異世界転生したカズマは召喚師になりました。   作:お前のターン

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今日もカズマさんは平常運転。
相も変わらず愉快な仲間たちと騒ぎます。


暇をもて余した者共の遊び

俺は『憑依』というスキルを手にいれた。

元々はチート能力『召喚師』から発生した付属スキルなのだが、現在ではこのスキルを使って使役するサーヴァントと共に戦うのが主流になっている。

だが、最初は苦難したものだ。戦う術を知らず、仲間に全て委ねるしかなかった。だから、俺は知り合いになった盗賊の少女に教えを請うた。

そして、今日はその師匠とも言える盗賊の少女に会う予定なのだ。そう、免許皆伝最終奥義とも言える伝説のスキルを教えてもらう為に……。

 

「うっす、師匠!今日もよろしくお願いしゃす」

「だから師匠はやめてってば……」

「まぁまぁ、頼むよ。クリスの姉御!」

「もうっ……カズマはこういう時だけ調子がいいんだから」

 

短い銀髪に頬キズ、活発であることを象徴するかのような短パン。とにかく露出の多い格好。これが、俺の盗賊スキルの師匠、クリスだ。

 

「それで、今日は何を教えてくれるんだ?」

「ふふふ、私のイチオシ……ううん、盗賊の奥義とも言えるスキル。『スティール』だよ!」

「えー?取得ポイントたかが5の平凡スキルじゃないですかー?クリスなにいってんのー?全然奥義じゃないよぉ?」

「ちょ……!?ど、どうしてそんな反応悪いのかな?」

「だって、俺が予想してたのは……もっと、こう……カッコよくて忍的なものとか?」

「いつになくズバズバもの申してくるね……」

 

いや、最初の駆け出し状態の俺なら喜んでいた事だろう。だが、初心者殺しや他の上級モンスター達、果ては魔王軍幹部やらと互角に渡り合う必要があるのだ。相手のアイテムひとつをランダムに奪うスキルなんて何の役に立つと言うんだ……?

 

「…………ちなみに、運次第でモンスターからレアアイテムをドロップするらしいよ」

「よっしゃ!クリスはよ!はよぉ!!」

「ちょっと現金すぎないかな、キミ……」

 

何を言うんだ、この俺が欲にくらんでいるとでも言うのかね?ううん?

俺は、若干やる気をそがれた感じのクリスを急かしてスキルを教えてもらった。

 

「はい、それじゃあ試しにやってみて」

「よっし…………それじゃあ、いくぜ?」

 

微量の魔力を込め、クリスへと手を向ける。

得られるアイテムはランダムらしいが、生憎と俺は運が良い。恐らく、いや確実にレアなものが剥げるに違いない!

 

『スティール!』

「くっ……!」

 

俺は、スキルを発動させながら思った。

……あれ?クリスって薄着だけど、何かの間違いで下着や胸当て?みたいな布を剥いだらどうなるのかなと……。

 

「……っ!?」

「あ、えっと……………………………………………ごめんな」

「いぃぃぃぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

案の定、上の方を剥いでしまつった。

俺の手には、クリスが着けていた布が。そして、目の前にはちっぱいを隠すクリスの姿。

………………なんだろう、犯罪臭がする。

 

「最低!!最低だよ!!!どうしてこんなものを剥ぐのさ!!?」

「いや、ちがっ……!?で、でもクリスだって薄着なんだから仕方ないだろ?俺もわざとやったわけじゃ……」

 

う~ん、やっぱり俺が悪いのだろうか?いや、これは冤罪だ。あくまで運、ランダム要素が強いスキルだ。カズマ被告人は無罪を主張します。

 

「何を一人でぶつぶつ言ってるの?いいから早く返してよ、変態」

「変態……!?い、いいのかおい?ここで俺にそんな態度を取ったらどうなるか…………なぁ?」

「な、何をする気……!?」

「クンカクンカする―――」

「かえせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

クリスが涙目になりながら掴みかかってきた。

片手で胸を隠しながら襟元をグイグイ引っ張ってくる。ちなみに、ここは街中だ。人通りが少ないところではあるが、あまりやり過ぎるとやばい。そろそろクリスの悲鳴を聞いて誰か来るかもしれない。

 

「わかった、わかったから……ほら」

「まったく、君、まさかパーティーの娘たちにもこういうことをしてるの?……変態」

「してねぇよ!!?」

 

うん、ちょっとやり過ぎたかも。クリスに少し嫌われたっぽい。目が、声が、態度が冷たい。

 

「それにしても、運が良かったね。こんなところを誰かに見られでもしたら大変だったよ」

「あはは、全く―――」

「クリス?どうして半裸で胸を隠しているんだ……?」

「「っ!!?」」

 

振り向くと、金髪美女が立っていた。高級そうな鎧に腰に据えた剣、恐らく騎士かクルセイダーの方だろう。

ううむ…………ストライクゾーンだな。…………あ、いやいや問題なのはそこじゃない。この現場を見られたのだ。

 

「あ、いえ……その……これはですね!?」

「うわあぁぁぁん!ダクネス!!この変態に脱がされた~!!!」

「なっ……!!?」

 

こ、こいつ!いとも簡単に俺を捨てやがった!?

お、おいおい……それはまじでシャレにならないからやめてくれお願いだから、まじで、本当に!

ほら、そこのクルセイダーの人もドン引きして………………ん?

 

「な、なななな……!!?こんな人通りでいたい気な少女の服を剥ぐなんて許せない!!どうかその鬼畜の所業をこの私にも!!!」

「「…………え?」」

 

何を言っているのだろう、この人は?

前半は相応の反応だったと思う。でも後半は…………気のせいではないと思う、確かに自分にもしてくれと言った気がする。つか、顔がやばい。ハァハァ言いながら興奮してるんだけど。喜んでるんだけど。

 

「さぁ!さぁ!!さぁ!!!」

「や、やめろ!近づくな!!おい、クリス。この人はお前の知り合いだろ!?名前言ってたろ!!?」

「ああ……う、うん。ダクネス?一旦落ち着こう?」

「はぁ……はぁ……是非その鬼畜プレイを私に!!」

 

うん、やばいわこの人。目が、逝ってる。逃げようかな?逃げていいかな?逃げようか?…………逃げるか。

 

「それじゃクリス、事後処理よろしく!」

「あっ!?ちょっとカズマ!!」

「ま、待ってくれ!どうか私にも!!」

「く、来るなぁ~!!!」

 

え?あの娘全速力で追いかけてくるんだけど?ものすごい怖いスマイルでこっちに走ってくるんだけど?なに、新手のホラー?

とりあえず一言言おう…………。

 

「こっちくんなあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ふひっ!逃がさん!逃がさんぞおぉぉぉぉぉ!!!」

「………………コホン、元気でね。カズマ」

 

くっ!?クリスを餌にするどころか俺の方に食い付きやがった!?

俺は、この変態から逃れる為にアクセルの街を駆け回った。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

アクセルの街のギルドにて……。

 

 

「さて、女子会を始めましょうか」

 

ジョッキを片手に意気揚々と啖呵を切るジャンヌ。そして、その回りには軽く呆れた目で頷くゆんゆん達がいた。

 

「あの……ジャンヌさん?昼間から飲むのはどうかと思うんですが……?」

「はぁ?なにいってんのよ、ゆんゆん。そんな堅物だからカズマに下ネタの一つも言われないのよ。めぐみんとかネロは常日頃からカズマの妄想の餌食になってるらしいわよ?」

「あ、あの……別に嬉しくはないのですが。それより、いまめぐみんとネロさんが餌食になっていると言いましたか?」

「お主ら、普通に始められんのか?はよう飲もうではないか」

 

シュワシュワを注いだジョッキを持ち上げ、いまかいまかと待っていた。

 

「わ、私にもそれをください……!」

「む?めぐみんはまだ14歳だろう?子供にはまだ早いぞ」

「なっ!?い、いいではありませんか!!?」

「駄目だよめぐみん。私達はまだ飲まない方が……」

 

どうにか説得しようとするけど、めぐみんは納得してくれない。これも、ジャンヌさんが囃し立てるからだと思う。飲め飲めとジョッキを頬に着けてくる。

 

「ねぇねぇ、早く乾杯しましょうよぉ?」

「ジャンヌさん、もう酔っぱらってるじゃないですか……」

「あぁ!?なんですって!?」

「…………なんでもないです」

 

酔っぱらうとジャンヌさんは面倒くさい。これは、パーティーを組んだ当日に判明した事。酔い始めると歯止めがきかないことがわかった。

 

「ねぇゆんゆん。あんた、まぁだカズマの臭いでアレしてるの?」

「な、何を言い出してるんですか!!?」

「だって、ほら……あんたの部屋にカズマのハンカチとか服があったじゃない?……なんか濡れてたのもあったけど」

「やめてええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!私が悪かっですから!!!じゃんじゃん飲んでいいですから!!!お願いですからやめてください!!!!」

 

やばいです。またジャンヌさんのからかい癖が出ました。この人、言い出すとキリがないんです……。

 

「えぇ~?どうしよっかな~……」

「お、お願いですから!」

「うむ。ジャンヌ話すがよい。余は気になって仕方ない」

「仕方ないわね~、ぐふふ……」

「や、やめ……!」

「めぐみん」

「むんっ」

「っ!!?」

 

ジャンヌさんが合図すると、めぐみんが後から羽交い締めしてきた。抵抗したけど上手く決められてほどけなかった。

 

「あれは確か、一週間前のことだったかしら……」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「うふふ、今日はどれにしようかな?」

 

ゆんゆんの宿屋に忍び込み、私は眺めていたの。

そう、最早習慣となった例のアレを。

 

「ハンカチ、上着、下着……ううん悩むわね」

 

正直なところ、この子の変態癖が直ったのか見に来たのもあったのだけど、もういっそヤりきるまで見物していこうと思った。

 

「ええと、この魔道具のスイッチを入れて…………あんっ!」

 

ゆんゆんは徐に魔道具を股に挟み、喘ぎ始めた。もじもじともがきながら、うねうね動くその姿は…………正直言うとちょっと引いてしまうほどだった。

 

「き、気持ちいい……かじゅましゃん……あんっ!?」

(もうちょっと声抑えなさいよ……隣の部屋まで響いてるかもしれないわよ……?)

「あっ!?あん!き、気持ちいいのぉ……!!」

 

今度は胸まで揉み始めた。

流石に見てられなかった。ハンカチをクンカクンカしながらあそこに当ててる姿は、まさに変態だった。

 

「しゅ、しゅごいのおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「とまぁ……こんなことがあったわけよ」

「ゆんゆん、貴方はいつ変態にジョブチェンジしたのですか……?」

「…………ぐすっ」

 

涙で前が見えません……。

もう、この人には隠し事はできないんだろうと思いました、まる

 

「ううむ……つまりゆんゆんはカズマの事が好きで好きで仕方ないということなのか?」

「えっ!?い、いえ……あの、その…………」

「なるほど、あいわかった。言わずともよい」

「………………はい」

「そういうネロはどうなのよ?」

「余か?余は…………まぁ嫌いではないぞ、うむ」

「めぐみんは…………ああ、言わなくてもいいわ」

「なっ、何故ですか!?」

 

どうしてかめぐみんには聞かなかった。どうしたのだろうとジャンヌさんの方を見ると、なにやら悟った顔をしていた。

 

「ごめんなさいね、めぐみん」

「どうして急に謝るのですか?」

「だって……ゆんゆんを散々からかっておいて、実はめぐみんもカズマの事になると夢中になって止まないんだものね。ゆんゆんに嫉妬してたんでしょ?」

「勝手な妄想は止してもらおうか!誰がカズマの事をす……好きだなんて…………いったんですか?」

「わたし、好きだなんて言ってないわよ?」

「…………え?」

「夢中になる…………とは言ったけど、好きだなんて言ってないわよ?」

「…………」

「…………」

「…………めぐみん、あんた……」

「………………うむ、なるほどな」

「その哀れむような目で見るのは止めてもらおうか!!?」

 

急にめぐみんが怒り出した。

日頃はジャンヌさんには突っかからないめぐみんが、顔を真っ赤にして掴み掛かっている。

ジャンヌさんは、やれやれと言う感じで澄まし顔だった。

 

「ふ、ふん!そもそもどうしてあんなやる気のない駄目男を好きに―――」

「って、言われてるわよ。ゆんゆん」

「めぐみん、ちょっと表に出よう?」

「ちょ!!?ここでゆんゆんのクリアマインドを利用しないでくださいよ!!どうしてカズマの事になるとそんなに怖くなるんですか!!?」

「愛ゆえに……か。カズマも罪な男よの」

 

ネロさんは無垢なようで恋愛に関しては興味津々のようでした。あくまで純愛を思い描いているようで、細かい事までは言い出さないようでした。…………ネロさんには下ネタは通用しませんでしたし、まさに純情ですね。

 

「そ、そういうジャンヌはどうなのですか!?」

「え?わたし?」

「あ、私も聞きたいです!」

「いや、私は別に普通よ」

「ジャンヌも素直ではないな。この前ひっそりとカズマの看病に―――」

「はっ!!?あんた何いってんのよ!!?だ、誰がそんなこと…………!!?」

「余は見たぞ?満足気な顔でカズマの宿から出てくるジャンヌを」

「「…………」」

「適当な事言ってるんじゃないわよ!!!?」

 

どうもジャンヌさんの反応が怪しい。

あれほど他人をからかって澄まし顔をしていのに、いざ自分に振られると動揺している。

照れ隠しにシュワシュワを飲み干すと、急にしんみりとした顔になり、チラッと見てきた。

 

「あ、あれよ……ゆんゆんとめぐみんが看病に来たのに、私だけ来ないってのはアレかなと思っただけよ」

「照れてますね」

「ですね」

「うむ」

「だ、黙りなさい!私は別にカズマの事を気にしてなんかいないわよ!!!」

「「「へ~」」」

「何よその顔は!!?」

 

ジャンヌさんはからかわれることに弱いみたいで、軽く涙目になってます。

私とめぐみんは日頃のお返しとばかりに攻めることにした。

 

「そういえば、この前カズマさんに美人って言われた時、照れてましたね?」

「なっ!!?」

「そうですね。それに、ジャンヌは他の男性とは一切話さないのにカズマとはいつも親しげに話してますね?」

「か、関係ないでしょ!!?」

「「ふーん……」」

「な、なによっ!?信用してないみたいな目ね、そんなに疑わしいの!!?」

「「はい」」

「なっ……!?ぜ、絶対に違うわよ!!!」

 

照れたジャンヌさんは可愛いですね。私達以上に耐性が無いらしく、動揺が隠せてません。

 

「ゆんゆん、あんたそんな事ばっかり言ってるとばらすわよ!?」

「な、何をですか……!?」

「この前カズマに後から突かれる妄想を―――」

「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!言わないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「騒がしい奴らよの」

「全くですね」

 

やはりジャンヌさんは一筋縄ではいきません。

 

「こっちくんなあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

突如ギルドに響き渡る様な大声が聞こえた。

 

「……あれ?カズマさんじゃないですか?」

「ゆんゆんか!?頼む、匿ってくれ!!」

「え?……」

 

俺は、逃げ込むようにゆんゆんの背後に隠れた。

 

「何処だ!?何処に行ったのだ!?」

「カズマさん、あの人は……?」

「変態だ。俺を追って追いかけてきたんだよ」

「ど、どうしてそんな事になってるんですか……?」

 

説明はしない。だって言ってしまえば俺の所業がばれてしまうから。

 

「隠れてないで出てこい!クリスにしたように、私にも鬼畜プレイをしてみろ!!!」

「あ、カズマさんならここにいますよ」

「おいっ!?あっさり俺を見捨てるなよ!?」

「そこにいたか!?さぁ、早くやってみせろ!!」

 

やばいやばい!目の逝ったクルセイダーが迫ってくる。ゆんゆんは容赦無しに俺をつき出すし、よく見たらジャンヌ達も目が据わってるんだけど!?

 

「どうしてそこまでしつこく俺に迫るんだよ!?」

「どうして……だと?」

「あ、ああ……」

「クリスの服を容赦なく剥いでいたではないか!あんなに辱しめて……しかも公衆の面前で!!羨ましい許せん私にもやってみせろください!!!」

「ちょっと待てえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!わかった、分かったから少し抑えてくれよ!!?そんな事大声で叫ぶなよ!!!!」

「カズマさん、最後に言い残すことはありますか?」

「さぁはやく!!!早く私にも!!!」

「もう放っておいてくれええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

うう……もう俺の面目丸潰れだよ。ゆんゆんは相変わらず怖いし、ギルドの女性連中から蔑んだ目で見られるし、目の前には変態が迫ってるし…………もう殺せよ!いっそ俺を殺して楽にしてくれよ!チキショー!!

 

「屑ですね」

「屑ね」

「屑だな」

 

ぐすっ……ジャンヌ、めぐみん、ネロから罵倒された。誰か、誰か俺に救いの手を差しのばしてくれる人はいないのか……?

 

「む?そこの方々はこの男のパーティー仲間か?」

「あ、はい。すいません、うちの馬鹿がご迷惑をかけまして…………」

「いや、構わん!むしろご褒美だ!!」

「「「えっ?」」」

「ところで、カズマ……だったか?」

「あ、うん……」

「私にも――」

「お断りします」

「んんっ!!……はぁ……はぁ……即答、だと!?」

 

なにこの変態!?どんな攻めにも快楽を感じちゃうのかよ!?顔は良いのに性格は最悪だな!?

 

「カズマ、あんたをご指名らしいわよ?やってあげたら?」

「待てよ、まだどんな要求かも聞いてないんだぞ?それに、とてつもなく嫌な予感がする」

「大丈夫だ。ちょっとしたご褒美を――」

「い~や~だ!!俺は、いくら顔がよくても変態だけは絶対に嫌だ!!!」

「ああっ!!なんて罵倒…………やはり私の目に狂いは無かった!!!」

「狂ってるだろうが!!?」

 

うっ……もうやだ。変態やだ。こいつのせいで仲間からも白い目で見られるし、後で絶対にゆんゆんに殺される……。

 

「私の名はダクネスだ。さぁ、共に行こう!」

「行かねぇよ!?つか、何処に連れていくきだよ!?」

「…………ぽっ」

「ぽっ……じゃねぇよ!?んな卑猥な事に付き合わせんな!!更に汚名を被せられんだろうが!!!」

「ダクネスさん?カズマさんも嫌がっているようですし、ちょっとそれは……」

「ゆんゆん……!」

「どうしてもというのなら、私達がお仕置きを済ませてからという事で」

 

ですよね~。

絶対酷い目に合うわ、これ。目が笑ってないし、ジャンヌも何故か武装してるし、めぐみんは…………あれ?

 

「ちょっと待ってください。それではカズマが可哀想ですよ」

「めぐみん……!」

「へぇ……めぐみんはカズマの肩をもつの?」

「…………ええ、カズマには日頃からお世話になってますし」

「ああ……神よ」

「あの、拝まれても困るのですが」

 

俺は、めぐみんにすがり付いた。この際、プライドは捨てよう。ヤンデレゆんゆんにお仕置きされるくらいなら喜んで泥を被ろう。……だって怖いしな、抵抗できないもんな。

 

「……あの、一応聞きますが、どうしてそうなったのですか?」

「あ、ああ……。実は……かくかくしかじかで」

「なるほど、やはり天誅が必要なようですね」

「ええ~!!!?」

「せめてもの慈悲です。ゆんゆんの弱点を教えてあげましょう」

「な、なに……?」

 

他の奴らに聞こえないように、耳元で囁くめぐみん。

 

「ゆんゆんが貴方の妄想でオ○ニーしていることをネタにすれば凌げますよ」

「ほ、本当だな……?」

「ええ、本当ですよ」

 

俺は、半信半疑でゆんゆんに言ってみた。

 

「なぁ、ゆんゆん……?」

「何ですか?命乞いですか?」

「溜まってるんだろ?ほら、俺の匂いの染み付いた服やるから……な?」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………後で詳しく」

「お、おう……」

 

よくわからんがゆんゆんの驚異は去ったようだ。

 

「くっ!?ゆんゆんを手駒にするとはやるわね!?どうせまたエロい事を吹き込んだんでしょ!!そうなんでしょ!!?」

「お前俺をなんだと思ってるんだ!!?普通に取引しただけだよ!!!」

「だから、その内容が一発やらせるとかそういう卑猥な内容なんでしょ!!?」

「お前ちょっとだまれえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

ジャンヌまで公衆の面前で卑猥な事を言い出した。こいつ、酔っぱらうと吹っ切れるタイプだったな。

 

「こんないたい気な少女を犯すだと……!?」

「あんたも黙っててくれ!!!?」

「カズマ……また卑猥な事を……余はどうしたら……?」

「ごめんな、ネロ。こいつらが変態だから悪いんだ。ネロは悪くない」

「そうか…………余はたまにお主らの話について行けない時がある。すまぬ」

 

いや、謝るのは俺達のほうだ。

むしろわかってはいけないと思う。いや、でも……めぐみん達ですら話が分かるのは……うん、あいつらは変態なのだろう。ネロは至って健全、これが普通なのだ。

 

「とにかく、俺はそんな事に付き合う気はない!」

「くっ…………まぁいい。今日のところはな」

「ふぅ…………」

「だが、私とて騎士だ。カズマの鬼畜の所業を放っておく事は出来ない」

「らしいわよ。鬼畜のカズマさん?」

「その言い方はやめろぉ!」

 

くっ……ただでは引かないか。騎士だけに正義感も人一倍あるらしい……変態のくせに。

 

「ふむ、よかろう。ではこうしよう」

「ネロ?」

「余とそなたで勝負しようではないか?その勝敗で、事の結末を決めようではないか」

「……いいだろう」

 

よし!これならいける!!あのデュラハンすら凌駕したネロだぞ?絶対に勝てる!!!

 

「私が勝てば例のご褒美――ではなく、要求を飲んでもらう」

「よかろう」

 

いまこの人、ご褒美って言った?言ったよな?

 

「ようし、敗けたら――」

「分かっている。この体…………好きにするがいい!!!」

「おい待てええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!だから音量抑えろよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「クズマね」

「カスマさんですね」

「二人とも、最近は容赦が無いですね……」

 

こうして、ネロとダクネスの一騎討ちが決まった。

…………ダクネスからすれば、勝ってもご褒美、負けてもご褒美なんだろうな。

まったく、嫌になるぜ…………。

 

 

 

 

 




遂に来ましたダクネスさん。
変態かつ変態な変態さんは大興奮!
カズマのゲスッぷりに喜んでいます。

久しぶりに次回予告のあれを……。

騎士とは常に清く正しくあらねばならない。
例えば、目の前で少女が襲われているのなら身を呈して守らなければならない。そう、我が身を盾に……。
そして、捕らえられた私はあんなことやこんなことを…………ふひっ。

では…………いってくりゅ!!!

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