異世界転生したカズマは召喚師になりました。 作:お前のターン
ぐだるのは良くないと分かっていても紅魔の子達が可愛いから書いてしまう。そんな感じでぐたぐたこのすば生活が続きます。
紅魔の里の奥、一つの剣が刺さった場所がある。本来は観光客しかあまり寄り付かない場所だが、そこには人影があった。
「…………やはり、来たのかね」
「あれだけガン飛ばしておいてよく言うわね。あんた、性根もそうだけど、見た目も悪いんだから少しは自重しなさい。婆さん、怖がってたわよ」
「おや、そうかね……まぁ、もう二度と会うことはないと思うが。次があれば気をつけるさ」
男はそう言うと、剣へと視線を向けた。あるのは岩に刺さった剣。巷ではこれを餌に観光客を呼び寄せているらしい。抜ければ「選ばれし者」だと、そうでない場合は「選ばれし者ではなかった」と諭すらしい。しかしてその実態は紅魔の者が魔法を掛けて抜けなくさせているだけという…………。
「知っているかね?これを聖剣だと言って観光客を呼び込んでいるらしい」
「はっ、だから何?」
「聖剣…………まぁ明らかに偽物だとは分かるが、そう言われると、君は誰かを連想するのではないかね?」
「…………喧嘩売ってんの?」
「ふっ、冗談だ。だが、その反応を見る限りやはり君はあの時の英霊に間違いないようだ、ジャンヌ・オルタ…………だったかな?」
「黙りなさい、
「おや?気に触ったか…………まぁいい。ところで、君はまた新たなマスターを得たのか?」
「だったら何?」
男は気さくな感じで質問を投げ掛けてくるが、その声色にはこれといった感情は見られない。特に興味はない、ただの事実確認といった風だ。
「いや、結構。俺には関係のない事だ」
「はぁ?ならどうしてそんな事を―――」
「その男が死のうとも」
「……………………は?」
突如として発せられたその言葉はジャンヌの思考を鈍らせた。その男は冗談で嘘や虚言を吐くような人柄ではないと知っているからだ。性格は極めて冷酷。現実主義で端的、常に冷めていて己の目的の為なら犠牲を厭わない。そんな男が意味もなくそんな事を言うはずはないと、頭の何処かで直感していた。
「言葉の通りだが…………少々言い過ぎたかね?」
「そんな事を聞きたいんじゃないわよ!あんたがどうしてそう言ってるのか聞きたいのよ!!」
「…………私がいまここにいる意味を考えれば分かることだ、そう頭を悩ませる必要はない」
「ふざけてんじゃないわよ!?それが分からないから聞いているんでしょうが!!?」
いつになく起伏が激しい、自分でも頭では分かっている。冷静でないのだと。しかし、彼の補足の足りない言葉に苛立ちを感じざるを得なかった。まして、マスターである彼が死ぬかもしれないと言われているのだ。問わずにいられるはずもない。
「オルタに堕ちたとはいえ、俺が現れる意味は変わらない。それは秩序を正す為だ。死後も、堕ちた場合も、俺は霊長の
「そのあんたが現れる理由…………まさか」
「そう、ここも次期に戦場となる。俺は、秩序を守るために天秤の針が傾かなかった方を容赦なく切り捨てるだけだ」
「その過程であいつが死ぬっての!?」
「さぁ?どうだろうな…………だが、可能性が0の話ではあるまい?この世界の人間も、悪と称される者達も元の世界と違い腕は立つようだ。君一人で守りきれると断言できまい?」
「…………黙りなさい。あんたの御託は結構よ。私は、誰一人死なせやしない」
「ふっ、君はだいぶ変わったな」
「なっ…………!?」
男はジャンヌの答えを聞くと、木へと飛び、姿を消した。
「ならば、最悪な事態にならないように精々善処することだ」
最後にそう言い残して。
「…………相変わらず、憎たらしい男ね。エミヤ・オルタ」
そして、ジャンヌは彼が居なくなった後も、彼が居た場所を睨み続けた。
――――――――――――――――――――――――――――
ジャンヌが一人で宿を去った後、俺はどうしようか悩んでいた。
「うう~ん、めぐみん達からお悩み相談受けろって言われたしな…………でも、相手があのジャンヌだしな。下手なことしたら後世にまで語り継がれるレベルで酷いことになりそう」
いつになく真剣な表情だった。それはまるで、戦前のよう。そう、例えるならばスーパーのバーゲンセールで時計の針が5時を指すのを待つおばちゃんのよう―――っと、ふざけるのはやめておこう。あいつが本気で怒るときは大阪のおばちゃんの比ではない。槍は飛んでくるわ、周りが火の海になることもある。
「はぁ…………無理ゲーなんだよなぁ」
綺麗な夜空を見て、俺は空へと愚痴をこぼした。特に意味はないが、誰かが聞き止めてくれないかなとちょっと期待した。マジで一人だと聞きづらいもんな。
「…………あの~、お兄さん、こんな時間に一人でぶつぶつ何言ってるんですか?思春期ですか?」
「えっ!?…………あ、いや、そうなんですけど…………君は?」
視線を前へと戻すと、めぐみんと同い年くらいの少女が立っていた。まさか本当に聞かれると思ってなかったのでマジでビクッた。一瞬、なんかゾッとした。日も落ちて暗いし、いきなりだと普通にキョドる。
「お兄さん。宿の玄関の前を塞がれると困るんだけど?」
「あ、ああ…………ごめん。邪魔した」
「あれ?もしかして、お兄さん他所から来た人?」
「え?そうだけど、どうかした?」
「やっぱり!」
その少女は、表情を明るくして俺に近寄って来た。しかも、割りとマジで近い。何かの拍子で転けたらキスしてしまいそうな距離だった。
「うう~ん、暗がりでよく見えないけど、お兄さんって、割りと普通の顔だね?」
「初対面で割りと失礼な事言うな……。ちょっと傷ついたぞ」
「あ、いやいや別に悪気はないよ?」
当然だ。あったら今すぐこの子の頬を捻っていた所だ。
「ふ~ん、でもそうか…………この人が」
何やら一人で納得している少女。さっきは玄関の前を塞ぐなと文句垂れてた奴が今度は俺の前を塞いでいる。どうしよう?とりあえず前進して押し倒すか?…………いや、冗談だけど。
「あのさ、何か用でもあるのか?」
「あ、うん。一応ね。それより、自己紹介してなかったね」
「あ、ああ…………」
割りと別にどうでもいいんですが…………。その少女は少し俺と距離を置くと、何処ぞのアイドルみたく可愛い子ぶった仕草を取りながら話し始めた。
「あたしの名前はふにふら。めぐみんとゆんゆんの友達…………?いや、ちょっと違うかな?いやでもめぐみんはともかくゆんゆんはそう思ってるだろうし…………えっと、取り敢えず同期、かな?」
ぐだぐだだな、おい。「友達?」とか言われても知らんわ。こちとらお前と初対面だっつーの。
仕方なく、今度は俺からも自己紹介をした。
「俺の名前は佐藤和馬。冒険者をやってる。ところでめぐみん達と同期って―――」
「あ、やっぱり!あれでしょ?ゆんゆんの彼氏なのに、めぐみんとイチャコラして相当捻れた三角関係になってると噂の」
「おい待て。何一つ合ってない上にどうしてそんな設定になったのか聞きたいんだが?それと、ゆんゆんの彼氏じゃないからな?」
「えっ?でもゆんゆんの事だから、いつもカズマでシコッて―――」
「みなまで言うな!!!お前、ふにふらだっけか?いきなり変な事言うなよ、宿屋のおっちゃんも目を見開いてこっちみてんだろうが?」
「え?別にいいじゃん?それに、この宿のおじさんロリコンだし。カズマがロリッ娘に手を出したっていう部分に反応したんじゃない?」
ああ、やはり紅魔の連中は面倒くさい。これだから頭のおかしい民族は…………ていうか、この子ゆんゆん達と同い年のくせに話す内容がビッチくさいぞ。普通にとんでもないこと言い出すなよ…………。
「ふにふら、めぐみん達いた~?」
「ううん、まだ見つからないよ」
今度はゆんゆんくらいの身長の子が現れた。赤いリボンで止めたポニーテール、その隣には少しロールのかかったぼんやりとした雰囲気で、若干……というより確実にゆんゆんより胸の大きそうな子がいた。
「まったく、私は暇ではないんだけどね……」
「まぁまぁ!あるえだって、久しぶりにゆんゆんと会いたいでしょ?」
「君達は文通もしているだろう?別に夜分遅くに行くことは―――」
「いいの!そういう堅っ苦しいのは抜きにして。それより、この人がゆんゆんの手紙に書いてあった例の人らしいよ?」
「えっ!?うっそ、フツーじゃん!ゆんゆんの事だから変な人に騙されたのかと思ったのに」
こいつら、言いたい放題だな……。
何故か俺をそっちのけにして会話が盛り上がる少女達。名前は、ふにふら、どどんこ、あるえというらしい。前者2名は以前少し説明をされたので知っているが、あるえという少女はまるで知らない。まさか14歳でここまで可愛らしくエロい体つきをしているとは…………ごくり。
「カズマさん?どうして鼻の下を伸ばしているんですか?」
「ゆ、ゆんゆん!?ち、違うぞ!これは…………あ、あれだ!ちょっと鼻の下を蚊に刺されてもどかしくてでも女の子の手前で中々かけないからどうにか我慢しているというなんとも説明しづらい状況だったんだ!!決してちょっと可愛いなぁとか、エロいなぁとか思ってないから!!ほんと、ちょっとしか、ちょっとしか思ってないから!!!」
「つまりあるえに発情したんですね?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?頼む!許してくれ!!この通りだ!!!」
突如として現れたゆんゆんに全身全霊で謝る俺。既にゆんゆんの瞳に光はなく、何故か指をコキコキ鳴らしている。声も当然冷たいし、笑ってない。前にはゆんゆん、後ろには三人の少女達という謎の状況に追い込まれていた。
「あれ?ゆんゆんだ。久しぶり!」
「ふ、ふにふらさん!?それにどどんこさんも………」
「あっはは、やっぱりゆんゆんはカズマに首たっけだったね?それで、ゆんゆんはカズマの浮気が許せないって状況なのかな?」
「いや、どちらかと言うとカズマが私の体に発情したことに怒っているのでは?」
「ち、違う!断じて違うぞ!!」
「うっそだぁ~?カズマ、あるえの事を舐め回す様に見てたじゃん?エロッ」
「おまっ!!?幼女体型でまったく大人の女として見られないからって嫉妬してんだろ!!そうなんだろ!お前、実はあるえやゆんゆんみたいなエロい体に憧れてんだろ!!?」
「え?ちょっとこの人何言ってるの?ひくわー」
「ちくしょう違うのかよ!つか、安易に人を死地に追いやるなよ!?お前らゆんゆんのヤンデレ具合を知らないから笑ってられるんだろうが!!」
「え?ゆんゆんがヤンデレ?何言って―――って怖!!?ゆんゆん、あんた何で両手の指をワキワキさせてんの!?目も超怖いし、なんか後ろに覇気がみえるんだけど!!?」
ようやくゆんゆんの危険性に気づいたふにふら。慌てて宥めようとするが、当然あの境地に至ったゆんゆんをそう易々と止められるはずもなく、体から迸る覇気の様なものに怖じけついて下がった。
「お、落ち着け!話せば分かる!!きっと分かる!!!『あ、そーなんだ!』的なノリで分かるから!!!」
「へぇ~、そうなんですか?分かりませんね。これはじっくり聞く必要がありますね?体に」
「お、お助けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「あ、私達めぐみんにも挨拶しなきゃ!」
「そ、そうだったね!早く行こうか!?」
「おいちょっと待てお前ら!!!頼む、頼むから俺を助けてくれ!!ゆんゆんの眼が既に紅く染まって俺を捉えて離さないんだ!!!」
俺は必死にふにふら達にすがり付いた。他人の目など気にせず、がむしゃらに、離れていくふにふらの裾を掴み足にしがみついた。
「は、離して変態!こ、このっ!!ちょ、何処触って…………!?」
「ぐふっ!?おい蹴るな!マジで頼むから助けてくれよ!!?あの目を見ろ!俺を殺そうとする奴の目だ!!」
「知らないっての!ゆんゆんの事だから1日ベッドの上で相手してあげたら満足するって!!」
「おい馬鹿!それだと既に事後じゃねぇか!!?駄目だから!それだと別の意味で俺が死ぬから!!」
「か~ず~ま~さ~ん?どうしてふにふらさんの脚にしがみついてるんですか?脚フェチなんですか?でもそれならどうしてふにふらさんにしがみつくんですか?…………ネェ、ドウシテナンデスカ?カズマサン?」
ついにゆんゆんが殺気を放ち始めた。しかもその対象は俺だけでなくふにふらも。
「え!?ちょっと、どうして私を見てるの!?私何も悪くないから!!この人が勝手に引っ付いてるだけだから!!!」
「ふむ。私達は行くとしようか?」
「そ、そだね!?じゃあ、ふにふら、元気でね!?」
「どどんこ!?あんた、私を置いて行く気!!?ねぇ、お願いだから助けてよ!いつも私の腰巾着だの影が薄いだの揶揄されてるんでしょ!?汚名返上の機会じゃん!!私を救ってヒーローになって、私を霞ませるくらい人気者になれるチャンスじゃん!?」
「ごめん、そこまで命懸ける気はない」
「え?」
可愛そうに……、簡単に見捨てられてやんの。まぁ、俺はとしては道連れが減って苦しい状況なんだが。
「カズマさん?ふにふらさんの何処がいいんですが?胸ですか?平らな胸が好みだったんですか?」
「ちょっとゆんゆん!?さりげに私に対して失礼な事言ってない!?二人の会話なのに私を傷つけるのやめてくれない!!?」
「安心しろふにふら!俺は巨乳派だ!!」
「ばーか!!誰もそんな事聞いてないっての!!!」
「巨乳派ですか?なら良いです…………ふふ」
「あっ!?いまちょっとだけ私の事を嘲笑ったでしょ!!?ねぇ!?いま『勝った』て思ったでしょ!!?」
「いえいえ、そんな。大切な親友であるふにふらさんの事を嘲笑うだなんて…………まさかまさか」
「ちょっと私の目を見て言いなさいよ!!?ねぇ!!?」
どうしよう?普段は温厚なゆんゆんが本格的に壊れ始めた。なんやかんや言って同世代の子や年上、はたまた初対面の人には割りと控えめな所が多い彼女だが、ついに性格も歪んできた。まさか、体型の事で友達(?)をいじり始めるとは…………恐ろしい子。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
その時、丁度良くジャンヌが帰って来た。
「お、おうジャンヌ!遅かったな!?」
「…………はぁ、そういう趣味を持つのは自由だけど人前でするのは流石にまずいんじゃない?」
「ち、違うから!これはその……あれだ、ゆんゆんから逃れる為に―――」
「あーはいはい、要するにロリコンで脚フェチなのね」
「全然要してないからな!?むしろ酷くなってるから!!!」
相変わらずこの元聖女様は気だるそうにしている。マスターである俺を助ける所が更なる汚名まで被せようしやがる。ほんと、マジでそういうのやめてほしい。状況がどんどんカオスになっていく。
「あ、そういえば相部屋だったわよね?」
「え?お、おう…………」
「ゆんゆん、やっぱり私と変わって―――」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!冷静になれ!!!いまこの状況でゆんゆんと相部屋とか冗談じゃないから!!!頼むから冗談でもやめてくれ!!!!」
「私は本気よ。だってその方が面白いじゃない?」
「このアマ!?おま、仮にも俺はお前のマスターだぞ!!?少しは心配―――」
「してるわよ。将来、童貞のままにならならいように今からチャンスを作ってあげようっていう聖女の計らいよ」
「完全にはめてんじゃねぇか!!?」
ようやく戻ってきたかと思えば澄まし顔で俺を見捨てようとする。酷い、これが聖女のやることかよ…………まぁ、オルタだからな。ある意味問題ないんだろうけど、でも少しくらい助け船を出してくれてもいいだろうに。
「誰?この人?」
「さぁ?手紙にかいてたジャンヌさん…………じゃない?」
ふにふらとどどんこはきょとんとしている。先程までのいざこざなど無かったかのようにひそひそと話している。
「あなた達は…………」
「ふにふらです」
「どとんこです」
「そう…………大丈夫、まだ希望はあるわ」
「初対面で開口一番にそれ!!?どうして初対面の人に憐れまれてるの!!?」
「べ、別にゆんゆんやあるえみたくなりたいとか思ってませんから!ある程度あればいいと思ってますから!!ふにふらと一緒にしないでください!!!」
「どどんこ、あんた何私をだしに使って自分を美化してんのよ!!?あんたもどうせ巨乳になりたいと思ってるんでしょ!?そうなんでしょ!!?」
「…………哀れね」
「お前、酷ぇな……」
ヤンデレ化したゆんゆんもこの状況にきょとんとしていた。水を刺されたというか、気を削がれたという感じで収まってくれていた。ジャンヌの乱入でどうなることかと思ったが、思いの外良い方向に向かったのでよしとしよう。
それからほどなくして、ふにふら達を部屋に招いてめぐみんとネロとも対面させた。俺はその隙に部屋に逃げようとしたのだが、ジャンヌに首根っこを捕まれて強制連行させられた。
「まったく、わざわざ夜分に来ることはないでしょうに……」
「だって、どどんこが…………」
「え!?言い出したのはふにふらだったよね!!?」
「え?何言ってるのか分かんない」
「まさかの知らんぷり!?」
この二人は仲が良いのか悪いのかさっきからギャーギャー騒ぎまくってる。めぐみんとゆんゆんと似た匂いが…………ああ、あれだな。百合だ。
「でもさ、どうしてわざわざ宿に泊まってるの?家に戻れば良くない?」
「「ぎくっ……」」
「よし、俺戻るわ」
「待ちなさい」
「ぐへっ!」
華麗に戻ろうとする俺の頭を掴み、無理矢理座布団に押し付けられた。
「私もそう思ったのよねぇ…………ねぇ?どうしてだったかしら?」
「「「…………」」」
「カズマ、あんたには黙秘権はないでしょう?責任取って代表して説明してあげなさいな」
「お、俺は悪くない。以上説明終わり」
「あぁ?何か言った?」
「…………くっ、殺せっ!」
まさかこんなことになろうとは……。
したくもない説明をさせられ、俺はだんだんと下を向いて言葉のトーンも低くなっていった。
「それでそれで!そのあとどうなったの!?」
「え?いや、その…………親御さんから娘を頼むって―――」
「「きゃーーー!うっそぉ!?二人ともそこまでいってるの!!?」」
「…………」
この二人にありのままに言うと、当然面白がってぐいぐい聞いてこられた。俺は至って何も悪くないのに。二人の親がとんでもない馬鹿なだけなのに。囃し立てるわからかうわ、俺とめぐみん、ゆんゆんは終始俯いていた。
「へぇ?あんた、親にそこまで言わせたの?」
「…………おぅ」
「そう?なら、もういっそヤったら?好きな方と。どうせ溜まってるんでしょ?」
「頼むから自重してくれよ…………」
元聖女のくせして容赦ない。あるえを除いて他3名が容赦なく言ってくる。もう、頼れるのは…………。
「む、あまりカズマ達をからかうのはよさんか?嫌がっているようだぞ?」
「ネロ、あんたもたまには素直になりさなさいな。本当は聞きたいんでしょ?カズマの本命がどっちなのかって」
「よ、よさんか!それはある意味爆弾発言な事くらい余でも分かるぞ!!」
「ネロぉ…………お前が最後の希望だ。助けてくれぇ」
「よしよし、カズマ安心するが良い。余がなんとしても―――」
「そういうあんたはこのロリッ娘達にハグしたくて堪らないくせに」
「ぐっ…………!?」
どうしよう?ネロが痛いところを突かれたのか固まってしまった。そういえば、美少女大好きっ子だったな。
俺は僅かな希望を抱いてネロの後ろへと隠れていたのだが、次第にプルプルと肩を震わせ始めた。
「ネロ、誘惑に負けるな!お前はやれば出来る子だ。あんな悪魔の囁きに耳を傾けるな」
「そ、そうだな、うむ。余はやればできるのだ。あんな虚言に―――」
すると、ネロは震えながらふにふら、どどんこ、あるえ、めぐみん、ゆんゆんへと視線を向けた。
「…………ここは天国か?」
「惑わされるなネロ!!!」
誘惑に負けそうになっていた。
「ぬっ!?なんという魔の囁き…………屈してしまいそうだ。というより、屈したい」
「諦めんな!!!」
駄目だ、もう駄目だ。誰も俺の味方になってくれない。ネロすら手中に納められたらもう…………!
「カズマ、あんたはロリコン、ロリマね」
「やーい、ロリマだロリマ!」
「ロリマ…………ぷっ」
ちくしょうこいつらしばいたろうか!!?ジャンヌを筆頭に嘲笑ってくる3人。幸いあるえはどちらにも属さずいてくれる。しかし、問題はジャンヌだ。こいつは他人の不幸は蜜の味と言わんばかりに煽ってくる。
(腹立つ…………!)
段々と苛立ちを覚え始める俺だが、不思議な事にめぐみんとゆんゆんは何も言わない。
「おいめぐみん、お前からも何か言って―――」
「…………すぅ…………むにゃ…………」
こいつ、寝てやがる。
「ゆ、ゆんゆん…………?」
恐る恐るゆんゆんに問うてみる。
「も、もうっ皆さん言い過ぎですよ私達はまだそこまでいってないのに。あ、でも親からは既に了承は得てますけどカズマさんの意思も分からないので早とちりはできませんし…………あっ、カズマさんの親御さんにも挨拶しないといけませんね。それに子供の数も何人にするかも―――」
話しかけるのはよそう。既に自分の世界に入ってらっしゃる。
結局、俺はしばらく3人から質問攻め&卑下された。あれよこれよと好き勝手にいいやがった。ジャンヌにはちょっと怖くて無理だが、あの二人には今度別の形で仕返ししてやろうと思う。具体的にはパンツをスティールしたり、ブラ…………は着けるほどの物をもってないから無理か。よし、パンツを奪って高らかに振りかざしてやる。
「お前ら、覚えてろよ…………」
「「え?何?」」
「あ、あのさ、流石にやり過ぎじゃ―――」
「いいの、いいの。カズマにはこれくらい大丈夫よ。それに、憂さ晴らしはゆんゆんがしてくれるだろうし。体で」
「お前ら本当に容赦ねぇな!!?」
「冗談よ。寿退社されても困るし、ほどほどにしておいてあげる。感謝なさい」
「ようし、感謝の証しとしてお前のパンツを貰ってやる、覚悟しろ」
「うわっ、変態だわ」
「うるへー!お前ら言い過ぎなんだよ!!」
ようやく俺で遊ぶのをやめてくれた。ふにふらは今度絶対泣かしてやる。ビッチなあいつにはそれ相応の報いを受けさせる。どどんことの百合疑惑を広めてやる。
話し疲れたのか、ふにふら達は大人しくなって帰り支度を始めた。
「それじゃあめぐみん、ゆんゆん、また明日ね」
「もう来んなよ……」
「カズマも歓迎してあげるから来なよ?」
「断じていかん」
「あっはは……嫌われちゃったね」
「ふむ、カズマ、良かったら今度小説のネタを―――」
「俺をネタにするのはやめろ」
「…………面白いネタをくれると助かる」
「おい、なんで間を空けた?」
ふにふら曰く、明日は同期で集まるらしい。何を血迷ったのかそこに俺も招待するといいやがる。迷惑千万、意地でもいかん。行くとしてもパンツだけスティールする。ピンポンダッシュならぬパンツダッシュだ。
「明日は俺は一人でだらだらする。頼むから俺に関わってくれるな」
「…………カズマ、明日は私とネロと一緒に観光巡りしましょう」
「は?どうした、お前から誘ってくるなんて…………」
「何でもないわ。ただ、そういう気分なのよ」
「…………そうか?」
珍しい。あの傍若無人なジャンヌがしおらしく誘ってきた。明日の天気は雪か?あられか?それとも槍か?
3人は家に帰り、ほどなくして俺達も就寝した。
(ジャンヌと同じ部屋で寝る、か…………)
今更ながら緊張してきた。
「何をしてるの?寝ないの?」
「…………お前は緊張しないんだな?」
「緊張?どうして?」
「いや、何でもない。寝よう」
うん、ジャンヌはこういうことにあまり意識しないようだ。幸い、というべきだろうな。相手がめぐみんかゆんゆんだったらたぶん一悶着あったかもしれない。特にゆんゆん。
(…………寝るか)
そして、ようやく長い1日が終わった。
今回も10000文字を越せず……。
やる気というかネタが続かない……。いい加減、急展開を作ろうか……(冗談です)
さて、やっぱり個性が強いキャラは書いてて楽しいですね。正直書く前はぶっころりーとかそけっとって誰?っていうレベルでした(笑)小説本編は読んでいるのですが、番外編は全くです。4、5巻だけ読みました。
設定としておかしいところもあるかもですが、これからも矛盾やおかしなところなく書いていければなと思います。