくけど、ネロは来させたら駄目よ?」
「当たり前だろ?あいつ、百合に関しては五月蝿いからな。たぶん暴走するだろう」
仕込みは上々。後はゆんゆんを向かい入れるだけだ。
ここでは不味いので、とりあえず俺の宿に集まることにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「えっと…………それで、私は何をすればいいんですか?」
「いつもみたく気持ちよく逝ってくれればいいのよ、めぐみんと一緒に」
「嫌ですよ!!?」
ほどなくして集まった俺達だが、当然ゆんゆんからは反感を買った。
「ねぇ、どうしたのめぐみん!?めぐみんはそういう事を言われたら嫌がる子だったわよね!!?」
「…………カズマが、私の恥ずかしい所を見たいと言うものでして」
「おいちょっと待てええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!確かに頼んだけど!?違うから、ちょっと意味合いが違うから!!!」
「カズマさん?…………説明、してもらえますか?」
「…………はい」
10分後…………
「………………そう、ですか」
「あれ?怒らないんだな?」
予想では掴みかかって来るだろうと思っていたが…………?以外にも頬を染めてキョロキョロし始めた。
「め、めぐみん?…………めぐみんはこういうの初めて?」
「当たり前でしょう」
「そ、そうよね!?うん、だったら私がリードしてあげなきゃ…………ね?」
「「うっわぁ……」」
「えっ!?どうしてそんな反応なの!!?」
いやいや…………普通怒るか嫌がるかだろうに。当たり前のごとくリードとか言い出すのはちょっと…………。
「あの、物凄く身の危険を感じるのですが?」
「カズマ、以外とゆんゆんはやり手のようよ?」
「うむ…………なんだがAV動画の監督やってる気分だ。ゆんゆん、エロいのは無しで。限界はキスまでな」
「あ、あれ!?…………そんなので満足出来るんですか?」
「「「…………」」」
うん、なんだろう?ゆんゆんと俺達三人の間に見解の相違が見られるようだ。
俺達はただ仲良く百合っぽいのが見たい。
ゆんゆんは…………R18指定のエロい事をしたい、逝かせたい、逝きたい、感じさせたいのだろう。
確かにそういうの興奮するけどさ、流石に14歳にそれをさせたら駄目だと思う。
「カズマさんはどうなんですか?」
「ごめん、俺が悪かった。だからその質問は止めよう、な?」
「ゆんゆん、あなた一体私にナニをする気だったのですか…………?」
「ええっ!!?ち、違うの?てっきりカズマさんは私達が…………その、エッチな事をしているのを見たいのかと…………」
「最低ね」
「おい!!?唐突に裏切るなよ!!?」
いやまぁ……期待しないでもないけどさ。
というか、ナチュラルに始めようとしてるけど、何で誰も止めないんだ?冗談だろ?どっきり程度のもんかと思ってたんだが…………何で二人は寝間着に着替えてるんだ?
………………………………え?
本当にヤるの?
「なぁ、やっぱり止めにしないか?正直気まずい――」
「なにいってんのよ!!?こっからが面白いんでしょうが!!!」
「お前、楽しみたいだけだろ!?」
「行くわよ、めぐみん…………」
「あっ…………優しくしてくださいね?」
「お前ら早まるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
何だか分からんが本当に始めやがった…………。
まず、ゆんゆんがめぐみんを押し倒した。すると、めぐみんは両手の指を絡め合わせ顔を近づけた。
(お、おいおい……!?マジでやるのか!!?)
「…………めぐみん、行くよ?」
「は、はい…………」
「いいわ、そこでディープキスよ…………!」
「お前、マジで止めろよ。なんか如何わしく見えてきたぞ」
「当たり前でしょ?はっきり言ってAVよ、これ」
「だったら止めろよおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
どいつもこいつも何かおかしい。
俺がジャンヌの悪ふざけに乗ったのもいけないが、そのまま突っ走るこいつらもどうかと思う。
少しは疑問を持てよ。何納得してんの?本当にそういう趣味があるのか…………?
とりあえず、見てられないので止めた。
「はい、ストップ!お前ら、マジでするなよ」
「え?ダメなんですか……?」
俺が制止すると、ゆんゆんは既に軽く舌を出していた。しかもそこから糸のように垂れる唾液がエロいのなんの…………って、いかんいかん!理性を保て佐藤和馬17歳!!ここで俺が手を出したら大変なことになるぞ!!!
「…………あれだ、俺の悪ふざけだから。だから、な?その辺で…………」
「カズマ…………股の辺りがむずむずします。…………私は一体どうしたら……?」
「…………ごくり」
エロい。マジでエロいぞこの二人!!?
え?なに、なんなのこの空気?ヤルキMAX百合モードなんだけど?あの二人見つめあってるけど…………?
「カズマ、いまいいところ何だから口挟まないで」
「お前な…………これがどういう状況なのか分かってんのか?」
「幼女同士がセ○クスしてるだけじゃない?」
「だけ!!?割りと深刻な問題だろ!!!?」
俺がおかしいのか?
どうなんだこれは?目の前には抱き合う直前の少女二人、そしてそれを見る俺とジャンヌ…………。
原因が俺にあるだけに言いづらいんだが……………………………………やめね?
どう見たっておかしいだろ、この状況。
めぐみんは俺とジャンヌが説得してしまった。これは俺が悪いな、うん。しかし、ゆんゆんは?あいつに限って言えば俺は悪くない。たぶん、俺の為に一肌脱ごうって気だろう。いや、それで本当に脱いだら困るが。
「めぐみん…………」
「ゆんゆん、だらしのない顔になってますよ」
「めぐみんだって…………欲しがってるくせに」
「ひゃっ……!!?」
ゆんゆんがめぐみんの首周りを舐め始めた。
いかんいかん、止めねば。
「ちょい待て。俺の要望通りにしたいってなら俺の言うことを聞くべきだろ?」
「あんたの要望なんて、どうせ二人がヤってる所を見たいだけでしょ?」
「お前!?いい加減俺を変態扱いするのはやめろ!!!誰もそんな事頼んでねぇよ!あのさ、さっきのはほんの悪ふざけだったんだよ?だから止めようぜ?普通に考えてこの状況はおかしいだろ?」
「かじゅまさん…………わたひ、なんだかおかしくなって…………あんっ!」
「ここですか?ここが弱いのですか?うりうり、逝ってもいいんですよ?」
「しゅ、しゅごいのおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「頼むからやめろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
いつの間にか立場が逆転しためぐみんがゆんゆんの胸を揉みながら股の間をさすっていた。
ヤバいんだけど、これ。俺見ててもいいの?絶対に不味いだろ。
「おい、ジャンヌ!お前が余計なことを言うからゆんゆん達がおかしくなってんだろうが!!?」
「えぇ?いいじゃない。絵になるってあんたも言ってたじゃない?」
「俺が想定していたのはもっと清楚系な奴だ!誰がガチモンの百合見せろって言った!?お前らも乗せられてんじゃねぇ!!?」
「…………酷いです」
「………………え?」
「私はカズマさんが喜ぶと思って…………!」
ゑ?
俺が?百合で?…………まぁ否定はしない。
「恥ずかしいけど、めぐみんとエッチな事を二人の前でしているのに!!?」
「うん、だからやめようぜ?」
「もういっそやらせてくださいよ!!終いにはカズマさんが襲ってくださいよ!!!」
「……………………………………………………………………………………え?警察に言わない?犯罪者にならないなら…………いいのか?」
「言い訳あるか!!?あんた、流石に男のあんたが襲ったら不味いわよ。私が主犯になっちゃうじゃない。やめて、私も牢屋に入れられるから」
「はっ!?そ、そうだ…………俺は何を血迷った事をしようと…………!?」
いかん、あまりのエロスに自我を失うところだった。
ジャンヌに理性を取り戻されなかったら危なかった、ふぅ。
「ゆ、ゆんゆん…………お前は冷静じゃないんだ。落ち着こう、とりあえず、な?」
「私は冷静です!!!さぁ、めぐみん!あなたのおま○こに私の指を入れるわよ!!!」
「おい待てえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!お前、本当にどうしたんだああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」
「や、優しくしてくださいね…………?」
「お前もかっ!!?何でお前らその気になってんの!?何がお前らを駆り立てるんだ!!?お前ら、男の俺の手前で恥ずかしくないのか!!!?」
「っ!!!?…………はぁ、そうでした。ゆんゆん、やはりやめましょう?」
「えっ?何を言ってるのよ?ここから楽しくなるんじゃない?」
「か、カズマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
「ほら言っただろうが!!?ゆんゆんにこの手の事をやらせ過ぎたらとんでもない事になるに決まってんだろ!!!」
俺は、無理やりめぐみんを引き離した。
だが、ゆんゆんはそれを許さなかった。めぐみんは救出出来たものの、その拍子に俺に覆い被さってきた。そして、そのまま押し倒され、馬乗りされた。
「うふふ、逃がしませんよ?」
「いやいや、冗談きついって。ほら、ジャンヌも見てるぞ?」
「あ、用事思い出したから出掛けてくるわ」
「おい待て!頼むから助けてくれよ!?」
「ふふ、カズマさんったら…………照れてるんですね?」
「いや、軽く引いてる…………」
「…………あの、後に引けないんで乗ってくれません?」
「え?やだ。犯罪者になりたくないもん」
「…………わかりましたよ、もうっ」
ようやく解放された。
ゆんゆんは自分の仕出かした事に自覚があるのか、軽く拗ねた感じでそっぽを向いてしまった。
俺はと言うと、とりあえず距離を取った。
「なぁ、俺が悪かったから機嫌直してくれよ」
「…………別に怒ってません」
「いやいや、あからさまに怒ってるじゃないか?」
「通報しますよ?」
「………………はぁ、分かったよ。とりあえず、着替えてくれ。んで、晩飯でも食べに行こうぜ?」
「…………むっ、カズマさん上手く誤魔化しましたね」
「いやいや、誤魔化せてないわよ」
「「え?」」
声の方を向くと、にやけた表情のジャンヌが立っていた。
「…………何でだよ?」
「だってほら、カズマはゆんゆんをおかずに、ゆんゆんはカズマをおかずに。…………むしろ上手く言ってない?」
「お前…………本人目の前にそういうことをいっちゃう?」
「ふっ…………言ってやったわ」
なにこの人?何を誇らしげにしてんだよ…………?全然誇らしくないから、むしろ駄目だから。
「もう知らん。おい、めぐみん。行こうぜ」
「いいでしょう。今日は蛙肉以外の肉料理が食べたいです」
「俺の財布の中身見てから言ってみろよ」
「…………寂しいものですね」
「おう、軽いから持ち運びやすいぜ?」
「そ、そうですね…………」
とりあえず、俺は晩飯を食べるという口実で場の空気を変えた。
さっきまでのエロチックな雰囲気は消え、いつもの愉快なムードに戻っていた。
だが、それもつかの間。何故か町中に鐘の音が響き始めた。
「な、なんだ!?」
「何よ騒がしいわね!近所迷惑って分からないの!!?」
「あ、あはは…………ジャンヌさん、ぶれませんね」
「しかし、一体なんなのでしょう…………?」
そして、警報の後に受付嬢が話始めた。
『緊急!緊急!!冒険者の皆様は直ちに武装し、正門前に集まって下さい!!!』
と、真剣味を帯びた声でそういい放った。
次回はシリアス成分多目になるかも?